日本放送協会 理事会議事録  (平成22年 3月16日開催分)
平成22年 4月 2日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成22年 3月16日(火) 午前9時00分〜9時35分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、永井技師長、金田専務理事、日向専務理事、
 溝口理事、八幡理事、大西理事、黒木理事、塚田理事、吉国理事

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1115回経営委員会付議事項について
(2)中央放送番組審議会委員の委嘱について
(3)視聴者対応報告(平成22年2月)について

2 報告事項
(1)21年度2月視聴者満足(CS)向上活動報告
(2)「平成21年度 NHK歳末たすけあい NHK海外たすけあい」
   実施結果
(3)内部統制の構築3か年総括および次期計画の方向性
(4)地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について
(5)平成22年度部外解説委員の委嘱について

議事経過

1 審議事項
(1)第1115回経営委員会付議事項について
(経営企画局)
 3月23日に開催される第1115回経営委員会付議事項について審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「中央放送番組審議会委員の委嘱について」と「国際放送番組審議会委員の委嘱について」です。報告事項は、「内部統制の構築3か年総括および次期計画の方向性」、「平成22年度国際放送等実施要請への回答について」、「視聴者対応報告(平成22年2月)について」、「契約・収納活動の状況(平成22年2月末)」、「連結決算規程および経理規程の改正について」、および「地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について」です。また、その他の事項として「2009年度放送評価調査の結果について」と「平成22年度 事業計画工程表について」です。

(会 長) 原案どおり決定します。


(2)中央放送番組審議会委員の委嘱について
(日向専務理事)
 中央放送番組審議会委員の委嘱について審議をお願いします。
 田中里沙氏((株)宣伝会議編集室長)に、平成22年4月1日付で、福井俊彦氏(前日本銀行総裁)に、平成22年4月9日付で、それぞれ再委嘱したいと思います。
 なお、松井孝典委員(千葉工業大学惑星探査研究センター所長)については、平成22年3月31日付で任期満了により退任されます。
 本件が了承されれば、3月23日開催の第1115回経営委員会に議決事項として提出します。

(会 長)  原案を了承し、次回の経営委員会に諮ることとします。


(3)視聴者対応報告(平成22年2月)について
(視聴者サービス局)
 放送法第12条に定める視聴者対応の状況について、平成22年2月分を以下のとおり取りまとめました。ついては、放送法第22条の2第3項の規定に基づき、経営委員会に報告したいと思います。
 平成22年2月にNHKに寄せられた視聴者の声の総数は36万8,101件でした。2月に受け付けた苦情や要望等を含めた意見は6万9,222件でした。このうち、92%は1次窓口で対応を完了し、残りの8%は該当部局へ転送して2次対応しました。
 2月のピックアップとして、バンクーバーオリンピックに関する放送への反響について報告します。
 2月13日(現地時間で12日)に開会式が行われたバンクーバーオリンピックの開催期間中、各競技の放送時間の問い合わせ・要望、解説やインタビューへの意見・要望、また選手への応援やねぎらいなど、前回のトリノオリンピックの1万0,387件を大きく上回る1万5,214件の反響が寄せられました。最も反響が多かった日は、大津波警報が発令されたため、フィギュアスケート・エキシビジョンの放送時間が変更になった28日で、次いで、フィギュアスケート女子シングルフリーを中継した26日でした。また、オリンピック中継のために、定時のニュースや気象情報の時間を変更したことについても、たくさんの反響が寄せられました。放送時間の変更が多かった正午のニュースや昼前の気象情報、情報番組の時間帯を中心に、「定時にニュースや気象情報を放送すべき」という意見が782件あり、特に15日から17日の3日間に多く寄せられました。一方で「ニュースのためにオリンピック放送を中断しないでほしい」という意見も138件ありました。NHKでは、オリンピックは4年に1度のスポーツの祭典であり、視聴者の高い関心に応えるため、オリンピック関連の番組を編成していること、ニュース番組では、オリンピック関連のニュースのほか、政治・経済・社会・国際などさまざまな分野についてニュースバリューを判断して放送し、また、地震や津波、災害などに即応するための緊急報道体制を常に備えていることを視聴者に説明し、理解を求めました。
 種目別反響数では、フィギュアスケートが圧倒的に多く、厳しい意見の大半はインタビューや解説に関するものでしたが、逆にインタビューや解説がよかったという意見も見られました。そのほか、カーリングやフリースタイルのモーグルについては、ルールや点数のつけ方がよくわからないので詳しく説明してほしいという要望が多く見られました。
 また、オリンピックに参加する国の名前や選手名をカタカナ表記してほしいという要望が多数寄せられました。開会式の日、視聴者から寄せられた番組内容についての要望は67件でしたが、そのうちおよそ3割がカタカナ表記を要望する声でした。これらの声に対し、「NHKでは、全世界向けの国際映像をそのまま伝えており、原則として国名や選手名などをカタカナ表記していません。オリンピック放送は、総合テレビでおよそ167時間、衛星第1でおよそ320時間におよび、すべてにカタカナ表記することは困難です。ただ、関心の高かったフィギュアスケート女子シングルフリーの中継ではカタカナ表記をしました。画面上の表記については、今後の検討課題とします」と説明しました。
 今回のオリンピックでは、「デジタルテレビ」、「パソコン」、「携帯端末」の3−Screensを活用した情報発信に力を入れました。データ放送では、すべての競技の途中経過や結果をリアルタイムで伝えたほか、競技中継や関連番組の放送予定を伝えました。パソコンでは、日本選手が出場していない競技でも「動画ニュース」や「競技動画クリップ」などでいつでも視聴できるようにすると同時に、今大会が初めてとなる試みとして、日本国内で中継放送されていない競技の模様の一部をライブ配信し、ライブストリーミングには25万件を超えるアクセスがありました。また、NHKケータイやワンセグでも、速報や最新情報を伝えました。その結果、NHKのホームページには、2008(平成20)年夏の北京オリンピックの際の2,366万件を上回る3,000万件を超えるアクセスがあるなど、多くの方に利用していただきました。
 続いて、チリの巨大地震により、日本の沿岸に大津波・津波警報が発令された際の反響について報告します。
 2月28日、チリで巨大地震が発生し、気象庁は青森県から宮城県にかけての太平洋沿岸に大津波警報、北海道と福島県から沖縄県にかけての太平洋沿岸などに津波警報を発表しました。NHKでは、午前8時半前からニュースを特設し、9時33分、大津波警報・津波警報の発表とともにすべての放送波で緊急警報放送を行いました。これにより、オリンピック中継や、「NHKのど自慢」など、多くの番組が休止や放送時間を変更したことから、問い合わせや意見、要望が集中しました。28日に視聴者コールセンターにかかってきた電話の件数は、話中でつながらなかったものも含めると5万件を超え、非常に電話がつながりにくい状態が続きました。そのため、コールセンターで対応できたのは、7.5%にあたる3,827件でした。寄せられた反響で最も多かったのは、番組変更への問い合わせや意見、要望で、次に多かったのは、警報・注意報を示す地図画面についての意見、要望でした。これらの意見は、合わせると全体の86%を占めました。
 一連の報道に伴う番組変更への問い合わせ、意見・要望は4,265件あり、最も件数が多かったのは、バンクーバーオリンピックに関するものでした。それに次いで、韓国ドラマの「イ・サン」、「NHKのど自慢」についての意見・要望も多く寄せられました。また、警報・注意報の地図の表示についての反響は1,348件で、その多くは「囲碁の時間」、「将棋の時間」に寄せられました。「大津波警報の地図で盤面が見えない。もっと工夫してほしい」、「地図の赤い点滅を見ているとめまいがしてくる。今、紙をはってテレビを見ている。何時間も放送するのであればこの点滅はやめてほしい」などの声が寄せられました。これらの声に対しては、「国民の生命・財産を守るための迅速・正確な緊急報道がNHKの使命です。今回は南米のチリで地震が発生した直後から気象庁の会見や専門家のコメントなどを交えて日本への津波の影響について情報に注意するよう呼びかけました。この過程で、画面に警報や注意報が出た地域を示す地図などを表示したことについて、『警報の表示で画面が見づらい』など、多くの意見をいただきました。今後、改善できる部分は改善し、引き続き迅速・正確で、よりわかりやすい緊急報道を実施していきたいと考えています」と説明し、理解を求めました。
 視聴者から寄せられた意見や要望への対応事例を紹介します。
 1月25日に「生活ほっとモーニング」で、米ぬかと玄米と塩で作るカイロを紹介しましたが、それを試した視聴者から、煙が出て断面が赤くなってしまい、火事の恐れがあるのではないかという指摘が寄せられました。番組担当者が状況を聞き取って、製品事故の原因分析や安全テストを行う「独立行政法人 製品安全センター」に、安全性について確認しました。製品安全センターの見解に基づいて、3月1日の放送で、「安全性に問題はないが、加熱のしすぎには注意してほしい」、「番組で紹介した分量を守ってほしい」と注意喚起しました。
 続いて、NHKの判断や考え方に理解を求めた事例を紹介します。
 NHK番組の海外向け日本語有料放送「NHKワールドプレミアム」で、1月31日、中国で受信された「NHKニュース7」の日中歴史共同研究報告書発表のニュース映像と音声が20秒ほど中断されました。その部分の映像は1989年の天安門事件当時の資料映像でした。これについては、6件の問い合わせや意見が寄せられました。NHKとしては、「NHKの放送の映像と音声が中断されたことは、報道の自由を侵害するもので遺憾です。こうしたことはこれまでも起きており、NHKでは、機会をとらえて、中国側に遺憾の意を表すとともに、善処を求めてきました。またこれからも同様の対応をしていく考えです」と説明して、理解を求めました。
 次に、リニューアルから1年たった、国際放送「NHKワールドTV」の反響についてです。昨年の2月にリニューアルを行い、24時間毎正時の英語ニュースを中心にニュースを大幅に強化するとともに、番組の充実も図ってきました。また、世界で受信環境の整備を進め、視聴可能地域はこの1年で1.5倍に増加し、120の国と地域の1億2,500万世帯で受信できるようになりました。さらに、インターネットにより世界のどこでもライブストリーミングで24時間、番組を視聴することが可能となりました。これに伴って、海外や国内の視聴者からさまざまな声が寄せられるようになりました。2月に寄せられた海外からの声は、アジア、北米、ヨーロッパを中心に34か国にのぼり、アメリカのユタ州在住の方からは、「いつも『NEWSLINE』を見ている。天気予報の気温は、摂氏だけでなく、華氏でも表示してほしい。アメリカでは、摂氏はなじみがうすい」などの要望が寄せられました。また、インターネットのライブストリーミングで、国内でも「NHKワールドTV」を視聴できるようになったことで、日本人からの国際放送への反響も増えています。
 経営全般に対する意見や要望について、コールセンターや全国各放送局のハートプラザなどで受けたものは1,180件でした。2月22日、社団法人デジタル放送推進協会(Dpa)が暫定的に衛星放送を利用して難視聴対策を行う「地デジ難視対策衛星放送」の試験放送を開始しました。この放送は、地上アナログ放送は視聴できたが、地上デジタル放送が見られなくなる地域を対象とした放送であるため、一般の方は視聴できませんが、電子番組表(EPG)には表示されるので、「衛星放送のEPGに、総合・教育や東京の民放の番組が表示されているがどういうことか」などの問い合わせが53件寄せられました。これらの問い合わせには、一般の方は視聴できないことや、問い合わせ先のDpaの地デジ難視対策衛星放送受付センターの電話番号をご案内し、対応しました。

(会 長)   原案どおり決定し、次回の経営委員会に報告します。


2 報告事項
(1)21年度2月視聴者満足(CS)向上活動報告
(視聴者サービス局)
 21年度2月の視聴者満足(CS)向上活動について報告します。
 平成22年2月時点で、NHKの各放送局や番組関連のホームページはおよそ400サイトにのぼり、今年度のアクセス件数は37億ページビュー(1日平均およそ1,000万ページビュー)で、前年度実績数33億ページビューを上回っています。本部や全国の各放送局では、接触者率の向上を目指し、さまざまなデジタルコンテンツを開発して、視聴者との接触を拡大する取り組みを展開しています。こうしたホームページを活用した取り組みについて報告します。
 まず、バンクーバー冬季オリンピックに関する取り組みについてです。編成局では、報道局、放送技術局、放送技術研究所と連携し、ホームページでバンクーバーオリンピックの中継のライブストリーミングを展開しました。これは、民放を含めて初めての取り組みとして、アイスホッケーやアイスダンスなど32種目の競技映像のうち、国内で放送されなかった競技の模様をライブで視聴できるようにしたもので、合計58ストリーミング実施し、大きな話題を呼びました。そのうち最も視聴された、アイスホッケー男子予選「カナダ」対「ノルウェー」は、最大同時アクセス1万0,120ストリームを記録しました。また、北京オリンピックからスタートさせたニュース動画配信は、競技ごとのハイライト画面も加わり、取扱量が大幅に増加しました。こうした新しいコンテンツが功を奏して、バンクーバーオリンピックのホームページへのアクセス件数は、3,000万ページビューを超え、トリノオリンピックの1,480万ページビューを大きく上回りました。
 青森放送局では、注目度の高いカーリングで、地元チームの「チーム青森」が女子日本代表として出場したことから、ホームページで「がんばれ!チーム青森」という応援サイトを特設しました。選手の独自インタビューや、わかりにくいルールを解説した観戦ガイドを動画で配信するとともに、選手の所属する職場で取材した一味違った選手の素顔、視聴者からの応援メッセージなどを掲載したところ、ロシア戦に勝利した2月22日にはアクセス件数が2万ページビューを超え、1日あたりの平均値の7倍を記録しました。
 札幌放送局では、バンクーバーオリンピックに出場する選手のおよそ半数が北海道出身者であることに着目し、道内各放送局と連携して「道産子選手応援キャンペーン」を3−Screens展開し、接触者率の向上を図りました。ホームページ、携帯サイトなどに寄せられた視聴者からの応援メッセージは1,500件で、オリンピック開幕直前の2月5日に放送した北海道向け地域放送番組「輝け!北のアスリートたち」で取り上げたほか、札幌放送局のホームページに掲載、道内各放送局のハートプラザに展示するなどして紹介しました。こうした展開の結果、札幌地区のオリンピック放送の視聴率は、ほとんどの種目で関東地区よりも高く、札幌放送局のホームページのアクセス件数も、1日平均1万3,000ページビューまで伸び、過去最高を記録しました。
 続いて、地域放送局の3−Screensの取り組みをいくつか報告します。
 20年度と21年度の、全国放送定時番組のディレクトリーを除いた、地域放送局のホームページへのアクセス件数をみると、拠点局が上位を占めています。2年連続トップの名古屋放送局では、「こども放送探検ランド」や「ポルトガル語サイト」が人気を集めています。大阪放送局では、「ぐるっと関西」や「ルソンの壷」などに加え、阪神・淡路大震災の被災者の方々を支援し、ともに歩もうと神戸放送局と作り上げた「リエゾン被災人(ひさいと)」へのアクセス件数が高くなっています。
 拠点局以外では、静岡放送局のアクセス数が高く、「アナウンサーブログ」と、“たっぷり静岡”で放送された富士山画像を公開する「富士山私の一枚」にアクセスが集中しています。
 2年続けてアクセス数が上位に入っている宮崎放送局では、夕方の情報番組「いっちゃがTV」の中で、地元宮崎の旬の素材を使った手軽な料理を紹介するコーナー“宮崎を食べよう”が人気を呼んでおり、番組で紹介したレシピをホームページに掲載しています。食材の産地紹介や1,300レシピを閲覧可能として、21年度のアクセス件数は、1月末時点で200万ページビューを超えています。同様の取り組みとして、首都圏放送センターのホームページでも、「ゆうどきネットワーク」の “生活向上委員会”や「こんにちはいっと6けん」の“かんたんごはん”のコーナーで紹介したレシピを掲載し、人気を呼んでいます。
 同じく2年連続アクセス数上位の新潟放送局では、大河ドラマ「天地人」のサイトを特設し、ホームページ上にストリーミングサイト“朗読天地人”“天地人ゆかりの地を行く”を展開し、多くのアクセスを集めています。長崎放送局でも、大河ドラマ「龍馬伝」にちなんだ“とこしえ龍馬、長崎”サイトを新設して、ドラマ情報に加え、観光マップや職員によるブログなどを掲載し、昨年10月以降、アクセス数が大幅に増加しています。
 続いて、放送をホームページで補完したことで、アクセス数が急増した事例を紹介します。
 旭川放送局では、FM番組「旭川発・今日は一日『玉置浩二の歌』三昧」(2月13日放送)の生放送にあわせて、ホームページに生放送会場の様子を写真で掲載し、1時間ごとに更新する試みを行いました。また、リスナーからのメッセージの掲載を頻繁に行い、全国放送の「FM三昧ホームページ」とリンクさせるなどの工夫により、アクセス数の増加に努めました。放送当日は、通常の15倍にあたる1万2,500ページビューのアクセス数となりました。
 山口放送局では、山口県の公立高校入試倍率情報を3−Screensで伝える試みを行いました。山口県の公立高校では、まず各校の志願登録の中間倍率が発表され、受験生はこれを参考に出願先を変えるなどして、最終的な志願倍率が発表されます。そのため、志願登録時の情報に対する関心度はとても高く、ニュースを見逃した視聴者への情報補完として、昨年に引き続き、ホームページやケータイサイト、データ放送で情報を送信しました。その結果、志願登録の倍率発表当日のケータイサイトへのアクセス数は、4,000ページビューを超えました。
 続いて、「放送局のちから」の実現に向けた取り組みを報告します。
 札幌放送局では、30代以下の接触者率、受信料の支払率の向上を目指す“U−30”プロジェクトを立ち上げ、独自のフレッシャーズキャンペーンや、新年度の核となる音楽番組の制作を本格的にスタートさせました。地元で人気のフリーペーパー「札幌美少女図鑑」と連動して、モデルとなった地元の女性にNHK広報スポットに出演してもらい、フリーペーパーの誌面にキャンペーンの記事を掲載するなど、独自のフレッシャーズキャンペーンを展開しています。また、北海道内の若者に人気のバンドが集結した音楽番組「LIVE H」の収録を行い、観覧応募をインターネット限定にするなど、若い年齢層へのアピールに努めています。
 横浜放送局では、東京に次ぐ人口900万人の視聴者を対象としているため、視聴者会議のあり方の見直しに着手するなど、よりきめ細かな意向収集を行い、支払率の向上に向けた理解促進を目指しています。21年度は、地域性の異なる神奈川県内4つの地域との結びつきを深めるため、それぞれの地域で2回ずつ計8回の視聴者会議を開催しました。2月には、年間総括と位置づけて、各地域の委員が集まる「横浜放送局視聴者会議全体会」を実施し、地域によって異なる要望にきめ細かく応えていくよう努めています。
 本部8部局が連携して実施した、ふれあいミーティングについて報告します。3月3日に国際基督教大学の学生22人と同大学のOB、OG7人を含むNHK職員14人とのふれあいミーティングを実施しました。意見交換会では、NHKの放送やサービス、仕組み、職員の心構えなど多岐にわたる質問があり、活発な議論が行われました。本部各部局が連携して、出身校にアプローチする試みを今後も継続して行っていきます。
 視聴者からの意見や要望などに基づく業務の改善事例を紹介します。
 まず、鹿児島放送局では、桜島の噴火が活発化する中、視聴者から、噴火に関するきめ細かな情報提供を希望する声が多数寄せられました。そこで、2月10日から、桜島の噴火関連情報には欠かせない、桜島上空の風向きをオンタイムで見られるように、従来のデータ放送などに加え、ホームページや携帯サイトでもサービスを開始しました。4月からは、噴火速報や降灰情報を加えて、内容を充実させる予定です。
 長野放送局では、この冬は例年以上に降雪日が多いため、視聴者から、「雪は深夜から早朝に降ることが多いので、この時間帯の降水確率を出してほしい」という要望が寄せられました。そこで、3月1日から「イブニング信州」と「ニュース845」の“あすの天気”で、午前0〜6時の降水確率を追加して伝えています。長野県は、気象情報への関心が高いため、これからも視聴者のニーズに応え、わかりやすい画面づくりに努めていきます。


(2)「平成21年度 NHK歳末たすけあい NHK海外たすけあい」実施
   結果
(視聴者サービス局)
 平成21年12月1日から25日まで、中央共同募金会、日本赤十字社、NHK厚生文化事業団と共催で「平成21年度 NHK歳末たすけあい NHK海外たすけあい」を実施しました。
 今年度は、昨年度に引き続き「たすけあい」の心を次世代に伝えることを目指し、「たすけあい」開始直前の11月29日に、若者が多く集う東京・六本木ヒルズから、特別番組・イベント「あなたのやさしさを2009」を公開生放送し、義援金がどのように使われているのかをわかりやすく紹介しました。
 また、「たすけあい」のシンボルキャラクターと「たすけあい」で初めてのキャンペーンイメージソングをタレントのベッキーさんにお願いし、若者層にも注目されるキャンペーン展開を図りました。期間中、「たすけあい」のスポット・ミニ番組を集中編成するとともに、多くの定時番組の中でも協力を呼びかけたほか、ホームページでの展開など、多角的な周知・宣伝に努めました。
 義援金の件数と金額は、「歳末たすけあい」は7万4,231件、7億9,131万175円、「海外たすけあい」は7万7,467件、6億9,771万3,491円、あわせて15万1,698件、14億8,902万3,666円の義援金が寄せられました。件数では、昨年度の93.6%、金額では83.7%となり、それぞれ減少しています。中央共同募金会や日本赤十字社では、減少の理由として、個人募金の減少もさることながら、企業・法人からの募金の減少が顕著で、日本経済の低迷が大きく影響しているのではないかと分析しています。
 お寄せいただいた義援金は、「歳末たすけあい」については、中央共同募金会を通じて、国内の援助を必要とする子どもたちや、介護を必要とするひとり暮らしのお年寄り、福祉施設などへの支援に役立てられます。具体的な配分は、中央共同募金会が4月上旬までに決定する予定です。また、「海外たすけあい」については、日本赤十字社を通じて、世界の紛争や自然災害に苦しむ人々の支援、感染症の予防などのために役立てられます。具体的な配分は、日本赤十字社が4月上旬までに決定する予定です。
 「たすけあい」の結果報告は、「三つのたまご」(4月4日放送)、「NHKガイド」(4月3日放送)などで紹介するほか、NHKのホームページにも掲載します。


(3)内部統制の構築3か年総括および次期計画の方向性
(総合リスク管理室)
 「内部統制の構築3か年総括および次期計画の方向性」について報告します。
 「内部統制」とは、会社における経営管理の仕組みを整備することであり、その目的は、「業務の有効性及び効率性」、「財務報告の信頼性」、「事業活動にかかわる法令等の順守」、「資産の保全」と、広範囲におよびます。本報告では、内部統制体制を平成19年から21年度までの3か年で構築するという当初目標をどのように果たしてきたかを総括し、今後の指針についての方向性をまとめます。
 NHKの内部統制の構築は、日本版COSOのフレームワークに沿いながら、公共放送にふさわしい、全業務分野およびグループ全体を対象とした包括的な取り組みとしてスタートしました。(「COSOフレームワーク」は国際標準的な内部統制の仕組みであり、「COSO」とは、それが作られたアメリカの委員会の略称)
 日本版COSOの構成要素とは「統制環境」、「リスク評価と対応」、「統制活動」、「情報と伝達」、「モニタリング」、「ITへの対応」で、それに沿ってNHKの検討項目「全社統制の枠組み作り」、「リスクマネジメント体制構築」、「業務プロセス統制」、「内部統制の周知定着」、「モニタリング/内部監査の強化」、「NHKグループにおけるIT統制の構築」を設定し、それぞれに当初目標を掲げました。
 総合リスク管理室では、検討項目を実施する主管部局と連携しつつ、内部統制の視点から見た方向性の提示、全体調整、最終評価を行いました。
 まず、検討項目の当初目標と3か年の評価です。
 「全社統制の枠組み作り」の当初目標は、法改正に向けたガバナンス体制整備や、業務プロセス統制から抽出された課題をもとに、「経営戦略プロセス」「職務権限」「組織のあり方」「目標管理・評価の仕組み」等を検討することでした。3か年の評価としては、当初予定していた体制構築については実施できていますが、引き続きNHK本体の経営戦略プロセスの精度向上、グループ総合力の充実に向けた統制体制の整備を図る必要があると判断しています。
 「リスクマネジメント体制構築」の当初目標は、狭い意味のコンプライアンスにとどまらず、リスク定義・識別・評価を実施し、リスクマネジメント監査の体制を構築するというものでした。これについては、体制構築は終了したと思いますので、今後は、運用の中で抽出した課題にどれだけ対応していけるかが問われると考えます。
 「モニタリング/内部監査の強化」の当初目標は、法改正にも十分対応できるよう、早急に内部監査の品質評価を実施し、あるべき内部統制監査体制を再構築して、19年度内に各施策の監査が可能なレベルまで上げるというものでした。それについての評価は、体制構築は終了しているので、今後は、運用の中で効率性や有効性の向上が重要であると考えます。
 「内部統制の周知定着」については、トップマネジメントからの理解促進を徹底し、「内部統制=適正経理」という誤解を払しょくすることでした。その評価として、「内部統制=適正経理」という誤解は払しょくされ、基本的な理解には到達しているものと考えます。
 「業務プロセス統制」では、経費削減や、手続きを複雑化させることが目的ではないことを徹底し、業務全体を「見える化」して、効果的に経営資源の投下を行う“業務革新”運動を進めることなどを当初目標としました。それについては、体制や手法については、確立できたと思いますので、今後は、継続的な「業務改善活動」として、いかに現場に定着させるかが課題であると考えます。
 「NHKグループにおけるIT統制の構築」では、NHKおよび関連団体のシステム、ネットワークの総点検を行い、運用上の課題の洗い出しおよびセキュリティの構築に取り組むという目標でした。これの評価としては、体制構築と改善施策の推進は順調に進ちょくしたと考えます。今後は、IT統制委員会の運用の中で、諸課題を解決していくことが求められます。
 以上により3か年を総括します。
 平成19年度を初年度とする内部統制3か年計画に基づき、内部統制の体制整備を行ってきましたが、全社統制の構築に課題が残っているものの、おおむねの体制構築が終了しました。全社統制については、放送法改正への対応、経営戦略プロセスの整備などに取り組んできましたが、さらなる経営戦略プロセスの精度向上と、グループ総合力の充実に向けた体制整備を行う必要があると考えています。
 最後に今後の計画の方向性について申し上げます。
 全社統制の仕組み作りで残る2課題を「トータル管理」と「グループ総合力の一層の充実」として位置づけ、組織横断的な体制を構築して、22、23年度の2年間で検討や試行を進めていきます。総合リスク管理室も内部統制の推進の観点から積極的に貢献していく考えです。
 あわせて、すでに体制整備を終了した内部統制の諸機能を、継続的に運用し、さらなる定着を目指します。


(4)地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について
(日向専務理事)
 地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について報告します。
 九州地方で松原孝俊氏(九州大学韓国研究センター教授)に、平成22年4月1日付で新規委嘱します。また、近畿地方で上松邦栄氏(イラストレーター)に、中部地方で木宮健二氏(学校法人 常葉学園理事長)に、同日付で再委嘱します。
 近畿地方の建畠晢委員(国立国際美術館長)については、本人の申し出により任期途中の3月31日付で退任されます。
 なお、九州地方の柴田洋三郎委員(九州大学大学院医学研究院(形態機能形成学)教授)は、任期満了により3月31日付で退任されます。


(5)平成22年度部外解説委員の委嘱について
(日向専務理事)
 平成22年度部外解説委員の委嘱について報告します。
 平成22年度の部外解説委員として、五十嵐公利氏(外交・政治評論家)に再委嘱します。委嘱期間は、4月1日から平成23年3月31日までです。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成22年 3月29日
                     会 長  福 地 茂 雄

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