日本放送協会 理事会議事録  (平成25年 7月23日開催分)
平成25年 8月23日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成25年 7月23日(火) 午前9時00分〜9時35分

<出   席   者>
 松本会長、小野副会長、塚田専務理事、吉国専務理事、石田専務理事、
 木田理事、久保田技師長、板野理事、上滝理事、福井理事、下川理事、
 森永理事
 井原監査委員

<場     所>
 放送センター 役員会議室

<議     事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)平成25年度第1四半期業務報告
(2)総務省「放送政策に関する調査研究会」第一次取りまとめ(案)に
   対する意見募集へのNHK意見の提出について
(3)就業規則の一部改正について
(4)中央放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について
(5)逓信ビルからの転出による補償金の受領について

2 報告事項
(1)非現用不動産の売却について
(2)契約・収納活動の状況(平成25年6月末)
(3)放送技術審議会委員の委嘱と任期途中の退任について
(4)地方放送番組審議会委員の委嘱について


議事経過

1 審議事項
(1)平成25年度第1四半期業務報告
(経営企画局)
 放送法第39条第3項に定める会長の職務の執行状況を、「平成25(2013)年度第1四半期業務報告」(注)のとおり取りまとめましたので、審議をお願いします。
 4月から「平成24〜26年度 NHK経営計画」の2年目に入りました。“公共放送の原点に立つ”という基本姿勢のもとスタートした経営計画は、この1年で、さまざまな取り組みが具体的な形を見せ始めています。
 大規模災害が起きた際に公共放送の使命を確実に果たすため、機能強化の取り組みを、今年度も計画の前倒しを含めて着実に進めます。第1四半期では、南海トラフ巨大地震に備えて、高知放送局と津放送局に報道拠点が完成しました。また、東京・放送センターの代替機能の整備では、さいたま放送局に映像伝送やラジオ放送の機能を持つ建物が完成したほか、大阪放送局ではニュースセンターの整備が本格化しています。
 番組では、連続テレビ小説「あまちゃん」がたいへん好評を得ています。また、「NHKスペシャル」では、「MEGAQUAKEV 巨大地震」や「病の起源」などの大型シリーズに加え、「新生歌舞伎座 檜(ひのき)舞台にかける男たち」や「足元の小宇宙〜生命を見つめる植物写真家〜」などが高い評価を受けています。
 第1四半期には、スーパーハイビジョンをめぐるさまざまな動きがありました。スーパーハイビジョンなどの早期実現をめざす「一般社団法人 次世代放送推進フォーラム」が設立され、NHKも参加しました。また、6月にブラジルで開催されたサッカーの「FIFAコンフェデレーションズカップ2013」で、スーパーハイビジョンによる収録を行いました。今後も、新しいサービスへの取り組みを強化していきます。
 昨年10月に実施した受信料の値下げの影響については、今年度は影響が通年となることにより、受信料の収入減が新たに224億円発生すると見込まれます。あらためて全役職員一丸となって増収に取り組んでいきます。また、営業改革では、公開競争入札の結果、全国11地区で新たな法人への委託が決まるなど、業務委託の拡大が進んでいます。
 受信契約の状況については、第1四半期の契約総数増加は17.9万件で、年間増加目標48万件に対し、進捗率は37.4%となりました。増加件数は前年度同期とほぼ同じ水準ですが、進捗率では、前年を2.7ポイント下回っています。衛星契約増加は25.5万件で、年間目標に対する進捗率は36.9%となりました。増加件数、進捗率とも前年度同期を上回り、堅調です。
 事業収支については、第1四半期は、事業収入が1,661億円、事業支出が1,559億円となっています。事業収入のうち受信料収入は1,578億円で、予算進捗率は25.4%と標準進捗率を上回っています。
 以上の内容が決定されれば、本日開催の第1194回経営委員会に報告事項として提出します。

注: 「平成25(2013)年度第1四半期業務報告」は、NHKホームページの「経営情報」のなかに掲載しています。

(会 長)  原案どおり決定し、本日の経営委員会に報告します。

(2) 総務省「放送政策に関する調査研究会」第一次取りまとめ(案)に対する意見募集へのNHK意見の提出について

(経営企画局)
 総務省は、放送法の施行状況や社会経済情勢の変化等を検証するとともに、時代に即した放送政策のあり方等について検討するため、平成24年11月から有識者による「放送政策に関する調査研究会」を開催してきましたが、このたび、これまでの検討結果を踏まえた「第一次取りまとめ(案)」(以下、「取りまとめ案」)を公表し、7月28日を期限に意見募集を行っています。この意見募集に対し、NHKの意見を提出したいので、審議をお願いします。
 NHKからは、国際放送に関する意見と、NHKのインターネット活用業務に関する意見を提出します。
 まず、国際放送に関する意見の骨子です。

取りまとめ案の「開始・休止及び廃止に係る手続きの簡素化を検討することが適当である」とする見解に賛成します。
現在は総務大臣の認可を得て実施している国内CATV事業者等への番組提供業務を、NHKの任意の業務とすることについては、本来の国際放送番組の編集に支障を与えないことが前提であると考えます。また、任意業務に位置づけられた場合でも、CATV事業者等が自らの負担で受信し放送するという現在の形で実施する考えです。

NHKの子会社である日本国際放送の公共的な役割については、オールジャパンでの理解と支援が不可欠と考えます。
続いて、NHKのインターネット活用業務に関する意見の骨子です。

取りまとめ案は、公共放送機関であるNHKが視聴者の利便やニーズに応えて、自律的にインターネットを活用し、技術革新や環境変化に柔軟に対応できるようにする観点から制度整備の方向性を示したものと認識します。
取りまとめ案の趣旨が、NHKのインターネット活用への制約を強化するものでないのならば、疑義のないよう、「NHKのインターネット活用業務」は何を対象とするのか、限定して示されるよう要望します。
取りまとめ案の「NHKはこれまでより積極的にインターネットを活用した業務を実施することが適当」とする見解に賛成します。
「NHKが任意業務として実施しうるか否かについては、3つの基準(「公共性が認められること」、「放送の補完の範囲にとどまるものであること」、「市場への影響の程度」)に従って判断することが適当」としていますが、基準の整理については、不十分あるいは不適切と考えます。判断基準の例を示したものについては、例示であることを明確に示されるよう要望します。
「3つの基準」で示されている「関連する市場全体への影響」については、既得権益者の保護ではなく、視聴者(消費者)利益の確保の観点からの趣旨が明記されることを要望します。
インターネットを通じた防災・減災情報の提供は、災害情報と同様に積極的に実施すべきものとして位置づけられることが適当と考えます。
NHKは、行政機関や一般企業で広く当然に実施されているものと同様に、業務上の情報発信・情報収集ツールとして、さまざまな業務目的でインターネットを活用していますが、こうした業務ツールとしてのインターネット利用については、規制が当然に不要かつ不適切なものを除いたうえで整理して示されるよう要望します。
開発中のハイブリッドキャスト(放送・通信連携サービス)について、ルール化によって、NHKに求められる先導的役割を阻害しサービス開発の柔軟性・機動性を失わせることにならないようにする必要があると考えます。
VOD(ビデオ・オン・デマンド)事業者に対する番組提供業務に、受信料会計とは別の区分経理を適用することについて、「必要性が認められる」という見解に賛成します。
取りまとめ案では、NHKのインターネット活用業務に対して「包括的な『実施基準』を自らが策定し、総務大臣の認可を受けるという方法が考えられる」としていますが、包括的な「実施基準」は、これまで以上に広範囲の業務の実施に大臣認可を要することになり、かえって規制強化につながるおそれがあることから、認可の基準をあらかじめ明確にし、例えばその基準を満たしている場合には認可義務を定めるなど、規制の予見性を可能な限り高める措置がとられることが重要と考えます。
現時点においてすでにNHKが行うことが適当と判断される業務は、できる限り法で直接規定することが原則であると考えます。
NHKの業務の「市場への影響の程度」を考慮する場合は、事前規制ではなく、事後において検証する仕組みが設定されていることをもって、考慮の内容とすることが適当と考えます。
NHKの業務を事前に審査する「第三者機関」の仕組みは、適当ではないと考えます。

 以上の内容が決定されれば、意見書の文章をさらに精査したうえで、期日までにNHKの意見を提出します。

(石田専務理事)  NHKがインターネット活用業務を任意に実施しうるかどうか判断するための「3つの基準」について、NHK意見の骨子では、基準の整理が「不十分あるいは不適切と考えます」ということですが、「不十分」は理解できるとしても、「不適切」とはどういうことですか。
(経営企画局)  例えば、3つの基準のうち、特に「公共性が認められること」という基準については、「民放が実施していないもの」と「充実した報道体制を有する公共放送として当然に実施すべきもの」の2点のみが記述されていますが、これだけでは公共性の説明としては不十分であり、抜けている点もいくつかあることから、この2点のみをもって公共性の判断基準とすることは不適切であると考えるものです。個別の論点で不適切な部分があるということで、基準全体が不適切であるというものではありません。
(会 長)  原案どおり決定します。

(3)就業規則の一部改正について
(人事局)
 職員制度の見直しにより、現行1〜5等級の一般職は、期待される役割に応じた各グレードの処遇区分A1〜C1にそれぞれ移行することになります。移行後に平成25年度の目標を設定し、考課を行います。新しい職員制度の開始に伴い、「職員就業規則」の一部を改正しますので、審議をお願いします。
 改正の内容について説明します。
 まず、一般職を「期待される役割に応じたグレードA,BおよびCに区分する」ことを明記します。
 次に、現行の一般職の基本給は、年齢等に対応する一般給と能力および業績に対応する職能給から構成されていますが、これらを廃止し、「期待される役割および能力伸長に対応する役割給」に一本化します。また、処遇の区分ごとに給与の上下限額を設定するとともに、昇給ルールの見直しなどを行います。
 続いて、考課についての改正です。一般職は、各グレードの期待される役割に基づいた行動項目によるプロセス評価、目標管理に基づく実績評価により、昇給、昇格の考課を決定します。また、より適切な考課に向けて支局における考課者の見直しなどを行います。
 改正の期日は、平成25年8月1日とします。
 本件が決定されれば、法令に基づき労働基準監督署に届け出ます。

(会 長)  原案どおり決定します。

(4)中央放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について
(木田理事)
 中央放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について、審議をお願いします。
 秋池玲子氏(ボストンコンサルティンググループ パートナー&マネージング・ディレクター)と、谷口肇氏(全国農業協同組合中央会 常務理事)に、平成25年9月1日付で新規委嘱したいと思います。
 また、青柳正規氏(委嘱当時 国立西洋美術館 館長)は、本人の申し出により任期途中の平成25年7月5日付で退任されました。
 なお、岸本葉子氏(エッセイスト)と、冨士重夫氏(全国農業協同組合中央会 専務理事)は、任期満了により平成25年8月31日付で退任されます。
 本件が了承されれば、本日開催の第1194回経営委員会に諮ります。

(会 長)  原案どおり了承し、本日の経営委員会に諮ります。

(5)逓信ビルからの転出による補償金の受領について
(経理局)
 逓信ビルからの転出による補償金の受領について、審議をお願いします。
 逓信ビルは昭和39年に竣工し、当時の郵政省(現・日本郵政)、電電公社(現・NTT)、国際電信電話(現・KDDI)、NHKの4機関が共同で、建物内に「逓信総合博物館」を開館しました。NHKは「NHK放送館」という展示施設を運営してきましたが、平成23年3月に閉館しました。このたび、周辺地区の再開発に伴いこのビルから転出し、その補償金を受領することとしたいと考えます。補償金額は、NHKの建物・土地の持ち分に基づき、36億9,052.9万円で、26年3月に受領することになります。
 なお、本件については、平成25年度収支予算に対して2,500万円の増収となります。
 本件が了承されれば、本日開催の第1194回経営委員会に諮ります。

(会 長)  原案どおり了承し、本日の経営委員会に諮ります。

2 報告事項
(1)非現用不動産の売却について
(経理局)
 非現用不動産の売却について、報告します。
 旧甲府放送会館の建物付き土地8,028.22m2について、一般競争入札を行った結果、売却先を大和ハウス工業株式会社山梨支店に決定し、平成25年7月9日付で売買契約を締結しました。売却価額は、2億2,200万円です。
 本件は、本日開催の第1194回経営委員会に報告します。

(会 長)  売却額は適正なものですか。
(経理局)  鑑定機関による評価額を上回っており、適正な額と考えています。

(2)契約・収納活動の状況(平成25年6月末)

(営業局)
 平成25年6月末の契約・収納活動の状況について報告します。
 まず、6月の収納額は486.3億円で、24年10月からの受信料の値下げの影響により、前年度同月を12.7億円下回りました。年間累計では、1,505.9億円となり、前年度同時期より37.8億円の減収となりました。
 6月の前年度分回収額実績は5.6億円で、前年度同月を0.3億円下回り、年間累計でも35.0億円と前年度同時期を0.9億円下回りました。一方、6月の前々年度以前分回収額実績は3.0億円で前年度同月と同水準になり、年間累計では10.1億円となって、前年度同時期を1.0億円上回りました。
 放送受信契約総数の増加状況について、6月は、取次が22.7万件と前年度同月を0.1万件上回り、減少が19.2万件と前年度同月より0.1万件下回ったため、増加数は前年度同月を0.2万件上回る3.5万件となりました。一方、年間累計増加数は17.9万件となり、前年度同時期を0.1万件下回っています。
 6月の衛星契約増加については、取次が13.8万件と前年度同月を0.1万件下回り、減少が7.2万件と前年度同月を0.1万件上回ったため、増加数は前年度同月を0.2万件下回る6.6万件となりました。年間累計増加数は25.5万件となり、前年度同時期を2.3万件上回っています。
 以上の内容は、本日開催の第1194回経営委員会に報告します。

(会 長)  受信料の値下げによる減収の影響を最小限に抑えるために、上半期に活動を前倒しして取り組んでいますが、その進捗は堅調と考えてよいですね。
(営業局)  そのとおりです。

(3)放送技術審議会委員の委嘱と任期途中の退任について
(久保田技師長)
 放送技術審議会委員の委嘱と任期途中の退任について、報告します。
 武井俊幸氏(総務省 大臣官房総括審議官)に、平成25年6月28日付で新規委嘱しました。久保田誠之氏(前 総務省 大臣官房総括審議官)は、本人の申し出により任期途中の同日付で退任されました。


(4)地方放送番組審議会委員の委嘱について
(木田理事)
 地方放送番組審議会委員の委嘱について、報告します。
 関東地方で内藤久夫氏(株式会社内藤 代表取締役社長)に、近畿地方で小島多恵子氏(公益財団法人サントリー文化財団 上席研究員)に、九州・沖縄地方で井上龍子氏(八幡駅前開発株式会社 代表取締役社長)、深川一太氏(深川製磁株式会社 代表取締役社長)、および平田大一氏(公益財団法人沖縄県文化振興会 理事長)に、東北地方で畑中みゆき氏(NPO法人High−Five 理事長)と、伊藤一弘氏(NPO法人かなぎ元気倶楽部 専務理事)に、いずれも平成25年9月1日付で新規委嘱します。また、関東地方で秋田典子氏(千葉大学大学院園芸学研究科 准教授)と、四国地方で新井裕史氏(四国電力株式会社 常務取締役)に、同日付で再委嘱します。
 なお、関東地方の清水淳子氏(割烹「みな金」 女将)、近畿地方の弘本由香里氏(大阪ガス株式会社エネルギー・文化研究所 特任研究員)、九州・沖縄地方の鈴田滋人氏(染織作家・重要無形文化財保持者)、西大八重子氏(フィニシングスクール西大学院 学院長)、および原田緑氏(株式会社七尾製菓 代表取締役社長)、東北地方の島守賢氏(八戸前沖さばブランド推進協議会 顧問)と、蓬田隆子氏(株式会社リブレ 代表取締役社長)は、任期満了により平成25年8月31日付で退任されます。
 本件は、本日開催の第1194回経営委員会に報告します。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成25年 8月20日
                     会 長  松 本 正 之

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