日本放送協会 理事会議事録 (平成24年 9月25日開催分)
平成24年10月19日(金)公表
<会 議 の 名 称>
理 事 会
<会 議 日 時>
平成24年 9月25日(火) 午前9時00分〜9時55分
<出 席 者>
松本会長、小野副会長、塚田専務理事、吉国専務理事、冷水理事、
石田理事、木田理事、新山理事、久保田技師長、板野理事、上滝理事、
福井理事
井原監査委員
<場 所>
放送センター 役員会議室
<議 事>
松本会長が開会を宣言し、議事に入った。
付議事項
1 審議事項
(1)職員の審議会・懇談会等委員への就任に関する指針の新設および
関連職務権限事項の改正について
(2)放送受信規約取扱細則の一部変更について
2 報告事項
(1)契約・収納活動の状況(平成24年8月末)
(2)予算の執行状況(平成24年8月末)
(3)考査報告
議事経過
1 審議事項
(1) |
職員の審議会・懇談会等委員への就任に関する指針の新設および関連職務権限事項の改正について |
(経営企画局)
外部の団体が主催する審議会・懇談会等に、NHK職員が委員として就任する際の取り扱いの指針について、改めて整理し明確に規定したいと思いますので、審議をお願いします。併せて、関連する職務権限事項の改正も行います。
まず、NHKの経営・事業運営や放送番組の編集等に影響を及ぼすような、重要な審議会等への委員就任についてです。
従来もこうした審議会等の委員として、職員が就任することがありましたが、これまでは、審議の場で、委員となった職員がNHKの意見を代表しているのか、または個人の見識を述べているのかが、必ずしも明確でない場合がありました。こうした事を防止するため、新たに、「職員の重要な審議会・懇談会等委員への就任に関する運用指針」(以下、「指針1」)を定めることとします。
指針1は、国の行政機関やそれに準じる公的機関が主催し、かつ「放送制度や受信料制度に関わるもの」、「協会(NHK)が制作する放送番組や技術分野の研究開発等のありように関わるもの」、「その他、協会(NHK)および関連団体の事業運営に影響があると考えられるもの」のいずれかに該当する審議会等への委員就任を対象としています。これらの審議会等の委員を務める場合は、すべて業務として扱い、審議の場においては、NHKの意見を代表する者として、経営方針と異なる意見の提出や、NHKの公正かつ不偏不党の立場に影響を及ぼす言動を行わないことを明確に定めます。
次に、指針1の対象とならない審議会・懇談会等への職員の委員就任については、業務として参加する場合と、個人の立場で参加する場合があり、業務として委員を務める場合は、従来の職務権限事項のとおり、所属の部局長・放送局長が就退任を決定します。
一方、個人として委員を務める場合は、従来どおり職員就業規則(本則)第10条による許可事項として扱うことになります。
個人の立場での委員就任については、「職員個人の立場での審議会・懇談会等委員への就任に関する運用指針」(以下、「指針2」)で、改めて規定しています。個人の立場で委員に就任するものでも、役員や許可を与えた部局長が、審議の過程や議論の内容を把握することができるよう、議事内容が公開されるなど審議の透明性が確保されていることを、条件として明記します。また、委員個人の言動が、NHKの公正かつ不偏不党の立場に影響を及ぼすことのないよう定めます。さらに公正性を担保するため、委員として関わった審議会等の諮問案や決定等を、本人が直接放送で取り上げることはしないことも明記します。
以上の指針の新設に併せて、職務権限事項も一部改正します。
現行では、部外団体・審議会等委員への就任、退任、部外への講師派遣を一括して、その決定は部局長の権限としていますが、これを、重要な審議会・懇談会等の委員への就退任、それ以外の部外団体等の委員への就退任、部外への講師派遣の3つに分け、重要な審議会等については、委員への就退任の決定は担当役員の権限とし、それ以外の委員就退任、および部外への講師派遣については、部局長の権限とするように改めます。
本件が決定されれば、指針の新設、職務権限事項の改正はともに、平成24年10月1日をもって施行します。
(板野理事) |
部外への講師派遣の決定について、既存の手続きとの関係はどうなりますか。 |
(経営企画局) |
部外への講師派遣の決定については、今までどおり、部局長の権限で許可し、重要な審議会・懇談会等への就退任については、担当役員が承認することになります。 |
(副会長) |
現在、重要な審議会・懇談会等に就任している職員については、どのように取り扱うのですか。 |
(経営企画局) |
現在、就任している職員については、就任の可否を改めて審査する必要はありませんが、就任状況を各役員に再度確認してもらうことを考えています。 |
(上滝理事) |
この議案の趣旨については、リスク管理上、必要なものだと思います。この議案の提出の背景を改めて説明してください。 |
(経営企画局) |
部外委員への就任の状況を把握し、さらなる内部統制の向上を図る目的と、重要な審議会・懇談会等の委員へ就任した場合、さまざまな問い合わせ等を受けることも予想されるため、情報の共有化を図る観点から、検討したものです。 |
(会 長) |
NHKの業務の一環として、重要な審議会・懇談会等の委員に就任する場合、状況によっては、NHKの業務に大きく影響することも考えられますので、今回の指針に基づき、厳正な運用を行ってほしいと思います。
原案どおり決定します。 |
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(2)放送受信規約取扱細則の一部変更について
(営業局)
放送受信規約取扱細則(以下、「取扱細則」)の一部変更について、審議をお願いします。
今回の取扱細則の変更は、平成24年6月5日開催の理事会を経て、同日の第1168回経営委員会で、日本放送協会放送受信規約(以下、「受信規約」)の一部について議決し、総務大臣の認可を得たことに伴うものです。
具体的な変更内容は、次のとおりです。
まず、受信契約の手続きについてです。変更した受信規約では、受信契約書の提出は、書面に代えて電話、インターネット等の通信手段を利用した「所定の方法」により行うことができると規定していますので、取扱細則において、「所定の方法」とは、NHKの指定するコールセンターやインターネットの窓口による手続きに限定することを具体的に定めます。また、電話・インターネットによる契約手続きにあたっては、書面による手続きの留意点を準用することを規定します。
次に、各種割引の名称についてです。今回の受信規約の変更において、各種割引の名称を具体的に定めましたので、取扱細則においても明記します。
放送受信料の立替払いについてです。立替払いの取扱事業者を拡大するため、受信規約において、「クレジットカード継続払」という名称を「クレジットカード等継続払」に変更しました。この内容を取扱細則にも反映させます。
公共機関への調査による住所変更届等の省略についてです。今回の受信規約の変更において、公共機関への調査により住所変更を確認できた場合は、NHKに住所変更を届け出たものとする取り扱いに変更しましたので、取扱細則にもこの内容を反映させます。
その他、普通契約および衛星普通契約に関する経過措置の終了日の明記や、放送受信料額の改定に伴う料額表の変更、および項番号の変更についても取扱細則に反映します。
取扱細則の変更の期日は、24年10月1日とします。
(会 長) |
今回の取扱細則の変更は、営業改革の取り組みを反映したものですね。 |
(営業局) |
これまで、営業活動の高度化を図るため、訪問による契約取次活動の削減等を検討してきました。今回の受信規約の変更により、電話やインターネット等の通信手段による契約の締結や、公共機関への調査により住所変更を確認できた場合、NHKに住所変更を届け出たものとして取り扱うことができることとなり、業務の効率化と経費削減につながるものと考えています。こうした内容を取扱細則にも反映させるものです。 |
(会 長) |
原案どおり決定します。 |
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2 報告事項
(1)契約・収納活動の状況(平成24年8月末)
(営業局)
平成24年8月末の契約・収納活動の状況について報告します。
まず、8月の収納額は512.2億円で、前年度同月を13.4億円上回りました。年間累計は2,631.3億円で、前年度同時期を80.4億円上回っています。
一方、前年度分回収額実績は3.3億円と、前年度同月を0.3億円下回り、年間累計は44.2億円と、前年度同時期とほぼ同水準となっています。前々年度以前分回収額実績は2.7億円と、前年度同月を0.1億円下回り、年間累計も15.0億円と、前年度同時期を0.5億円下回っています。
放送受信契約総数の増加状況について、8月は、取次が19.6万件と、前年度同月を2.6万件下回ったものの、減少も17.5万件と、前年度同月に比べ8.4万件下回ったため、増加数は前年度同月を5.8万件上回る2.1万件となりました。また、年間累計増加数も23.1万件と、前年度同時期を8.6万件上回っています。
8月の衛星契約増加については、取次が前年度同月に比べ1.8万件下回ったものの、減少も前年度同月を5.4万件下回ったため、増加数は前年度同月を3.6万件上回る6.7万件となりました。また、年間累計増加数も37.2万件と前年度同時期を5.5万件上回っています。
以上の内容は、本日開催の第1174回経営委員会に報告します。
(会 長) |
放送受信契約総数の増加状況について、減少が前年度同月と比べ下回っていますが、以前と比較するとどのような状況ですか。 |
(営業局) |
継続振込から口座・クレジットカード支払いへの移行を進めてきたことにより、転居先不明による減少が抑止されるなど、減少数が以前と比べて下回る傾向にあり、契約が安定してきています。 |
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(2)予算の執行状況(平成24年8月末)
(経理局)
平成24年8月末の予算の執行状況について報告します。
最初に、一般勘定の事業収支の全体概況を説明します。8月末の標準進捗率は、41.7%(5か月/12か月)です。
事業収入は2,835億円で、進捗率は42.3%(注)と、受信料収入を中心に標準進捗率をやや上回り、順調に推移しています。事業支出は2,585億円で、進捗率は39.8%と、退職手当・厚生費が標準進捗率をやや上回っているものの、全体として堅調に推移しています。この結果、事業収支差金は250億円の黒字となっています。
事業収入、事業支出それぞれのポイントについて説明します。
まず、事業収入についてです。
受信料は、契約総数増加・衛星契約増加の確保に向けて、転居世帯に対する早期の契約取次など積極的な営業活動の展開に取り組んだことにより、順調に推移していますが、10月より受信料の値下げを控えていることから、今後の進捗状況についてさらに注視していきます。副次収入は、番組提供料が伸びず低い進捗率となっています。財務収入は、6月に関連団体からの配当を受け、高い進捗率となっています。
続いて、事業支出についてです。
国内放送費は、ロンドンで開催されたオリンピックやパラリンピックの放送実施経費が支出されていますが、全体として堅調に推移しています。
契約収納費は、効率的な業務体制の構築など経費抑制に向けた取り組みを計画的に進めており、堅調な支出状況となっています。退職手当・厚生費は、23年度の年金資産運用結果が低調であったことや期待運用収益率の引き下げ等により退職給付費が増加し、進捗率はやや高くなっています。
一般勘定の事業収支を前年同月と比較すると、事業収入は受信料収入の増などにより61億円の増、事業支出は国内放送費や退職手当・厚生費の増があるものの、受信対策費の減などにより31億円減で、事業収支差金は93億円の増となっています。
受信料の状況については、8月末の受信料収入は2,739億円で、前年同月と比較して81億円の増となり、順調に推移しています。その内訳は、受信料収納額が80億円の増、回収予定額が1億円の増となっています。
最後に、番組アーカイブ業務勘定の状況です。
8月は見逃し見放題契約・特選見放題契約がともに増加しており、視聴料収入も増加基調を維持しています。事業収入は前年同月比で1.8億円増の5.2億円となりましたが、事業支出は8.8億円となり、事業収支差金は3.6億円の赤字となっています。
この内容は、本日開催の第1174回経営委員会に報告します。
注:平成24年10月以降の受信料値下げの影響を踏まえて補正した率
(会 長) |
事業支出について、上半期と下半期を比較した場合、どちらの支出が多くなる見通しですか。 |
(経理局) |
見通しとしては、下半期の支出のほうが多くなると分析しています。 |
(会 長) |
今年10月から受信料の値下げを予定していますので、引き続き、経費抑制に向けて取り組んでほしいと思います。 |
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(3)考査報告
(考査室)
平成24年8月27日から9月19日までの間に放送した、ニュースと番組について考査した内容を報告します。この期間に、ニュース16項目、番組58本の考査を実施しました。
ニュースの主な項目としては、沖縄県・尖閣諸島を東京都が洋上から調査したこと、日本政府による尖閣諸島の国有化に反発して中国各地で大規模な反日デモが発生したこと、また、民主党代表選の争点や情勢、自民党総裁選に谷垣総裁が立候補を断念したことなどがありました。
また、番組では、山が地下から根こそぎ崩れる「深層崩壊」の発生メカニズムやその脅威を検証した、NHKスペシャル「崩れる大地〜日本列島を襲う豪雨と地震」(9月2日放送)、出生前診断の技術の進歩により、“命をめぐる決断”という現実に直面する夫婦の姿を克明に描いた、NHKスペシャル「出生前診断 そのとき夫婦は」(9月16日放送)や、「維摩経(ゆいまきょう)」を古典落語と対比して読み解き、現代人の生きる指針をブッダの言葉に探る「落語でブッダ」(Eテレ8月29・30日放送)などの番組を中心に考査しました。
考査の結果、これらの一連のニュース・番組は、放送法、国内番組基準に照らし、「妥当」であったと判断します。
(会 長) |
複雑なテーマや伝え方が難しいテーマを取り扱ったニュース・番組が増えてきています。各現場で公共放送の原点を踏まえて、しっかり取り組んでほしいと思います。 |
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以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
平成24年10月16日
会 長 松 本 正 之
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