日本放送協会 理事会議事録  (平成24年 7月17日開催分)
平成24年 8月24日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成24年 7月17日(火) 午前9時00分〜9時50分

<出   席   者>
 松本会長、小野副会長、塚田専務理事、吉国専務理事、冷水理事、
 石田理事、木田理事、新山理事、久保田技師長、板野理事、上滝理事、
 福井理事
 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1171回経営委員会付議事項について
(2)視聴者対応報告(平成24年4〜6月)について

2 報告事項
(1)平成23年度における随意契約見直し計画のフォローアップの
   策定・公表について
(2)平成23年度NHKと関連団体との取引の評価・公表について
(3)2012年6月「全国個人視聴率調査」「全国接触者率調査」
   結果について
(4)地方放送番組審議会委員の委嘱について


議事経過

1 審議事項
(1)第1171回経営委員会付議事項について
(経営企画局)
 7月24日に開催される第1171回経営委員会に付議する事項について、審議をお願いします。
 付議事項は、報告事項として「平成24年度第1四半期業務報告」、「平成23年度における随意契約見直し計画のフォローアップの策定・公表について」、「平成23年度NHKと関連団体との取引の評価・公表について」、「視聴者対応報告(平成24年4〜6月)について」、「契約・収納活動の状況(平成24年6月末)」、および「地方放送番組審議会委員の委嘱について」です。また、その他の事項として「営業改革推進委員会の取り組みについて」です。

(会 長)  原案どおり決定します。

(2)視聴者対応報告(平成24年4〜6月)について
(視聴者事業局)
 放送法第27条に定める視聴者対応の状況について、平成24年4〜6月分を以下のとおり取りまとめました。ついては、放送法第39条第3項の規定に基づき、7月24日開催の第1171回経営委員会に報告したいと思います。
 この期間の視聴者の声(意見・要望、問い合わせ)の総数は、4月が38万7,597件、5月が34万6,514件、6月が33万0,071件でした。4月の件数が多いのは、例年、新年度に伴い、新番組など番組編成の改定に対する意見・問い合わせや、引っ越し等による受信料関係の問い合わせなどが増えるためです。
 最近の報告から話題を1つ紹介します。
 5月22日から放送中のドラマ10「はつ恋」は、年下の夫を持つ女性が、裏切られた初恋の相手と再会したことから始まる、甘く切ない大人のラブストーリーですが、放送開始以降、番組内容や放送予定の問い合わせを中心に反響が増えており、視聴率も徐々に上がってきています。第6回(7月3日放送)までに寄せられた反響件数は4,433件で、特に6月19日に、台風4号関連のニュースのため予定していた第5回の放送を休止したところ、放送時間や今後の予定の問い合わせなどが2,000件余り寄せられました。これは「NHKふれあいセンター(放送)」で1日に寄せられる件数の半数以上に相当します。NHKでは、当初の放送予定時間の午後10時過ぎから、テロップで放送予定の変更を伝えたほか、ホームページやツイッターでも告知しました。このドラマへの反響を男女別に見ると、女性からの反響が82%と圧倒的に多く、幅広い年代の女性から、「何となく見ていたが展開に引き込まれた」、「まさに初恋を思い出した。久しぶりに良いドラマを見た」などの声が多く寄せられています。
 この期間の視聴者からの指摘や意見・要望への対応については、4月から始まった群馬・栃木両県の県域放送の気象情報で、県内だけでなく関東各地の情報を詳しく放送するようにしたこと(4月)や、Eテレの「将棋フォーカス」で新年度から始めた詰め将棋のコーナーで、視覚障害者の方からの意見を受けて駒の位置を読み上げるようにしたこと(6月)などがありました。また、5月6日に発生し関東の広い範囲に被害をもたらした竜巻について、視聴者から映像提供の連絡が相次ぎ、それらの映像はニュースで放送しました。
 誤記・誤読などに対する指摘は、4月は68件、5月は58件、6月は59件ありました。指摘については、直接番組担当者に連絡し訂正するよう努めるとともに、再発防止のため、放送関係の各部局が集まる会議で周知し、放送現場へ注意を喚起しました。
 最後に、経営関係への反響についてです。
 5月12日、NHKの數土文夫経営委員長(当時)が、東京電力の社外取締役に内定したと報道されたことに対し、連日多くの意見・問い合わせが寄せられ、経営委員長を辞任することを会見で表明した5月24日午後5時までに、合わせて700件近くに達しました。そのほとんどが、「NHKの経営委員長と東京電力の社外取締役を兼職することには反対だ」という内容でした。また、辞任の会見を受けて、当日と翌日の2日間で150件ほどの反響が寄せられました。

(冷水理事)  ドラマ10「はつ恋」については、NHKオンデマンド(NOD)の新規加入者を対象に、「特選ライブラリー」や「見逃し番組」等で加入後に初めて見た番組を調べたところ、各部門でトップとなっています。女性向けに強い訴求力のあるドラマの継続的な開発を、今後も期待しています。
(会 長)  原案どおり決定し、次回の経営委員会に報告します。

2 報告事項

(1) 平成23年度における随意契約見直し計画のフォローアップの策定・公表について

(経理局)
 平成23年度における随意契約見直し計画のフォローアップの策定・公表について報告します。
 NHKが行う取引における随意契約については、総務省からの協力要請を踏まえ、NHKの自主的な取り組みとして平成20年度から随意契約の見直し計画を策定・公表し、競争化に取り組んでいます。
 見直し計画の対象となる競争性のない随意契約は、見直しの基準年度としている18年度が金額ベースで50.0%でしたが、見直し計画では、この割合を25年度に37.0%に引き下げる計画です。
 平成23年度に締結した契約の状況は、競争契約の推進に取り組んだ結果、随意契約の割合は39.9%になり、18年度に対して10.1ポイント低下しています。各年度における随意契約の割合の推移については、20年度は44.6%、21年度は43.0%、22年度は41.8%、そして23年度は39.9%と順調に低下しています。
 23年度に随意契約から一般競争入札に移行した主な取引には、菖蒲久喜ラジオ放送所電力需給契約等があり、指名競争入札に移行したものには、22年度から継続している千代田放送会館清掃業務等があります。また、公募に移行したものとして、21年度から継続している共同受信施設の緊急故障修理・点検調査等の保守業務が挙げられます。
 一般競争入札の増加を、経理局の最重要課題として取り組んできた結果、一般競争入札の件数は、20年度が8件、21年度が55件、22年度が233件、そして23年度が458件と大幅に増加しました。
 24年度も引き続き競争契約の推進に取り組み、25年度の計画達成を図りたいと考えています。
 本報告の内容は、7月24日開催の第1171回経営委員会に報告した後、7月中にNHKの公開ホームページで公表します。

(会 長)  随意契約の見直し計画の37.0%について、算出の経緯を説明してください。
(経理局)  随意契約の見直しは、平成25年度までに達成する計画としています。計画策定のベースとなった18年度の随意契約は50.0%でしたが、契約を1つずつ精査して競争入札等に移行することができないかを検討した結果、25年度に競争性のない随意契約の割合を37%まで引き下げることを目標とし、取り組んでいるものです。

(2)平成23年度NHKと関連団体との取引の評価・公表について
(経理局)
 平成23年度NHKと関連団体との取引の評価・公表について報告します。
 これは、平成14年度分から、関連団体運営基準第23条に基づき、NHKと関連団体との一定規模以上の取引について、毎年度その取引が適正に行われているかの評価を取りまとめ、公表しているものです。
 23年度の関連団体との評価・公表の対象となる取引(以下、「取引」)は、件数で1,764件、総額1,488億円でした。これは22年度と比較して件数で292件、金額では42億円減少しています。
 番組制作関係の業務委託以外の取引については、「平成21〜23年度 NHK経営計画」において、金額ベースで25年度に40%超の競争化を目指すこととしていましたが、22年度に引き続き40%超となりました。
 取引の評価として、取引の内容が、NHKの経理規程および業務委託基準に照らし合わせ、求められる要件を満たしているか、特に随意契約がその要件を満たしているかについて、NHKが自ら点検を行っています。このうち、1件3,000万円を超える取引については、3名の外部有識者で構成する「入札契約委員会」の点検・助言を受けています。その結果、いずれも随意契約の要件を満たしていると判断をいただいています。随意契約については、引き続き見直しの余地がないかを点検し、やむを得ないものを除いて、順次可能なものから競争契約への移行に努めていきます。
 競争契約の状況については、23年度は、件数で353件、金額にして119億円となり、22年度に対して、件数で368件、金額で47億円の減となっています。金額で減少している主な事由は、地上デジタルテレビ中継放送所設備整備が終了したことによるものです。
 23年度の随意契約は、件数で1,411件、金額にして1,369億円でした。22年度に対して、件数で76件、金額では5億円増加しています。金額で増加している主な事由は、アナログ放送終了によるコールセンター体制の整備等によるものです。
 本報告の内容は、7月24日開催の第1171回経営委員会に報告した後、個別の全契約情報の一覧表とあわせて、NHKのホームページで公表します。また、公開にあたっては、関連団体の役割、番組制作業務委託の競争の考え方、随意契約の見直し、関連団体との取引に関する諸規定を取りまとめ、あわせて掲載します。

(会 長)  取引の評価に関わる「入札契約委員会」は、どういうメンバーで構成されているのですか。
(経理局)  外部有識者による委員会で、公認会計士、学識経験者、弁護士の3名で構成されています。

(3) 2012年6月「全国個人視聴率調査」「全国接触者率調査」結果について

(放送文化研究所)
 2012(平成24)年6月に実施した、全国接触者率調査と全国個人視聴率調査の結果について報告します。これまであわせて報告していた放送評価調査は今年3月の調査で終了しましたので、今後は、2つの調査について報告します。
 まず、全国接触者率調査の結果です。
 この調査は、前3か年経営計画で経営目標の1つとしていたNHKへの接触者率について、3−Screensの観点から調べたものです。録画再生やインターネット、DVDやビデオなど、放送以外の媒体による接触も含めたメディアへの接触状況を測ります。番組関係の出版物やイベントへの参加は対象に含みません。今回は、6月11日月曜日から17日日曜日までの1週間、全国の7歳以上3,600人を対象に、1日単位で5分以上の視聴・利用があったかどうかを記入する方法で実施しました。有効数は2,571人、有効率は71.4%でした。
 今回、NHK全体リーチ(放送、放送以外を問わず、NHKに接触した人の割合)は77.0%でした。過去最高の数字とはなりましたが、「平成21〜23年度 NHK経営計画」で目標としていた80%には及びませんでした。録画再生などの放送外リーチは、31.0%と前年同期より4.3ポイント増え、順調に伸びています。前年11月の調査でも前々年同期より増えましたので、放送外リーチは、このところ着実に増えていると言えます。
 NHK全体リーチのうち、放送と放送外それぞれの接触を見ると、「放送のみ」のリーチが46.0%で、前年同期(49.9%)より減った一方、「放送と放送外両方」のリーチは28.9%で前年同期(23.7%)より増えています。
 放送外リーチが増えたのは、録画再生(20.2%)とデータ放送(9.0%)が大きく増加したことによるものです。インターネット全体(8.2%)については、この1年は横ばいが続いています。テレビ放送と録画再生の見方については、「テレビ放送のみ」(48.0%)は年々減少し、「テレビ放送と録画再生の両方」(41.6%)ときっ抗してきています。「録画再生のみ」は、まだ1.5%にとどまっています。
 NHK全体リーチを年層別に見ると、放送リーチ、放送外リーチともに、20代が大きく落ち込んでいます。この世代では、NHKに全く接触しない人が半数に達していることがわかります。
 続いて、全国個人視聴率調査の結果について報告します。
 調査は6月11日月曜日から17日日曜日までの1週間、全国の7歳以上3,600人を対象に、配付回収法による24時間時刻目盛り日記式(個人単位)で実施しました。有効数は2,457人、有効率は68.3%でした。
 NHK各放送波の週間接触者率の推移を見ると、BS1が13.3%と前年の10.0%から増加しているほか、NHK衛星放送の合計も、19.9%と前年の16.3%から増加しています。一方、総合テレビは、前々年が60.6%、前年が57.9%、本年が57.2%と減っており、男性20〜40代ではこれまでで最も低い水準となるなど、長期漸減傾向に歯止めがかからない状況です。
 個人視聴率の、総合テレビ・衛星放送・Eテレ・ラジオの概要について説明します。
 総合テレビは、夜間(午後6時〜深夜0時)の接触者率が、2005(平成17)年以降、下落傾向にあります。今回は47.9%で、初めて5割を割り込んだ前年(49.1%)から回復していません。曜日ごとにみると、日曜夜間が前年から減少しています。日曜午後8時台の大河ドラマ「平清盛」の視聴率は10.0%、同9時台のNHKスペシャル「宇宙の渚」は4.4%で、いずれも前年から減少しました。午前の週間接触者率は、前々年から前年にかけて4割台に回復し、今回も横ばい(42.3%)となりました。連続テレビ小説「梅ちゃん先生」の視聴率は14.5%で、前々年の「ゲゲゲの女房」以降、好調が続いています。
 衛星放送は、自宅で見ることができる人の割合は48.0%です。
 BS1では、ワールドカップサッカーの予選などがよく見られました。BSプレミアムでは、韓国ドラマ「トンイ」や「梅ちゃん先生」など、ドラマがよく見られました。
 Eテレの週間接触者率は26.9%で、長期的にゆるやかに減少しています。前年低めだった男女13〜19歳は前々年並みに戻ったものの、女50〜60代は、この10年で少しずつ下降しています。
 ラジオ全体の週間接触者率が減少する中で、ラジオ第1の週間接触者率は16.9%で、前年と同程度を保っています。時間帯別では、朝5〜6時台の番組がよく聞かれています。
 今回から、全国を9ブロックに分けた地方別の接触者率について報告します。甲信越(79%)、中国(78%)、東北(76%)の各地方は、全国平均(70.3%)に比べ高くなっています。一方、近畿は65%と低い値となっており、地方によって接触者率に違いのあることがわかります。また、時間帯別に見ると、全国的に、朝(7・8時台)・昼(0時台)・夜(7〜9時台)に平均視聴率が高くなる傾向が見られますが、総合テレビの接触者率の高い甲信越地方では、その傾向が顕著な形で表れています。

(会 長)  全国接触者率調査を見ると、NHK全体リーチのうち、「放送のみ」と、「放送と放送外の両方」を合わせた接触者率は、あまり変化がないということですか。
(放送文化研究所)  「放送のみ」に接触する人の割合が減る一方で、「放送と放送外の両方」に接触する人が増えていますが、これは既に放送に接触している人が、放送外への接触を増やしているためで、トータルで見た場合の接触者率は変わりません。
(副会長)  全国個人視聴率調査では、今回から地方別の接触者率が報告されていますが、9ブロックに分けた場合、この調査の有効回答数の2,571では、調査母体として少ないのではありませんか。
(放送文化研究所)  ブロック別の項目については、それぞれの状況を見て特徴をつかむことができるよう調査数を増やしており、トータルの有効回答数は6,396と、調査母体として十分な数になっています。
(吉国専務理事)  録画再生などの放送外リーチについて、「インターネット全体」の数が、昨年同期の9.2%から8.2%に落ちていますが、この数値は有意差があると見てよいのですか。
(放送文化研究所)  これは有意差はありません。また、前年6月の調査については、NHKへの接触者率の向上を図って、インターネットの動画サイト等で集中的に番組PRを行った時期と、調査実施時期が少し重なっていたため、 通常より高めの結果が出たものと思われます。前々年の11月では6.1%となっており、「インターネット全体」の数は、むしろ長期的には増加傾向にあると見ることができます。
(上滝理事)  全国接触者率調査を見ると、NHK全体リーチは20代が相当低い数値となっています。ここ数年で、NHKオンデマンド(NOD)は携帯の端末等でも見られるようになるなど、利便性の向上へ向け一層の改善がなされてきましたが、そうした分も含めると、実際にはもう少し高い数値になりませんか。
(放送文化研究所)  NODは調査項目には入っているのですが、利用経験のある人は、まだ全体の1.7%にとどまっています。今後増える可能性は期待できるものの、まだ全体の数字にすぐに影響を与える段階には至っていません。
(会 長)  NODは、録画再生の項目に含まれているのですか。
(放送文化研究所)  NODは、放送外リーチの大半を占める録画再生ではなく、テレビ受信機を経由するものは「IPTVの番組配信」に、またパソコン端末や携帯を経由するものは「動画配信サイト」に、それぞれ含まれています。

(4)地方放送番組審議会員の委嘱について

(木田 理事)
 地方放送番組審議会委員の委嘱について報告します。
 中部地方で森棟公夫氏(学校法人椙山女学園理事長、椙山女学園大学学長)に、東北地方で向田吉広氏(東北電力株式会社 常務取締役)に、平成24年9月1日付で新規委嘱します。また、近畿地方で坂田順子氏(和歌山県指導農業士どの坂果樹園)に、中部地方で秋元祥治氏(NPO法人G−net代表理事)と、井上庄吾氏(愛知県農業協同組合中央会 常務理事)、金森昭夫氏(中日新聞社 取締役総務担当兼社長室長)に、北海道地方で笹原晶博氏(北海道銀行 代表取締役副頭取)に、いずれも同日付けで再委嘱します。
 なお、中部地方の奥野信宏氏(中京大学 理事・総合政策学部教授)、東北地方の佐竹勤  氏(東北電力株式会社 取締役副社長)は、任期満了により、24年8月31日付で退任されます。
 本件は、7月24日開催の第1171回経営委員会に報告します。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成24年 8月21日
                     会 長  松 本 正 之

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