日本放送協会 理事会議事録  (平成24年 2月 7日開催分)
平成24年 2月24日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成24年 2月 7日(火) 午前10時20分〜10時55分

<出   席   者>
 松本会長、小野副会長、永井技師長、金田専務理事、大西理事、
 今井理事、塚田理事、吉国理事、冷水理事、新山理事、石田理事、
 木田理事
 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1160回経営委員会付議事項について
(2)平成24年度インターネットサービス基本計画について

2 報告事項
(1)考査報告
(2)放送技術審議会委員の委嘱と任期途中の退任について

議事経過

1 審議事項
(1)第1160回経営委員会付議事項について
(経営企画局)
 2月14日に開催される第1160回経営委員会に付議する事項について、審議をお願いします。
 付議事項は、報告事項として「平成24年度インターネットサービス基本計画について」です。

(会 長)  原案どおり決定します。

(2)平成24年度インターネットサービス基本計画について
(編成局)
 平成24年度のNHKの「インターネットサービス基本計画」を取りまとめましたので、審議をお願いします。
 この基本計画は、受信料を財源とする無料のインターネットサービスを対象としており、有料の「NHKオンデマンド」のサービスは対象外です。受信料を財源とするインターネットサービスには、「既放送番組等を電気通信回線を通じて一般の利用に供すること」をNHKの業務範囲に定めた、放送法第20条第2項第2号に基づいて行うサービスと、それ以外の、緊急情報や外国人向け情報、その他NHKの本来業務に関連して行うサービス等があります。
 平成24年度のNHKのインターネットサービス基本計画は、「平成24〜26年度 NHK経営計画」の初年度として、大きく変化するメディア環境のなかで、さまざまな端末から多種多様な質の高いコンテンツを届け、「豊かで安心できる社会」、「たしかな未来の実現」に貢献するインターネットサービスを目指します。「NHK on 3−Screens」の考え方を踏まえ、「安全・安心」にかかわる情報の提供やサービスを支える基盤の整備に重点的に取り組み、放送と連携したインターネットサービスや地域や社会に活力を与えるコンテンツの充実に取り組みます。また、みなさまに支えられる公共放送として、「NHKネットクラブ」などを活用した人と人との絆をつなぐ仕組みもさらに強化していきます。効率的な制作体制でインターネットの分野でも選択と集中を推進し、「人の思いをつなげる」公共情報空間の基盤づくりに一層努力を重ねます。
 以上の基本方針に沿って、次の4項目のサービスの重点目標を掲げました。
 1.安全・安心情報の充実
 公共メディアへの信頼に応え、いつでもどこからでも、くらしの安全・安心にかかわるきめの細かい情報を、多様な伝送路とさまざまな端末から取得できるサービスを充実し、復興に向けた取り組みなども積極的に紹介します。
 2.地域発展につながる情報発信・世界への発信の充実
地域の活性化に貢献するインターネットサービスの開発に努め、「人の思いをつなげる」取り組みを進めます。同時に国際発信力をさらに高め、海外とのつながりを深めていくコンテンツを充実させます。
 3.放送通信連携サービスの充実
 ソーシャルネットワークサービスなどを活用し、通信の特性を生かしたニュースへの新しいアプローチや従来とは違った番組の楽しみ方・参加の方法を開発し、放送と通信の融合時代にふさわしいデジタルコンテンツを充実させます。
 4.新しい公共情報空間の構築
 急速に普及するスマートフォンやタブレット型端末へのサービスの強化に努める一方、ネットテレビなど新しく登場しつつあるデバイスを活用したコンテンツの研究や技術基盤の開発を進めます。インターネットを使った“人にやさしいサービス”のほか、共に学び考え、共に語り合い、協力して作品を制作できる公共情報空間づくりに力を入れます。
 以上の各サービスの編集方針については、第1部と第2部に分けて定めています。
  第1部は、「放送法第20条第2項第2号の業務の基準」に基づくサービスの編集方針で、各重点目標に対応して策定しています。
 まず、「1.安全・安心情報の充実」についての編集のポイントです。公共放送への信頼に応え、いつでもどこからでも安全・安心情報を得られるように、多様な伝送路と端末で情報を提供します。河川水位や雨量、自治体から送られる避難関連情報などの防災情報を、データ放送のほかパソコンやスマートフォン、携帯サイトに自動的に表示する仕組みを順次整備し、各地域放送局が地域の人たちに向けて提供する情報を充実させます。また、大規模な災害が起きた際に伝える生活情報放送と並行して、パソコンや携帯サイト等を通じて生活の再建のためのきめの細かい情報を被災地域に届けます。さらに、東日本大震災の記憶をアーカイブ化して伝えるコンテンツの制作、地域の防災情報、復興に向けた取り組み等を紹介・支援するコンテンツを強化します。
 「2.地域発展につながる情報発信・世界への発信の充実」についての編集のポイントです。地域の活性化や発展につながる地域放送局独自のコンテンツの発信に取り組み、各地域放送局の携帯電話やスマートフォン向けのサイトを刷新するなど、利用者の利便性を向上させます。各地域放送局のニュース動画がパソコンサイトに掲載できるよう24年度中に設備整備を行います。また、携帯サイトに「各地のニュース」を掲載し、「安全・安心」情報と地域向けの情報発信を充実させていきます。さらに、国際発信力をさらに高め、海外とのつながりを深めていくコンテンツを充実させます。
 「3.放送通信連携サービスの充実」についての編集のポイントです。ニュースやさまざまな番組と連携し、即時性・同報性に優れた放送と、双方向性に優れた通信の両方の長所を生かした、放送通信融合時代にふさわしい総合的なインターネットサービスを提供します。ソーシャルネットワークなどを活用した、インターネット時代のニュース番組とネットユーザーを結びつける新しいニュースの見方の提案や、NHKネットラジオ「らじる★らじる」を活用した、ラジオを聞きながら学習したり楽しんだりすることができるインターネットコンテンツの開発を行います。また、オリンピック・ロンドン大会の公式オンラインデータを利用した競技情報などの充実や、豊富な競技の動画を提供するなど、スポーツをより楽しめるコンテンツを開発していきます。さらに、Eテレの番組と連動した学習の新しい形の追求や、見応えのある動画の提供に積極的に取り組みます。
 「4.新しい公共情報空間の構築」についての編集のポイントです。スマートフォンやタブレット端末などに向けたサービスの強化、ネットテレビなど開発の進みつつあるデバイスに対応するコンテンツや技術基盤の研究・開発などを行います。また、ニュース原稿の内容を子どもや日本語にまだ慣れていない外国の方にも分かるような平易な文章に変換・提供するシステムを構築し、インターネット上の公共情報空間を豊かにしていきます。
 第2部は、緊急情報や外国人向け情報など、「放送法第20条第2項第2号の業務の基準」に基づくもの以外のサービスの編集方針について掲げています。
 NHKが番組制作、番組の周知・宣伝、経営広報、営業活動、職員採用等の業務に関連してインターネットサービスを行う場合は、それぞれの業務を効果的に実施するなどの目的に合致したコンテンツを制作・提供します。また、災害・危機管理情報やその他の緊急情報など、国民の生命、財産にかかわる情報については、公共放送の使命に応えるよう情報発信の仕組みを一層強化するほか、選挙の情報についても、公平・中立的な立場から迅速で的確な情報を提供していきます。国際放送についても一層の強化を図り、「NHKワールドTV」および「NHKワールド・ラジオ日本」では、それぞれライブストリーミング(放送と同時の番組配信)を強化し、英語をはじめ18の言語でのいち早いニュースの発信に努めます。昨年度、試行を開始したインターネットラジオについては、さらに安定した放送を広く聴取者に届けるよう努めます。
 本件が決定されれば、2月14日開催の第1160回経営委員会に報告します。

(大西理事)  この基本計画に関する具体的な作業工程はどのようになっていますか。
(編成局)  基本的には、「平成24〜26年度 NHK経営計画」にのっとり、進めていきます。ただ、自治体の情報などを掲載する場合については、実際に情報を入力する自治体側の体制整備が必要となりますので、今後、自治体と協議を行い、条件等が整ったところから、順次、サービスを開始していきます。
(大西理事)  この基本計画が実現すれば、利用者が本当に利便性を実感できるサービスになると思いますので、是非、早期に充実した内容を提供できるよう取り組んでほしいと思います。
(今井理事)  受信料を財源として行うインターネットサービスについては、「放送法第20条第2項第2号の業務の基準」で予算額の上限を40億円程度と定めていますが、平成24年度の予算は、どのくらい計上していますか。
(編成局)  平成24年度の予算額は、29億9,000万円で、23年度と比べて、4億円弱の増となっています。
(塚田理事)  ホームページなどで、地域放送局のニュースの情報が7項目を超えると、容量の関係から過去の情報が自動的に削除されてしまうため、改善を要望する声が届いていますが、アーカイブス化や、システム容量の拡大などの対応は検討していますか。
(編成局)  現在、報道局が、地域のニュース情報を1週間程度ストックできるよう、改善を検討しています。運用開始時期は、今のところ未定です。
(副会長)  今回の基本計画により、インターネット利用者へのサービスがかなり充実すると思いますが、この計画の実施に伴う業務量の増加に対しては、どのように考えていますか。
(編成局)  デジタルサービスのニーズがますます高まっていますので、業務量が増加しても対応できる体制を整備するよう、現在、関係部局と検討しています。また、新採用者の段階から、インターネットサービスに関する研修を行うなど、人材育成も検討していきたいと思います。
(冷水理事)  基本計画の実施に伴い、大規模なシステム改修やサーバーの更新等を行う必要はありますか。
(編成局)  これまでも必要に応じて、システムの改修や増強を行っていますので、今回の基本計画に伴う大規模な改修等は、予定していません。
(大西理事)  放送外サービス全般に言えることですが、基本計画にあるようなサービスの充実について、担当者以外の職員の理解が十分でないものもあるようです。全職員への情報の共有化に努めてほしいと思います。
(編成局)  これまでも、特に、視聴者と接する機会が多い部局には、デジタルサービスの現状について説明してきましたが、今後は、その他の部局も含めて、説明する機会を増やすことを検討したいと思います。
(会 長)  平成24年度の基本計画については、これまでのパソコン向け、携帯向けといった端末別の計画を見直したことで、重点事項が整理されていて、大変分かりやすくなったと思います。その上で、この基本計画は、NHKが公共放送としての“役割”を果たし、次期経営計画にも掲げる“信頼”などの目標を実現するために、どのような形で貢献しようとするものですか。
(編成局)  インターネットを利用して既存の放送番組を紹介することで、視聴者・ユーザーの方々が番組内容の理解を深め、楽しんでもらうことにより、NHKにさらなる親しみを持っていただけると考えています。また、さまざまな新しい技術を使って、映像や必要な情報を届けるなどの取り組みを通じて、NHKの“役割”を果たし、“信頼”を高めていきたいと思います。
(会 長)  NHKのインターネットサービスの現状や実績については、担当部局としてどのように評価していますか。
(編成局)  東日本大震災が発生したときには、NHKサイトへの接触者の数が、1週間、日頃の3倍に達し、災害時には、NHKを頼りにしていただいたのだろうと見ています。日頃の設備整備が、災害時においても障害を発生させることなくサービスを提供できたことにつながったと考えています。また、日常のアクセス数についても、着実に増加していますが、瞬間的にアクセスしただけで、接触時間が短い可能性もありますので、今後はこの点についても検証していきたいと思います。
(会 長)  インターネットサービスの実施にあたっては、経営資源の選択と集中により必要な体制を確保していくことになりますので、きちんと、効果を出していかなければならないと思います。
(編成局)  実施にあたっては、“ワンソース・マルチアウトプット”を心がけています。例えば、地域放送局で地上デジタル放送向けデータ放送のニュース情報を制作すると、自動的にインターネットや携帯電話のサイトにも情報が反映されるようにして、作業の効率化を図っています。費用対効果を考慮しながら、NHKへの接触率を高めることができるよう、今後とも検討していきたいと思います。
(会 長)  原案どおり決定します。

2 報告事項
(1)考査報告
(考査室)
 平成23年12月22日から24年2月1日までの間に、ニュースと番組について考査した内容を報告します。この期間に、ニュース26項目、番組83本の考査を実施しました。
 ニュースの主な項目としては、発生から17年が経過した阪神・淡路大震災の被災者が、東日本大震災の被災者とともに犠牲者を追悼し、復興を誓い合った様子や、プロ野球のダルビッシュ有投手が大リーグのテキサス・レンジャーズと史上最高額で契約したことのほか、東京電力福島第一原子力発電所の事故を巡る住民避難などの重要な決定について、政府の原子力災害対策本部が会議の議事録を作成していなかったことが、NHKの情報公開の請求により明らかになったことなどがありました。
 また、番組では、阪神・淡路大震災の復興を経験した市役所職員や商店街の方たちが、東北の被災地を訪れ、被災者と共に悩みながら復興の課題に向き合う姿を追った、NHKスペシャル「阪神・淡路大震災17年 東北復興を支えたい 〜“後悔”を胸に〜」(1月17日放送)や、福島第一原発から放出された放射性物質による海洋等の汚染の現状を調査した、NHKスペシャル シリーズ原発危機「知られざる放射能汚染 〜海からの緊急報告〜」(1月15日放送)、および明治維新から昭和に至る日本人の近代思想の歩みを描く、Eテレの特集シリーズ「日本人は何を考えてきたのか」の第2回「自由民権 東北で始まる」(1月15日放送)などを中心に考査しました。
 考査の結果、これらの一連のニュース・番組は、放送法、国内番組基準に照らし、「妥当」であったと判断します。


(2)放送技術審議会委員の委嘱と任期途中の退任について
(永井技師長)
 放送技術審議会委員の委嘱と任期途中の退任について報告します。
 藤木完治氏(文部科学省文部科学審議官)に、平成24年2月1日付で新規委嘱しました。
 また、森口泰孝氏(前文部科学省文部科学審議官)は、本人の申し出により、任期途中の1月5日付で退任されました。


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成24年 2月21日
                     会 長  松 本 正 之

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