日本放送協会 理事会議事録  (平成25年 4月16日開催分)
平成25年 5月10日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成25年 4月16日(火) 午前9時00分〜9時45分

<出   席   者>
 松本会長、小野副会長、塚田専務理事、吉国専務理事、冷水理事、
 石田理事、木田理事、新山理事、久保田技師長、板野理事、福井理事
 井原監査委員

<場     所>
 放送センター 役員会議室

<議     事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1188回経営委員会付議事項について
(2)視聴者対応報告(平成25年1〜3月)について
(3)テレビジョン中継放送局およびFM中継放送局の設置計画について

2 報告事項
(1)テレビジョン中継放送局およびラジオ・FM中継放送局の開局に
   ついて
(2)「NHK情報公開」の実施状況(平成24年度)
(3)個人情報保護の実施状況(平成24年度)
(4)新型インフルエンザ等対策特別措置法の施行およびNHKの「指
   定公共機関」への指定について

議事経過

1 審議事項
(1)第1188回経営委員会付議事項について
(経営企画局)
 4月23日に開催される第1188回経営委員会に付議する事項について、審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「テレビジョン中継放送局およびFM中継放送局の設置計画について」です。また、報告事項として「テレビジョン中継放送局およびラジオ・FM中継放送局の開局について」、「平成24年度第4四半期業務報告」、「視聴者対応報告(平成25年1〜3月)について」、「平成24年度契約・収納活動結果」、「平成24年度収支決算の速報」、「『NHK情報公開』の実施状況(平成24年度)」、「個人情報保護の実施状況(平成24年度)」、および「地方放送番組審議会委員の委嘱について」です。

(会 長)  原案どおり決定します。

(2)視聴者対応報告(平成25年1〜3月)について
(視聴者事業局)
 放送法第27条に定める視聴者対応の状況について、平成25年1〜3月分を以下のとおり取りまとめました。ついては、放送法第39条第3項の規定に基づき、4月23日開催の第1188回経営委員会に報告したいと思います。
 まず、この期間の視聴者の声(意見・要望、問い合わせ)の総数は、1月が29万5,258件、2月が30万7,302件、3月が34万1,085件でした。
 次に、最近の報告から主な話題を紹介します。
 3月10・11日に放送した「特集 明日へ−支えあおう−東日本大震災から2年」への反響は524件ありました。視聴者からは「現実を曲げないで報道する番組の姿勢に、地域の本当の声が伝わってきた」などの声が寄せられました。また、2月11日に東北大学(仙台市)で開催した「NHK公開復興サポート 明日へ」では、瀬戸内寂聴さんの講演会や復興への道のりを考えるシンポジウムなど、39の番組収録・イベントを実施し、約5,400人が参加しました。収録した番組は、2〜3月にかけて全国に向けて放送し、視聴者にあらためて復興について考えてもらう機会を提供しました。
 報告の期間外ですが、4月から、東北・北三陸の小さな町を舞台とする連続テレビ小説「あまちゃん」がスタートしました。放送開始から1週間に寄せられた反響は478件で、今後の展開に期待する声が多く届きました。
 続いて、報告期間の視聴者からの指摘や意見・要望への主な対応について紹介します。
 スマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、視聴者の方が投稿した事件や事故、災害などの映像や情報を、放送に使用する事例が増えています。このためNHKでは、動画・静止画を簡単に送ることができる専用のシステム「NHKスクープBOX」を新たに設けて、視聴者とのパイプを強化しています。
 最後に、誤記・誤読などに対する指摘について報告します。
 誤記・誤読などに対する指摘は、1月は59件、2月は51件、3月は63件ありました。指摘については、直接番組担当者に連絡し訂正するよう努めるとともに、再発防止のため、放送関係部局の連絡会で周知し、放送現場へ注意を喚起しました。

(会 長)  「NHKスクープBOX」に投稿された動画・静止画は、どのように取り扱われていますか。
(石田理事)  3月12日に運用を開始して以降、多くの視聴者の方から、動画等が寄せられています。特に、運用開始の翌日13日は、全国的に強風が吹き荒れ、各地で被害が出たニュースを放送しましたが、このうち「NHKニュース7」で使用した映像は、視聴者の方から投稿されたものでした。投稿された動画等を放送に使用するためには、ニュース等の編集責任者が、投稿された方と内容の確認をする必要がありますが、今後ともニュース等の素材映像として、非常に役立つものと考えています。
(会 長)  原案どおり決定し、次回の経営委員会に報告します。

(3)テレビジョン中継放送局およびFM中継放送局の設置計画について
(久保田技師長)
 テレビジョン中継放送局およびFM中継放送局の設置計画について、審議をお願いします。
 設置に向けての諸条件が整った、7県21地区(注1)に、テレビジョン中継放送局(総合・教育20地区、総合のみ1地区)を設置したいと考えます。21地区のうち、20地区はデジタル移行に伴う新たな難視聴対策地域、1地区は地域放送の難視聴対策地域で、いずれも25年度に開局する予定です。今回の整備に要する経費はおよそ4.5億円を見込んでいます。
 また、FM放送の難聴対策のため、徳島県上那賀地区にFM中継放送局を設置したいと考えます。開局は25年度の予定で、今回の整備に要する経費はおよそ0.7億円を見込んでいます。
 本件が了承されれば、4月23日開催の第1188回経営委員会に諮ります。

注1:テレビジョン中継放送局を設置する地区
〈岩手〉北上口内、〈福島〉いわき窪田、〈茨城〉石岡真家、大洗サンビーチ、笠間上郷、かすみがうら、〈栃木〉足利月谷、刈生田、葛生仙波、鴻野山、栃木大森、日光山口、足利西宮、名草上町、〈千葉〉君津長谷川、山武日向、東金城跡、富津豊岡、富津浜金谷、〈奈良〉奈良西(総合のみ)、〈山口〉南豊北

(会 長)  原案どおり了承し、次回の経営委員会に諮ります。

2 報告事項

(1) テレビジョン中継放送局およびラジオ・FM中継放送局の開局について

(久保田技師長)
 テレビジョン中継放送局およびラジオ・FM中継放送局の開局について報告します。
 設置計画に基づいて建設を取り進めてきた地上デジタルテレビジョン中継放送局のうち、平成24年10月1日から25年3月末までの期間に、14道府県の35局(総合・教育25局、総合のみ10局 注2)が開局しました。35局のうち、22局はデジタル移行に伴う新たな難視聴対策地域、9局は地域放送の難視聴対策地域、4局はデジタル混信対策地域です。
 この結果、3月末までの累計で、総合は2,184局、教育は2,161局の中継放送局が全国で開局しました。今回のテレビジョン中継放送局の開局の建設にかかった経費は、およそ12.6億円です。
 また、難聴対策として設置計画に基づいて建設を取り進めてきた東京都小笠原村の父島と母島のラジオ中継放送局およびFM中継放送局が3月31日に開局しました。
 この結果、3月末までの累計で、ラジオ第1は232局、ラジオ第2は144局、FMは529局の中継放送局が開局しました。今回の建設にかかった経費は、およそ1.0億円です。
 本件は、4月23日開催の第1188回経営委員会に報告します。

注2:今回開局したテレビジョン中継放送局 〈北海道〉北芦別、北見仁頃、〈青森〉久栗坂、〈福島〉小野浮金、鹿島栃窪、西郷羽太、〈茨城〉神栖(総合のみ)、筑西(総合のみ)、〈栃木〉足利五十部、葛生牧町、都賀大柿、那須高原、益子、みかも山(総合のみ)、〈群馬〉太田(総合のみ)、太田金山(総合のみ)、藤岡鬼石(総合のみ)、〈埼玉〉本庄(総合のみ)、〈千葉〉市原牛久、大多喜三条、鴨川平塚、館山南、館山竜岡、富浦、和田、〈神奈川〉藤野、〈静岡〉伊豆東海岸、袋井、三ケ日都筑、〈大阪〉箕面千里丘、〈奈良〉高取(総合のみ)、〈福岡〉岡垣(総合のみ)、久留米東、添田(総合のみ)、〈熊本〉松尾西

(会 長)  現在、小笠原村の父島と母島の受信状況は、改善されていますか。
(久保田技師長)  今回のラジオ中継放送局およびFM中継放送局の開局により、父島と母島の難聴は解消しています。

(2)「NHK情報公開」の実施状況(平成24年度)

(視聴者事業局)
 平成24年度の「NHK情報公開」の実施状況について報告します。
 24年度に本部と全国の放送局において、来局と郵送を合わせて802件(前年度214件)の情報公開の求めがありました。このうち、「開示の求め」として、111人(前年度27人)の視聴者から768件(前年度164件)を受け付けました。その内訳は、営業に関するものが254件、総務・経理に関するものが205件、経営一般に関するものが124件などでした。また、窓口対応や郵送により情報提供したものが34件(前年度50件)でした。
 「開示の求め」に対しては、768件のうち、718件について結論を出しました。その結果、一部開示を含め情報を開示したものが447件、不開示としたものが211件、放送番組の編集に関わる文書など開示の求めの対象外が60件でした。対象外のうち11件については、情報提供を行いました。不開示とした211件の理由は、求めに合致する文書が存在しなかったものが180件、業務に支障が生じるため開示できないものが30件などでした。
 24年度の開示率は68%で、23年度の61%から7ポイント上がりました。13年7月にNHKの情報公開を開始してから24年度までの累計の開示率は、68%となっています。
 続いて、NHK情報公開・個人情報保護審議委員会(以下、「委員会」)の審議状況についてです。この委員会は、NHKが行った一部開示または不開示の判断に対して、「再検討の求め」が出された場合に、中立的・客観的な立場からNHKの判断をチェックする第三者機関です。委員は5人で、部外の有識者の方に委嘱します。任期は2年で、再任可能です。
 24年度に委員会は21回開催されました。「再検討の求め」の受け付けは219件あり、このうち1件は、諮問前に取り下げられ、9件は、諮問せずに開示、6件は不受理とする判断をしました。24年度は、115件について審議し、113件について答申を得ました。2件については現在審議中です。NHKは結果の出たすべての案件について、委員会の答申に沿った最終判断を行いました。
 以上の内容は、4月23日開催の第1188回経営委員会に報告します。

(会 長)  「情報公開の求め」の状況について、特徴的な傾向は見られますか。
(視聴者事業局)  開示の求めが768件に増えた理由としては、「平成24〜26年度 NHK経営計画」の初年度であったこと、また去年10月から実施した初の受信料値下げなどが情報公開を求める視聴者の関心を集めたと思われます。また、特定の数名の視聴者から開示の求めが継続的に出されました。
(会 長)  情報公開制度の目的は、視聴者に対する情報公開を一層推進し、その支持と信頼をより確かなものにすることにより、豊かな放送文化の創造に貢献することにあります。情報公開のあり方について、他の組織の取り組みも参考にしながら検討してほしいと思います。

(3)個人情報保護の実施状況(平成24年度)
(視聴者事業局)
 平成24年度の個人情報保護の実施状況について報告します。
 個人情報の「開示等の求め」は、24年度に13人の視聴者から16件あり、その多くは、本人の受信契約書や受信料の支払い履歴などの開示の求めでした。検討した結果、現在、検討中の3件を除き、9件が開示、2件が一部開示、2件が不開示としました。
 個人情報の漏えい・紛失等の事案は、漏えいの可能性のあるものが24年度に12件発生しました。そのほとんどが個人情報を含んだ帳票の紛失です。24年度は、22年度や23年度に比べて件数が減りました。
 続いて、個人情報保護に関する部内への周知徹底の取り組みについてです。視聴者事業局、総合リスク管理室、情報システム局の各部局が協力して、NHK職員だけでなく関連団体職員等も対象に、研修、講習会、勉強会等を積極的に実施し、個人情報保護の重要性について周知徹底を図りました。事例を挙げると、昨年4月の新採用者研修や入局7年目の職員等を対象とした研修、インターネットを活用した研修において、個人情報保護について研修を行ったほか、定期人事異動後には、本部、地域放送局、および関連団体の個人情報保護担当者を対象に講習会を実施しました。また、今年2月から政府の情報セキュリティー月間に合わせ、全国各地域拠点局で、域内各放送局の担当者を集めて、個人情報保護などに関する講習会を開催しました。とりわけ、ソーシャルメディアの急速な発達による個人情報や業務情報の漏えいなどのリスクが懸念されることから、昨年5月にガイドラインを作成しました。
 個人情報の漏えい等の防止策としては、情報システム局が内部監査室と連携して、管理者向けの研修を新たに実施しました。また、各部局が所管する独自のシステムについて、管理体制やセキュリティー対策状況について一斉点検を行い、セキュリティー確保に向けた改善を指示したほか、関連団体については、システムの管理や業務用パソコンの利用に関するセキュリティー対策の状況を調査し、リスクの低減に向けた改善策を指導しました。
 営業部門では、大量の受信契約者の個人情報を扱うため、全国の営業部・センターで、個人情報の漏えい・紛失事故の実例等を題材に職場討議を実施し、身近に潜むリスクについて情報を共有するなど、業務管理の徹底に努めました。また、個人情報の漏えいや帳票の紛失が発生した際は、該当する営業部・センターにおいて、速やかに研修を行い、再発防止に努めました。さらに、改善に向けた補完として、営業部門のセキュリティーガイドラインに基づき、不定期に監査を実施しました。
 25年度も引き続き、個人情報の保護に向けて、これまで以上に適正かつ厳格に取り組んでいきたいと考えています。
 以上の内容は、4月23日開催の第1188回経営委員会に報告します。


(4) 新型インフルエンザ等対策特別措置法の施行およびNHKの「指定公共機関」への指定について

(経営企画局)
 平成24年5月に公布された新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下、「特措法」)および同法施行令が、25年4月13日に施行されました。これに伴い、NHKは特措法に基づく「指定公共機関(独立行政法人、日本銀行、日本赤十字社、NHKその他の公共的機関、および公益的事業を営む法人で、政令で定めるもの)」に指定されましたので、特措法の概要等について報告します。
 まず、特措法の概要についてです。
 特措法の目的は、新型インフルエンザと全国的にまん延の恐れのある新感染症への対策の強化を図り、国民の生命と健康を保護し、国民生活と国民経済への影響を最小にすることとしています。
 平時における措置としては、国、地方公共団体は、あらかじめ行動計画を作成し、まん延防止措置などを定めるとともに、「指定公共機関」等は、業務計画を作成することとしています。
 新型インフルエンザ等の発生時の措置としては、国と都道府県は対策本部を設置するとしています。また、国は、「登録事業者(医療提供業務または国民生活・国民経済の安定に寄与する業務を行う事業者であって、厚生労働大臣の定めるところにより厚生労働大臣の登録を受けているもの)」の従業員への先行的な予防接種(以下、「特定接種」)を実施するとしています。
 緊急事態の措置としては、国民の生命・健康に著しく重大な被害を与える恐れがある新型インフルエンザ等が発生し、全国的かつ急速なまん延により、国民生活および国民経済に甚大な影響をおよぼす恐れがあると認められる場合、内閣総理大臣は緊急事態宣言を行うとしています。この宣言に基づき、都道府県知事は、外出の自粛やイベントの中止、劇場等の使用の制限などの要請・指示を行うとしています。
 次に、「指定公共機関」に関する主な規定等についての概要は、次のとおりです。

○新型インフルエンザ等が発生した場合、「指定公共機関」は「新型インフルエンザ等対策」を実施する。

○政府が定める行動計画に基づき、業務計画を作成し、内閣総理大臣に報告する。内閣総理大臣は、必要な助言をすることができる。

○政府と都道府県の対策本部長は、「指定公共機関」の新型インフルエンザ等対策に関する「総合調整」を行うことができる。「総合調整」に基づく所要の措置が実施されない場合は、必要な「指示」を行うことができる。(ただし、放送の内容については、「総合調整」および「指示」の対象ではないというのが政府の見解)

○「指定公共機関」は、医薬品などの物資の備蓄等を行わなければならない。

○「指定公共機関」は、必要な訓練を行うよう努めなければならない。

○「指定公共機関」は、自治体等に対して施設や物資の確保について応援を求めることができる。

 最後に、「登録事業者」の登録と「特定接種」の概要についてです。
 NHKは、「指定公共機関」よりも緩やかな枠組みの「登録事業者」としても登録される予定です。「登録事業者」に登録された場合、新型インフルエンザ等が発生した際に、国民生活および国民経済の安定に寄与するため、業務を継続的に実施するよう努めなければならないことから、対象とする従業員に対して「特定接種」を実施することとなります。

(会 長)  実際に、新型インフルエンザが全国的にまん延した場合、流動的な状況の中で対応を迫られることも十分予想されますので、公共放送としての業務を継続できるよう、事前の準備や業務計画の策定など、万全の体制を整えておくことが大切です。


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成25年 5月 8日
                     会 長  松 本 正 之

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