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技術情報

  ◆地上デジタル放送の 放送波中継用干渉除去装置の開発
(平成15年5月14日)


◯ NHKは地上デジタル放送の低廉なネットワークの構築に向けて、放送波中継局に用いる干渉除去装置を新たに開発しました。この装置を用いると、中継する放送波の帯域内に混入する干渉波を取り除くことができるので、これまで難しいとされていた場所でも放送波中継が可能になります。

◯ 放送波中継は、親局のエリアの端で放送波を受信し再送信するもので、サービスエリアを拡大する代表的な手段です。一般に中継局は山頂などの高い位置に設置されるので、親局からの放送波以外に同じチャンネルのアナログ波やデジタル波が受信され、伝送品質が保てない場合があります。

◯ 今回開発した干渉除去装置は、複数の受信アンテナを用いて干渉波の影響が最も小さくなるように受信アンテナの指向性を制御するもので、親局からの放送波以外のデジタル波やアナログ波を除去できることができます。また、親局からの放送波のマルチパスによる妨害に対しては、複数のアンテナの合成出力を最適化してマルチパス歪を最小化できるという、ダイバーシティ効果を得ることもできます。さらに、復調した信号を整形して再変調することで、放送波のCN比も改善されます。

◯ TMA*1地上デジタル放送実験部会の一実験として、宮城県にある本吉中継局*2を使用して野外実験を実施しました。実験では、設置した4本の受信アンテナから出力される信号を合成することで、仙台送信所からの干渉波を約20dB抑圧することに成功しました。

◯ 今後、条件のさらに厳しい複数の干渉波やフェージングなどがある伝搬路での実証実験を進める予定です。NHKは地上デジタル放送の低廉で、かつ 効率的な送信ネットワークの実現のため、積極的に研究・開発を進めていきます。なお、今回開発した装置は、5月22日から25日に開催するNHK放送技術研究所の公開にて展示します。

*1 TMA:東北マルチメディア技術開発推進協議会
*2 通信・放送機構の地上デジタル放送研究開発用共同利用施設


図1 外観写真 筐体寸法 480(W)×249(H)×320(D)
図1 外観写真 筐体寸法 480(W)×249(H)×320(D)
 
図2 同一チャンネルでの干渉
図2 同一チャンネルでの干渉
 
図3 実験の概要
図3 実験の概要





















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