日本放送協会 理事会議事録  (平成21年 9月15日開催分)
平成21年10月 9日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成21年 9月15日(火) 午前9時00分〜9時50分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、金田専務理事、日向理事、溝口理事、
 八幡理事、永井理事、大西理事、関根理事、今井理事、黒木理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項
1 審議事項
(1)第1102回経営委員会付議事項について
(2)中央放送番組審議会委員の委嘱について
(3)視聴者対応報告(平成21年7・8月)について

2 報告事項
(1)21年7・8月の視聴者満足(CS)向上活動報告
(2)NHK教育フェア2009について
(3)地方放送番組審議会委員の委嘱について
(4)放送技術審議会委員の委嘱、退任について

議事経過

1 審議事項
(1)第1102回経営委員会付議事項について
(総合企画室)
 9月29日に開催される第1102回経営委員会付議事項について審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「中央放送番組審議会委員の委嘱について」、また、報告事項として「視聴者対応報告(平成21年7・8月)について」、「契約・収納活動の状況(平成21年8月末)」、「財政の現況(平成21年8月末)」、「NHK教育フェア2009について」および「地方放送番組審議会委員の委嘱について」です。

(会 長)   原案どおり決定します。


(2)中央放送番組審議会委員の委嘱について
(編成局)
 中央放送番組審議会委員の委嘱について審議をお願いします。
 細谷亮太氏(聖路加国際病院副院長、小児総合医療センター長)に、平成21年10月1日付で新規委嘱したいと思います。
 なお、榊原洋一委員(お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター教授)については9月30日付で、池田理代子委員(劇画家、声楽家)については10月3日付で、それぞれ任期満了により退任されます。
 本件が了承されれば、9月29日開催の第1102回経営委員会に諮ります。

(会 長)   原案を了承し、次回の経営委員会に諮ることとします。


(3)視聴者対応報告(平成21年7・8月)について
(視聴者サービス局)
 放送法第12条に定める視聴者対応の状況について、平成21年7・8月分を以下のとおり取りまとめました。ついては、放送法第22条の2第3項の規定に基づき、経営委員会に報告したいと思います。
 7月と8月にNHKに寄せられた視聴者の声の総数は、それぞれ37万0,719件(7月)、39万9,925件(8月)でした。8月は、衆議院選挙や夏の特集番組等があったため、通常月よりも多くの意見・問い合わせが寄せられました。各月の内訳は、7月は、苦情を含めた意見・要望が7万2,249件(20%)、問い合わせが26万3,751件(71%)、その他が3万4,719件(9%)でした。8月は、意見・要望が7万7,623件(19%)、問い合わせが27万9,297件(69%)、その他が4万3,005件(10%)でした。苦情や要望等を含めた意見のうち、7月については、90%は意見を受け付けた1次窓口で対応を完了し、残る10%は該当部局へ転送して2次対応しました。同様に、8月は、91%を1次窓口で対応完了し、残る9%は該当部局で2次対応しました。
 7月、8月のおもな番組の反響について報告します。
 まず、「政権選択」が最大の焦点となった衆議院選挙では、「衆議院選挙2009 開票速報」(8月30日〜31日放送)に、事前の問い合わせなどを含め、876件の問い合わせや意見・要望が寄せられました。主な意見としては、「NHKの報道は公平中立だった。このままの姿勢でがんばってほしい」「開票速報は、シンプルでていねいでとてもわかりやすかった。NHKは一番知りたい情報をきちんと伝えてくれたと思う」などの好評意見が寄せられた一方で、開票前に「当選確実」を出すことについての意見や問い合わせも目立ちました。それらの声に対して、NHKでは出口調査や事前の情勢取材、開票状況の取材などを総合的に判断して「当選確実」を判定し、開票が始まる前であっても、大差をつけて当選することが確実だと判断できれば「当選確実」を伝えることを説明し、理解を求めました。
 次に、「東京都議会議員選挙 開票速報」(7月12日放送)についてです。衆議院選挙の前哨戦として注目された東京都議会議員選挙の開票速報は、全国の視聴者の関心にこたえるため、関東ローカルだけでなく、全国放送でもお伝えしたところ、370件の反響が寄せられました。
 また、東京都議会議員選挙と衆議院選挙では、インターネット(NHKオンライン)、データ放送、携帯電話(NHKケータイ)でも開票の状況について詳しく伝えました。衆議院選挙では、インターネットへのアクセスは2,831万ページビュー、利用者は延べ265万人あまりで、国政選挙としては過去最高を記録しました。視聴者からは、「NHKのページはシンプルで、パソコンが素人の自分にとって、たいへん操作しやすかった」「特設ページが内容・機能ともに充実していて良かった」といった好評意見が多数寄せられました。
 今回の衆議院選挙、および同日に投票が行われた茨城県知事選挙の政見放送において、音声の一部が途切れたことや候補者を紹介する字幕に漢字表記の誤りがあったことに対し、視聴者から指摘がありました。NHKでは、各選挙管理委員会と協議のうえ、お詫びや訂正をしました。
 8月3日から6日にかけて、初めての裁判員裁判が東京地方裁判所で開かれました。NHKでは、裁判員の選任から判決までの4日間、法廷が開かれている時間帯は原則毎正時、特設ニュースを放送し、その時その時に法廷で何が行われているのか、裁判を傍聴した記者が東京地方裁判所から中継で詳しく伝えました。これに対して816件の反響が寄せられ、「裁判員裁判の放送は、一般市民にとって実際どのように行われているかが詳細にわかり大変参考になった」といった好評意見のほか、「どうしてNHKは“被告”という言葉を使うのか。“被告人”というちゃんとした言葉を使うべきだ」という意見も寄せられました。NHKでは昭和59年から犯罪報道での「呼び捨て」をやめ、「容疑者」「被告」の呼称を使用しています。法律用語では、民事訴訟で「被告」、刑事訴訟で「被告人」を使っていますが、放送では、「被告」のほうが短くてわかりやすいため、刑事裁判の被告人もそう呼んでいます。意見をいただいた方には、こうしたことを説明し、理解を求めました。
 放送番組に寄せられた反響総数は、7月は13万0,103件(意見4万4,924件、問い合わせ8万5,179件)で、8月は14万1,425件(意見5万4,827件、問い合わせ8万6,598件)でした。7月の個別番組で反響が多かったのは、6月に急逝したマイケル・ジャクソンさんの追悼関連番組で、「マイケル・ジャクソン“KING OF POP”の軌跡」(7月11日放送)と「ワールド・プレミアム・ライブ・スペシャル『マイケル・ジャクソン〜デビュー30周年コンサート』」(7月19日放送)が1位、2位を占めました。また、「地球エコ2009 体感生中継!46年ぶりの皆既日食」(7月22日放送)では、日本で46年ぶりに見られる皆既日食を、総合テレビで、鹿児島県の悪石島や硫黄島などを結んで生中継で伝え、夜にも特別番組で地球環境と深くかかわる太陽の素顔に迫りました。この番組には「美しい映像だった。皆既日食になっている間、出演者の声が出なくなるほど、美しくリアリティーがあった」など、661件の反響がありました。ホームページでも日食のライブ映像を配信しましたが、延べ293万回のアクセスがあり、最大4万人が同時に視聴したほか、放送後にも高画質動画などにたくさんのアクセスがありました。8月の個別番組では、夏の特集番組への反響が多く、NHKスペシャル「日本海軍 400時間の証言」(3回シリーズ・8月9〜11日放送)には1,641件の意見や問い合わせが寄せられました。「真摯(しんし)な番組だった。NHKの戦争問題に対する真剣な取材、番組制作、真実を伝えようとする強い意気込みを感じた」といった声や「今まで知らなかったこと、知らされていなかったことが多くあり、大変勉強になった」など、番組内容に対する好評意見が多く寄せられました。また、「忘れないで、わたしたちの戦争〜中居正広が聞く戦場の声〜」(8月14日放送)や、日本の、これから「“核の時代”とどう向き合うか?」(8月15日放送)など、“戦争と平和”を考える番組への反響が多くありました。
 視聴者からの再放送の問い合わせと要望は、7月は1万4,898件、8月は1万5,425件でした。再放送希望でも、7月はマイケル・ジャクソンさんの追悼関連番組、8月はNHKスペシャル「日本海軍 400時間の証言」(3回シリーズ)が上位を占めました。これらの声に応えて、再放送を行いました。
 視聴者からの意見や要望を受けて、改善した事例を紹介します。地上デジタル放送では、通常ハイビジョン画質で放送している1つのチャンネルを使って、アナログ放送と同じ標準画質の2〜3番組を同時に放送することができます。これをマルチ編成と呼んでいます。この機能を使って、デジタル総合テレビでは、「プロ野球」のナイターを中継している途中「NHKニュース7」などの定時ニュースの時間になった時に、“デジタル総合1”でニュースを放送し、“デジタル総合2”で野球中継を続けるマルチ編成を行っています。今年度は、4月11日、6月6日、7月18日の「プロ野球」ナイター中継において、マルチ編成を実施しました。その当初、各新聞の番組表では、“デジタル総合2”が【S2】と表示されていました。そのため、「新聞の番組表にある【S2】という表記は何か」「新聞に【S2】と書いてあるが、“BS2”でプロ野球を放送しているのか」などの問い合わせが多く寄せられました。それらの声を受けて、NHKは、6月16日に各新聞の番組表を編集している配信社に、マルチ編成時の【S2】というチャンネル表記を【地デジS2】に変更するように申し入れました。その結果、4月11日の時点で133件あった問い合わせが、7月18日には19件に減少しました。また、「どのようにしたら“デジタル総合2”を視聴できるのか」という問い合わせを受けて、7月18日の放送では、“デジタル総合2” に切り替えるための、テレビのリモコンの操作方法について画面上にスーパーしました。その結果、“デジタル総合2”の視聴方法に関する問い合わせが4月11日、6月6日の時点で200件前後あったものが、7月18日には157件に減少しました。
 NHKの判断や考え方に理解を求めた事例を紹介します。
 関東地区の視聴者から、「教育テレビで高校野球を見ていたら、試合で一番重要な部分で中断し、『NHK手話ニュース』が放送された。その間に逆転された。5分ぐらい待つことは出来なかったのか。放送中断中のVTRの放送も無かった」という内容の意見が34件寄せられました。この日の高校野球は、昼前から午後1時5分まで教育テレビで、その後は総合テレビで放送し、教育テレビでは午後1時5分から「NHK手話ニュース」を放送しました。関東地方では、総合テレビで衆議院選挙の経歴放送を放送するため、高校野球はいったん中断し、「NHK手話ニュース」を伝えた後、引き続き教育テレビで放送しました。この判断について、毎週月曜日から金曜日にこの時間で放送している「NHK手話ニュース」をご覧になっている方に配慮した編成であることを説明して、理解を求めました。
 また、ドラマスペシャル「白洲次郎」が当初放送を予定していた日に放送されなかったことについて991件の問い合わせがありました。これに対して、衆議院選挙に伴う政見放送のため、放送予定が変更になったことを説明して、理解を求めるとともに、放送予定を案内しました。
 緊急地震速報関連について2点報告します。
 8月11日午前5時すぎ、静岡県で震度6弱の揺れを観測した地震で、気象庁は緊急地震速報を発表しました。テレビやラジオで緊急地震速報を聞いた視聴者から速報の効果を実感したという声が寄せられました。また、8月25日朝、衆議院選挙の政見放送中に、気象庁が誤って発表した緊急地震速報が流れたことに対して、視聴者から188件の声が寄せられました。これを受けて、震度5弱以上の揺れが予測される時は自動的に速報されるため、NHKでも緊急地震速報は伝えたが、揺れが観測されなかったので、そのまま政見放送を続けたことを説明するとともに、人命にかかわる緊急かつ重要なニュースは、政見・経歴放送の途中でも中断して伝えることは公共放送として当然の責務であることを説明して理解を求めました。緊急地震速報画面が出た当該政党の政見放送についての対応は、選挙管理委員会と協議した結果、28日の同時間帯に「やり直し放送」を行いました。
 テロップなどの誤記や原稿などの誤読については、視聴者からの指摘に基づき確認した結果、7月は66件、8月は60件の表記のミスや読み間違いなどがありました。いただいた指摘については、番組担当者に連絡し、放送の中で訂正するように努めるとともに、再発防止に向けて関係部局に周知し、注意を喚起しました。
 経営関係の意見について報告します。
 経営全般に対する意見や要望のうち、コールセンターや全国各放送局のハートプラザなどで受けたものは、7月は970件、8月は852件でした。
 2011(平成23)年の地デジ完全移行のちょうど2年前にあたる7月24日に、「どう準備すればいいの?〜地デジ完全移行まであと2年〜」を放送しました。地デジの準備のために、どんな機器が必要で、どれくらいの費用がかかるのか、わかりやすく解説し、地上アナログ放送終了の際に生じる課題などを検証するため、アナログ放送休止のリハーサルが行われた石川県珠洲市からの中継を交えながら、さまざまな動きを紹介しました。この番組への意見のほか、デジタル化についての意見や問い合わせなどが、225件寄せられました。
 石川県珠洲市とその周辺では、午前10時から午前11時までの1時間、アナログ放送を休止しました。NHK金沢放送局でも、視聴者の問い合わせに対応しましたが、事前の周知がていねいに行われていたため、問い合わせはほとんどありませんでした。

(会 長)   原案どおり決定し、次回の経営委員会に報告します。


2 報告事項
(1)21年7・8月の視聴者満足(CS)向上活動報告
(視聴者サービス局)
 21年7・8月の視聴者満足(CS)向上活動について報告します。
 完全デジタル化を2年後に控えて、各局で地デジ普及促進活動が重点的に行われています。番組やイベントを活用したPR活動を中心に、地域に密着した取り組みを展開し、8月末時点で、211件の報告が寄せられました。その中から、主な取り組みを紹介します。
 富山放送局、宮崎放送局、山口放送局では、テレビのPRスポットを利用して、よりわかりやすく地デジを伝えようという取り組みを行っています。各県の地上デジタル放送推進協議会などが、地域独自の要素を盛り込んだユニークなPRスポットを制作して、7月からNHKと民放、CATVなどで同一のスポットを放送しています。
 室蘭放送局では、「放送局のちから」で目標に掲げている地デジ普及促進活動を活性化するため、今年度、「地上デジタル放送普及プロジェクト」を発足させました。「一人ひとりが地デジセールスマン」を合言葉に、公開番組や地域のお祭りなどのイベントにあわせて、2年間で全18市町を回ることを目標として“地デジPR隊”を結成しました。5月以降、3市2町の7か所に赴き、目印になるのぼりやはっぴ、看板などでアピールをして、5,000人以上の視聴者にPRしました。
 仙台放送局では、宮城県内の視聴者を対象に、地上デジタル放送の特徴の1つであるデータ放送の視聴状況を調査しました。その結果、データ放送の存在は知っているものの、使い方やコンテンツについてはよく知られていないことが判明しました。それを受けて、仙台放送局の各部の若手メンバーで構成するプロジェクト“アクティブ青葉”が、データ放送の便利なコンテンツを説明する「地上デジタル NHKデータ放送 便利ガイド」を制作しました。地元のプロ野球チーム「東北楽天ゴールデンイーグルス」の試合速報をL字画面でお伝えする「楽天L字速報」や「天気&ニュース」などの4項目を解説したもので、1万部を作成しました。電器店500店舗に配付したほか、イベントやふれあいミーティングなどで活用しています。利用者からは好評の声が寄せられています。
 地デジ中継局が開局していない地域の視聴者は、アナログとの違いや、リモコンの扱い方など、基本的な情報が不足し、結果として「地デジのことがよくわからない」という声が多くなっています。そこで、技術局と視聴者サービス局では、10月に地上デジタル放送を開始する東京都八王子市で、中継局の試験電波送信開始にあわせて、ふれあいミーティングを実施しました。地上デジタル放送の楽しみ方や使い方の講座や番組上映のほか、個別受信相談にも対応しました。参加者は少人数でしたが、その分、ていねいな説明が受けられたと好評の声が寄せられました。
 また、視聴者サービス局は、技術局と連携して、地上デジタル放送の普及促進ツール「ななみちゃんと挑戦!地デジ探検隊」を開発しました。地デジの4つの特性である1「データ放送」2「高画質」3「高音質」4「EPG(電子番組ガイド)」をスタンプラリー形式で楽しむ体感型の展示で、8月に東京の放送センター、仙台放送局、大阪放送局で公開しました。21年度には、釧路放送局、沖縄放送局など全国13局で展示する予定です。
 続いて、「放送局のちから」の取り組みを報告します。7、8月とも、全国から160件を超える活動報告が寄せられました。
 まず、岡山放送局では、県民がどのように岡山放送局の活動や取り組みを受け止めているのかを把握するために、独自のアンケート調査を実施しました。岡山放送局が展開する「脳卒中防止キャンペーン」やイベント、広報誌、ホームページの認知度など、視聴者の意向を収集した結果、岡山放送局の知らせたいコンテンツが県民に十分知られていないことがわかりました。この結果を受けて、今後、岡山放送局の取り組みをどのようにして広めていくのかを検討し、積極的な広報展開を行い、改善に努めていくことにしています。また、認知度に向上が見られたかどうかを測るためにも、このアンケート調査を継続していきます。
 釧路放送局は、官庁街の移転に伴い所在地が市の中心街から外れ、人の往来も少なくなってしまったことから、地域を元気にするイベントを開発して、視聴者が足を運ぶNHKにする活動をスタートさせました。特大の210インチスクリーンで皆既日食や、「おじゃる丸」「忍たま乱太郎」などの番組上映会を行い、そのあとにふれあいミーティングを実施して、参加者のご意見を伺っています。そのほか、エントランスを明るくし、アーカイブスコーナーや「Hi−Visionルーム」を設置するなど、来館者サービスに努めています。
 昨年、鳥取県西部の山あいに住む視聴者から、「夜になるとラジオ第1放送が、混信して満足に聞くことができない」という声が寄せられました。鳥取放送局では、県内のケーブルテレビ加入率がおよそ6割と高いことに着目して、鳥取県ケーブルテレビ協議会に、CATV各社が共通利用するネットワークを利用してAMラジオの再送信を実施することを提案しました。検討の結果、ネットワークの中にある音声空きチャンネルを利用することで、コストを抑えて実現が可能であると判断し、全国で初めて県内複数のケーブルテレビ事業者と連携した、ラジオ第1放送の再送信サービスが実現。視聴者の声に応えました。
 視聴者からの意見や要望などに基づく業務の改善については、7月の改善件数は97件、8月は68件でした。年度累計では457件で、ほぼ前年並みに推移しています。
 この中から、「NHK全国学校音楽コンクール(Nコン)」のインターネット生中継について紹介します。会場に来ることができない方々へのサービス向上の観点から、関東甲信越、九州、東北のブロックコンクールで、P2P(サーバー型ネットワークと異なり、不特定多数のコンピューター同士がサーバーを経由せず情報を送受信するため、管理面での経費節減や耐障害性などの効果が期待される技術)によるインターネット中継を実施しました。これは、日本のテレビ局で初めてのP2Pサービスになります。これにより、Nコン関連のホームページへのアクセス数がピーク時で通常期の2倍以上を記録するなど、利用者からは、好評意見が多数寄せられています。
 各部局が実施したふれあいミーティングについての報告です。7月は全国で187回実施し参加者は4,237人、8月は114回実施し参加者は3,388人でした。7、8月ともに前年実績を上回っています。
 この中から、沖縄放送局の取り組みについて紹介します。沖縄放送局では、地上デジタル放送の普及率など、さまざまな課題を抱えていることから、地元の方々の率直なご意見・ご要望を伺うことで課題を確認しようと、夕方の地域情報番組「ハイサイ!ニュース610」と連動して、番組に出演した地域の人々やスタジオ見学者とのふれあいミーティングを、8月に2回開催しました。沖縄放送局では、今後も、継続してふれあいミーティングを開催し、地元の声を業務に反映して課題の改善に努めます。

(会 長)

 「放送局のちから」の取り組みが始まって、まもなく半年になります。各放送局の取り組み状況については、イントラネットで知ることができますが、役員が各拠点局に出向いて、直接状況をヒアリングしてみてはどうでしょうか。

(大西理事)

 各放送局の取り組みについては、全国で情報が共有できるように、NHK内のイントラネットに最新情報を常に更新して掲載しています。各放送局に水平展開した事例なども含めて、意識してスピード感を持って情報共有に努めています。しかし、取り組みが始まってから半年の間にどのように変化したか、また、視聴者にどのように伝わったかなど、もっと掘り下げた情報が共有できれば、さらに発展させたり工夫を加えたりできるユニークな取り組みはたくさんあると思います。

(視聴者サービス局)

 「会長・拠点局長ミーティング」の場などを活用して、「放送局のちから」への取り組みを推進していきたいと思います。今、これを推進する施策の提案を募集していますが、積極的に新しい取り組みが提案されているので、視聴者サービス局として、どのような形で協力していけるかを検討しています。

(会 長)

 成功した事例などがあれば、積極的に各局に水平展開してほしいと思います。

(大西理事)

 各放送局では、それぞれのホームページに視聴者の皆さまとお約束したことを掲載していますし、取り組みの報告も本部に寄せられています。イントラネットで全国の放送局の情報を常に見ることができる状態になっています。会長の指摘のように、情報を共有することで、水平展開など他局との連携が、徐々に広がっている状況です。


(2)NHK教育フェア2009について
(編成局)
 10月22日から11月3日まで開催する「NHK教育フェア2009」について報告します。
 今回は、公共放送NHKの多様な教育サービスを視聴者やイベントの参加者に広く知ってもらい、教育テレビ開設50周年をエポックとして、未来に向けたさらなる信頼の醸成に努めます。具体的には、あらゆる人の学ぶ意欲に応える公共放送NHKの姿勢をアピールし、子ども番組や生涯学習番組を特集化し、NHKへの親近感と信頼を高めてもらいます。また、教育コンテンツの国際コンクール「日本賞」の開催や、アジア太平洋放送連合(ABU)との連携を通じて、世界の放送の発展に寄与したいと思います。
 主な内容は次のとおりです。

.公開イベント「NHK秋のふれあい広場〜教育フェア2009〜」

 

 幼児から中高年まで、三世代が楽しく学べるNHKの教育コンテンツの面白さを体感できる場として、10月31日から11月3日まで、東京・渋谷の放送センター4階正面ロビー、正面広場、5階スタジオなどで開催します。具体的には、幼児番組やアニメをはじめ、語学番組や趣味実用番組、福祉番組、新しい時代に向けたデジタルコンテンツまで、会場をひとまわりすれば、バラエティーに富んだNHKの教育サービスを実感できる展示をそろえます。屋外ステージでは、幼児・子ども番組の人気キャラクターショー、ミニコンサートなどを催します。ふれあいホールでは、三世代で楽しんでいただける、テレビ・ラジオの生放送や公開収録を行います。体験型展示のコーナーでは、「ETV50」「新☆三銃士」「デジタルコンテンツ」を並べて展示して、教育テレビの過去・現在・未来をアピールします。4階正面ロビーに、教育テレビ50周年記念の人形劇「新☆三銃士」の世界を大展開し、人形の実物展示や人形劇のミニライブを行い、現在の教育テレビをアピールします。その隣には「ETV50 もう一度見たい教育テレビ」コーナーを設置し、1年間にわたって視聴者から寄せられたリクエストをもとに、教育テレビの50年の歩みを通してふりかえります。そして、同じく4階ロビーには、10月31日からスタートする新しいサービス「NHKクリエイティブ・ライブラリー」の紹介スペースを設置し、NHKの膨大かつ良質な映像を自由に使って独自の映像作品を作れる仕組みを体験していただきます。そのほか、科学映像のデータベース「クロスメディア理科」、ITに関するメディアリテラシーを学べる「ITホワイトボックス」などを展示し、教育テレビの未来を紹介します。
 10月31日には、4階正面ロビー内の特設ステージを中心に、会場から熱気あふれる生放送を朝から夕方まで送出します。4階、5階の会場に加えてふれあいホールで行われるステージショーの様子を伝えるほか、大阪放送局からはストレッチマン・ショーの中継があります。
 なお、10月31日〜11月3日は、NHKスタジオパークを「視聴者感謝デー」として無料で公開します。また、ふれあい広場の会場やその周辺では、10月31日〜11月1日の2日間、「“ふるさとの食・にっぽんの食”東京フェスティバル」と「渋谷区くみんの広場」が同時開催されます。

.第36回「日本賞」教育コンテンツ国際コンクール

 

 「日本賞」は、世界の教育番組の向上を図るとともに国際的な理解と協力の増進に役立つことを目的として、NHKが1965(昭和40)年に創設したコンクールです。国際的にも、デジタル放送やインターネットが急速に教育現場に普及している現状を踏まえ、昨年から、最先端のコンテンツが競う場となるよう、「教育番組」にとどまらず「音と映像を用いた教育コンテンツ」に対象を広げました。今年は世界65の国・地域の196機関から、史上最多となる324本の作品応募がありました。初参加した機関は91あり、昨年に次いで過去2番目の多さとなりました。日本の機関では、民放局や番組制作会社のほか、ゲームソフト関連やデジタルコンテンツ関連の会社からの初参加が目立ちました。NHKからは、コンテンツ部門に「クインテット」(平成21年7月22日放送)、NHKスペシャル「ヤノマミ 奥アマゾン 原初の森に生きる」(平成21年4月12日放送)など5本の番組が参加します。
 昨年から、コンクールの透明性を高めるため、審査基準を事前にホームページで公開しています。10月22日から27日まで、日本や韓国、アメリカ、ブラジル、カタールなど13か国から迎えた15人の専門家が厳正な審査を行い、28日に授賞式を開催します。
 関連番組として、11月1日午後9時から教育テレビで授賞式の模様を放送します。また、受賞した作品は、11月2日の午後6時から教育テレビで一挙に紹介します。

.学ぶ冒険!視聴者とともにつくる特別編成

 

 教育テレビ50周年という節目の年に、過去と未来を見据えた、教育番組の魅力を最大限にアピールする特別編成を行います。目玉となるのは、「NHK秋のふれあい広場」の会場から公開生放送する「生放送 学ぶ冒険〜教育フェア2009〜」(10月31日 教育テレビ)です。同じく会場からの視聴者参加型番組として「きょうの料理 クッキングコンテスト2009」(11月1日 総合テレビ)も生放送の予定です。また、視聴者の要望にこたえる番組編成として、「ETV50 もう一度見たい教育テレビ」などを放送するほか、教育フェア関連特集番組や「日本賞」の関連番組などを編成します。

.アジア教育プロデューサー会議

 

 このイベントは、10月23日〜28日の期間に実施します。期間の前半は、過去3回実施した国際的な環境教育イベント「ABU未来への航海」に参加したアジア6か国の10代の子どもたちが、兵庫県豊岡市で行われるコウノトリ保護活動の学習イベントにプロデューサーとともに参加します。後半は、放送センターで「ABU未来への航海」の総括会議を行います。

.第10回NHKアジア・フィルム・フェスティバル

 

 アジア諸国の新進気鋭の映画監督と映画を共同制作することで、互いの文化を理解しあい、アジアの映像文化の振興に寄与することを目的に、10月24日から29日まで、NHKふれあいホールで開催します。


(八幡理事)

 「NHK秋のふれあい広場」の来場者数は、どれぐらいと予想していますか。

(編成局)

 土日と祝日は1日3万人程度を見込んでいますが、11月2日は平日ですので、10月31日から11月3日までのトータルで9〜10万人ぐらいではないかと思います。

(八幡理事)

 教育テレビは、受信料制度があるからこそ成り立っています。10万人もの方が来場するのですから、受信料制度への理解を深めていただく好機だと思います。

(編成局)

 教育フェアは、来場者に楽しんでいただくためのイベントだと考えますので、楽しんでいただく中で、受信料制度についてのアピールができるかどうか、関連部署と相談していきたいと思います。

(八幡理事)

 お子さんが大勢みえるので、公共放送への理解促進につながればいいと思います。

(大西理事)

 教育フェアと同じ時期に、NHKのインターネットサービスである「NHKオンラインメンバーズ」と「NHK+ID」が統合して、新しいサービスを始めます。これも受信料で行われているサービスの1つなので、PRの機会があればいいと思いますが、いかがでしょうか。

(編成局)

 「NHK教育フェア2009」のホームページを立ち 上げますので、リンクを張るなど、ウェブ上でのアピールができると思います。また、IT関連の展示コーナーなどでのアピールも検討してみたいと思います。


(3)地方放送番組審議会委員の委嘱について
(日向理事)
 地方放送番組審議会委員の委嘱について報告します。
 九州地方で古野隆雄氏(農家)に、北海道地方で内田和幸氏(ながぬま農業協同組合代表理事組合長)に平成21年10月1日付で新規委嘱します。また、中部地方で石川好和委員(愛知県農業協同組合中央会専務理事)、東北地方で橘眞紀子委員(秋保温泉岩沼屋専務取締役)、北海道地方で田澤由利委員((株)ワイズスタッフ代表取締役)に同日付で再委嘱します。
 なお、九州地方の大倉紀子委員((株)ジャンヌマリー代表取締役社長)は、任期満了により9月30日付で退任されます。


(4)放送技術審議会委員の委嘱、退任について
(永井理事)
 放送技術審議会委員の委嘱と退任について報告します。
 荒川薫氏(明治大学理工学部情報科学科教授)に平成21年8月1日付で、森口泰孝氏(文部科学省文部科学審議官)に平成21年8月12日付で新規委嘱しました。
 また、坂田東一氏(前文部科学省文部科学審議官)については、7月14日付で人事異動により、宮崎久美子氏(東京工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科教授)については7月31日付で任期満了により、それぞれ退任されました。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成21年10月 6日
                     会 長  福 地 茂 雄

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