日本放送協会 理事会議事録  (平成22年 7月20日開催分)
平成22年 8月27日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成22年 7月20日(火) 午前9時00分〜9時45分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、永井技師長、金田専務理事、日向専務理事、
 溝口理事、八幡理事、今井理事、黒木理事、塚田理事、吉国理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1123回経営委員会付議事項について
(2)財団法人放送番組センターへの出捐について
(3)視聴者対応報告(平成22年6月)について

2 報告事項
(1)「放送局のちから」活動報告(平成22年6月)
(2)契約・収納活動の状況(平成22年6月末)
(3)平成21年度における随意契約見直し計画のフォローアップの策定・
   公表について
(4)平成21年度NHKと関連団体との取引の評価・公表について

議事経過

1 審議事項
(1)第1123回経営委員会付議事項について
(経営企画局)
 7月27日に開催される第1123回経営委員会に付議する事項について、審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「財団法人放送番組センターへの出捐(しゅつえん)について」です。また、報告事項として、「平成22年度第1四半期業務報告」、「契約・収納活動の状況(平成22年6月末)」、「視聴者対応報告(平成22年6月)について」、「平成21年度における随意契約見直し計画のフォローアップの策定・公表について」、「平成21年度NHKと関連団体との取引の評価・公表について」、および「地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について」です。

(会 長)   原案どおり決定します。


(2)財団法人放送番組センターへの出捐について
(関連事業局)
 財団法人放送番組センターへの出捐(しゅつえん)について、審議をお願いします。
 放送番組センターは、昭和43年に設立されて以来、NHKと民放の出捐によって、地方民放局等に良質な番組ソフトを調達・供給する「番組調達供給事業」を行うとともに、平成3年度以降は、放送番組を収集・保管して来館者等に視聴してもらう「放送番組ライブラリー事業」を実施してきました。このうち番組調達供給事業については、事業環境の変化に伴いその役割を終えたと判断し、平成20年度末に廃止となりましたが、放送番組ライブラリー事業は、放送番組を文化資産として保存し一般公開することに重要な意義があり、事業を継続しています。
 しかし、近年の低金利により財団の基金運用益だけでは事業運営がきわめて困難になっていることから、NHKは民放とともに放送番組センターの要請に応じて、平成17年度から放送番組ライブラリー事業に対し出捐してきました。放送番組センターでは、放送番組ライブラリー事業の事業規模の上限を3億6,500万円とし、NHKと民放を合わせた出捐額の上限を2億3,100万円と想定しています。
 以上の経緯を踏まえて、平成22年度は、NHKから8,085万円を出捐したいと思います。出捐の時期は9月を予定しています。
 出捐にあたっては、放送法第9条第10項の規定に基づき総務大臣の認可が必要ですので、本議案が了承されれば、7月27日開催の第1123回経営委員会に議決事項として提出し、経営委員会の議決を得たうえで、総務大臣に認可を申請します。

(会 長)  原案どおり了承し、次回の経営委員会に諮ることとします。


(3)視聴者対応報告(平成22年6月)について
(視聴者事業局)
 放送法第12条に定める視聴者対応の状況について、平成22年6月分を以下のとおり取りまとめました。ついては、放送法第22条の2第3項の規定に基づき、7月27日開催の第1123回経営委員会に報告したいと思います。
 6月にNHKに寄せられた視聴者の声の総数は、42万6,557件で、前月から5万4,000件余り増えました。分野別では、「放送番組」への反響が15万2,112件で、平成20年4月に「視聴者対応報告」を取りまとめるようにして以来、初めて15万件を超えました。これは、大相撲の賭博問題とそれに伴い名古屋場所の中継を中止したことや、「2010FIFAワールドカップ」の放送について、非常に多くの反響が寄せられたことによります。
 大相撲の問題に対する反響について報告します。この件に関して、当時の大関・琴光喜関が日本相撲協会の調査に対し野球賭博への関与を認めていたというニュースを伝えた6月14日から、名古屋場所初日の7月11日までの期間に寄せられた反響総数は、2万7,093件にのぼりました。6月14日のニュース以降、視聴者から大相撲に関するさまざまな意見が寄せられるようになり、その後、当時の大嶽親方が賭博への関与を認めたり、元力士が逮捕されたり、日本相撲協会の特別調査委員会が名古屋場所開催の条件として厳しい勧告を出したりするたびに、寄せられる声が増えました。福地会長が記者会見で名古屋場所の中継中止を発表した7月6日には、1日で4,400件余りの反響が寄せられました。7月6日に中継の中止を発表するまでは、NHKが名古屋場所を中継することに反対の声が圧倒的に多かったのですが、中止を発表した後は、中継を要望する声の件数が中止支持の声をやや上回っています。
 一連の経緯を追いながら、その時々の反響の動向を紹介します。
 6月14日に元琴光喜関が賭博への関与を認めたことが判明したというニュースを報じた直後は、関連のニュースの取り上げ方についての意見が寄せられていましたが、元大嶽親方が賭博への関与を認めた18日ごろから、大相撲の中継の是非に言及した意見が目立つようになりました。
 21日に日本相撲協会が臨時理事会を開き、外部の有識者による特別調査委員会を設置しました。この週に入って、寄せられる反響は毎日500件を超えるようになりました。23日には、NHK放送総局長が会見で、大相撲について「中継をやめるということも選択肢のひとつとして検討している」と発言し、翌日の24日には初めて1日で1,000件を超える反響が寄せられました。
 27日、特別調査委員会が名古屋場所開催の条件を勧告し、翌28日、日本相撲協会は勧告を受け入れて名古屋場所の開催を決定しました。このころは寄せられる声が、28日に約1,900件、29日に約2,700件とさらに増加し、その内容は、NHKが大相撲を中継すべきかどうかに集中しました。名古屋場所の開催が決定した28日からNHKが中継中止を発表する前日の7月5日までの期間に寄せられた声の9割が、中継の賛否に言及していました。
 7月4日、日本相撲協会は野球賭博にかかわった親方や力士に解雇などの処分を下しました。6日、NHKは、福地会長が記者会見で、名古屋場所の中継をせず、取組終了後にダイジェスト版で放送することを発表しました。この会見以降、中継を行ってほしいという要望が、中継中止を支持する声を上回るようになりました。また、ダイジェスト版を放送することについても賛否両論が寄せられました。
 名古屋場所初日の11日、NHKは大相撲の中継を行わず、夕方6時のニュースで、初日を迎えた場所の表情などを伝えた後、午後6時10分から30分間、総合テレビと衛星第2で幕内の全取組をダイジェスト版で放送しました。放送を見た視聴者から、ダイジェスト版への賛否両論が寄せられるとともに、あらためて中継を希望する声もありました。
 反響全体を分析すると、年代別で反響が最も多かったのは60代、次いで70代以上でした。どの年代も中継に反対する声のほうが中継を要望する声より多くなっています。中継を要望する声は、性別では女性、年代別では70代以上から多く寄せられました。
 なお、7月6日に中継の中止を決定した際、会長会見で示した見解は次のとおりです。
 「7月11日から始まる大相撲名古屋場所の中継放送について、きょう、日本相撲協会から村山理事長代行はじめ幹部の方がお見えになりました。お話を承って役員一同協議した結果、今回は中継をしないということを決めました。
 ただ、熱心な相撲ファンからはぜひ取り組みを見たいという多くの声をいただいています。
 また、きょう、村山理事長代行から、これからの相撲協会内部の改革に向けて取り組むという大変熱心なお話もございました。
 そういうことを考えて、NHKでは、ダイジェストという形で放送することにしました。ただしこれは取り組みが終わった後で、いまのところ、午後6時台にダイジェストという形で放送することにしています。
 NHKは、今回の野球賭博問題について、大相撲の根幹に関わるもので、反社会的な勢力である暴力団との関与も指摘されるなど、極めて重大で遺憾な事態だと考えています。社会的にも大きな反響があり、視聴者の皆さまからは、連日たいへん厳しい意見が寄せられています。
 こうした中で、NHKは、きょう日本相撲協会から、これまでの報告を受けました。
 相撲協会の処分は調査委員会の『勧告』を受け入れたたいへん厳しい内容でした。また暴力団排除など今後の再発防止のための『ガバナンスに関する委員会』を立ち上げることもわかりましたが、委員会のメンバーや改革の方向性などについては、現時点では具体的な道筋はまだ見えていません。
 一方、視聴者からは連日たいへん厳しい意見が寄せられています。寄せられた意見の6割以上が『大相撲中継は中止すべきだ』という声でした。かつてない厳しいものであると受け止めています。もちろん大相撲中継を楽しみにしていらっしゃる方からの意見もたくさんいただいています。
 NHKとしては、こうした状況を踏まえて総合的かつ慎重に検討して決定したものです。
 視聴者の皆様にはご理解のほどよろしくお願い申し上げたいと思います。
 NHKとしては、日本相撲協会が『100年に一度の危機』という緊張感を持って、まったなしの改革に取り組むことを強く要望します。とりわけ、『ガバナンスに関する委員会』が早急に具体的な改革案を取りまとめることを希望します。」
 このコメントは、NHKのホームページにも掲載しています。
 続いて、「2010FIFAワールドカップ」南アフリカ大会への反響について報告します。ワールドカップの大会期間中(6月11日〜7月11日)に寄せられた問い合わせや意見・要望は、9,383件でした。今回は日本代表が決勝トーナメントに進んだこともあり、前回2006(平成18)年のドイツ大会に比べて約1.5倍の件数となっています。年代別に見ると30代以上のすべての年代で前回大会の1.5〜2倍の反響があり、構成比では60〜70代以上の高齢者層の割合がやや増えました。
 このうち、6月14日に放送した「日本」対「カメルーン」戦の中継に、最も多い2,000件を超える反響がありました。これは、試合後に選手へのインタビューを中継している際に、デジタル放送の音声が一部の地域で途絶えてしまう事故があり、それに対する問い合わせや苦情が集中したものです。
 反響の内容を見ると、日本代表の試合や決勝戦の中継のほか、韓国代表の試合中継にも多くの声が寄せられました。また、試合中継がなかった3位決定戦についても、放送の有無の問い合わせや放送してほしいという要望が多く寄せられました。具体的な内容をいくつか紹介すると、試合中継の編成について、大会後半に早朝の試合が延長になり、中継が途中から教育テレビに移ったことに対して、録画を失敗したという苦情や、以降の試合の途中で放送波を変更する可能性の問い合わせが寄せられました。また、解説・アナウンスについて、「ウルグアイ」対「韓国」戦の中継で、韓国寄りの立場に立った実況やゲストのコメントに対し、両者を公平に扱うべきだとの意見がありました。
 ワールドカップ関連で、視聴者からの要望に応えて対応した例を紹介します。応援席で鳴り響く南アフリカの民族楽器“ブブゼラ”の、虫の羽音のような音がうるさいという不評意見が多数寄せられたため、6月14日の中継から特定の周波数の音量を調整できる装置を使ってブブゼラの音量をできるだけ抑える措置をとるとともに、18日の中継からは、ノイズを除去する装置により実況音をより聞きやすくしました。こうした対応により、19日以降はブブゼラの音への苦情はかなり少なくなりました。
 以下は、通常の番組等に対して寄せられた反響やその対応についての報告です。
 6月に放送番組に寄せられた反響で目立ったのは、料理のレシピや食材の購入先の問い合わせでした。6月2日の「あさイチ」で、簡単な梅料理や極上の梅酒の作り方などを紹介したコーナーに2,000件を超える問い合わせや再放送希望が寄せられたほか、同じ番組内で放送した、らっきょう漬けのコーナーにも多くの反響がありました。また、6月13日の「産地発!たべもの一直線」で取り上げた河内晩柑(かわちばんかん)にも900件を超える問い合わせが寄せられました。
 視聴者から寄せられた指摘の中で、特徴的だった事例を紹介します。「生中継ふるさと一番!」(6月7日放送)で、鳥取県湯梨浜町の東郷池からシジミ漁の中継を行いましたが、視聴者から、ボートに乗った出演者が救命胴衣を着けておらず法律に違反しているという指摘がありました。番組を担当した鳥取放送局に確認したところ、出演者や撮影スタッフの全員が、国の認証を受けた腰巻型のライフジャケットを装着していました。ふだんはウエストポーチのような形をしており、水につかると膨らむ仕組みになっているため、画面では目立たなかったものです。また、「ニュースウオッチ9」で、車の助手席に乗ったリポーターがシートベルトをしていないように見えたという指摘もありました。映像を確認したところ、画面では見えにくかったのですが、ベルトをきちんと装着していたことがわかりました。いずれの例も安全対策に問題はありませんでしたが、視聴者がこうした点にも関心を持って番組を見ていることを示す指摘でした。
 テロップなどの誤記や原稿などの誤読については、視聴者からの指摘に基づき確認した結果、70件の表記のミスや読み間違いなどがありました。いただいた指摘については、番組担当者に連絡し放送の中で訂正するように努めるとともに、再発防止に向けて放送関係の部局に周知し、現場に注意を喚起しました。誤読の中には、「一段落」を「いちだんらく」ではなく「ひとだんらく」と読んだことへの指摘が今回もあり、重ねて注意喚起しました。
 視聴者から指摘があった誤りの例を紹介します。教育テレビの「見えるぞ!ニッポン」(6月29日放送)で、鳥取砂丘について“日本最大の砂丘”と紹介したところ、日本最大の砂丘は、自衛隊の演習地となっているため一般の人が入れずあまり知られていないものの青森県下北半島にあるので、鳥取砂丘のことは“日本最大級”と言うべきであるとの指摘がありました。指摘のとおりなので、再放送では“日本最大級”と修正しました。また、別の指摘により、同番組のホームページで鳥取県と島根県の位置を取り違えていたことがわかり、訂正しました。

(会 長)   原案どおり決定し、次回の経営委員会に報告します。


2 報告事項
(1)「放送局のちから」活動報告(平成22年6月)
(視聴者事業局)
 受信料支払率向上と接触者率向上の経営2目標の達成に向けた「放送局のちから」活動について、平成22年6月分を報告します。
 6月には、全国の放送局から157件の活動報告が集まりました。そのうち27件が、「2010FIFAワールドカップ」に連動した活動でした。そうしたワールドカップ関連の取り組み事例をいくつか紹介します。
 まず、地域の皆さまと一緒になってパブリックビューイングを開催した事例です。静岡放送局では、藤枝市との共催で6月19日の「日本」対「オランダ」戦の模様をパブリックビューイングで伝えるとともに、地元出身の元Jリーガー・安永聡太郎氏のトークショーも実施し、4,500人が参加しました。松山放送局では、同じく「日本」対「オランダ」戦のパブリックビューイングを、地元のJ2チーム・愛媛FCの監督や選手のトークとあわせて実施し、800人が参加、参加者とのふれあいミーティングも行いました。鹿児島放送局では、6月14日の「日本」対「カメルーン」戦と、19日の「日本」対「オランダ」戦の2回実施し、合計600人が参加しました。会場では、日本代表の遠藤保仁、松井大輔両選手の母校である鹿児島実業高校サッカー部の松澤隆司総監督と、遠藤選手の実兄で元オリンピック代表の遠藤彰弘氏の解説により、参加者に楽しんでいただきました。ほかに、釧路、水戸、さいたま、長野、岡山、山口、徳島の各放送局でも同様に実施しています。
 大分県日田市中津江村は、2002(平成14)年のワールドカップ日韓大会で、カメルーン代表チームのキャンプ地として、選手と地域住民の心温まる交流が話題となり、全国の注目を集めました。その後も地域の人々は、カメルーンを熱心に応援し続けてきました。そこで、大分放送局では、村がサッカーを通じて盛り上がっている様子を伝えようと、日本とカメルーンが対戦した6月14日、人々が村内の観光施設に集まって両国を応援している様子を、夕方の地域ニュース番組で九州ブロック向けに中継しました。あわせて、地上デジタル放送の相談コーナーを村内2か所に開設し、地デジ受信の相談を受け付けながら地域の皆さまとの交流を図りました。
 茨城県は、J1リーグの鹿島アントラーズとJ2リーグの水戸ホーリーホックの2つのプロチームがあり、サッカーが盛んです。そこで、水戸放送局では、今年3月から6月まで毎月10日間、放送会館のロビーで「いばらきJコレクション」と題したサッカー関連の展示を実施し、延べ2,100人の来場がありました。その一環として6月12日には、アントラーズのスタジアムDJを務めるダニー石尾氏のトークショーとあわせたふれあいミーティングを開催、20〜30代を中心に60人の方が参加しました。さらに、「日本」対「オランダ」戦が行われた6月19日には、水戸市内の広場で午前10時から午後10時30分までに及ぶイベント「みとまちなかサッカーフェス2010」を開催、試合のパブリックビューイングのほか、Jリーガーとの写真撮影やミニゲームなどにより4,000人の方々に楽しんでいただくとともに、地デジ周知の催しも実施しました。一連の取り組みを通じて延べ6,100人の県民の方とふれあったことになります。
 本部の編成局では、ワールドカップにあわせてBSハイビジョンとデジタル総合、ワンセグ総合で、データ放送での情報発信を行いました。さらに、データ放送の「最新情報」と「試合経過」の情報を自動的にツイッターで配信、特に日本代表の対戦は、試合の流れに応じてゴールやイエローカード、選手交代などの情報をツイッター専用にきめ細かく提供しました。こうした取り組みにより、NHKのツイッターによるワールドカップ情報のフォロワー数は9,000人となりました。また、ビデオリサーチ社の調査では、NHKのワールドカップ関連データ放送の満足度は76%でした。ワンセグでは、平日に試合のあった「日本」対「カメルーン」戦のアクセスが、18万ページビューあり、期間全体の4分の1のアクセスが集中しました。
 6月の157件の活動報告について、その取り組み内容を、「地域・社会貢献」、「視聴者層拡大」、「地デジ普及促進」、「3−Screens展開」、「受信料支払率の向上」、「その他」の6種類に分類すると、「地域・社会貢献」が最多の87件あり、「地デジ普及促進」が27件で続いています。第1四半期の累計では469件の活動が報告されましたが、四半期全体でも同様の取り組み内容の傾向が見られます。
 各放送局の取り組みをいくつか紹介します。
 岐阜放送局では、昼前の地域情報番組の中で、県内各地の祭りやイベントの情報を地域の人々が直接出演して紹介する、「みのひだ伝言板」というコーナーを放送しています。通常は、出演する地域の方に放送局に来ていただいて収録・放送していますが、7〜8月に養老町で開催される「納涼滝まつり」の紹介(6月29日)に際しては、営業部の提案により営業職員がカメラマンとなって、現地に赴きロケを実施しました。それにあわせて地元のホテル・旅館等との協力関係を強め、受信料支払率の向上につなげました。
 和歌山放送局では、県の教育委員会と連携して、県内474の小・中・高等学校を対象に、NHK番組の教育現場での活用状況や教師のニーズを調査しました。その結果、教育現場では学校放送以外の一般番組や地域のニュースの利用度が高いことや、一方で、自身で録画した番組は教育現場で自由に使用できることがあまり知られていないことなどがわかりました。同局では、調査結果を受けて、6月1日からホームページに「ティーチャーズサポート」サイトを立ち上げ、教育現場での番組活用のいっそうの促進をめざしています。
 平成21年度、沖縄放送局と盛岡放送局では、歌やコントなどのステージショーを通じて地デジ受信の方法や課題、その解決策を紹介するイベント「地デジ☆笑タイム」を開催し、地デジの普及促進に効果を上げました。それに続いてこの6月には、本部の各部局が連携して東京都23区内(18日、渋谷区)と多摩地区(26日、昭島市)で同様に開催し、それぞれの地域の課題と対応について、ステージショーと、あわせて設けた相談コーナーで伝えました。両会場あわせて2,400人の参加者のうち2割にあたる500人の方に地デジ相談コーナーを利用いただきました。
 続いて、ふれあいミーティングについて報告します。6月のふれあいミーティングは全国で118回開催し、3,566人の方が参加しました。第1四半期の累計では424回開催、参加者数1万0,648人となっています。
 そのうち、甲府放送局では、平成24年に放送会館をJR甲府駅近くに移転することから、“新放送会館に期待すること”をテーマに地元の方々の意見や要望を伺うふれあいミーティングを継続して開催しています。6月は、19日に甲府市でラジオ第1「文芸選評」の、20日に富士川町で同「歌の日曜散歩」の公開放送を実施したのにあわせて、それぞれの会場で開催しました。甲府市では「駅前に移転すれば来館の機会が増えるので、ギャラリーやアーカイブスなど使いやすい会館を望む」という意見が、富士川町では「電車ですぐ行けるので、イベント情報などを早めに知らせてほしい」という要望が、参加者から出されました。
 視聴者からの意見や要望などに基づく業務の改善について報告します。6月は、全国の放送局から76件の改善事例が報告されました。第1四半期の累計では221件で、3−Screens展開に関連したホームページやデータ放送の改善や、地デジ普及促進のための情報に関する改善が目立っています。
 そのうち、沖縄放送局では、毎年6月23日の「沖縄慰霊の日」に行われる「沖縄全戦没者追悼式」の中継を続けており、平成20年からは全国放送していますが、これまで正午から1分間行われる黙とうは、ちょうど時報と正午のニュースの開始部分にあたるため、中継することができませんでした。県民から「画面の前で参列者とともに祈りたい」と黙とうの中継を望む声が寄せられ続けたことから、今年の放送では、デジタル放送のマルチ編成を使って、沖縄県向けにデジタル総合のサブチャンネルで黙とうの様子を中継しました。サブチャンネルへの切り替え方は、テレビやラジオ、沖縄放送局のホームページでお知らせしました。
 また、本部の放送技術局では、ワールドカップの中継で、大量の虫の羽音のように応援席から大きく鳴り響く南アフリカの民族楽器“ブブゼラ”の音に対し、視聴者から「耳障りだ」、「気分が悪くなる」などの苦情が相次いだことを受けて、ブブゼラの音声を軽減する対策をとりました。6月14日の中継から、競技場の音声に含まれるブブゼラの周波数の音量を調整して10分の1程度に下げ、さらに18日の中継からは、実況マイクに入ってくるブブゼラの音を除去する措置をとって、実況の音声がより明りょうになるようにしました。こうした対策により、ブブゼラの音への苦情はほとんどなくなりました。
 最後に、NHKネットクラブについての報告です。6月末のNHKネットクラブ会員数は、69万7,282人となっています。
 4月分の活動報告で紹介したとおり、「おかあさんといっしょ」で子どもたちが出演するスタジオ収録への参加について、今年度からNHKネットクラブのプレミアム会員(受信料をお支払いいただいている会員)に限定して募集するようにしたところ、4月・5月の参加募集にあわせて新規の放送受信契約や、受信料支払いを拒否していたお客様の支払い再開、契約者の住所変更の届出が相次いでおり、効果が現れています。
 また、衛星第2とワンセグ向けに放送しているNHKネットクラブの連動番組「SHIBUYA DEEP A」では、番組会員向けのサービスとして、番組出演者による携帯端末用のオリジナル着信ボイスのダウンロードサービスを開始したところ、1週間の期間限定で2,634件のダウンロードがありました。

(会 長) ふれあいミーティングや、視聴者の意見・要望などに基づく業
     務の改善について、放送局別の実施件数を見ると、活発に実施し
     ている放送局がある一方で、第1四半期を終えていまだ実施が0
     件の放送局もあり、活動にばらつきが見られます。視聴者目線の
     事業運営にあたっては、こうしたふれあい活動がとても大切です
     ので、視聴者事業局が目配りし、遅れが見られる放送局には他局
     の事例を紹介して参考にさせるなど、活動が全国もれなく活発に
     なるよう、推進していってください。

(2)契約・収納活動の状況(平成22年6月末)
(営業局)
 平成22年6月末の契約・収納活動の状況について報告します。
 まず、放送受信契約総数の増加状況です。6月は、これまであまり訪問できなかった地域や遠隔地などの受信契約の取次に取り組みました。その結果、月間の増加数は1.9万件で、前年度同月を1.8万件上回りました。6月末の年度累計増加数は、12.7万件(年度目標に対する進ちょく率36.4%)になりました。また、障害者免除や公的扶助受給世帯の増加による有料契約から全額免除への変更は、月間で1.7万件、累計で4.5万件となり、前年度同月と比較して月間では4千件、累計では7千件上回っています。引き続き今後の動向を注視する必要があります。
 衛星契約増加については、「2010FIFAワールドカップ」に連動した集中対策に取り組むとともに、電器店などとの連携を強化した結果、6月の増加は7.0万件、年度累計増加数は21.0万件(年度目標に対する進ちょく率32.2%)となりました。いずれも、前年度同月を2万件余り上回っています。
 6月の当年度の収納額は506億円で、前年度同月を6.4億円上回りました。年度累計では1,547億円で、対前年度増減額は30.5億円の増収となりました。
 前年度受信料の回収額実績は年度累計36.2億円で、前年度同月と比較して0.8億円下回っていますが、前々年度以前受信料の回収額実績は、累計11.8億円となり、前年度同月を5.7億円上回りました。
 この内容は、7月27日開催の第1123回経営委員会にも報告します。


(3)平成21年度における随意契約見直し計画のフォローアップの策定・
   公表について
(経理局)
 平成21年度における随意契約見直し計画のフォローアップの策定・公表について報告します。
 NHKが行う取引における随意契約については、総務省の協力要請も踏まえたうえでNHKの自主的な取り組みとして、20年度に「随意契約の見直し計画」(以下、「見直し計画」)を策定・公表し、「平成21〜23年度 NHK経営計画」にもその内容を取り込んで、競争化を進めています。本報告は、見直し計画に基づく毎年度の進ちょく状況に関して、総務省の協力要請も踏まえ、「随意契約見直し計画のフォローアップ」をNHKが自主的に策定・公表することとしているものです。
 見直し計画の対象となる取引は、NHKと関連団体およびそれ以外の一般の事業者との取引全体ですが、番組制作関係の業務委託と放送権・著作権・出演等の契約は対象外としています。見直しの基準年度としている18年度は、競争性のない随意契約が942億円あり、対象となる取引全体(1,883億円)の50.0%となっていました。見直し計画では、この割合を25年度に37.0%に引き下げることとしています。
 21年度は、競争契約の推進に取り組んだ結果、随意契約の割合は43%になり、18年度に対して7ポイント低下しています。前年度(20年度)は44.6%(18年度に対して5.4ポイント低下)でしたので、随意契約の見直しは順調に推移しています。
 21年度に随意契約から競争入札等の競争性のある契約に移行したおもな取引を挙げると、一般競争入札に移行したものでは、受信契約取次業務および受信料収納業務(2.5億円)、指名競争入札に移行したものでは、東京・放送センターの電力需給契約(10.7億円)があります。これらは前年度から継続して移行してきたものです。また、企画競争に移行したおもな契約としては、名古屋放送局の放送センタービル管理業務委託(2.4億円)や東京・放送センターのフロント業務(0.6億円)などがあります。公募に移行したおもな契約としては、共同受信施設の緊急故障修理・点検調査等の保守業務(8.9億円)があります。なお、一般競争入札を増やすことを経理局の最重要課題として取り組んできた結果、21年度の一般競争入札は55件となり、前年度の8件から大幅に増えました。
 22年度も引き続き競争契約の推進に取り組み、25年度の計画達成を図りたいと考えています。
 以上の内容は、7月27日開催の第1123回経営委員会に報告した後、速やかにNHKのホームページで公表します。


(4)平成21年度NHKと関連団体との取引の評価・公表について
(経理局)
 NHKでは平成14年度分から、関連団体運営基準第23条に基づき、NHKと関連団体との一定規模以上の取引について、毎年度その取引が適正に行われているかの評価を取りまとめて理事会および経営委員会に報告するとともに、ホームページで公表しています。
 評価・公表の対象となるのは、金額の規模が経理規程の少額随意契約の基準を超える取引、具体的には、工事または製造の契約については250万円、財産の買い入れは160万円、物件の借り入れは80万円、その他の役務は100万円を超える取引です。
 これに基づき、平成21年度のNHKと関連団体との取引について取りまとめましたので、報告します。
 21年度の評価・公表の対象となる取引(以下、「取引」)は、1,794件、総額1,483億円でした。関連団体との取引については、「平成21〜23年度 NHK経営計画」で競争を拡大していくこととしており、21年度の取引のうち、番組制作関係の業務委託費886億円(127件)については、企画提案競争により25年度に編成時間比率で委託番組の25〜30%程度の競争化をめざし、それ以外の取引の597億円(1,667件)については、金額ベースで40%超の競争化をめざします。
 取引の分野別内訳は、番組制作関係業務が470件で938億円、技術関係業務が1,016件で312億円、営業・広報関係業務が136件で159億円、管理関係業務が172件で74億円です。全体の取引件数・金額は、前年度(20年度)に対して件数で48件、金額で103億円増加していますが、これは、地上デジタル関係の整備等による調達契約の増や業務委託の拡大などによるものです。
 これらの取引が、NHKの経理規程および業務委託基準等で求められる要件を満たして行われたかどうか、特に随意契約が要件を満たして適正に行われたかどうかについて、NHKが自ら全件を点検しました。このうち、3,000万円を超える取引については、3名の外部有識者で構成する「入札契約委員会」の点検・助言を受けています。その結果、基本的にはいずれも要件を満たしていると判断しました。
 競争契約の状況については、21年度は、件数で581件、金額にして182億円となり、前年度に対して、件数で220件、金額で78億円増加しています。デジタルテレビ中継放送所送信設備整備工事やNHK共同受信施設の大規模改修工事などが競争契約の主な事項です。競争化率は37%で、前年度の31%に対して6ポイント改善しています。これは、デジタルテレビ中継放送所の送信設備整備など地上デジタルの整備関係の契約で競争化が進んでいることがおもな要因です。
 21年度の随意契約は、件数で1,213件、金額にして1,301億円でした。前年度に対して、件数では172件の減ですが、金額では25億円増加しています。25億円の増は、20年10月に開始した日本国際放送への業務委託の通年化増や、営業事務情報処理業務などNHK営業サービスへの業務委託の拡大などによるものです。
 以上の内容については、7月27日開催の第1123回経営委員会に報告したうえで、NHKのホームページに掲載し、公共放送としての取引の適正性および透明性の確保を図ることとします。あわせて、対象となった1,794件の個別の契約情報についても、一覧表形式で公表します。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成22年 8月24日
                     会 長  福 地 茂 雄

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