日本放送協会 理事会議事録  (平成24年 4月24日開催分)
平成24年 5月18日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成24年 4月24日(火) 午前9時00分〜9時40分

<出   席   者>
 松本会長、小野副会長、永井技師長、金田専務理事、今井理事、
 塚田理事、吉国理事、冷水理事、新山理事、石田理事、木田理事
 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)平成23年度第4四半期業務報告
(2)オリンピックロンドン大会に係る一部の競技の生中継映像をイン
   ターネットを通じて一般に提供する業務の実施について

2 報告事項
(1)平成23年度契約・収納活動結果
(2)平成23年度収支決算の速報

議事経過

1 審議事項
(1)平成23年度第4四半期業務報告
(経営企画局)
 放送法第39条第3項に定める会長の職務の執行状況を「平成23(2011)年度第4四半期業務報告」のとおり取りまとめましたので、審議をお願いします。
 23年度第4四半期は、「平成21〜23年度 NHK経営計画」(前経営計画)の最終四半期となります。そこで、今回の業務報告では、前経営計画で掲げてきた経営2目標9方針について、23年度1年間のまとめ、および3か年の総括として取りまとめました。なお、財務諸表については、放送法に基づき6月に「平成23年度業務報告書」とともに総務大臣に提出することにしており、現在、取りまとめの作業中であることから、今回の報告では取り上げていません。
 まず、3か年の総括について説明します。
 前経営計画では、「いつでも、どこでも、もっと身近にNHK」と題して、「NHKへの接触者率3年後80%」と「受信料の支払率3年後75%、5年後78%」という2つの数値目標を経営目標に掲げ、全役職員が「すべては視聴者のみなさまのために」を意識して、日々の業務にあたってきました。
 この間、テレビ放送の完全デジタル化や、衛星放送の2波化など、テレビの歴史にとって節目となる出来事がありました。計画2年目の終わりには東日本大震災という未曾有の災害が発生し、こうした課題に総力をあげて対応してきました。また、この3か年は、リーマン・ショック以降の経済情勢の悪化や、東日本大震災の影響等で、計画策定時の想定を上回る全額免除の拡大等もあり、厳しい財政運営を迫られました。
 このような状況の下、収入確保に向けて営業活動を強化した結果、受信料収入は3年連続で増収となりましたが、それでも当初の計画には達しませんでした。一方で、収支差金については、経費削減等の努力により事業支出の抑制を図ることで、3年ともに黒字を確保することができました。
 前経営計画に明記した、受信料収入の還元については、東日本大震災を踏まえ、災害に備えるための必要最小限の機能強化を進めながら、テレビ受信機のみを対象とする受信料体系に移行した昭和43年以降では初めてとなる、受信料収入の7%の値下げに10月から踏み切ることになりました。
 次に、経営2目標の達成結果について説明します。
 「接触者率の向上」への取り組みについては、若者層など幅広い世代に接触の幅を広げる努力を重ねてきたこともあって、23年11月調査での全体リーチでは、接触者率は76.7%となっています。目標の80%には届いていませんが、3年間、安定的に推移しています。一方、放送外リーチは、録画再生やデータ放送、公式・提供ウェブサイトへの接触が大きく増えたことを受けて着実に伸び、27.9%と目標の25%を超えています。NHKの放送に対する視聴者の評価を調査した「放送評価調査」の結果では、NHKへの「親しみ」は、経営目標としてきた50%を連続で超え、55%となりました。そのほかの項目も全て、前の年度の平均を上回っています。新しい経営計画では、こうした3か年の成果や課題を踏まえ、接触者率に加えて、複数の質的な指標を使い、より質の高い番組、より正確で迅速な報道など、公共放送にしかできないサービスの提供に努めます。
 「受信料の支払率の向上」については、これまでの3か年で、訪問集金を廃止し、新たな地域スタッフ体制を構築して契約・収納活動を強化したほか、事業所割引や業界団体取りまとめの導入、家族割引の導入、契約収納業務の外部委託の促進など、さまざまな営業改革を進めてきました。その結果、23年度末の支払率は、推計で75.2%となり、目標の75%を超えました。一方、営業経費は、厳しい経済情勢が続く中で、業績を確保するため追加の施策等を実施したことなどから、計画値を達成できませんでした。引き続き、法人委託の促進など効率的な営業活動を推し進め、経費の抑制に努めていきます。
 今後は、公共放送の原点に立って、新しい時代に向けたNHKの役割と今後の方向性をしっかりと見定め、今月スタートした「平成24〜26年度 NHK経営計画」を着実に実行し、前進していきます。
 以上の報告内容が決定されれば、本日開催の第1165回経営委員会に報告事項として提出します。

(会 長)  原案どおり決定し、本日の経営委員会に報告します。

(2) オリンピックロンドン大会に係る一部の競技の生中継映像をインターネットを通じて一般に提供する業務の実施について

(編成局)
 オリンピックロンドン大会において、NHKも民間放送も生中継放送をしない競技の一部について、インターネットでのライブストリーミング(生中継動画の配信)を実施し、NHKのホームページ「NHKオンライン」で提供する業務の実施を計画しています。この業務は、NHKのインターネット業務について規定した放送法第20条第2項第2号の「既放送番組等」に該当しないため、放送法第20条第2項第8号で定める「放送及びその受信の進歩発達に特に必要な業務」として、総務大臣に認可を申請したいと思いますので、審議をお願いします。
 この業務を行うことで、NHKのオリンピック放送を補完して視聴者の高い関心・要望に応えることとします。また、配信サーバ等への一定の負荷が想定される環境の下で多様な競技映像のライブストリーミングを実施し、画質や安定性等、インターネットを通じたコンテンツ配信に関する知見を得ることにより、放送通信連携サービスであるハイブリッドキャストの実用化やその他の通信技術を利用した新たな放送サービスの技術的検討等に資することとします。
 提供するコンテンツは、オリンピックロンドン大会で行われる一部の競技種目の生中継映像で、日本国内でのNHKおよび民間放送による放送計画が決まった後、生中継の放送計画に含まれない競技種目の中から、1日数種目から20種目程度を選択します。
 オリンピック放送機構が制作し、ロンドンの国際放送センターからNHKに伝送される生中継の国際映像を、そのままNHKのホームページ上でストリーミング方式で提供します。コンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)を利用して、500〜900kbps程度の画質により提供し、併せて、一部の競技種目については、視聴者の協力を得て、1〜1.5Mbps程度の画質によるPeer to Peer(P2P)方式の配信実験としての提供も行います。CDNおよびP2P方式のそれぞれの配信について、比較も含め、画質、遅延、安定性、配信効率・コスト、送信側の負担等についての検証・評価を行い、その結果については、刊行物等を通じて公表する予定です。
 提供エリアは日本国内に限定し、提供規模は、オリンピック期間中に、のべ1,000時間程度を想定しています。
 この業務はインターネットによる映像配信を行うものですが、提供するコンテンツについては、NHKの国内番組基準に準じ、適切な管理を行うこととします。
 本件が了承されれば、本日開催の第1165回経営委員会に議決事項として提出します。

(会 長)  原案どおり了承し、本日の経営委員会に諮ります。

2 報告事項
(1)平成23年度契約・収納活動結果
(営業局)
 平成23年度の契約・収納活動の結果について報告します。
 まず、当年度収納額については、第6期(2月・3月)は前年度同期を24.7億円上回る1,157.8億円となりました。年間累計は、前年度と比較して127.5億円増収の6,659.4億円となり、翌年度の回収予定額と合わせた受信料収入は、6,725億円と当初予算を上回る見通しです。
 前年度分回収額実績は、第6期は7.3億円となって前年度同期を3.9億円上回り、年間累計も65.9億円と前年度を0.2億円上回りましたが、回収予定額の66.6億円には、0.6億円及びませんでした。前々年度以前分回収額実績は、第6期は4.7億円と前年度同期を0.6億円下回り、年間累計も37.5億円と前年度を5.7億円下回りました。
 放送受信契約総数の増加状況については、第6期は前年度同期を3.4万件下回る1.0万件の減少となりました。23年度は東日本大震災やアナログ放送終了に伴う解約等が21.7万件発生するなどの影響があり、年間累計増加数は、前年度を10.4万件下回る35.4万件となりました。
 衛星契約増加については、第6期は、前年度同期を1.1万件上回る13.3万件となりました。また、年間累計も、東日本大震災やアナログ放送終了に伴う解約等が15.8万件発生するなどの影響があったものの、事業計画の75万件を上回る78.9万件の増加を確保しました。
 未収数については、第6期末は前年度同期を1.1万件下回る4.3万件の削減となりましたが、年間累計は、前年度を0.3万件上回る26.6万件の削減となりました。23年度末の未収現在数は180万件を割って177.7万件となりました。
 最後に、口座・クレジットカード支払いの増加数については、第6期は前年度同期を3.9万件下回る5.9万件となりました。23年度はアナログ放送終了に伴う解約等が14.1万件発生するなどの影響があり、年間累計の増加数は、前年度を7.9万件下回る64.5万件となりました。
 以上の内容は、本日開催の第1165回経営委員会に報告します。


(2)平成23年度収支決算の速報
(経理局)
 平成23年度決算について、事業収支の速報を報告します(注)。
 本件は、本日開催の第1165回経営委員会に報告事項として提出します。

 注:

平成23年度決算については、確定値を財務諸表として取りまとめ、6月に理事会の審議・決定、経営委員会の議決を経て、総務大臣に提出することにしていますので、本報告の内容は割愛します。


(会 長)  本日の議題の「平成23年度契約・収納活動結果」の報告と、「収支決算の速報」では、受信料の計上額が異なっていますが、その差はどう見るのですか。
(石田理事)  「受信料収入」と営業局から報告された「当年度収納額」では、計算するうえでの考え方が異なっています。「受信料収入」は、当年度の債権額から欠損償却費を控除したものであるのに対して、「当年度収納額」は、当年度に収納されたものです。
(経理局)  「当年度収納額」は、実際に収納した額をベースとした考え方であるのに対し、「受信料収入」は発生主義の考え方を取っており、23年度中に契約があるものは23年度の収入として計上しますので、決算においても、23年度収納分と24年度の回収予定額を合わせて計算することになります。
(会 長)  算出方法の違いによって、額に差が出るということですね。
 この「受信料収入」の表記は、放送法等で定められたものですか。また、事業支出において、決算が予算を下回ったところで、過不足の欄の数字の前に「残」という表記が付いていますが、この表記も同様に定められたものですか。
(経理局)  前者は、放送法施行規則で表記方法が定められています。後者については、特に定められたものではありませんが、わかりやすくするために、そうした表記を加えています。
(会 長)  今年度の決算額が予算額を下回ったのは、デジタル放送への移行業務を円滑に進めたことをはじめ、さまざまな業務を効率的に運営することで経費の削減に努めた結果です。事業支出の過不足で「残」と書くと、自然に残ったもののようにも感じ取れますが、NHK全体の努力がわかるようにしてほしいと思います。
(経理局)  その点については、きちんと説明していきたいと思います。


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成24年 5月14日
                     会 長  松 本 正 之

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