日本放送協会 理事会議事録  (平成25年11月26日開催分)
平成25年12月13日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成25年11月26日(火) 午前9時00分〜10時00分

<出   席   者>
 松本会長、小野副会長、塚田専務理事、吉国専務理事、石田専務理事、
 木田理事、久保田技師長、板野理事、上滝理事、福井理事、下川理事、
 森永理事
 井原監査委員、上田監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)平成26年度国内放送番組編集の基本計画について
(2)平成26年度国際放送番組編集の基本計画について

2 報告事項
(1)考査報告
(2)予算の執行状況(平成25年10月末)
(3)契約・収納活動の状況(平成25年10月末)


議事経過

1 審議事項
(1)平成26年度国内放送番組編集の基本計画について
(編成局)
 平成26年度国内放送番組編集の基本計画について、審議をお願いします。
 26年度は「豊かで安心、たしかな未来へ」を掲げた3か年の経営計画の最終年となります。
 NHKは、正確・迅速で公平・公正な報道や見ごたえのある番組を視聴者に届け、NHKでしか見られない、人々の心を豊かにする魅力にあふれた放送の実現を目指します。
 いま日本は、経済の再生や財政の立て直し、少子高齢化への対応、そして複雑化する国際関係など、多くの課題を抱えています。一方で、2020年(平成32年)のオリンピック・パラリンピックが東京で開催されることが決定するなど、日本国内に明るさも見えています。
 26年度国内放送番組の編集にあたっては、日本が抱える課題を乗り越え、豊かで安心して暮らせる社会を実現するために、正確・迅速な報道で国民の生命と財産を守るという公共放送としての使命達成に、引き続き全力で取り組みます。そして、「深い取材に基づくニュースや番組」、「心に残る番組」、「世代を越えて楽しめる番組」など、報道から娯楽まで多彩な編成で、幅広い視聴者の支持と共感が得られる豊かな放送を実現します。
 27年3月には東日本大震災発災から4年となります。被災地の復興を支援し、課題を掘り下げる番組に引き続き取り組んでいきます。全国の放送局は、地域に密着した情報を伝え、地域の再生や活性化に貢献する番組を制作します。
 さらに、世界に通用する質の高い番組を制作し、世界に情報を発信、NHKの存在感を高めていきます。夏には、サッカーワールドカップ・ブラジル大会が開催されます。多彩な番組で熱戦の模様を伝え、日本中に感動を届けます。
 インターネットの拡大などメディア環境が大きく変化する中、26年度末にNHKは放送開始90周年を迎えます。NHKに対する長年の信頼を大切にしながら、ハイブリッドキャストやスーパーハイビジョンをはじめとする次世代の放送サービスに取り組みます。人にやさしい放送・サービスも拡充し、新しい時代の公共放送を創り上げていきます。
 編集の重点事項は、1.国民の生命と財産を守る正確で迅速な報道、2.日本が直面する課題をグローバルな視点で報道、3.NHKが持つ7つの波を生かし、多彩な番組を編成、4.東日本大震災からの復興を支援し、課題を掘り下げる番組、5.世界に通用する質の高い番組、6.デジタル時代の新たなサービスの展開、7.地域の再生、地域活性化への貢献、8.サッカーワールドカップ・ブラジル大会放送の実施と2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた取り組み、9.“人にやさしい”放送・サービスの拡充、以上9項目です。
 これらの重点項目の実施にあたっては、「国内放送番組編集の基本計画」が放送サービスとして実現されているか、多角的な評価指標を用いた評価・管理を行います。また、限られた経営資源を効果的・効率的に活用し、ニュースや番組を充実させます。さらに、放送倫理やコンプライアンス意識の徹底、人材の育成に力を入れ、確かな情報と質の高い番組の提供に努めます。
 本件が了承されれば、12月10日開催の第1202回経営委員会に審議事項として提出するとともに、12月16日開催の第599回中央放送番組審議会に諮問します。

(会 長)

 この国内放送番組編集の基本計画は、3か年経営計画に立脚したもの、NHKの原点を踏まえたものになっていますか。また、役員間の議論をはじめ局内で行ってきた議論を反映したものになっていますか。さらに、中央放送番組審議会などの意見を踏まえたものになっていますか。

(編成局)

 26年度は3か年の経営計画の最終年度ということで、経営計画の4つの重点目標である公共、信頼、創造・未来、改革・活力、それぞれの重点項目を、番組編集の基本方針から重点事項まで、しっかり踏まえたものとしています。また、これまで役員間で議論した編集の大きな方針を盛り込んでいるほか、放送総局内のさまざまな議論を踏まえたうえでの基本計画としています。さらに、中央放送番組審議会などの意見も十分に受け止めて反映し、今回の基本計画に至りました。

(会 長)

 原案どおり了承し、12月10日の経営委員会に諮ります。


(2)平成26年度国際放送番組編集の基本計画について
(国際放送局)
 平成26年度国際放送番組編集の基本計画について、審議をお願いします。
 NHKの国際放送「NHKワールド」は、26年度に、「国際発信力の強化」を掲げた経営計画の3年目を迎えます。
 東日本大震災からの復興と再生が進む中、2020年のオリンピック・パラリンピックの東京開催が決まり、日本に対する世界の関心が一段と強まっています。こうした期待や関心に応え、政治・安全保障・産業経済・社会など幅広い分野について、国際番組基準に従って迅速かつ客観的にニュースや番組を海外に伝え、日本への信頼を高めることがますます重要になっています。
 英語による外国人向けテレビ国際放送「NHKワールドTV」は、これまでの編成を大幅に刷新し、視聴者の多様なニーズに応えます。ニュースでは日本の情報をさらに充実するとともに、アジアを中心とした世界の動きを、日本の観点を踏まえて的確に伝えます。番組では日本の伝統芸能や国際貢献など新たな分野を加え、番組数を増やします。
 多言語によるラジオ国際放送「ラジオ日本」は、日本の最新情報や話題を日本語と17の言語でわかりやすく伝えます。また、地域の受信環境に応じた多様なサービスを展開するとともに、リスナーに身近な、きめ細かい放送サービスを推進します。
 「NHKワールド」は、インターネットも積極的に活用し、ニュース・番組のPRを強化するなど、視聴機会の定着と拡大に努め、「日本およびアジアについて世界で最も信頼される情報源になること」を目指します。
 本件が了承されれば、12月10日開催の第1202回経営委員会に審議事項として提出するとともに、12月13日開催の第598回国際放送番組審議会に諮問します。

(会 長)

 今回の国際放送番組編集の基本計画は、国内からの国際放送への期待や経営委員会の意見を十分に反映したものだと思いますが、これまで取り組んできた受信環境整備や番組内容の充実のうえに、今年度は一層のコンテンツの充実を図るという理解でよいのでしょうか。

(国際放送局)

 はい。基本方針では、経営委員会からの指摘に沿って番組内容の充実、プロモーションの強化、インターネットの充実に重点を置いています。

(会 長)

 NHKはこれまで長年にわたって国際放送に取り組んできているにもかかわらず、国内では「NHKワールドTV」と「NHKワールド・プレミアム」の違いも理解されていないなど、国内での認知は、まだ十分に進んでいないと感じています。例えば、スマートフォンやタブレット端末のアプリを使えば、海外のみならず国内でも視聴可能であることを周知するなど、国内向けの情報発信についてはどう考えていますか。

(国際放送局)

 国際放送のプロモーションについては、これまで海外展開に力を注いできたために、国内への周知が十分に至っていない部分もありました。来年度は、国内向けのPRスポットを放送して周知していくなど、受信料を負担していただいている国内の視聴者の皆様にご理解いただくための情報発信にさらに力を入れていきます。

(上滝理事)

 今年9月以降の会長会見では、毎回報道各社向けにスマートフォンやタブレット端末で「NHKワールドTV」が視聴できることをPRするとともに、「NHKとっておきサンデー」などの広報番組でも数回にわたって紹介しています。また、10月に開催した「日本賞」表彰式の会場でも「NHKワールドTV」について周知広報活動を行っており、今後も継続して国内向けの広報を強化していきたいと思っています。

(会 長)

 そのような活動もあって、少しずつ理解が浸透してきていると思います。今後一層、各部局で連携して周知を進めていってください。
 原案どおり了承し、12月10日の経営委員会に諮ります。


2 報告事項
(1)考査報告
(考査室)
 平成25年10月17日から11月19日までの間に放送した、ニュースと番組について考査した内容を報告します。
 この期間に、国内放送番組では、ニュース20項目、番組68本の考査を実施しました。
 ニュースの主な項目としては、ホテルなどの“食材偽装”が明らかになる中で問題となったホテルグループの社長が引責辞任を表明したことや、中国・北京の天安門で車が歩道に突入・炎上し5人が死亡した事件、NHKの調査により19の都府県で国宝1点を含む76点の国の重要文化財が所在不明になっているとわかったこと、東京電力福島第一原子力発電所の事故処理で4号機の使用済み燃料プールから核燃料を取り出す作業の開始を前に現場が報道関係者に公開されたことなどがありました。
 番組では、東日本大震災により地域医療が崩壊の危機にさらされる中で医療再生に尽力する被災地の医師たちの姿を描いた、NHKスペシャル シリーズ東日本大震災「逆境からの再出発〜高齢者を支える医師たちの挑戦」(10月25日放送)や、道をきわめた達人のひとりとして106歳の女性声楽家の“人間力”を徹底解剖した、「生ける伝説 きわめびと」(総合 11月4日放送)、都会のマンションのベランダを舞台に独り暮らしの男と植物が織りなす物語をドラマ仕立てで描く、植物男子 ベランダー「ボタニカル・ハードボイルド」(BSプレミアム 11月4日放送)などの番組を中心に考査しました。
 また、国際放送では、外国人向けテレビ国際放送「NHKワールドTV」のニュース番組2本、番組2本の考査を実施しました。ニュース番組は、アメリカでの債務不履行の危機が回避されたことや東京都・伊豆大島の台風被害などを伝えた、「NEWSLINE」(日本時間10月17日午後8時放送分)、番組は、日本をさまざまな切り口から紹介する中で日本の“キャラクターとマスコット”を取り上げた、「BEGIN Japanology “Characters and Mascots”」(日本時間10月17日放送)、などを中心に考査しました。
 考査の結果、これらの一連のニュース・番組は、放送法、国内番組基準、国際番組基準等に照らし、「妥当」であったと判断します。

(会 長)

 ニュースや番組をNHKが自らきちんとチェックするという意味で、考査はたいへん重要な業務です。国内放送に加え国際放送の考査も実施することは、体制面で厳しい部分もあるかもしれませんが、効率的な体制を組んで、各放送波のニュース・番組が意見の対立する問題についてはバランスよく伝えているかという点に重点的に注意しながら考査することが大事です。考査がしっかりと機能することで、ニュース・番組を制作する側も緊張感を持って自らの仕事に取り組むことになります。それがNHK全体のリスクマネジメントにつながりますので、今後も継続して万全の考査に向けた努力をお願いします。


(2)予算の執行状況(平成25年10月末)
(経理局)
 平成25年10月末の予算の執行状況について報告します。
 最初に、一般勘定の事業収支の全体概況を説明します。10月末の標準進捗率は、58.3%(7か月/12か月)です。事業収入は3,847億円で、進捗率は59.4%です。受信料、財務収入等が標準進捗率を上回り、全体としては堅調な状況となっています。事業支出は3,685億円で、進捗率は56.9%です。受信対策費、退職手当・厚生費等が標準進捗率を上回ったものの、全体としては堅調に推移しています。この結果、事業収支差金は162億円の黒字となっています。
 事業収入、事業支出それぞれのポイントについて説明します。
 まず、事業収入についてです。受信料は、効率的な業務体制の構築に取り組んで契約収納業務を実施したことなどにより、契約総数や衛星契約数が増加し、標準進捗率を上回りました。交付金収入は、7月の参議院議員通常選挙の政見・経歴放送実施に伴う選挙放送関係交付金の収入により、標準進捗率を上回っています。財務収入は、6月に関連団体からの配当を受けたため、進捗率が高くなっています。また、雑収入は、前々年度以前受信料の回収額が増加し、標準進捗率を上回っています。
 続いて、事業支出についてです。
 国内放送費は、参議院選挙放送の実施による支出があったものの、全体としては標準進捗率を下回り、堅調な支出状況となっています。契約収納費は、地域スタッフ体制の見直しなど効率的な業務体制の構築を進めて経費の抑制に努めたことから、標準進捗率をやや下回っています。受信対策費は、東京スカイツリーへの送信所移転対策件数の増等により、進捗率が高くなっています。また、退職手当・厚生費は、期待運用収益率や割引率を見直したことなどにより、退職給付費が増加し、標準進捗率を上回りました。
 一般勘定の事業収支を前年同月と比較すると、事業収入は24年10月からの受信料値下げによる減収等により、94億円減の3,847億円となりました。事業支出は、給与や契約収納費が減となった一方で、国内放送費や国際放送費等の増により、53億円増の3,685億円となりました。事業収支差金は148億円の減となっています。
 受信料については、値下げの影響で、前年同月に比べ114億円の減収となっています。受信契約の状況については、効率的な業務体制の構築に向けた取り組みを進めており、契約総数・衛星契約数ともに標準進捗率を上回って増加しています。
 最後に、番組アーカイブ業務勘定の状況です。
 事業収入は、前年同月に比べ2.7億円増の10.2億円となり、標準進捗率を若干下回りましたが、権利処理にかかる経費の削減など効率的な業務運営により、事業支出を9.3億円に抑制しました。事業収支差金は、前年同月と比べ6.8億円改善し、0.8億円の黒字となりました。
 この内容は、本日開催の第1201回経営委員会に報告します。

(会 長)

 事業収入は、順調に推移していますね。年度後半のほうが支出が多くなるのはやむをえませんが、できるだけ抑制し、事業収支差金の確保に取り組んでください。事業収支差金は、放送センターの建て替え等に備えて建設積立資産に繰り入れることなどを検討し、将来の経営基盤の安定につなげることができますので、引き続き努力をお願いします。


(3)契約・収納活動の状況(平成25年10月末)
(営業局)
 平成25年10月末の契約・収納活動の状況について報告します。
 まず、10月の収納額は490.2億円で、前年度同月を11.4億円上回りました。年間累計では、3,587.5億円となり、前年度同時期より107.9億円の減収となっています。
 10月の前年度分回収額実績は2.4億円で、前年度同月と同水準となりましたが、年間累計は48.8億円と前年度同時期を0.5億円下回っています。10月の前々年度以前分回収額実績は2.8億円で、前年度同月を0.1億円上回り、年間累計も23.4億円と前年度同時期を3.3億円上回っています。
 受信契約総数の増加状況について、10月は、取次が26.0万件と前年度同月を1.0万件上回った一方、減少も20.8万件と前年度同月を0.5万件上回ったため、増加数は前年度同月を0.5万件上回る5.2万件となりました。年間累計増加数は39.0万件となり、前年度同時期を3.4万件上回っています。
 衛星契約増加については、10月は取次が14.2万件と前年度同月を0.5万件下回り、さらに、減少が7.7万件と前年度同月を0.6万件上回ったため、増加数は前年度同月を1.1万件下回る6.5万件となりました。年間累計増加数は51.6万件となり、前年度同時期を0.7万件下回りました。
 以上の内容は、本日開催の第1201回経営委員会に報告します。

(上滝理事)

 前年度に比べて契約総数が増加しているのは、これまでの努力の成果だと思います。一方、衛星契約増加は、健闘はしているものの、現状では前年度実績を下回っています。現在、NHKをはじめ衛星放送事業者21社が共同でBS視聴促進のキャンペーンを始めたところですが、営業では、今後の年末商戦に向けて、どのような対策を検討していますか。

(営業局)

 これまでは、25年度の契約総数増加の目標が48万件と前年度より3万件増えたこともあり、総数取次の確保に重点を置いた取り組みを行い、その中で新規契約に占める衛星契約の割合を着実に伸ばしてきました。今後は、地上から衛星への契約変更に力を入れ、衛星契約増加を図っていきたいと思います。例えば、来年のソチオリンピックに合わせた営業対策等も検討していきたいと思っています。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成25年12月10日
                     会 長  松 本 正 之

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