日本放送協会 理事会議事録  (平成22年 4月20日開催分)
平成22年 5月14日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成22年 4月20日(火) 午前9時00分〜9時35分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、永井技師長、金田専務理事、日向専務理事、
 八幡理事、大西理事、今井理事、黒木理事、塚田理事、吉国理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1117回経営委員会付議事項について
(2)地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について
(3)中央放送番組審議会委員の委嘱について
(4)視聴者対応報告(平成22年3月)について

2 報告事項
(1)21年度3月視聴者満足(CS)向上活動報告
(2)地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について
(3)テレビジョン中継局の廃局について
(4)国際関係業務を行う新会社の発足について
(5)地方放送番組審議会委員の委嘱について

議事経過

1 審議事項
(1)第1117回経営委員会付議事項の追加について
(経営企画局)
 4月27日に開催される第1117回経営委員会に付議する事項について審議をお願いします。

 付議事項は、議決事項として「中央放送番組審議会委員の委嘱について」と「地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について」です。また、報告事項として「地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について」、「テレビジョン中継放送局の廃局について」、「平成21年度契約・収納活動結果」、「平成21年度収支決算の速報」、「平成21年度第4四半期業務報告」、「『NHKワールドTV』の視聴実態調査の結果について」、「視聴者対応報告(平成22年3月)について」、「国際関係業務を行う新会社の発足について」、および「地方放送番組審議会委員の委嘱について」です。

(会 長)   原案どおり決定します。


(2)地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について
(永井技師長)
 地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について審議をお願いします。
 設置に向けての諸条件が整った、41都道府県の274地区(注1)に、地上デジタルテレビジョン中継放送局(総合・教育273地区、教育のみ1地区)を設置したいと考えます。いずれも平成22年度に開局する予定です。
 また、第1111回経営委員会(平成22年1月26日)で中継放送局設置の議決を得た秋田県・琴丘入通と、第1092回経営委員会(平成21年4月14日)で同じく議決を得た熊本県・五木の2地区については、共同受信施設への加入により受信者が皆無となる見込みが得られたため、設置を取りやめることにしたいと考えます。
 この計画により新たに約8万世帯が、地上デジタル放送の視聴が可能となります。電波の世帯カバー率は約98.0%です。整備に要する経費はおよそ93億円を見込んでいますが、既設のアナログ施設の活用や民放との共同建設などを通じて、コストの削減に努めます。

 この計画が了承されれば、4月27日開催の第1117回経営委員会に議決事項として提出します。

(会 長)  原案を了承し、本日の経営委員会に諮ることとします。

注1:地上デジタルテレビジョン中継放送局を設置する地区
 〈北海道〉夕張新千代田、今金住中、函館蛾眉野、枝幸、北見若葉、浦河柏、北洞爺、〈青森〉深浦舮作、竜飛宇鉄、竜飛帯島、袰部、〈岩手〉花泉、岩手東山、山田豊間根、湯田湯本、陸前島部、岩泉惣畑、〈宮城〉嵯峨立南、箟岳東、東和嵯峨立、〈山形〉白鷹黒鴨、〈福島〉福島大波、土湯、金山、西金山、東昭和、磐城西郷、南伊南、矢祭、東常葉、裏磐梯、大久、西郷長坂、西郷谷地中、犬神、大里、西郷虫笠、いわき湯本、南伊南耻風、〈茨城〉筑波神郡、雪入、〈栃木〉黒羽前田、黒羽須賀川、那須芦野、鹿沼板荷、烏山向田、那須稲沢、益子上大羽、那須寄居、那須成沢、喜連川、鬼怒藤原、葛生、中禅寺湖、足利名草、〈埼玉〉飯能唐竹、小川、〈千葉〉上総大原、千倉大貫、いすみ、富津、岬、〈東京〉波浮、八丈末吉、〈神奈川〉厚木飯山、中井、鎌倉笛田、戸塚、〈長野〉木曽妻籠、〈石川〉加賀東谷口、白山下、津幡竹橋、片山津、〈福井〉南条、小浜口名田、小浜中名田、〈岐阜〉駄知、多治見旭ヶ丘、多治見姫、関ヶ原、鵜沼宝積寺、各務原、〈静岡〉伊東宇佐美、南伊東、松崎、竜山、掛川原谷、小山須走、十里木、湯ヶ島矢熊、河津見高浜、島田伊太、熱海錦ケ浦、伊東荻、伊東小室山、伊東池、中伊豆地蔵堂、中伊豆姫之湯、〈愛知〉赤羽根、幡豆、山海、名駅、三河一宮、足助東、〈三重〉大王船越北、島ヶ原、〈滋賀〉朽木葛川、土山鮎河、土山大河原、日野鎌掛、〈京都〉将軍塚、京都(教育のみ)、丹波豊田、京都松ヶ崎、宇治白川、〈兵庫〉出石町分、太子、播磨新宮、相生大谷、市川鶴居、姫路出屋敷、姫路石倉、姫路西脇、相生佐方、市川東川辺、相生鰯浜、猪名川木津、柏原東奥、篠山立町、神戸白川、豊岡江野、今田市原、今田新田、三木志染、吉川上荒川、神戸天王谷、篠山後川上、篠山後川中、豊岡高屋、淡路一宮、神戸住吉川、丹南古市、神戸楠谷、〈奈良〉香芝関屋、桜井慈恩寺、〈和歌山〉那智勝浦、古座、潮岬、下万呂、和歌山山東、海南坂井、海南孟子、新宮佐野、海南大谷、貴志川丸栖、海南小野田南、下津西ノ浦、〈鳥取〉鳥取滝山、〈島根〉池ノ原、〈岡山〉大原、作東江見、鶴海、吉見、宇野、玉島、〈広島〉安佐、尾道本郷、八本松正力、安佐北、安芸津、〈山口〉大井庄屋、〈徳島〉鳴門西、海南相川、鳴門北、阿南南谷、〈香川〉津田の松原、〈愛媛〉松山高浜、伯方、三崎二名津、大洲徳森、瀬戸、伯方北浦、三崎串、三崎与侈、伯方伊方、〈高知〉上ノ加江、中浜、山田神母ノ木、須崎西糺、土佐清水窪津、五台山、室戸羽根、安芸川北、高知御畳瀬、窪川志和、須崎小浜、〈福岡〉北九州戸畑、北九州牧山、〈佐賀〉肥前玄海、肥前富士、唐津湊、基山園部、塩田、基山城戸、基山宮脇、太良大浦、〈長崎〉島原北、大瀬戸雪浦、富江、北有馬東、佐世保日宇、南鹿町、松浦鷹島、東彼杵、崎戸東、崎戸西、有川北、大島徳万、御館山、野母高浜、長崎茂木、加津佐、〈熊本〉宮田、水俣西、牛深浅海、牛深内の原、松合、牛深須口、牛深山の浦、牛深深海、大矢野湯島、本渡本町、本渡下河内、二瀬本、熊本西、小島、牛深茂串、南関、牛深真浦、〈大分〉蒲江、東蒲江、竹田南、津久見千怒、大分桃園、朝地、豊後今市、香々地、南院内、山香若宮、宇佐拝田、天ケ瀬出口、朝地戸崎、〈宮崎〉えびの、美々津、北島浦、南島浦、神門、佐土原、平和が丘、高鍋、〈鹿児島〉西之表東、名瀬浦上、大隅福山、名瀬南、大勝、川辺高田、〈沖縄〉高原、志喜屋、辺野古、東江、数久田、呉我、運天原、恩納


(3)中央放送番組審議会委員の委嘱について
(日向専務理事)
 中央放送番組審議会委員の委嘱について審議をお願いします。
 平朝彦氏(独立行政法人海洋研究開発機構理事)に、平成22年5月1日付で新規委嘱したいと思います。
 本件が了承されれば、4月27日開催の第1117回経営委員会に諮りたいと思います。

(会 長)   原案どおり了承し、経営委員会に諮ることとします。


(4)視聴者対応報告(平成22年3月)について
(視聴者サービス局)
 放送法第12条に定める視聴者対応の状況について、平成22年3月分を以下のとおり取りまとめました。ついては、放送法第22条の2第3項の規定に基づき、経営委員会に報告したいと思います。
 3月にNHKに寄せられた視聴者の声の総数は42万4,387件で、前月(36万8,101件)より5万6,000件余り増え、この半年で最も多い件数でした。件数が多かった理由としては、進学や就職、転勤等による転居が多い時期にあたり、受信料についての問い合わせが増えたことのほか、2月28日の大津波警報に関する緊急報道のため放送日時を変更した番組についての問い合わせや、選抜高校野球、新年度番組、デジタル放送等への問い合わせが多かったことがあげられます。苦情や要望などを含めた意見は7万5,418件あり、このうち、1次窓口で対応を完了した件数の割合は92%でした。残りの8%は該当部局に転送し、2次対応しました。
 平成22年度は、総合テレビの朝の番組編成を大きく刷新しました。「連続テレビ小説」の放送時間を48年ぶりに変更して午前8時からに繰り上げ、8時15分からは大型情報番組の「あさイチ」をスタートさせました。こうした新年度編成への視聴者の反響について、番組がスタートした3月29日から1週間分の概要を報告します。
 「連続テレビ小説」の放送時間変更については、問い合わせが166件、「気づかずに見逃してしまった」「放送時間変更は困る。元に戻してほしい」などの意見・要望が46件寄せられました。また、「連続テレビ小説」の時間変更に伴い「NHKニュース おはよう日本」の放送時間が午前8時までとなり番組の構成が変わったことについて、問い合わせが45件、意見・要望が11件寄せられました。
 22年度前期の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」については、開始から1週間で482件の反響が寄せられました。開始1週間の反響件数は、21年度前期の「つばさ」、同後期の「ウェルかめ」より増えています。このうち好評意見は89件、厳しい意見は73件ありました。好評意見としては、「日本の良き時代の大家族を見ることができてうれしい」などの声がありました。
 「あさイチ」は、社会・政治問題からエンターテインメント、生活実用情報まで、“生活者の視点”で掘り下げる情報番組です。開始から1週間で1,292件の反響が寄せられ、そのうち好評意見が136件、厳しい意見が407件、問い合わせが669件ありました。問い合わせの多くは、番組で紹介した情報に関するものでした。一方、厳しい意見としては、内容・演出が「NHKにふさわしくない」「うるさい」といった意見が多かったほか、原色を多用したセットが派手だという声が目立ちましたが、好評意見として「NHKが変わったという印象を受けた。視聴者に密着した内容で飽きない」「いろいろな情報が盛りだくさんで、とても楽しい」という声も寄せられました。
 続いて、2011(平成23)年7月24日に予定されているデジタル放送への完全移行関連の報告です。
 今年3月11日で、アナログ放送の終了まで残り500日となり、3月20日には、衛星ハイビジョンで9時間40分に及ぶテレソン番組「体験!デジタルパワーがやって来る」を放送しました。番組の一部は、総合テレビや衛星第1・第2でも同時に放送しました。この取り組みに対し、視聴者から178件の反響が寄せられました。
 また、新年度番組がスタートした3月29日から、地上アナログ放送のニュースや生放送番組を除く多くの番組、およびBSアナログ放送のニュース・スポーツを除くほとんどの番組の画面サイズを、デジタル放送のハイビジョン画面と同じ横16:縦9にして放送することにしました。アナログ放送の画面は横縦の比率が4:3ですので、16:9のサイズの番組を映した場合には、テレビ画面の上下に黒い帯のような部分が出ることになります。この画面サイズの変更については、3月17日に報道発表しました。それを受けて、翌18日から画面変更前日の3月28日までに93件、29日に変更してから1週間のうちに96件、合計189件の意見・要望・問い合わせが寄せられました。これまでNHKでは、アナログ放送を視聴している世帯が相当数に上るという判断から、ハイビジョン画面の番組をアナログで放送する場合は、画面の左右をカットし4:3のサイズにして放送することを基本としてきました。そのため必要な場合には、一部のシーンを4:3の画面に納まるように撮り直すなどの対応もしていました。しかし、現在は、ほとんどの放送番組をハイビジョンで制作しています。また、デジタル放送受信機の普及台数も今年2月末に7,000万台を超え、地上デジタル放送の世帯普及率は3月に総務省が行った調査で80%を超える見通しです。そこで、今回、多くのアナログ放送番組を16:9の画面サイズで放送することにしたものです。7月以降はニュース・スポーツも含め、すべての番組を16:9のサイズで放送することを基本にします。意見や問い合わせをいただいた視聴者の方には、こうしたことを説明して理解を求めました。
 3月に、放送番組に関して寄せられた反響総数は、13万9,134件で、意見は4万5,380件、問い合わせは9万3,754件でした。
 今回、最も反響が多かった番組は、FM放送の歌謡スクランブル「話題のホットミュージック(2)」でした。これは当初3月23日に放送する予定でしたが、国会中継を放送するため、ラジオ第1で予定していた選抜高校野球をFMで放送したことから、番組が休止となり問い合わせが集中したものです。
 日本時間で3月13日〜22日に開催された「バンクーバーパラリンピック」については、期間中に433件の反響が寄せられました。中でも「放送時間が少ない」という声が多くありました。これに対してNHKとしては、「パラリンピックの放送は公共放送の重要な使命のひとつであり、今回のバンクーバー大会では前回のトリノ大会より5時間多い27時間を超える放送を実施しました。これは他のメディアと比べて圧倒的に多い時間量です」と説明し、理解を求めました。そのほかの意見を紹介すると、教育テレビでふだんは「福祉ネットワーク」を放送している時間帯に放送枠を特設したことについて、「今の放送枠だとパラリンピックは福祉というとらえ方になる。スポーツとして扱い、ひとつの競技を最初から最後まで放送してほしい」という意見があったほか、アイススレッジホッケーの決勝戦に日本チームが進出したことから急きょ総合テレビで中継したことについて、「よく放送してくれた。試合をちゃんと見られて本当によかった」という声をいただきました。
 テレビ離れ・新聞離れへの懸念や広告収入の減少など、マスメディアがかつてない状況に直面している中、3月22日の放送記念日特集「激震マスメディア〜テレビ・新聞の未来〜」では、生放送の討論で、マスメディアの今後のあり方を探りました。この番組に対して、「FAXでの意見を受け付けないのはおかしい」「マスメディアが行き詰まりを見せている中、こうした議論をメディアが中心となってもっと行う必要がある」といった意見など、204件の反響がありました。
 続いて、視聴者から寄せられた意見や要望への対応事例を紹介します。
 3月21日から開催された第82回選抜高等学校野球大会では、甲子園球場のバックネット下に大会名が白い文字で大きく掲示されていました。前回の大会まではなかったものですが、この文字とピッチャーの投球が重なって球筋がよく見えないという指摘が初日から多数寄せられました。それを受けて、大会を主催する日本高等学校野球連盟と毎日新聞社に、NHKから繰り返し改善を要望したところ、主催者側により31日の準々決勝から、大会名の文字が小さく細くされ、色もベージュ系のものに変えられました。それ以降、この件に関する指摘はなくなりましたが、今後も文字がない方が望ましいということを主催者側に要望していきたいと思います。
 テロップなどの誤記や原稿などの誤読については、視聴者からの指摘に基づき確認した結果、58件の表記のミスや読み間違いなどがありました。3月は特に固有名詞の誤記・誤読への指摘が多数寄せられました。いただいた指摘については、番組担当者に連絡し放送の中で訂正するように努めるとともに、再発防止に向けて放送関係の部局に周知し、現場に注意を喚起しました。
 事実関係の誤りについての指摘から一例を紹介します。衛星ハイビジョンのプレミアム8 世界史発掘!時空タイムス編集部「新証言・タイタニック沈没の真実」(3月30日放送)について、「沈没した豪華客船タイタニック号の長さを289mと言っていたが、調べたところ269mだった」という指摘があり、再放送にあたって修正しました。
 経営全般に対して、3月に寄せられた意見や要望は1,945件でした。
 NHKの平成22年度予算が、3月26日に衆議院本会議で、31日に参議院本会議で、いずれも全会一致で承認されました。NHKでは、それぞれ本会議の前日に行われた総務委員会でのNHK予算審議の模様を、衆議院については25日夜から26日早朝にかけて、参議院については30日夜から31日早朝にかけて、中継録画で放送しました。この番組への意見や問い合わせ、あるいはNHK予算についての意見などが、合わせて132件寄せられました。意見の中には、「NHK予算を視聴者に知らせるのが大事であるなら、昼間に放送すべきだ」という声があった一方で、「わざわざ長時間放送しなくてよい。楽しみにしている番組が見られなくなる」という声もありました。
 受信料をお支払いただけない方々への支払督促の申立てに対する異議訴訟1件について、3月19日、札幌地方裁判所で、NHKの請求を棄却する判決が出されました。この判決について、29件の問い合わせや意見が寄せられました。この件についてNHKでは次のコメントを発表しています。「判決は、妻への代理権授与および追認は認定できないという個別事情、並びに放送受信契約に民法第761条の規定の適用はないとする独自の判断をして、被告の主張を一方的に認め、NHKの主張をしりぞけており、極めて遺憾な内容です。直ちに控訴しました。支払督促異議訴訟においては、平成21年7月の東京地裁判決をはじめとして、いずれも民法第761条が放送受信契約に適用されるとしてNHKの主張はすべて認められています。今回の判決でも、テレビを購入した国民の大多数がNHKとの間で受信契約を締結することが望まれるとしており、NHKでは従来と変わりなく、契約・収納業務を行ってまいります。」
 最後に、21年度を通した意見・問い合わせの総数は、464万7,700件でした。そのうちの71%が問い合わせで、20%が意見や要望でした。また、内容別の内訳では、受信料関係が50%、放送関係が35%を占めています

(会 長)   原案どおり決定し、次回の経営委員会に報告します。

2 報告事項
(1)21年度3月視聴者満足(CS)向上活動報告
(視聴者サービス局)
 平成22年3月の視聴者満足(CS)向上活動について報告します。
 最初に、視聴者からの意見や要望などに基づく業務の改善について報告します。改善活動は、視聴者第一主義の観点に立ち、17年度から全国で展開してきました。19年度以降、毎年1,000件を超える改善が行われており、21年度の改善件数は1,021件でした。
 各放送局の活動事例を紹介します。山口放送局では、新年度の地域放送番組に視聴者のニーズをよりいっそう反映させようと、全局体制のプロジェクトを立ち上げ、視聴者が知りたい情報をアンケート形式で調査しました。その結果、気象情報とイベント情報へのリクエストが圧倒的に多かったことから、22年度の地域情報番組でそれらの要望に応えるようにしました。平日夕方の地域ニュース番組で気象コーナーの放送枠を拡大し、地元で人気の気象予報士に毎回出演してもらうとともに、平日昼前の地域情報番組では、季節の話題やイベント情報を充実させ、毎週金曜日に行楽情報のコーナーを設けました。
 また、全国の視聴者から「ホームページにも地域の天気予報を表示してほしい」という要望が多数寄せられていたことから、編成局では、3月17日に全国共通の天気予報のフォーマットを作成・配信しました。青森放送局など全国29の放送局が利用して、ホームページに天気予報を掲載しています。さらに、鹿児島放送局では、桜島の噴火活動の活発化に対応して、「桜島上空の風向き」情報の提供を開始するなど関連情報の改善を進める中で、4月26日からは「桜島噴火速報」を開始することにしました。噴火直後に噴煙の向きや高さの情報を、テレビ、ホームページ、携帯サイトの3−Screensに自動的に表示するサービスです。
 21年度の改善活動を分析すると、地上デジタル放送やイベント、放送局に関することなど、さまざまな情報についてのPRや周知に関する改善が20年度に引き続き最多となっています。一方で、3−Screensの展開に関連して、インターネット(ホームページ・携帯・データ放送)に関する改善件数が、20年度から2倍近くに増加しています。
 放送局別の改善件数では、福岡放送局が20年度から連続して全国最多となり、広島放送局も連続して上位に入っています。広島放送局では、各職場の中堅職員をメンバーとする「CS向上ワーキンググループ」が活動を推進しています。例えば3月には、13日の広島発ドラマ「火の魚」の全国放送に際して、PRするだけでなく視聴者に喜ばれるサービスを工夫した結果、ドラマを録画した視聴者が、DVD等の表面に貼り付けたりケースにはさんだりできるオリジナルのラベルをデザインし、番組ホームページからダウンロードできるようにしました。また、21年度の報告件数上位に入った和歌山放送局では、「オレンジ・アクション」と名づけた取り組みを展開しています。これは、職員がイントラネットの掲示板「オレンジ・ボックス」を利用してアイデアの提案や課題の提起を行い、それを基に部を横断して意見を交換しあう懇談会「オレンジ・サミット」を通じて実行に移すという活動で、県内のJR主要駅でのPRビデオ上映や、各所に職員のアイデアを生かした会館公開の充実などの成果を上げています。
 次に、経営計画に基づき、全国の放送局が地域の拠点として独自の取り組みを展開する“放送局のちから”について報告します。3月には全国から169件の報告があり、21年度累計では2,028件の活動が報告されました。
 福岡放送局では、未来を担う子どもたちが健やかに生きる社会を応援しようと、著名な運動選手に依頼して“夢を持つことのすばらしさ”や“生きる力”などについて学校で直接語り伝えてもらう出前授業を、県内10の中学校で開催しました。講師になっていただいたのは、プロ野球・福岡ソフトバンクホークスの小久保裕紀選手や、大相撲解説者で元小結の舞の海秀平さん、バレーボール元日本代表の大林素子さんなど、11人の方々です。学校関係者や生徒からの反響が大きかったことから、授業の様子や講師からのメッセージを福岡放送局のホームページで動画配信するとともに、全10回分のメッセージをDVDにして、県内すべての小中学校約1,150校に寄贈し、学校教育の場で活用してもらっています。
 岩手県は、21年11月に総務省が発表した「地上デジタル放送に関する浸透度調査」で、地デジ対応受信機の世帯普及率が、全国の都道府県で最も低い55.2%でした。そこで盛岡放送局では、昨年12月に沖縄放送局が実施して地デジ普及に成果があった、エンターテインメントステージ「地デジ☆笑タイム」を水平展開し、クイズや歌などを通じて地デジの魅力や最新情報を紹介しました。2回の公演で754人が参加し、あわせて設けた地デジ相談コーナーでは、盛岡放送局として過去最多となる400人からの相談を受けつけました。
 東京・世田谷区にある放送技術研究所では、閑静な住宅街の中に建つ研究施設として地域の理解がなければ存続できないとの考えから、住民の方々との交流を深める「ふれあいイベント」を毎年開催しています。今年2月28日には、家族で楽しめる連続人形活劇「新・三銃士」をテーマに技研講堂を会場として開催、番組プロデューサーが語る制作の舞台裏と劇中音楽を担当するスペイン音楽グループの演奏会で、参加者に楽しんでもらいました。ロビーには、地デジ受信相談コーナーも開設しました。
 続いて、21年度のふれあいミーティングの実施状況です。年間に全国で2,112回開催し、5万3,721人が参加しました。このうち、各局で企画したテーマを掲げ参加者を公募して行うふれあいミーティングは、熊本・高知・釧路など21の放送局で計102回開催しました。
 開催件数、参加者数とも全国最多だった宮崎放送局では、局内外で155回のふれあいミーティングを開催し、4,000人にのぼる地元の視聴者の方々と対話しました。局内にミーティング専用のコーナーを設けて、夕方の地域情報番組のスタジオ見学者を中心に意見交換するとともに、コーナーに常設している説明用モニター、パネルを使いながら、地デジに関する意見や要望を伺いました。また、昨年12月からの取り組みとして、県内各地に残る神楽を番組で取材・収録するのにあわせて、現地でふれあいミーティングを開催するとともに、持参したハイビジョンモニターにより地元の方々に地デジの魅力を体感してもらいました。
 本部の部局として開催件数が最多のラジオセンターでは、ラジオ第1で放送している「ここはふるさと旅するラジオ」で、ラジオカーが全国各地を訪問するのにあわせて、番組の観覧に訪れた地元の方々などから貴重な意見や要望を伺っています。21年度は、番組としては最多となる89回のふれあいミーティングを開催し、1,698人の参加がありました。放送を開始して6年目を迎えた今年4月には、番組の観覧者が累計で10万人を突破しています。


(2)地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について
(永井技師長)
 地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について報告します。
 設置計画に基づいて建設を取り進めてきた地上デジタルテレビジョン中継放送局のうち、本年1月1日から3月末までの期間に、160局(総合・教育159局、総合のみ1局 注2)が開局しました。
 その結果、平成21年度に全国で606局、同年度末までの累計で1,391局の中継放送局が開局しました。視聴可能世帯のカバー率は約97.5%です。
 建設にかかった経費は、およそ62億円です。既設のアナログ施設の活用や民放との共同建設などを通じて、コストの削減に努めました。今後も、経費削減を図りながら中継放送局の建設・整備を進めていきます。
 なお、本件は、4月27日開催の第1117回経営委員会に報告事項として提出します。

注2:今回開局した地上デジタルテレビジョン中継放送局
 〈北海道〉えりも、庶野、藻南、〈青森〉木野部、十和田湖、平内山口、平内外童子、平内内童子、大鰐虹貝、〈岩手〉花巻湯口、久慈大川目、大槌桜木、宮古女遊戸、大船渡船河原、田老、平泉要害、宮古花輪、大東京津畑、一関上大桑、一関小山、大東丑石、大東前畑、〈秋田〉合川三木田、湯瀬、〈山形〉最上前森、〈福島〉川俣、只見、船引、西古殿、三春、長沼、天栄、東塙、棚倉富岡、表郷、〈栃木〉黒羽中野内、烏山神長、南那須志鳥、黒羽川上、〈千葉〉白浜、鴨川、〈東京〉八王子上恩方、鶴川、〈神奈川〉横須賀鴨居、秦野、湯の沢、〈山梨〉棡原、西原、〈長野〉飯山愛宕、飯山奈良沢、山ノ内湯ノ原、〈静岡〉下賀茂、南春野、中川根徳山、〈愛知〉常滑、犬山南、知多内海、〈滋賀〉マキノ海津、大津比叡平、〈京都〉京都大原、宇治志津川、京都八瀬、京都八幡(総合のみ)、〈大阪〉天見、〈兵庫〉佐用、相生若狭野、神戸明泉寺、村岡高津、宝塚中山台、川西湯山台、揖保川ひばりケ丘、南淡、篠山福井、篠山浜谷、神戸高座、川西一ノ鳥居、宝塚玉瀬、〈奈良〉五条丹原、都祁、生駒あすか野、〈和歌山〉橋本柱本、野上緑ケ丘、美浜三尾、海南小野田、下津大崎、粉河秋葉下、上富田生馬、〈鳥取〉溝口、〈岡山〉御津、矢掛南、神根、吉永高田、鴨方、虫明、久米南神目、〈広島〉福山千田、三原小坂、音戸、因島田熊、神辺下竹田、久井、神辺上竹田、可部桐原、可部南原、河内小田、福富、〈山口〉和佐、勝間、美和、東和油田、佐連、山口嘉川、防府富海、〈徳島〉宍喰、阿南内原、〈愛媛〉松野、宇和正信、久万菅生、〈高知〉東洋甲浦、東洋名留川、安田、室戸領家、沖ノ島母島、沖ノ島弘瀬、〈福岡〉八女山内、甘木千手、戸切、〈長崎〉長崎西山、長崎北、早岐、佐世保大野、佐世保日野、佐世保赤崎、〈熊本〉水上、鹿北、本渡北、本渡、〈大分〉直入、西庄内、野津市、挾間谷、挾間鬼崎、国東重藤、竹田中央、日出生、〈鹿児島〉与路、田皆、笠利、宇検北、宇検南、大和北、大和南、天城、面縄、山、住用北、住用南、〈沖縄〉伊是名東、伊是名西、大度


(3)テレビジョン中継局の廃局について
(永井技師長)
 テレビジョン中継局の廃局について報告します。
 平成21年度において、共同受信施設への加入などにより受信者が皆無となったアナログテレビジョン中継局6局(いずれも総合・教育 注3)を廃局しました。そのうち4局はNHKが単独で使用していたものです。
 この廃局によってアナログテレビジョンの中継局数は、総合テレビが3,323局、教育テレビが3,248局になります。
 なお、本件は、4月27日開催の第1117回経営委員会に報告事項として提出します。

注3:廃局したテレビジョン中継局
 〈北海道〉島牧、生田原、〈石川〉輪島三井、〈鳥取〉三朝吉田、〈山口〉油谷、厚保


(4)国際関係業務を行う新会社の発足について
(関連事業局)
 国際関係業務を行う新会社の発足について報告します。いずれも昨年11月17日の理事会決定に基づき、各社の取締役会、臨時株主総会等の議決を経て、平成22年4月1日付で実施したものです。
 海外における番組制作機能と有料日本語放送の発信機能を統合することによって、海外の視聴者のニーズに合わせた新番組の開発や機動的な番組編成を行う体制を構築するため、アメリカ(ニューヨーク)とヨーロッパ(イギリス・ロンドン)の海外現地法人をそれぞれ統合しました。
 アメリカにおいては、NHK Enterprises America,Inc.(NEPアメリカ)と、Japan Network Group,Inc.(JNG)の2社を統合し、NHK Cosmomedia America,Inc.が発足しました。ヨーロッパにおいては、NHK Enterprises Europe Ltd.(NEPヨーロッパ)と、Japan Satellite TV(Europe)Ltd.(JSTV)の2社を統合し、NHK Cosmomedia(Europe)Ltd.が発足しました。
 また、NHKグループの国内外における戦略的なコンテンツ展開に向けた効率的な体制を整えるため、NHKエンタープライズ(NEP)が国際メディア・コーポレーション(MICO)を吸収合併しました。新会社の商号は、NHKエンタープライズのまま変更ありません。ただし、MICOのスポーツ放送権事業については、NHKグローバルメディアサービス(Gメディア)に移行し、Gメディアの、NHKグループにおけるニュース・スポーツ事業の中核としての位置づけをより明確にしました。
 さらに、海外発信業務の一元化を図るため、これまでGメディアが行ってきた、海外在住の日本人向けサービス「NHKワールド プレミアム」の関係業務を日本国際放送(JIB)に移行しました。
 すでに各社とも新しい体制の下で、滞りなく事業を開始しています。


(5)地方放送番組審議会委員の委嘱について
(日向専務理事)
 地方放送番組審議会委員の委嘱について報告します。
 近畿地方で出川哲朗氏(大阪市立東洋陶磁美術館館長)に、中部地方で村本淳子氏(公立大学法人三重県立看護大学理事長、学長)に、九州地方で平田トシ子氏(財団法人アバンセ生涯学習事業部長)に、北海道地方で久木佐知子氏(有限会社ギャラリーシーズ代表)に、および四国地方で柳沢康信氏(国立大学法人愛媛大学学長)に、いずれも平成22年5月1日付で新規委嘱します。また、関東甲信越地方で金子仁氏(新潟交通(株)代表取締役社長)に、中国地方で宇佐川弘子氏(広島市平和記念資料館ピースボランティア)に、同日付で再委嘱します。
 なお、中部地方の鈴山雅子委員(三重大学男女共同参画コーディネーター)、九州地方の正野逸子委員(産業医科大学産業保健学部教授)、北海道地方の福居恵美子委員((株)福居製餡所代表取締役社長)、および四国地方の小松正幸委員(愛媛大学顧問)は、いずれも任期満了により4月30日付で退任されます。


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成22年 5月11日
                     会 長  福 地 茂 雄

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