NHK INFORMATION
H13年度予算


  III 平成13年度 収支予算及び事業計画付属説明資料


〔国内放送関係〕

3.平成13年度  国内放送番組編集の基本計画


<編集の基本方針>

 21世紀の幕開けとともに、放送界は本格的なデジタル化による多メディア・多チャンネルの大競争時代を迎えました。
 多様なメディアがしのぎを削り、さまざまな情報があふれる中でこそ、公共放送は欠くことのできない存在でなければなりません。
 NHKは、“社会に貢献する放送”をいっそう推進し、視聴者とともにデジタル時代の“新しい放送文化”を築きます。

 デジタル技術によって放送に新しい可能性が開かれつつあります。
 NHKは、高画質・多機能・双方向などの特性を生かしたさまざまな試みに果敢に挑戦します。ハイビジョンによるニュースと番組の充実に全力で取り組むとともに、データによる放送(以下「データ放送」という)などを活用して高齢者や障害者の視聴を助ける“人にやさしい”放送を推進するなど、技術革新の成果を社会に還元していきます。

 また、NHKはデジタル時代にあっても、アナログ放送によるサービスの充実に努め、公平で信頼できる情報を“いつでも、どこでも、誰にでも”提供します。
 国民の生命・財産を守る迅速・正確な災害報道はもとより、激動する世界を国際的視野に立って的確に伝えます。また、地球環境問題など人類共通の課題や日本人の生き方などについて判断のよりどころとなる番組、地域に役立つきめ細かな情報などを提供し、視聴者との結び付きをいっそう強めます。

 平成13年度、国内放送番組の編集にあたっては、地上波・衛星波それぞれの特性をいっそう明確にしながら、NHK全体として調和のとれた多様なサービスによって、新しい世紀の公共放送を確立します。

<編集の重点事項>

(1) デジタル時代に対応したニュース・番組の積極的な展開

ア.ニュース・情報番組の充実とハイビジョン化

 公共放送の基幹サービスであるニュース・情報番組については、全国各局・海外総支局を結ぶハイビジョンネットワークの構築と制作体制の整備を進め、鮮やかな映像で臨場感のある情報の提供に全局をあげて取り組みます。
 データ放送では、いつでも見ることのできるニュースや気象情報をはじめ、災害報道や選挙放送でもその特性を生かし、豊富な情報を迅速に提供します。

 また、視聴者の期待と信頼に応えるため、激動する現代社会の動きを、迅速・的確にわかりやすく伝えるとともに、きめ細かな気象情報など暮らしに役立つ情報の充実に努めます。
 このほか、地震、台風などの災害報道や選挙放送にあたっては、総合テレビをはじめ、衛星波、音声波やデータ放送などが連携し、それぞれの特性を生かした適切な情報を迅速・的確に提供します。

イ.ハイビジョンの特性を生かした高品質な番組の制作

 デジタルハイビジョンは高画質・高音質に加え、データ放送によるきめ細かな情報提供や視聴者との双方向性など、放送に新しい可能性をもたらす先導的で魅力的なメディアです。
 ハイビジョン設備をさらに拡充し、高画質で臨場感のある番組の制作をいっそう推進します。
 
 見ごたえのあるハイビジョンドラマとして、「聖徳太子」やサスペンスシリーズなどを集中的に編成するほか、ヴェルディ没後100年にちなんだオペラのシリーズをはじめ、紀行・自然・芸能・文化などの多彩な分野で、ハイビジョンの特性を生かしたスペシャル番組を、幅広い世代が楽しめる時間帯に集中的に編成します。あわせて、高齢者もくつろいで見ることができるハイビジョン特集番組なども編成します。

 また、Jリーグやプロ野球など、多彩な国内スポーツをハイビジョンで中継するとともに、大リーグやプロバスケットボールなど、アメリカのメジャースポーツのハイビジョン化についても段階的に拡大します。
 あわせてデータ放送では、独立型サービスによる生活に密着した情報を充実させるとともに、双方向などの新しい番組連動型サービスをいっそう発展させていきます。


(2) 21世紀の諸課題に取り組む大型企画

 人類が直面する21世紀の諸課題に、公共放送の総力を結集して取り組みます。

 新たな世紀を展望する番組として、大宇宙の神秘の世界を最新の観測をもとに壮大な規模で描く「宇宙、未知への大紀行」や、インターネット革命がもたらす衝撃とその行方を探る「21世紀革命」をNHKスペシャルの大型シリーズとして編成します。また、21世紀を各分野でリードする人物へのインタビューを通して新しい世紀の潮流をとらえる番組を、衛星第1テレビに新設します。

 さらに、人類共通の課題である“食料問題”について、大型番組、地域放送、関連イベントなど、全局をあげて多角的に検証していきます。「NHKスペシャル 21世紀の日本」で食料問題を地球環境の視点とあわせて取り上げるほか、日本の食料生産や、食文化についての課題を地域番組やイベントと連動して掘り下げていく新番組を、総合テレビの日曜朝に編成します。

 日本社会の緊急課題として、“教育”を考える番組もいっそう強化します。青少年や家族、学校などの抱える問題を話し合う特集番組を重点的に編成するほか、インターネットを活用し、世界の子育てについて考える番組を衛星第1テレビに新設します。また、平成12年度に引き続き、「NHK教育フェア」を「日本賞コンクール」の開催にあわせて実施し、集中的に行う放送や公開イベントを通じて、教育問題を深く掘り下げるとともに、これからの教育放送のあり方を探ります。
 また、子どもたちに向けてデジタル時代のメディアへの接し方を学ぶ番組を教育テレビに新設するとともに、データ放送やインターネットとの連動に向けた双方向の学習番組や多角的なサービスを行う実験的番組にも取り組み、平成14年の新教育課程に向けて総合学習型番組を強化します。


(3) 信頼され親しまれる定時番組の充実

 デジタル時代においても、公共放送NHKは、幅広い視聴者によって共有され、文化的な共通体験の場となるため、信頼され親しまれる定時番組を充実します。
 平成12年度に大幅に改定した総合テレビ夜間の編成については、平日午後8時台に、生きものの不思議や地球の驚異を描く新しい自然番組を編成するほか、11時台に、世界の著名な人物の素顔と波乱の人生を浮き彫りにする番組を新たに設けるなど、各時間帯の役割をさらに鮮明にし、いっそうの充実を図ります。
 教育テレビにおいては、土曜夜間の文化・教養時間帯を強化し、若者向けの時間帯である総合テレビと相互補完する編成を行います。
 さらに、衛星放送でも特集編成とあわせてデジタルの双方向性やインターネットを活用した視聴者参加の定時番組を充実するなど、各波や各時間帯の特徴をいっそう明確にし、視聴者にわかりやすい編成をめざします。


(4) 地域放送サービスの強化

 地域放送サービスについては、地域の課題と向き合い、暮らしに密着した身近な話題を伝えるとともに、地域に根ざした文化の継承や新たな地域文化の創造に役立つ放送を行います。
 地域向け放送は、総合テレビの午後5時台で地域の情報をきめ細かく伝えるとともに、地域住民が放送に参加できる場としても位置づけ、全国各局でさらに強化します。また、ラジオ第1放送では、平日午前の地域向け番組の時間帯を拡充します。
 全国に向けた放送については、国際ボランティア年にあたって全国各地のボランティア活動を紹介する番組や、名作のふるさとを各地に訪ねる番組の新設により、住民の活動を全国に紹介し地域文化の相互交流を図るなど、NHKのネットワークを活用し、各波で内容の充実を図ります。


(5) 視聴者との交流を深める番組の強化

 公開番組を拡大し、全国の視聴者サービスのさらなる充実に努めます。
 衛星第2テレビで各都道府県の独自の文化・県民性を、地域と一体となって長時間・生放送で伝える番組のいっそうの充実を図るほか、地域の視聴者がリクエストで作り上げる新しい形式の公開番組を編成します。あわせて年度後半には、大阪放送局新ホールを活用した公開番組を全国に発信します。
 また、衛星第1テレビでは、インターネットを通じて世界の人々が相互に対話する新しい形式の番組を新設するほか、各メディアでもインターネットを活用し視聴者の参加を広げる番組を展開します。
 ラジオ第1放送でも、「生活情報波」として双方向機能を最大限に活用し、聴取者との結び付きを強化します。

 視聴者からの再放送希望に直接応えて好評な総合テレビ日曜午前の「あなたのアンコール」は、放送時間を拡大してデジタルハイビジョン番組も対象に加え、“視聴者と向き合う時間帯”として充実します。
 さらに特集編成として、NHKに関する視聴者の疑問・質問に幅広く答える「あなたの声に答えます」を年間通して随時編成します。
 このほか、時間帯ごとの視聴者の関心に応えて、分野別の番組を紹介する新しい広報番組を総合テレビ夜間に新設するなど、視聴者により親切な番組情報の提供に努めます。


(6) 障害者や高齢者などに向けた放送サービスの充実

 障害者や高齢者向けサービスについては、デジタル技術の可能性を最大限に活用した“人にやさしい放送”をめざし、データ放送や字幕放送、解説放送などそれぞれの特性にあわせたサービスの強化に取り組みます。
 平成12年度から開始したニュースの字幕放送については、対象とする夜間ニュースの時間帯を新たに加えるなど、視聴者の期待に沿えるよう内容の充実に努めます。
 また、データ放送では、障害者や高齢者にも配慮しつつ、いつでも見ることのできるニュースや福祉関連情報などの内容を充実します。さらにデジタル放送では、ステレオ放送でも解説を付けることが可能なデジタル技術の特性を生かし、解説放送番組を拡充します。
 あわせて、在日外国人向けには2か国語放送などを積極的に編成します。


(7) 冬季オリンピック・パラリンピック放送の実施

 第19回冬季オリンピック・ソルトレークシティー大会(平成14年2月9日〜25日)にあたっては、地上・衛星での多角的な放送を実施するとともに、デジタルハイビジョンでは、デジタル技術の新しい可能性を生かした中継を行い、視聴者の期待に応えます。
 さらに、第8回冬季パラリンピック・ソルトレークシティー大会(平成14年3月8日〜17日)についても、放送権の確保を前提に、競技の模様を字幕放送を付加していっそう詳しく伝えるほか、特集番組でも障害者がスポーツに向き合うひたむきな姿を伝えます。


(8) 参議院議員通常選挙放送の実施

 非拘束名簿式比例代表選挙が初めて導入される参議院議員通常選挙(平成13年7月22日任期満了)にあたっては、新しい選挙制度の下での選挙放送の実施に万全を期します。


 以上の重点項目の実施に向けて、創造的かつ効率的な取材・制作システムを構築し、デジタル時代を迎える21世紀にふさわしい業務体制を整備していきます。


4.番組制作経費の具体例(12年度)
(単位 千円)
番 組 名 1本あたり制作経費
NHKニュース7 (  30分) 2,705
英会話 (  20分)  940
ためしてガッテン (  43分) 10,830
連続テレビ小説・オードリー (  15分) 3,731
大河ドラマ・北条時宗 (  45分) 41,223


5.NHK交響楽団 、日本放送協会学園等に対する助成
(単位 千円)
団体名 13年度助成額 事業内容
NHK交響楽団 1,199,000  我が国の音楽芸術の向上発展を目的として、音楽番組の充実を図るため、公開演奏(定期公演、地方公演)等演奏活動を積極的に行い、テレビジョン、ラジオを通じて放送を行うほか、外国人指揮者の招へい等を行い、技術の向上に努める。
日本放送協会学園 350,000  教育基本法及び学校教育法に従い、広く全国の中学校卒業者に対し、日本放送協会の放送を利用して通信による高等学校普通教育を行い、高等学校通信教育の充実と放送利用形態の確立に資する。
NHK厚生文化事業団 100,000  社会福祉の増進を目的として、社会福祉関係放送番組の制作協力と身体障害者の番組利用のためのテープ・フィルムライブラリーの運営を行うとともに、身体障害者、知的障害者に対する社会福祉事業等を行う。

 金額については、単位未満の端数を切り捨てて表示している。



〔国際放送関係〕

6.平成13年度 国際放送(テレビジョン・ラジオ)の放送番組編集の基本計画

<編集の基本方針>

 世界は今、IT革命とグローバル化の波が押し寄せ、経済や社会の仕組み、そして人々の生活まで大きく変わろうとしています。

 NHKの国際放送は、ニュース・情報番組を拡充し、アジアの情報発信拠点として、大きな変革のうねりの中にある日本をはじめアジアの国々の姿を、迅速・的確に海外へ伝えます。
 また、世界のどこにいても受信が簡便な短波ラジオ、全世界への24時間の情報ネットワークが完成するテレビ、それぞれの機能を十分に活用し、信頼され役立つ情報波としての役割を果たします。

 平成13年度国際放送番組の編集にあたっては、テレビでは、国内外の主な出来事をコンパクトに伝えるニュースと、国際放送独自の英語ニュースを新設するほか、日本の今を伝える情報番組を充実します。これによって、ニュース情報波としてのいっそうの質的向上を図り、視聴者の期待と信頼に応えます。
 ラジオは、日本の政治・経済が直面する課題を討論する番組や、日本およびアジア各国の文化・暮らしを伝える番組を新設します。
 また、各地域向け番組では、言語によって異なる地域の関心にきめ細かく応え、日本への理解促進に努めます。

 さらに、国内外の非常時には、テレビとラジオが相互に連携して、在留邦人への安全情報の提供に万全を期し、ライフラインとしての役割を果たします。
 一方、デジタル技術の進展の中、人々の多様化する情報入手手段に対応するため、インターネットを補完的に活用し、効果的な情報発信に努めます。

<編集の重点事項>

〔テレビジョン〕

(1) ニュースの拡充

 国内外の主な出来事をコンパクトに伝えるニュースや、国際放送独自の英語ニュースを新設し、ニュース情報波としての役割を充実・強化します。

(2) 経済情報の充実・強化

 日々刻々と変わる日本市場の動きを伝える番組を平日の午前に拡充するほか、産業界の構造転換の動きや、先端ビジネス情報などを提供する番組を週末に新設し、視聴者の関心が高い経済情報を積極的に発信します。

(3) 視聴者参加型の情報番組の新設

 インターネットと連動した視聴者参加型番組を新設し、海外の視聴者との結びつきを深めます。

(4) 日本の今を伝える情報の充実

 ニュースでは伝えきれない、日本の今を理解してもらうための情報番組を週末を中心に編成し、放送内容の充実に努めます。


〔ラ ジ オ〕

(1) 討論番組の新設

 日本が直面している政治・経済の重要課題をテーマに、各界の代表が議論する番組を日曜に新設し、日本の今を伝えます。

(2) 週末番組の刷新

 日本での流行や旬の話題などを提供する番組を刷新し、海外の聴取者にくつろぎの時間を提供します。

(3) ライフライン機能のいっそうの充実

 海外での安全に役立つ情報番組を週末に拡充し、ライフライン機能の充実・強化を図ります。


このほか、次の事項について、継続して重点的に取り組みます。

日本の重要な政策、および国際問題に関する公式見解ならびに世論の動向を正しく報道します。
日本の伝統や文化、日本人の考え方などを多角的に紹介し、国際理解に役立つ番組を編成します。


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