NHK INFORMATION
技術情報

  ◆ダイバーシティー受信方式の新しい
OFDM-FPU受信機の開発(平成12年12月27日)
〜 駅伝・マラソン中継など、ビル蔭での受信にも威力を発揮 〜



○NHKは、駅伝中継などで使用するデジタルFPU (Field Pickup Unit:中継用伝送装置)を開発*1し、既に運用しておりますが、今回この受信機を改良し、受信性能を大幅に向上させた装置の開発に成功しました。

○昨年の京都駅伝、今年のびわ湖マラソン、長野マラソンなどで実績を重ねているデジタルFPUは、自動車等の移動体からの中継においても、従来のアナログFPUより高画質で安定な伝送が可能です。このため、アナログシステムでは多数の受信基地が必要なロードレース中継でも、受信基地の数を大幅に削減してコンパクトなシステムによる中継が実現しています。

○しかしこれまでの装置でも、ビル蔭など電波の届きにくい場所で、受信状況が悪くなるという問題がありました。

○今回開発した受信機は、これまで単純に用いていた4基のアンテナ出力を高度に合成*2するダイバーシティー受信方式を採用しています。その結果、伝送時の劣化が少ない信号を得ることができ、ビル蔭などにおいても安定な伝送が可能となっています。

○また本装置による伝送では、これまでに比べて、誤り訂正信号の情報を軽減できるため、その分多くの映像情報を送ることもでき、画質の向上につながります。

○このダイバーシティー受信機は、12月26日(日)の京都高校駅伝で、一部の受信基地局で使用しました。今後、都市内でのロードレースなど、ビル蔭や障害物が多い移動中継で、一層コンパクトな中継システムの実現が期待されます。

(*1)建物による反射や電波の強さの変動を受けにくいOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式を使用している。
(OFDMデジタルFPUの報道発表:平成10年12月18日、平成11年2月12日)
(*2)これまで4基のアンテナ出力を単純に合成した後、OFDM復調処理していたものを、4基のアンテナ出力を別個にOFDM復調処理(帯域の広い信号をOFDMの544本の搬送波に分離)した後、それぞれの搬送波ごとに合成し、最良の受信信号を得る。


(参考資料)












技術情報一覧
Copyright NHK (Japan Broadcasting Corporation) All rights reserved. 許可なく転載を禁じます