日本放送協会 理事会議事録 (平成22年 6月 8日開催分)
平成22年 7月 2日(金)公表
<会 議 の 名 称>
理 事 会
<会 議 日 時>
平成22年 6月 8日(火) 午前9時00分〜9時25分
<出 席 者>
福地会長、今井副会長、永井技師長、金田専務理事、日向専務理事、
溝口理事、八幡理事、大西理事、今井理事、黒木理事、塚田理事、
吉国理事
井原監査委員
<場 所>
放送センター 役員会議室
<議 事>
福地会長が開会を宣言し、議事に入った。
付議事項
1 審議事項
(1)第1121回経営委員会付議事項について
(2)ワイヤレスブロードバンド実現のための周波数確保等に関する意見
募集への対応について
(3)新放送会館の移転整備・用地取得について
2 報告事項
(1)平成22年3月「日本人とテレビ・2010」調査の結果について
(2)平成21年度業務報告書の構成および今後のスケジュールについて
議事経過
1 審議事項
(1)第1121回経営委員会付議事項について
(経営企画局)
6月22日と23日に開催される第1121回経営委員会に付議する事項について審議をお願いします。
付議事項は、議決事項として、「日本放送協会平成21年度業務報告書について」、「日本放送協会平成21年度財務諸表について」、「新放送会館の移転整備・用地取得について」、および「中央放送番組審議会委員の委嘱について」です。また、報告事項として「『視聴者視点によるNHK評価委員会』の平成21年度評価報告書を受けて」、「平成21年度NHK連結決算について」、「平成21年度年金基金運用状況」、「視聴者対応報告(平成22年5月)について」、「契約・収納活動の状況(平成22年5月末)」、「財政の現況(平成22年5月末)」、「財団法人放送文化基金の平成21年度事業報告および収支決算について」、および「地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について」です。
(会 長) 原案どおり決定します。 |
(3)新放送会館の移転整備・用地取得について
(経理局)
京都放送局の新放送会館の移転整備について、地域文化の発展や地域の活性化などの観点から、開かれた放送会館をめざして検討を行ってきましたが、京都市中京区烏丸御池地区の土地を移転用地として、現在の所有者と協議を重ねた結果、このたび売買条件について合意に達しました。ついては、用地取得の契約を締結し、整備を取り進めることとしたいので、審議をお願いします。
移転予定地の面積は2,264.15m2、用途地域は商業地域で、繁華街に近く人通りが多い賑わいのある場所です。この土地を44億円(1,943千円/m2)で取得します。この額は、相手方との折衝によって取り決めたものであり、鑑定評価額や直近の近隣の取引事例に照らして妥当であると考えます。ここにNHK単独で、延床面積5,500m2程度の放送会館を建設します。建設費は、建物と放送設備を合わせて45億円程度と見込んでいます。
スケジュールについては、本整備方針・移転用地取得が決定すれば、6月下旬に取得先との契約を締結します。その後、本年12月ごろに、スタジオなどの放送機能と会館レイアウトに関する整備概要を理事会に諮ったうえで、平成23年度から24年度にかけて基本設計、実施設計を行います。24年度に建物着工、26年度に建物完成、運用開始を予定しています。
本件が了承されれば、6月22日と23日に開催される第1121回経営委員会に議決事項として提出します。
(会 長) |
移転予定地は、京都市の繁華街にあって、なかなかない良い場所だと思います。古都として建築物の構造に関する規制があるようですが、それを守りながらも、放送局に必要な機能はしっかりと整備してください。また、移転後の跡地については、二条城に隣接していることもあり、京都府や京都市と話し合いながら、売却を検討してください。
原案どおり了承し、次回の経営委員会に諮ることとします。 |
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2 報告事項
(1)平成22年3月「日本人とテレビ・2010」調査の結果について
(放送文化研究所)
今年3月に実施した、「日本人とテレビ・2010」調査の結果について報告します。この調査は、1985(昭和60)年から5年ごとに実施しているもので、今回で6回目になります。今回から、調査項目を見直すとともに、調査方法も従来の個人面接法から配付回収法に変更しました。ただし、時系列を追って比較できるようにするため、今回に限って、従来の半数の規模で、これまでと同じ質問を使い個人面接法でも実施しました。
配付回収法による調査は、3月6日の土曜日から3月14日の日曜日までの期間、全国の16歳以上の国民3,600人を対象に行い、有効回答者数は2,710人(75.3%)でした。また、個人面接法による調査は、3月6日と7日の土・日に、同じく1,800人を対象に行い、有効回答者数は1,046人(58.1%)でした。
調査結果について説明します。
最初に、NHKに対する評価です。毎回の調査で、NHKと民放それぞれの必要性について質問しています。今回、NHKを「ぜひ必要だと思う」と回答した人の割合は、38%でした。前回、2005(平成17)年の調査では、NHKの不祥事に厳しい批判が集まっていた中で、同じ回答の割合が28%にとどまり、前々回、2000(平成12)年以前の調査結果(40%前後)から大きく減少しましたが、今回は前々回以前と同程度まで回復しています。一方、民放を「ぜひ必要だと思う」と回答した人の割合は27%で、過去6回の数値にほとんど変動がありません。
また、NHKのテレビに対する評価を見ると、「地域の出来事や話題を、よく伝えている」という項目で、肯定した人の割合が前々回の37%から前回は34%に落ちていましたが、今回は再び39%に増えたのをはじめ、「報道番組が中立・公正である」、「報道番組の掘り下げ方が深い」、「新鮮な感じのする番組がある」、「気持ちにぴったり合う番組がある」などの項目で、前回に落ち込んだ数値が今回いずれも増加しており、おおむね前々回の水準に戻っています。
次に、メディアとして所有する機器については、「25インチ以上のテレビ」が前回の67%から76%に、「横長テレビ」が前回の27%から46%に増え、「薄型テレビ」が前回の9%から53%に大きく伸びるなど、テレビが大型化・薄型化していることが結果に表れています。また、録画機器では、「家庭用ビデオ」が前回の89%から71%に減った一方で、「ハードディスクレコーダー」が前回の11%から34%に大きく伸びていることが目立っています。
続いて、メディア別の接触頻度について、テレビに毎日接触している人の割合は92%で、これまであまり変化がなく安定しています。ただし、16〜29歳の年齢層だけを見ると82%にとどまり、前回から10ポイント近く減っています。新聞に毎日接触している人は74%で、前回の83%から10ポイント近く減っています。ラジオに毎日接触している人も前回の32%から26%に減っており、新聞・ラジオともにこの5年間の減少幅が大きくなっています。逆にインターネットに毎日接触している人は27%で、前回から10ポイント増えています。さらに、新聞に毎日接触している人を年層別に分析すると、50代以上の割合はほとんど変動がないのに対し、若い層ほど減少が激しいだけでなく、40代でも前々回の93%から76%に減っているなど、新聞離れが中年層まで広がっていることがうかがえます。
調査では、「報道」、「娯楽」や「情報」、「解説」など分野や機能別に、役に立つメディアを質問しています。「報道」では、テレビと回答した人が63%であったのに対し、新聞が18%、インターネットが8%でした。同様に「娯楽」では、テレビが60%であったのに対し、CDやビデオソフトなどのAV系のメディアが14%、家族や知人との会話などが8%でした。いずれもテレビが他のメディアを引き離して高い評価を得ています。「報道」では、インターネットを評価する回答が、前々回の1%から前回は4%、今回は8%と徐々に増えており、30代以下の年齢層では、新聞を抜いてテレビに次ぐ存在になっています。また、「教養」では、これまで雑誌や本などの活字系メディアがテレビを若干上回っていましたが、今回、テレビが34%に対し活字系は27%と、逆転しています。「解説」では、テレビが役に立つという回答が、前々回48%、前回51%、今回57%と増加している一方で、新聞は、前々回41%、前回35%、今回27%と減少しています。従来、解説機能は新聞の強みと言われてきましたが、テレビの評価が高まっています。
ニュースや情報を知るうえで評価するメディアについては、「速報性」で、テレビを評価する回答が前々回82%、前回78%、今回73%と、いまだ他のメディアを引き離してはいるものの、毎回減少してきています。一方で、インターネットが、前々回3%、前回6%、今回12%と増加してきています。「詳報性」では、新聞が前々回51%、前回46%、今回37%と、毎回減少してきており、今回はテレビと同率になりました。テレビは過去3回の数値に変動がありません。インターネットは今回17%で、この項目でも回を追うごとに評価が高まっています。情報の選びやすさを示す「選択性」では、今回、インターネットが31%に伸び、20%に減った新聞を抜きました。テレビは34%でした。
最後に、各メディアの中から「どうしても欠かせないメディア」を1つ選んでもらった結果では、テレビが55%で最も多く、それに次いで、インターネットと新聞が14%で並んでいます。ただし、男女年層別に見ると、男性の16〜29歳では、インターネットがテレビと同じ35%あり、最も欠かせないメディアになっています。 |
(2)平成21年度業務報告書の構成および今後のスケジュールについて
(経営企画局)
「日本放送協会平成21年度業務報告書」の構成および今後のスケジュールについて報告します。
NHKの業務報告書は、放送法第38条に基づき、毎年度の事業の実施結果について取りまとめるもので、NHKの業務の概要を対外的に明らかにする唯一の公式文書です。同法第14条では、経営委員会の議決事項の1つと規定しています。NHKは業務報告書を、事業年度経過後3か月以内、つまり6月末までに、監査委員会の意見書を添付して、総務大臣に提出しなければならないことになっています。また、業務の執行状況についての評価は、添付される監査委員会の意見書で行われるので、業務報告書そのものは、評価を加えることなく業務執行に関する事実を正確に書き留めるべきものとしています。
業務報告書の構成を説明します。
業務報告書に記載する事項は、放送法施行規則第11条に定められており、例年、その規定に沿った章立てで作成しています。
第1章は、全体のサマリーです。
第2章では、放送番組に関して、編成の重点事項や放送した個別番組、番組制作の委託、既放送番組等のインターネットによる提供などについて記述するとともに、新たに「NHKクリエイティブ・ライブラリー」を開始したことなどについても記述します。
第3章では、各種の世論調査など放送番組に関する調査研究について記述します。
第4章では、営業活動の諸施策や業績等に関する事項を記述します。契約・収納業務の法人委託を推進したこと、未契約訴訟や支払督促を実施したことなどについても記述することにしています。
第5章では、広報、情報公開、視聴者満足向上活動、イベントなど視聴者関係の業務について、第6章では、地デジ中継放送局の開設など放送設備の整備・運用について、第7章では、スーパーハイビジョンの研究など技術研究について、それぞれ記述します。
第8章では、経営委員会、監査委員会、執行部の活動状況等について記述するとともに、「視聴者視点によるNHK評価委員会」や、内部統制の取り組み、職員数削減の状況等についても記述します。
第9章は財政の状況、第10章は子会社等の概要、第11章はその他の事項となっています。
さらに、本編の記述以外に、約60点の資料編を添付する方向で検討しています。
内容については、各業務の主管部局の作成した原稿を基に、経営企画局において検討を行い、取りまとめています。経営企画局では、各部局に事実関係を確認しながら、正確、簡潔な表現を旨として編集作業を進めているところです。
今後のスケジュールについては、6月22日の理事会で審議し、了承されれば同日の第1121回経営委員会に提出する予定です。経営委員会の議決が得られた後に、平成21年度財務諸表とともに総務大臣に提出し、公表します。提出後の取り扱いとしては、総務大臣の意見が付されたうえで、内閣を経由して国会に報告されることになっています。
この内容は、本日の第1120回経営委員会にも報告します。 |
以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
平成22年 6月29日
会 長 福 地 茂 雄
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