日本放送協会 理事会議事録  (平成24年 1月31日開催分)
平成24年 2月17日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成24年 1月31日(火) 午前9時00分〜9時25分

<出   席   者>
 松本会長、小野副会長、永井技師長、金田専務理事、大西理事、
 今井理事、塚田理事、吉国理事、冷水理事、新山理事、石田理事、
 木田理事
 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)平成23年度第3四半期業務報告
(2)「新型インフルエンザ対策のための法制のたたき台」に対する
    意見募集への対応について

2 報告事項
(1)平成24年度「地域実施全国放送公開番組」の実施について
(2)第87回放送記念日記念行事の実施について
(3)「第63回日本放送協会放送文化賞」の贈呈
(4)放送番組審議会議事録(資料)

議事経過

1 審議事項
(1)平成23年度第3四半期業務報告
(経営企画局)
 放送法第39条第3項に定める会長の職務の執行状況を、「平成23(2011)年度第3四半期業務報告」のとおり取りまとめましたので、審議をお願いします。
 まず、「今期の概況」として、経営2目標の1つ、「接触者率の向上」の達成に向けた取り組みについて説明します。
 23年11月に、全国接触者率調査、全国個人視聴率調査、放送評価調査の3つの調査を実施しました。接触者率については、放送と放送外を含めた全体リーチは76.7%で、全体として大きな変化はありませんでしたが、放送外リーチは1年前の調査に比べて6.7ポイント増え、27.9%となりました。録画再生だけでなく、公式のウェブサイトや、NHKがコンテンツを提供しているサイトなどの視聴も増えており、放送外リーチの増加傾向は続いています。総合テレビの週間接触者率は、火曜日午後10・11時台にドラマを2階建てにするなど、番組編成の新たな試みにより、女性の30・40代で増加傾向が見られました。また、「連続テレビ小説」は、2年連続で個人視聴率が増加しており、特に第3四半期からスタートした「カーネーション」は、世帯視聴率(ビデオリサーチ・関東)が連日20%を超えるなど、よく見られています。「あさイチ」の個人視聴率は、関東・関西で共に同時間帯のトップでした。「第62回NHK紅白歌合戦」も、第2部の世帯視聴率が41.6%と、4年続けて40%を超え、特に仙台地区や福島地区などで大変よく見られました。放送評価調査では、NHKへの「親しみ」が54%と、経営目標としている50%を超え、過去最高の水準を維持しています。
 次に、「受信料支払率の向上」の取り組みについての説明です。
 東日本大震災やアナログ放送終了に伴う受信契約の解約などの影響で、上半期は計画に遅れが出ましたが、第3四半期は、その早期挽回に力を入れました。放送受信契約総数は、年間累計で31.4万件の増加、衛星契約は年間累計で57.0万件の増加となりましたが、前年同期と比較すると、いずれも進捗状況は下回っています。特に衛星契約の増加は、アナログ放送終了の影響を考慮しても、前年度同期を下回る水準となっています。デジタル放送移行後の衛星放送普及の鈍化に対応するため、衛星契約の取次活動をはじめ、営業活動をさらに強化し、経営目標としている支払率75%の達成を目指します。
 最後に、「収支の概況」について説明します。
 23年12月末までの累計で、事業収入は5,241億円、事業支出は5,002億円となっています。予算執行の進捗率は、事業収入が75.7%、事業支出が72.6%で、事業収支差金は239億円と、順調に推移しています。
 受信料収入については、12月末までの累計で5,049億円と、前年度比で105億円の増収になっています。今後、年度末に向けて、契約増加に努め、受信料収入の増加に取り組むことで、今年度予算で見込んだ受信料収入6,680億円は確保できる見込みです。しかし、24年度から受信料の値下げを予定しており、財政基盤を一層強化する観点から、さらなる増収を図る必要があります。
 すでに「平成21〜23年度 NHK経営計画」の最後の四半期に入りました。この第4四半期は、「接触者率の向上」「受信料の支払率の向上」という経営2目標をはじめとする各目標の仕上げの期間として、最終的な達成を目指します。同時に、この3か年をしっかり総括し、新しい計画に着実に踏み出せるよう努めます。
 以上の内容が決定されれば、本日開催の第1159経営委員会に報告します。

(会 長)  原案どおり決定します。

(2) 「新型インフルエンザ対策のための法制のたたき台」に対する意見募集への対応について
(経営企画局)
 内閣官房新型インフルエンザ等対策室は、「新型インフルエンザの脅威から国民の生命および健康を保護し、国民生活及び国民経済の安定を確保する」ことを趣旨として、対策のための法案を作成し、今期の通常国会に提出することを目指しており、「新型インフルエンザ対策のための法制のたたき台(以下、「たたき台」)」を公表するとともに、1月31日まで意見募集を実施しています。
 これに対し、NHKとしての意見を提出することとしたいので、審議をお願いします。
 公表された「たたき台」は、法案の骨子をまとめたもので、「国・地方公共団体・指定(地方)公共機関のほか、事業者及び国民の責務を定める」として、国・地方公共団体は新型インフルエンザ対策に関する行動計画を作成・公表し、指定(地方)公共機関は同じく業務計画を作成することのほか、対策の実施体制、緊急事態への対応内容などが記載されています。
 それを受けて、NHKからは、以下のとおり意見を提出したいと思います。
 新型インフルエンザの発生・流行に際しては、NHKは、公共放送機関として放送を維持することにより、放送番組編集の自由のもと、自主的に、国民に必要な情報を迅速・的確に提供する考えです。したがって、法令、国の行動計画その他この法制により定められる放送事業者の採るべき対策については、指定公共機関としての対策かどうかにかかわらず、放送番組の編集に新たな制約を設け、または関係機関に放送番組の編集に関し要請・指示する権限を付与するようなものには反対です。放送番組に関する事項以外であっても、この法制に基づく新たな制約を設けるときは、それが放送事業者にとって過重なものとなったり、その業務遂行の障害になったりしないよう、当該機関の意見を十分に尊重し、慎重に検討を行うことが必要と考えます。
 以上の内容が決定されれば、本日、NHKの意見を内閣官房に提出します。

(会 長)  民放各社も意見を提出する予定なのですか。
(経営企画局)  内容等の詳細は分かりませんが、この意見募集に対して、日本民間放送連盟も意見を提出する予定と聞いています。
(冷水理事)  報道局も含め、局内の関係部局で意見交換を行いましたが、新型インフルエンザの発生や流行があった際には、公共放送としての使命を果たすよう、最大限の取り組みを行いますので、NHKとしての自主的な判断で対応することで、全く問題はないと思います。
(会 長)  原案どおり決定します。

2 報告事項
(1)平成24年度「地域実施全国放送公開番組」の実施について
(視聴者事業局)
 「地域実施全国放送公開番組」は、「NHKのど自慢」に代表されるように、演出上、視聴者の皆さまに参加や観覧をしていただき、公開で収録・放送を行う番組です。地域の活性化や文化振興に寄与するとともに、視聴者とのふれあいの場を全国で創出し、楽しんでもらいながらNHKへの理解促進につなげることを目的とした催しとして実施しています。主に地方自治体などとの共催により全国各地で実施しており、公共放送ならではの地域における事業活動として重要な役割を担っています。
 平成24年度「地域実施全国放送公開番組」については、「平成24〜26年度 NHK経営計画」に掲げた「東日本大震災からの復興支援」に基づき、被災3県に大型で人気の高い公開番組を優先的に配置したほか、ティーンズなど新たな視聴者層の拡大を目指して、若い世代対象の公開番組を充実させることを重点ポイントとしました。地方自治体からの開催の要望や視聴者のニーズも十分考慮したうえで、各地域放送局や本部の関係部局と綿密な協議を重ね、計画を策定しました。
 24年度の実施本数は801本で、受信料の値下げに伴い減収となる中、23年度とほぼ同様の本数を確保しました。質・量ともに、地域の視聴者の期待に十分応えられるものになったと考えています。
 新設番組を中心に、具体的な内容を説明します。
 全国の市民会館など各地域自治体施設で実施する公開番組については、総合テレビ90本、Eテレ63本、BSプレミアム41本、ラジオ第1およびFM放送453本の計647本実施します。総合テレビでは、「NHK歌謡コンサート」や「NHKのど自慢」など昨年実施の公開番組について、同じ本数を確保したのに加え、若い世代に人気の高い「ケータイ大喜利」を、地方で初めて開催します。Eテレでは、ティーンズ対象の「スクールライブショー」の内容をリニューアルして本数を増やすほか、クラシックの魅力をトークを交えて伝える「ららら♪クラシック」を新設、また「俳句王国」の本数を増やすなど、全体の実施本数を51本から63本へと増加させます。BSプレミアムでは、ファミリー向けの「ワンワンパッコロ!キャラともワールド〜みんなDEどーもくん!〜」を新設。大型で人気の高い「BS日本のうた」は、昨年度より3本増やして実施します。ラジオ第1およびFM放送では、「ふるさと自慢うた自慢」や「上方演芸会」は、放送時間の変更により年間放送本数が減ったことに伴い、実施本数も減っていますが、若い音楽家に焦点をあてた「リサイタル・ノヴァ」やクラシック音楽入門番組「ブラボー!オーケストラ」を新設することで、新たなファン層の拡大を目指します。
 また、東日本大震災の復興を支援するために、「NHK歌謡コンサート」を福島県で、「それいけ!民謡うた祭り」を宮城県で開催します。さらに、「NHKのど自慢」と「BS日本のうた」を福島県、岩手県、宮城県でそれぞれ開催し、被災地を応援します。
 そのほか、NHK大阪ホールや地域放送局のスタジオなどでも119本の公開番組を実施します。さらに、「歌謡チャリティーコンサート」、「おかあさんといっしょファミリーコンサート」、「いないいないばあっ!あつまれ!ワンワンわんだーらんど」などの有料のコンサート等も全国各地に派遣し、地域サービスに努めます。
 実施にあたっては、関係部局と連携を密にしながら、こうした公開番組が経営目標や経営課題に資するよう、一層、効果的に展開していきます。
 なお、この内容は2月2日の会長記者会見で発表する予定です。

(会 長)  24年度の公開番組の実施の重点は、どういうところに置いていますか。
(視聴者事業局)  東日本大震災の復興支援と、ティーンズを中心とした若者向け公開番組の充実の2点です。
(大西理事)  「NHKのど自慢」や歌番組は、特に年配の方々に楽しみにしていただいているので、被災地でそうした公開番組を実施することは、地域を元気にし、復興を支援することにつながると思います。また、「BS日本のうた」も地方での開催要望の高い公開番組ですので、24年度は実施本数をさらに3本増やすということで、期待しています。NHKでは、年間800本を超える公開番組を実施していますが、他の国の公共放送と比べても、実施本数は群を抜いているのではないかと思います。地方の小さな町では、大都市に比べてコンサートなどのイベントに参加する機会が少ないと思います。そうした土地に出向いて公開番組を実施し、地域の皆さまに楽しんでいただくことは、地域の活性化・文化振興にもつながる、公共放送としての大事な役割だと思います。

(2)第87回放送記念日記念行事の実施について
(総務局)
 第87回放送記念日記念行事を3月22日に実施します。
 記念式典には、例年と同様に、総務大臣、関係国会議員、総務省関係者、日本民間放送連盟の代表、関係機関・団体・企業の代表、日本放送協会放送文化賞受賞者、関係審議会委員、番組出演者等の方々、関係記者会会員ほかの皆さまをお招きする予定にしています。式典では、会長のあいさつに続いて、総務大臣をはじめ来賓の方々からごあいさつをいただき、その後、第63回日本放送協会放送文化賞贈呈式などを行う予定です。

(金田専務理事)  昨年度は東日本大震災のため記念式典を中止しましたが、放送文化賞の受賞者の方々には、どのように対応したのですか。
(総務局)  昨年度の受賞者の方々には、それぞれの推薦部局を通じて、表彰状とブロンズ像をお贈りしました。

(3)「第63回日本放送協会放送文化賞」の贈呈
(総務局)
 「第63回(平成23年度)日本放送協会放送文化賞」の贈呈について、報告します。
 この賞は、昭和24年度に放送開始25周年事業として創設したもので、放送事業の発展、放送文化の向上に功績のあった方々に贈呈しており、今回は6人の方にお贈りします。これまでの受賞者は、今回の6人を合わせて406人となります。
 受賞者の選考は、1月16日、小野副会長を委員長とし、海老澤敏(尚美学園大学大学院特別専任教授)、大石芳野(フォトジャーナリスト)、末松安晴(高柳記念財団理事長)、高階秀爾(大原美術館館長)、田部井淳子(登山家)、山折哲雄(宗教学者)の各氏と、副会長のほか6人の役員の計13人を委員とする日本放送協会放送文化賞受賞者選考委員会で行い、これを受けて翌日に、松本会長が受賞者を決定しました。受賞される方々は、3月1日に発表します。
 贈呈式は、3月22日の「第87回放送記念日記念式典」の中で執り行い、受賞者には、佐藤忠良氏製作のブロンズ像「ふたば」と副賞50万円を贈呈します。


(4)放送番組審議会議事録(資料)
(永井技師長)
 編成局および国際放送局から、中央放送番組審議会、国際放送番組審議会、全国の地方放送番組審議会(関東甲信越、近畿、中部、中国、九州、東北、北海道、四国)の平成23年12月開催分の議事録についての報告(注)。

注: 放送番組審議会の内容は、NHKホームページの「NHK経営情報」のなかに掲載しています。
以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成24年 2月14日
                     会 長  松 本 正 之

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