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技術情報

  ◆ハイビジョン伝送とNTSC伝送が1台のFPUで可能に
  〜デジタルハイビジョン小型伝送装置を開発〜
(平成13年11月6日)


○ NHKはこのほど従来のNTSCアナログ伝送とデジタルハイビジョン伝送機能を一体化した64QAM方式(*1)デジタルハイビジョン小型伝送装置(以下、デジタルFPU)を開発しました。

○ NHKでは、NTSC伝送機材を段階的にハイビジョン化していますが、しばらくの間、ハイビジョンFPU基地局とNTSCのFPU基地局とが混在し、中継車からFPU伝送で生中継する場合、ハイビジョンFPUとNTSCのFPUを2台搭載する必要がありました。
今回開発したデジタルFPUにより、FPU1台でハイビジョン伝送とNTSC伝送が両方可能となり、小型で機動性の高いハイビジョン中継車が実現できます。

○ このデジタルFPUでは、ハイビジョン素材伝送に必要な1秒間に60メガビットという極めて大きな伝送容量を、現行NTSC信号を伝送するアナログFPUと同じチャンネル帯域幅、18MHzの中で送ることが可能となります。

○ このデジタルFPUを開発するにあたり、回路基板のインターフェースを統一し、集積度を高めた変調基板を新しく開発することで、従来のNTSC並みの大きさ、重量を実現すると共に低コスト化も図っています。

○ 今後、NHKはハイビジョン放送での緊急報道をはじめ、ハイビジョン素材伝送用にこのデジタルFPUを導入していく計画です。
当面はハイビジョンエンコーダ(*2)をFPUの外に付けてハイビジョン伝送を行いますが、このエンコーダをはがきサイズまで小型化し、FPU本体に内蔵したものを平成15年度までに開発し、現行NTSCのFPUに代わる次世代のFPUとして、本格的に全国整備することを目指しています。

64QAM方式デジタルFPUの諸元
大きさ 180W×100H×350D(制御部、高周波部とも)
重量 5kg(制御部),7kg(高周波部)
消費電力 180W
変調方式 アナログFM/デジタル64QAM
伝送速度
(bit/s)
65.880M (64QAM 5/6)
52.704M (32QAM 4/5)
39.528M (16QAM 3/4)
(*1)QAM方式: 直交振幅変調方式(Quadrature Amplitude odulation)で、長距離のデジタルマイクロ信号伝送に広く使われる方式。周波数を効率的に運用できる。
(*2)ハイビジョンエンコーダ: ハイビジョン信号をデジタル信号に変換する装置。

送信装置(制御部、高周波部)
(ハイビジョンエンコーダは外付け)
受信装置(制御部、高周波部)
(ハイビジョンデコーダは外付け)


○ ハイビジョン伝送に必要な機材の推移

(これまでの機材) (今回開発した機材) (平成15年度(目標))
合計 34kg,350W
NTSC用FPU
多値アダプタ
HV ENC
合計 30kg,350W
デジタルFPU
HV ENC
合計 12kg,180W
デジタルFPU
   
 
デジタルFPU
(HV・NTSC一体化)
FPUに
HV ENC内蔵
 













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