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技術情報

   
  VTR一体型ハイビジョン I. I.(アイアイ) 超高感度カメラ
〜映像情報メディア学会「技術振興賞」開発賞を受賞〜
(平成16年5月25日)

○ NHKは、池上通信機(株)と共同で、月明かりで撮影が可能なVTR一体型のハイビジョン I. I. (アイアイ)超高感度カメラを共同開発しました。

○ 今回開発したカメラは、第3世代の光電面※1を用いたイメージ・インテンシファイア※2(I. I. : 呼称アイアイ)を撮像部に組み込むことで、通常CCDカメラの400倍の高い感度を実現しています。電気的なゲインアップをしなくても、満月の明かり(0.2ルクス)の下でもカラー撮影ができ、ハンディーカメラとしては非常に高い感度を有しています。

○ カメラの小型化と高性能化を両立できる拡大・縮小光学技術※3を新たに開発・導入したことにより、受光部のイメージ・インテンシファイアは1インチ型を、撮影レンズとCCDは2/3インチ型を使えるようになり、解像度と運用性を向上しました。

○ DVCPRO-HDフォーマットのVTRをカメラに内蔵しており、カセットテープ1本で46分間のハイビジョン記録/再生が可能です。また、最高100万分の1秒の高速ゲートシャッターを内蔵しており、動きの早い被写体を撮影しても動きボケの少ない画像が得られます。

○ 夜行性動物を観察する番組や南極・北極同時オーロラ中継にこのカメラを使用し、今まで撮影の難しかった神秘的な映像もお茶の間にお届けすることで、大変好評を博しています。なお、今月22日、本件の開発に対し、映像情報メディア学会から「技術振興賞」開発賞を受賞しました※4

※1  第3世代光電面:GaAsP(ガリウム砒素リン)を光電変換材料に用いた結晶光電面で、量子効率(光を電子に変換できる割合)が可視光全域で50%を越え、カラーバランスが良い特長を有している。
※2  イメージ・インテンシファイア:画像増強管。多数の微細なチューブ(マイクロ・チャンネル・プレート)の中で電子を増倍するなどして2桁以上の高い増倍を行う暗視デバイス。
※3  拡大・縮小光学技術:撮影レンズの後ろで光学像を拡大し、イメージ・インテンシファイアの後で光学像を縮小する光学系。
※4  NHK、池上通信機(株)、浜松ホトニクス(株)、富士写真光機(株)で受賞。


開発したVTR一体型ハイビジョンI.I.(アイアイ)超高感度カメラ

諸元
寸法 148mm×267mm×406mm
重量 6.3kg
消費電力 約48W(記録時)
電源 DC12V
映像出力 HD-SDI信号、1080/59.94i
記録方式 DVCPRO-HD
カセット記録時間 46分(1/4インチLカセット)
イメージ
 ・インテンシファイア
1インチガリウムヒ素リン(GaAsP)を使用した近接型
CCD 2/3インチ220万画素IT型
感度(低) 150ルクスF8(電気ゲインアップ0dB)
感度(高) 0.2ルクスF2(電気ゲインアップ0dB)
感度(最大) 0.006ルクスF2(電気ゲインアップ+30dB)





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