日本放送協会 理事会議事録  (平成22年 7月 6日開催分)
平成22年 7月23日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成22年 7月 6日(火) 午前9時00分〜9時45分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、永井技師長、金田専務理事、日向専務理事、
 溝口理事、八幡理事、大西理事、今井理事、黒木理事、塚田理事、
 吉国理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1122回経営委員会付議事項について
(2)地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について

2 報告事項
(1)地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について
(2)ワイヤレスブロードバンド実現のための周波数確保等に関する再意見
   募集への対応について
(3)平成21年度関連団体調査結果
(4)関連団体役員体制について
(5)6月「全国接触者率」「全国個人視聴率」「放送評価」調査の結果に
   ついて

議事経過

1 審議事項
(1)第1122回経営委員会付議事項について
(経営企画局)
 7月13日に開催される第1122回経営委員会に付議する事項について、審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について」、報告事項として「地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について」と「関連団体等の社長の交代について」です。また、その他の事項として、「6月『全国接触者率』『全国個人視聴率』『放送評価』調査および『日本人とテレビ・2010』調査の結果について」です。

(会 長)   原案どおり決定します。


(2)地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について
(永井技師長)
 地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について、審議をお願いします。
 設置に向けての諸条件が整った、13県の27地区(注1)に、地上デジタルテレビジョン中継放送局(いずれも総合・教育)を設置したいと考えます。いずれもアナログ放送が視聴可能でデジタル放送に移行すると難視聴となる地域に設置し、平成22年度中に開局する予定です。
 この計画により新たに約6千世帯が、地上デジタル放送の視聴が可能となります。電波の世帯カバー率は約98.0%です。整備に要する経費はおよそ12.7億円を見込んでいますが、既設のアナログ施設の活用や民放との共同建設などを通じて、コストの削減に努めます。
 この計画が了承されれば、7月13日開催の第1122回経営委員会に議決事項として提出します。

(会 長)  原案どおり了承し、次回の経営委員会に諮ることとします。

 注1:地上デジタルテレビジョン中継放送局を設置する地区
  〈青森〉七戸、西津軽舞戸、中里今泉、津軽小国、〈千葉〉上総湊、
 〈神奈川〉鎌倉、箱根強羅、〈新潟〉宮古木、〈長野〉中軽井沢、飯綱
 湖、〈静岡〉静岡籠上、静岡丸子、浜岡、掛川家代、清水興津、〈愛知〉
 本宿、藤岡、〈滋賀〉菩提寺、〈兵庫〉津名、神戸灘、〈和歌山〉印南、
 〈愛媛〉宇和島下高串、〈長崎〉崎山、小佐々楠泊、佐世保柚木、鬼木中
 尾、〈大分〉耶馬溪下郷


2 報告事項
(1)地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について
(永井技師長)
 地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について報告します。
 設置計画に基づいて建設を取り進めてきた地上デジタルテレビジョン中継放送局のうち、本年4月1日から6月末までの期間に、104局(総合・教育102局、総合のみ2局 注2)が開局しました。
 その結果、6月末までの累計で1,495局の中継放送局が開局しました。視聴可能世帯のカバー率は約97.6%です。
 建設にかかった経費は、およそ33.5億円です。既設のアナログ施設の活用や民放との共同建設などを通じてコストの削減に努めた結果、当初予算から約5.5億円削減しました。今後も、経費削減を図りながら中継放送局の建設・整備を進めていきます。
 なお、本件は、7月13日開催の第1122回経営委員会に報告事項として提出します。

 注2:今回開局した地上デジタルテレビジョン中継放送局
  〈宮城〉唐桑大沢、岩沼志賀、岩沼上志賀、女川清水、歌津港、歌津田
 の浦、石巻祝田、丸森石神、丸森五反田、〈茨城〉八郷、〈埼玉〉風布、
 飯能上赤工、横瀬根古谷、飯能原市場、〈千葉〉富山、〈神奈川〉笹下、
 釜利谷、〈山梨〉大月藤崎、武川真原、白州横手、〈新潟〉松代、柿崎、
 〈長野〉西裾花台、長野西、〈岐阜〉美濃、岐阜芥見、〈静岡〉湯ヶ島大
 滝、森、相良、静岡大原、東佐久間、天竜横山、白糸、〈愛知〉稲武東、
 稲武西、〈三重〉桑名(総合のみ)、菰野(総合のみ)、〈京都〉上夜久
 野、〈大阪〉河内長野寺元、河内長野清見台、〈兵庫〉西宮青葉台、西宮
 名塩、〈奈良〉三郷南畑、〈和歌山〉白浜庄川、高野富貴、〈岡山〉吉永、
 加茂市場、玉島南、英田、成羽、備前佐伯、高梁巨瀬、〈広島〉駅家服
 部、賀茂大和、双三三和、三良坂、〈山口〉岩国横山、川棚、宇津賀、秋
 吉、長島、〈徳島〉池田馬路、〈香川〉詫間生里、詫間名部戸、〈愛媛〉
 大洲野佐来、大三島大見、大三島野々江、長浜出海、長浜櫛生、〈高知〉
 南国白木谷、南国亀岩、佐川松崎、大豊大田口、須崎久通、〈福岡〉玄海
 北、飯塚南、豊津、小峠、下三緒、立花兼松、立花口、深江、若松、香
 春、筑前宮田、北九州小石、上毛土佐井、上毛唐原、飯塚高雄、〈佐賀〉
 多久納所、肥前大浦、〈長崎〉長崎南、為石、戸町、〈熊本〉栖本、倉
 岳、
御所浦、有明上津浦、〈大分〉東稙田、〈宮崎〉北延岡、油津、〈鹿
 児島〉桜島、水の久保、霧島


(2)ワイヤレスブロードバンド実現のための周波数確保等に関する再意見
   募集への対応について
(技術局)
 総務省は、世界最先端のワイヤレスブロードバンド環境の実現に向けた、「ワイヤレスブロードバンド実現のための周波数検討ワーキンググループ」の議論に資するため、ワイヤレスブロードバンドの今後の展望等について、5月14日から6月14日まで意見募集(以下、「1回目の募集」)を行い、寄せられた意見をホームページ上で公表するとともに、1回目の募集で寄せられた意見に対する意見を6月18日から7月2日の期間に再募集しました。
 この再意見募集に対して、1回目の募集に提出した意見の内容を補足する観点から、あらためて意見を提出したので報告します。本来、意見募集に対して意見を提出する場合には理事会の審議が必要ですが、前回の理事会の前日である6月28日に開催された公開ヒアリングで述べられた意見を踏まえ、緊急に再意見を提出する必要があったことから、理事会運営規程第8条の規定により、事前に会長の決定を得たうえで総務省に提出し、本日の理事会に報告するものです。
 6月18日に公表された意見、および3回にわたって行われた公開ヒアリングの中で携帯電話事業者などから、今後の携帯電話のトラヒック増大に対応するために、完全デジタル移行後の地上デジタル放送に割り当てられている周波数の一部をさらに削減し、携帯電話に割り当てるべきとの意見が複数寄せられました。
 こうした意見に対して、3つの観点から反対の意見を述べました。その内容は次のとおりです。
 1点目は、地上デジタルテレビジョン用周波数については、2011(平成23)年7月のアナログ終了後も、53〜62CHに割り当てられている放送局の周波数を52CH以下に移行するデジタル放送用周波数再編や、デジタル混信が発生している地区のチャンネルを混信のないチャンネルに移行する周波数再編、あるいは、新たなデジタル難視地区への中継放送局設置などが地デジ難視対策衛星放送終了までに予定されており、地上デジタルテレビジョン放送に使用する周波数は2015(平成27)年までは少なくとも固まらない状況にあることです。
 2点目は、仮にテレビジョン放送用周波数を削減し、携帯電話に割り当てるための周波数再編を行うとした場合、さまざまな問題があることです。放送用周波数の削減には、その後においても既存の放送サービスを安定的に継続できる地上デジタル放送の全国ネットワークが構築できることの技術的な見通しが得られていることが必要ですが、今回の携帯電話事業者などからの提案においてはそうしたことが全く示されていません。また、現在、テレビジョン放送が行われている周波数をテレビジョン放送以外の用途に割り当てると、それらのシステムが発射する電波によって受信機のブースター障害が発生する恐れがあります。ブースターはテレビジョン放送用周波数帯全体をカバーしていることが多く、障害は全国に及ぶことが想定されます。さらに、放送設備の改修工事や、共同受信設備で視聴している場合のヘッドエンドの交換工事、視聴者が受信していたチャンネルが変更になることによる受信機の再設定などが必要となり、視聴者および放送事業者に多大な負担を強いることになります。このようにテレビジョン放送用周波数を携帯電話に割り当てる場合には多くの課題があり、これに伴う経費負担の問題や視聴者への周知・広報なども含め、社会的にも大きな影響を及ぼすものとなります。
 3点目として、放送はこれまで、ラジオからテレビへ、標準テレビからハイビジョンへ、アナログからデジタルへと、数十年に及ぶスパンでのイノベーションを繰り返してきましたが、これは、イノベーションのために必要となる周波数帯が確実に確保されていることにより初めて可能となったことです。テレビジョン放送用周波数帯をさらに削減して携帯電話に割り当てることは、スーパーハイビジョンをはじめとする将来の放送技術のイノベーションを阻害し、放送文化の進歩・発展の道を閉ざすことにつながりかねないことから避けるべきであると考えます。また、スーパーハイビジョンについては地上波での放送を縮小するべきとの意見がありましたが、危機管理の観点から地上波においても実施すべきであると考えます。


(3)平成21年度関連団体調査結果
(内部監査室)
 「平成21〜23年度 中期内部監査計画」では、関連団体運営基準第18条に基づき、番組の企画・制作、業務支援等の関連団体について、平成23年度までの3年間で計画的に実地調査を行うことにしています。その方針に沿って「平成21年度 内部監査計画」により実施した関連団体調査の結果について報告します。
 調査を実施したのは、NHKエンタープライズ、NHKエデュケーショナル、NHKグローバルメディアサービス、NHKプラネット(近畿総支社)、NHKプロモーション、NHKアート、NHKメディアテクノロジー、NHKサービスセンターの8団体です。
 調査は、NHKからの受託業務、リスクマネジメント、外部パワー、IT統制、適正経理の5項目について状況を確認しました。
 NHKからの受託業務については、番組制作業務を中心に、調査対象となる契約をサンプル抽出し、委託要員費を除いた委託経費の使用状況を確認しました。その結果、演出方針やロケ・取材スケジュールの変更、各団体の節減努力などにより使用した経費に増減が発生していましたが、契約との大幅なかい離は見られませんでした。また、関連団体は原則として「親事業者」として下請法の適用を受けるため、下請法への準拠性も調査しました。各団体とも「下請発注システム」を導入して発注から支払い、書面の保存までの業務を管理するなど、適正な業務遂行に努めています。
 リスクマネジメントについては、各団体とも「リスクマネジメント委員会」や「危機管理委員会」等の設置、関連規程の整備を行い、その下でリスクの抽出や対応策の検討を行っています。コンプライアンスへの取り組みについては、研修等を通じて「倫理・行動指針」の浸透や個人情報保護の徹底に努めています。内部通報についても、規程を整備し窓口を設置しています。
 外部パワーについては、各団体とも事業運営に欠かせない多様な人材や取引先の確保を図っており、NHKの「外部パワー総合マニュアル」を基に、弁護士に確認しながら契約書・仕様書等や料金体系を検討するなど、適正な取り扱いに努めています。
 IT統制については、各団体とも「IT統制委員会」や「情報セキュリティー委員会」等を設置しているほか、各職場に対応責任者を置くなど体制を整備し、ウイルス対策の徹底、私物のパソコンや記録媒体等の使用禁止などルールの周知、関連の研修などを行っています。ウイルス対策については、外部プロダクションに対しても注意喚起を行っています。
 適正経理については、タクシー券の使用状況と海外出張の経理について確認しました。いずれもほぼ適正でした。
 なお、調査の中で、一部に見つかった手続き上の不備や今後の課題に対しては、改善の要請や助言を行いました。


(4)関連団体役員体制について
(関連事業局)
 平成22年7月1日現在の関連団体の役員体制の概要について報告します。
 各関連団体の株主総会等の結果、7月1日現在の常勤役員数は127人で、前年度(21年度)同期と同数となりました。これは、3つの団体で常勤役員が合計3人減少した一方で、NHKエンタープライズで、国際メディア・コーポレーションとの統合等により新たに3人が加わったことによります。団体数については、Japan Network GroupとNHK Enterprises Americaの統合、およびJapan Satellite TV(Europe)とNHK Enterprises Europeの統合により、前年度から2団体減少して、27団体となっています。
 常勤役員の内訳では、元NHK役職員が前年度と同数の103人で、構成比率も、前年度と同じ81.1%です。NHK出身の常勤役員数については、19年度から21年度にかけて削減に取り組み、3か年で40人減らした一方、20年度の改正放送法施行に伴い、日本国際放送を設立したことや3社が新たに関連会社となったことなどにより7人が加わった結果、18年度から33人の純減となりました。今年度もその数を維持しています。また、今年度、NHKから関連団体に転籍してすぐに役員に就任したのは3人のみでした。
 非常勤役員数は171人で、前年度より4人減っています。
 また、社長が交代したのは、子会社のNHKアートと、関連会社の総合ビジョン、NHK Cosmomedia America,Inc.の各社です。また、関連団体ではありませんが、放送文化基金の専務理事も交代しています。このうち、NHK Cosmomedia America,Inc.の社長は、NHKグループ以外の企業から就任しました。NHKの関連団体としてグループ外から社長・理事長等を迎えるのは21年ぶりのことです。
 なお、関連団体等の社長の交代については、7月13日の経営委員会に報告します。


(5)6月「全国接触者率」「全国個人視聴率」「放送評価」調査の結果に
   ついて
(放送文化研究所)
 2010(平成22)年6月に実施した、全国接触者率調査、全国個人視聴率調査、および放送評価調査の結果について報告します。
 今回の調査結果のポイントをまとめました。接触者率は、経営目標を80%としているのに対して、今回は74.5%でした。前年、2009(平成21)年同期は76.1%で、統計上の誤差を考えれば有意差はありません。個人視聴率は、大河ドラマの「龍馬伝」、連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」、「あさイチ」などの番組が好調です。朝の「連続テレビ小説」はこれまで個人視聴率が低下していましたが、今回は大きく回復しています。また、総合テレビの接触者率が関東で増加しました。放送評価では、NHKへの「親しみ」が53%で、2007(平成19)年に調査を開始して以来、最も高い結果になりました。前年11月の調査から3回連続で50%を超えています。
 では、個別の調査結果について報告します。最初に全国接触者率調査の結果です。
 この調査は、「平成21〜23年度 NHK経営計画」で経営目標の1つとしているNHKへの接触者率について、3−Screensの観点から調べるものです。録画再生やインターネット、DVDやビデオなど、放送以外の媒体による接触も含めたメディアへの接触状況を測ります。番組関係の出版物やイベントへの参加は対象に含みません。今回は、6月7日月曜日から13日日曜日までの1週間、全国の7歳以上3,600人を対象に、1日単位で5分以上の視聴・利用があったかどうかを記入する方法で実施しました。有効数は2,545人、有効率は70.7%でした。
 今回、NHK全体リーチ(放送、放送以外を問わず、NHKに接した人の割合)は74.5%で、前年同期との有意差はありません。放送外リーチは20.9%で、前年同期の18.1%から有意に増加しています。各放送波のリーチを見ると、総合テレビは66.6%で前年同期と変わりません。教育テレビ、衛星第1、衛星第2は、それぞれ前年同期から若干減少していますが、いずれも統計的に有意な差があるものではありません。放送外リーチの内容では、録画再生が13.7%で前年同期の11.1%から有意に増えており、全体を押し上げています。
 NHK全体リーチを年層別に見ると、50代〜70歳以上のリーチが変わらず高く、10〜40代へのアプローチが必要な状況は変わっていません。ただ、放送外リーチでは、30代で携帯サイトのリーチが、13〜19歳で動画配信・動画共有サイトのリーチが、他の世代と比べ高くなっています。
 NHK全体リーチのうち、放送への接触と放送外への接触を比べると、「放送のみ」のリーチが53.6%と、前年同期の58.0%から有意に減っています。一方、「放送と放送外両方」のリーチは19.4%で前年同期の16.9%から有意に増えています。「放送と放送外のいずれもなし」は25.5%で、4人に1人はNHKへの接触がない状況となっています。
 NHK全体リーチを地域別に見てみました。サンプル数により、全国を北海道・東北、関東・甲信越、東海・北陸、近畿、中国・四国・九州の5つの地域に分けると、北海道・東北と中国・四国・九州のリーチが高く、近畿のリーチが低いという結果となりました。
 今回、新たに都市規模別という視点で分析し、前年同期の結果と比較してみました。全国を、東京圏(旧都庁から50km圏内)、大阪圏(大阪市役所から50km圏内)、人口30万以上の市、同10万以上の市、同5万以上の市町村、同5万未満の市町村に分類すると、放送外リーチが東京圏で24%、人口5万以上の市町村で22%となり、前年同期(それぞれ18%、14%)から増加しています。一方で、人口5万未満の市町村では、放送リーチが前年同期の81%から73%に減少しており、これが今回の全体リーチの減少につながっているのではないかと思われますが、その原因は、この調査ではわかりません。
 接触者率調査の最後に、2008(平成20)年12月に開始したNHKオンデマンドサービス(NOD)の認知と利用の推移を見てみます。認知については、前年同期では14.4%だったものが今回20.6%となり、利用については、前年同期の0.3%から今回0.8%となって、いずれも有意に増えています。なお、NODの利用が0.8%あったことは、利用者数に換算すると、およそ90万人に相当します。
 次に、全国個人視聴率調査の結果について報告します。
 調査は6月7日月曜日から13日日曜日までの1週間、全国の7歳以上3,600人のほかに地方別集計のため2,736人を対象に加え、配付回収法による24時間時刻目盛り日記式(個人単位)で実施しました。有効数は2,498人、有効率は69.4%でした。今回の調査期間には、6月8日に菅内閣の発足が、また、11日に「2010FIFAワールドカップ」の開幕がありました。ただし、期間内に日本代表の出場試合はありません。
 総合テレビでよく見られている番組は、大河ドラマ「龍馬伝」(17.3%)、「NHKニュース7」(13.2%※)、連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」(13.0%※)などです(※は各曜日の中で最も視聴率が高い曜日の数値)。総合テレビ朝の「連続テレビ小説」は、前年の調査で10%を下回りましたが、今回は大きく回復しています。
 今年4月、総合テレビ朝の時間帯では、「連続テレビ小説」の開始時刻を8時に繰り上げ、その後8時15分からは主婦層を主な対象とする情報番組「あさイチ」を開始するという、番組編成の大幅な改定を行いました。それに伴う視聴率(平日平均)の変化を見てみると、8時から8時15分の時間帯の視聴率は、前年に比べ大幅に高くなっていますが、8時15分から8時30分の時間帯の視聴率は、「連続テレビ小説」を編成していた前年と比べてそれほど低下していません。今年度の番組改定の効果があったと言えます。また、「連続テレビ小説」の視聴率の長期推移を見ると、総合テレビ朝の本放送でも、総合テレビ・衛星第2・衛星ハイビジョンそれぞれの本放送・再放送の単純合計でも、長期的に低落傾向が続いていましたが、今回は回復傾向を見せています。
 「あさイチ」の8時台(午前8:15〜9:00)の視聴率を、地域別に前年同期の「生活ほっとモーニング」(午前8:35〜9:25)の視聴率と比較すると、関東では、番組が主な対象としている40〜50代女性の視聴率が1%から6%に、60歳以上の女性の視聴率が9%から16%に増加しています。近畿でも、40〜50代女性の視聴率が1%から7%に、60歳以上の女性の視聴率が7%から13%に増加しています。
 そのほか、各時間帯のニュースや報道番組の視聴率は、引き続き好調を維持しています。また、「龍馬伝」の視聴率を男女年層別に見ると、13〜19歳の女性と70歳以上の男性が有意に増加しており、男女の各世代から幅広い支持を得ています。
 全国接触者率調査とは別に、この全国個人視聴率調査からも各放送波の週間接触者率を出しています。本調査による総合テレビの週間接触者率は、60.6%でした。衛星第2の週間接触者率は11.0%で、前年から有意に増加しています。
 総合テレビの週間接触者率を男女年層別に見ると、20代男性(46%)が前年から増加しています。また、地域別に見ると、関東(60%)と甲信越(72%)で増加しています。近畿はこれまで他の地域に比べて接触者率が低い傾向にありましたが、今回は59%で、他の地域と大きな差はありません。
 個人視聴率調査の最後に、教育テレビ、衛星放送、ラジオの概要について報告します。
 教育テレビでは、週間接触者率は前年同期と変わりませんが、前々年同期と比べると減少しています。日曜朝7時台に新設した幼児・子ども向け番組は堅調です。衛星第1ではプロ野球中継が、衛星第2では韓国ドラマ「イ・サン」が、衛星ハイビジョンでは連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」が、最もよく見られました。ラジオ第1では、日曜夜の「渋マガZ・夜はぷちぷちケータイ短歌」が、13〜19歳の男女と40代男性に最もよく聞かれています。
 続いて、放送評価調査の結果について報告します。
 放送評価調査は、NHKの放送に対する視聴者の評価を把握するためのもので、2007年から年4回実施しています。今回は、6月11日金曜日から13日日曜日までの3日間、電話法(RDD追跡法)により、全国の20歳以上の男女2,203人を対象に実施し、1,365人(62.0%)から回答を得ました。
 調査では、全体評価として「信頼」、「満足」、「親しみ」、「独自性」、「社会貢献」の5項目、側面別評価として「正確・公平」、「生命・財産を守る」、「娯楽性」、「知識・教養」、「実用性」、「地域への貢献」、「文化の継承・発展」、「福祉」、「教育」、「国際理解」の10項目を掲げ、それぞれについて1点から5点で回答してもらいます。結果は、4点以上の肯定的評価があった回答の率で表わします。
 今回、全体評価では、「親しみ」が53%となり、前年度4回の平均から4ポイント増え、過去最高の結果となりました。側面別評価では、過去最高の結果となった「生命・財産を守る」(75%)をはじめ4つの項目が、前年度平均より有意に高くなっています。また、絶対値はまだ低いとはいえ、「娯楽性」(42%)も、有意の差はありませんが過去最高の結果となりました。
 年層別に見ると、全体評価では、40〜50代の女性で、「親しみ」(50%)が、前年度平均より高くなっています。また、地域別に見ると、関東と近畿で「親しみ」(それぞれ56%、51%)が、前年度平均より高くなっています。側面別評価では、関東と近畿、中国・四国・九州で、前年度平均より有意に高い項目が見られます。
 最後に、全体評価の「信頼」、「満足」、「親しみ」の評価の推移を見ると、調査の回によっては多少の上下動はありますが、いずれの項目も前年度から継続的に増加してきていると言えます。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成22年 7月20日
                     会 長  福 地 茂 雄

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