日本放送協会 理事会議事録  (平成22年11月 2日開催分)
平成22年11月26日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成22年11月 2日(火) 午前9時00分〜9時15分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、永井技師長、金田専務理事、日向専務理事、
 溝口理事、八幡理事、大西理事、今井理事、黒木理事、塚田理事、
 吉国理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1129回経営委員会付議事項について
(2)視聴者対応報告(平成22年9月)について

2 報告事項
(1)平成22年度「NHK歳末たすけあい」「NHK海外たすけあい」の
   実施について
(2)会計検査院の検査結果について
(3)放送番組審議会議事録(資料)


議事経過

1 審議事項
(1)第1129回経営委員会付議事項について
(経営企画局)
 11月9日に開催される第1129回経営委員会に付議する事項について、審議をお願いします。
 付議事項は、報告事項として「視聴者対応報告(平成22年9月)について」と「会計検査院の検査結果について」です。また、その他の事項として「平成22年秋季交渉について」と「平成23年度予算編成について」です。

(会 長)  原案どおり決定します。

(2)視聴者対応報告(平成22年9月)について
(視聴者事業局)
 放送法第12条に定める視聴者対応の状況について、平成22年9月分を以下のとおり取りまとめました。ついては、放送法第22条の2第3項の規定に基づき、11月9日開催の第1129回経営委員会に報告したいと思います。
 9月にNHKに寄せられた視聴者の声の総数は、37万7,899件でした。前月より1万8千件あまり減っています。内訳は、苦情を含む「意見・要望」が、7万8,640件(21%)、「問い合わせ」が、26万2,596件(69%)、「その他・不明」が、3万6,663件(10%)でした。苦情や要望などを含めた意見のうち、1次窓口で対応を完了した件数の割合は93%で、残りの7%は、該当部局に転送し2次対応しました。
 9月25日に今年度前半期の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」が終了し、翌週27日から後半期の連続テレビ小説「てっぱん」がスタートしました。それぞれの反響について報告します。
 まず、「てっぱん」です。番組を開始して1週間で435件の反響が寄せられました。同じ期間での反響数について前3作と比較すると、「ゲゲゲの女房」の482件には及びませんが、21年度後半期の「ウェルかめ」(238件)、同前半期の「つばさ」(400件)を上回っています。具体的な声としては、「『ゲゲゲの女房』がよかっただけに落差がないか心配していたが、面白そうで一安心。ヒロインもなかなか好感が持てる」などの好評意見がありました。
 番組で、視聴者からの指摘に対応した事例を紹介します。第1回の高校野球の応援シーンで、主人公が発した「ふくやま(相手校名)倒せ!」という声援に対し、「高校野球では、10年以上前から、相手をののしるような『○○倒せ』という応援は自粛するようにと高野連(日本高等学校野球連盟)が各校に呼びかけ、甲子園でも地方大会でも、すべての学校が守っている」という指摘が、複数の視聴者から寄せられました。関係各所に確認したところ、指摘のとおりでしたので、NHKオンデマンドでの配信や総集編の放送に向けて、このシーンの音声を差し替えることにしました。
 また、この番組のオープニングのタイトルバックでは、一風変わったダンスを人々が踊っています。これについて、当初、「どこの町の踊りか」、「自分も踊ってみたい。見本映像はどうしたら見られるのか」などの問い合わせが寄せられました。このダンスは、番組のテーマ要素のひとつであるお好み焼きの調理過程をイメージして、人気ダンス集団「コンドルズ」を主宰する近藤良平さんが振り付けたオリジナルのものです。視聴者の方々にも踊っていただき、その映像を公募して、オープニングの背景で紹介しています。現在、番組のホームページで、近藤さんによるダンスの「教則ビデオ」の新しいバージョンを掲載するとともに、ダンス映像の応募方法を告知しています。
 続いて、好評のうちに終了した「ゲゲゲの女房」の反響のまとめです。番組の平均世帯視聴率は18.6%、最終回の世帯視聴率は23.6%(いずれもビデオリサーチ関東)に達し、視聴者からの意見や問い合わせについても、放送期間中に8,200件を超える多くの声が、幅広い世代から寄せられました。特に、最終回が近づくにつれ、好評意見の割合が増え、終了を惜しむ声や、続編・総集編の放送を望む声が集中しました。
 この番組が好評だった理由を分析すると、男性にも広く共感を呼んだことが挙げられます。寄せられた声のうち、「楽しい・面白い」という意見の件数は、40代から70代以上の各世代で、すべて男性が女性を上回っています。仕事の合間に、あるいは録画するなどして、番組を見続けた男性が大勢いたことが、寄せられた声から伝わってきます。具体的には、「会社勤めながら、毎日昼休みに楽しく見た」、「今は失業中だが、この番組を見て勇気をもらった」などの声がありました。また、中高年の視聴者が実際に同時代を過ごしたころを描いたドラマだったことから、懐かしい思いでドラマを見続けたという声が多く寄せられるとともに、自身の記憶に照らして、セットや小道具に意見や指摘を述べる声も多数ありました。
 9月に放送番組全般に関して寄せられた意見・要望・問い合わせなどの反響総数は13万7,034件で、そのうち意見は5万4,229件、問い合わせは8万2,805件でした。反響が最も多かったのは、今年の大みそかに予定している「第61回NHK紅白歌合戦」で、放送までまだ3か月以上の時点にもかかわらず、観覧方法の問い合わせや、司会者・出演者等の人選についての意見や要望など、1,300件あまりの声が寄せられました。
 視聴者から寄せられた意見や要望への対応事例を紹介します。
 ラジオ第1で平日午前中に放送している「ラジオビタミン」では、リスナーの方から寄せられた日本各地の風景や天気の写真を、「お天気あっちこっち」というコーナーで紹介しています。番組では、ホームページ上に写真を掲載し、放送と同時にパソコンで見ていただきながら進行していますが、写真の掲載が複数のページにまたがっていることから、「放送で写真を紹介する際には、写真の通し番号だけでなく、何ページに掲載されているかも言ってほしい」という要望が複数寄せられました。そこで、9月27日の放送から、写真の掲載ページの番号と通し番号の両方を伝えて紹介するようにしたところ、すぐにリスナーから、「放送と同時進行でホームページの写真を探し、楽しむことができるようになった」という感謝のメールが届きました。
 9月3日放送の「あさイチ」で、金属アレルギーについて取り上げ、アクセサリーについて「金属アレルギーのある方は、ビーズなどをお使いください」と紹介したところ、「以前、ビーズのアクセサリーをつけたら皮膚が真っ赤になった。ビーズでも加工の際に金属が使われると聞いたことがある」という指摘がありました。確認したところ、ビーズをコーティングする際に金属を使うこともあり、その場合は金属アレルギーが起きることもあるとわかりました。そこで9月8日の同番組の中で、いただいた指摘を紹介し、ビーズでも注意が必要なことを伝えました。
 9月27日から29日にかけて、東京・世田谷区などにお住まいの視聴者の方々から「デジタル総合テレビが映らない」という苦情や問い合わせが相次いで寄せられました。NHKで調査したところ、ちょうどこの期間に、世田谷区内にあるNHK放送技術研究所から、ワンセグ放送の受信エリアを確認するための試験電波を発射していたことが原因と判明しました。試験電波の発射は国の免許を得て行ったものですが、一部のデジタルテレビにはチャンネル設定を自動で行う機能があり、試験電波をデジタル総合テレビの電波と誤って認識したため、自動でチャンネル設定を変更した結果、デジタル総合テレビだけが映らなくなったものと考えられます。NHKでは、影響を受けた視聴者の方々にチャンネルを再設定していただくようお願いするとともに、再設定が困難な方に向けては、ご家庭に出向いて対応しました。あわせて、放送技術研究所のホームページでおわびするとともに、今後の再発防止のための具体策を講じました。
 テロップなどの誤記や原稿などの誤読、事実関係の間違いなどについては、視聴者からの指摘に基づき確認した結果、9月は67件ありました。いただいた指摘については、番組担当者に連絡し放送の中で訂正するように努めるとともに、再発防止に向けて放送関係の部局に周知し、現場に注意を喚起しました。
 その一例を紹介します。9月22日の関東向け地域ニュース番組「首都圏ネットワーク」で、“中秋の名月”の中継の際、「今夜は十五夜の満月」と紹介したところ、「今夜は満月ではない。明日のはずだ」という指摘がありました。確認したところ、当日は旧暦の8月15日にあたり“中秋”でしたが、実際の月齢は“十四夜”で、満月は翌日の23日夜でした。いわゆる“中秋の名月”と満月は必ずしも同じ日であるとは限らず、指摘が正しいことがわかりました。
 放送受信料に関して、9月は18万0,455件の意見や問い合わせが寄せられました。このうち、コールセンター(営業)で受け付けた苦情や要望を含む意見は3,080件で、その内訳は、地域スタッフの訪問状況や説明不足等による苦情が1,392件、受信料制度や受信料額・料金体系への不満・不公平感が239件、事務手続きの遅れ等による苦情や問い合わせが156件となっています。改善に向けた取り組みとして、営業局では、お客様対応や事務手続きを適切に行うための研修会を全国的に実施しており、一部の研修会は、対象を営業職員だけでなく地域スタッフにも拡大して実施しました。こうした取り組みを通じて、今年度上半期の事務処理関係の苦情件数(976件)は、前年度同期(1,187件)と比べて約18%減少しました。
 最後に、地上デジタル放送への移行についての反響を報告します。7月から、アナログ放送のほぼすべての番組の画面がレターボックスサイズ(上下に黒い帯のような部分が出て映像が横長に映る画面)となりましたが、さらに、9月6日から関東地方では、アナログ総合テレビの画面下に出る黒い帯のような部分に、アナログ放送終了に関する告知スーパーを常時表示するようにしました。民放各社でも、同日から関東圏など50社で同様の告知スーパーを実施しています。これについて、「集中して番組が見られない」、「録画するとき邪魔だ」などの意見や苦情が、6日から9月末までに545件寄せられました。このうち6日から12日までの1週間で457件寄せられ、その後は1日平均5件以下に減っています。寄せられた声に対しては、「NHKでは、総務省の地デジコールセンターが開いている時間帯(平日9時〜21時、土日祝9時〜18時)で常時スーパーを行っています。アナログ放送をご覧になっている視聴者の方に、ご覧になっている放送がアナログ放送でありデジタル放送への移行を早めに行っていただくことをお願いする意味から、ご不快な点があるものの、アナログ放送画面の一部を利用してあえてお知らせをしています。いただいたご意見につきましては、今後のお知らせ方法などの検討の参考にさせていただきます」と、NHKの考え方を説明しています。

(会 長)  原案どおり決定し、次回の経営委員会に報告します。

2 報告事項
(1)平成22年度「NHK歳末たすけあい」「NHK海外たすけあい」の
   実施について
(視聴者事業局)
 平成22年度の「NHK歳末たすけあい」と「NHK海外たすけあい」の実施について、報告します。
 NHKおよびNHK厚生文化事業団では、公共放送として社会福祉の向上と国際相互理解の促進に資するため、例年、中央共同募金会と「NHK歳末たすけあい」を、日本赤十字社と「NHK海外たすけあい」を、それぞれ共催で実施しています。実施期間の12月1日から12月25日まで、NHKの各放送局、共同募金会、日本赤十字社、取り扱い標示のある金融機関などで義援金を受け付けます。「NHK歳末たすけあい」に寄せられた義援金は、中央共同募金会を通じて、体の不自由な方や介護を必要とするお年寄りなど、国内の援助を必要とする人々や福祉施設などの支援に、「NHK海外たすけあい」に寄せられた義援金は、日本赤十字社を通じて、世界各地の紛争や自然災害に苦しむ人々の救済などに使われます。
 今年度は、国際放送と総合テレビで放送中の音楽番組「J−MELO」の司会者でもある歌手のMay J.さんに、「たすけあい」のシンボルキャラクターを務めていただきます。May J.さんは、国際的な協力活動や支援活動に理解が深く、若者層からの支持も高いことからお願いするものです。また、イメージソングとして、松尾潔さんが作詞し久保田利伸さんが作曲した「Together(仮)」をMay J.さんに歌っていただき、関連番組やイベントのBGMとして使用します。
 今年度の「たすけあい」関連イベントとして、11月21日日曜日の午後2時から東京・秋葉原で、「あなたのやさしさを 2010」を開催します。司会のMay J.さんをはじめ「たすけあい」に理解の深い出演者によるステージショーを通じて、若い世代を中心に、たすけあいや思いやりの心の大切さを伝え、義援金への協力を呼びかけます。このイベントは2部構成で、その第1部の模様は、関連特別番組「あなたのやさしさを 2010」として、11月28日日曜日の午前10時50分から総合テレビで放送します。
 また、福地会長が出演しての主催者あいさつとして、12月1日には「きょうからNHK歳末・海外たすけあい」を、12月25日には「NHK歳末・海外たすけあいを終わって」を、それぞれ総合テレビと衛星第2、ラジオ第1で放送します。May J.さんや、政治学者の姜尚中さん、歌舞伎役者の坂東玉三郎さん、女優の松下奈緒さんほかの著名人が募金を呼びかけるスポットや、義援金の使われ方を紹介するスポットも随時放送し、視聴者の皆さまに協力を呼びかけます。
 そのほか、12月1日には、受け付け開始のセレモニーとして、東京・渋谷の放送センター正面玄関で、練馬区の幼稚園で集められた義援金を、園児の皆さんからMay J.さんに渡していただくことにしています。


(2)会計検査院の検査結果について
(経理局)
 会計検査院による平成21年度決算検査が終了し、10月28日、NHKに対し、「事業所との受信契約の取次ぎ・収納等に係る業務委託契約」について意見表示がありました。その概要について報告します。
 NHKでは、「平成21〜23年度 NHK経営計画」に基づき、受信料の支払率向上に向けて、ホテル・旅館組合等の業界団体に対し、平成21年4月から契約・収納業務の業務委託を実施しています。
 これについて、契約開始1年目の21年度末は、51の旅館組合等の業界団体のうち、組合員の参加率が指標の60%を上回っている団体が2つの団体にとどまっており、また、各団体による契約取次も十分とは言えないということです。
 こうしたことから、この業務委託契約について、参加率のいっそうの向上を促すよう、業界団体との緊密な連携を図るとともに、契約内容の見直しを検討するなどして、受信契約の促進および受信料の公平負担の徹底という目的に対していっそう有効に機能するものとなるよう、意見が表示されたものです。
 NHKの平成21年度業務についての検査状況は、財務諸表および関連書類の書面検査にあたって、684件、2万8,784枚の証拠書類を、計算証明規則に基づき提出しました。また、21年11月から22年7月の期間に、本部(2回)および13局所が実地検査を受けました。実地検査を実施した人員は延べ219人日になります。
 以上については、11月9日開催の第1129回経営委員会に報告事項として提出します。


(3)放送番組審議会議事録(資料)
 編成局および国際放送局から、中央放送番組審議会、国際放送番組審議会、全国の地方放送番組審議会(関東甲信越、近畿、中部、中国、九州、東北、北海道、四国)の平成22年9月開催分の議事録についての報告(注)。
 注:放送番組審議会の内容は、NHKホームページの「NHK経営情報」のなかに掲載しています。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成22年11月24日
                     会 長  福 地 茂 雄

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