日本放送協会 理事会議事録  (平成21年 7月 7日開催分)
平成21年 7月24日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成21年 7月 7日(火) 午前8時30分〜9時10分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、金田専務理事、日向理事、溝口理事、
 八幡理事、永井理事、大西理事、関根理事、今井理事、黒木理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項
1 審議事項
(1)第1098回経営委員会付議事項について
(2)テレビジョン放送による外国人向け委託協会国際放送業務を行うに
   あたり一般放送事業者に対し協力を求める基準及び方法について
(3)地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について

2 報告事項
(1)地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について
(2)地上デジタル放送への「移行円滑化助成業務」に係る実施要綱の
   一部修正について
(3)関連団体役員体制について
(4)2009年6月全国個人視聴率調査の結果について
(5)2009年6月全国接触者率調査の結果について
(6)2009年6月放送評価調査の結果について
(7)放送番組審議会議事録(資料)

議事経過

1 審議事項
(1)第1098回経営委員会付議事項について
(総合企画室)
 7月14日に開催される第1098回経営委員会付議事項について審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「テレビジョン放送による外国人向け委託協会国際放送業務を行うにあたり一般放送事業者に対し協力を求める基準及び方法について」と、「地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について」です。また、報告事項は、「地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について」と、「関連団体等の社長の交代について」です。

(会 長)   原案どおり決定します。


(2)テレビジョン放送による外国人向け委託協会国際放送業務を行うに
   あたり一般放送事業者に対し協力を求める基準及び方法について
(国際放送局)
 平成20年4月に施行された改正放送法では、外国人向けテレビ国際放送の強化にあたり、NHKが民放などの一般放送事業者に協力を求めることができるとする規定が、第10条として新設されました。
 同条第1項では、NHKは「一般放送事業者に対し、自ら定める基準及び方法に従って、放送番組の編集上必要な資料の提供その他必要な協力を求めることができる」とされていることから、この基準および方法を次のとおり定めることとしたいので、審議をお願いします。
 NHKが一般放送事業者に求める協力は、相手方が制作または保有する放送番組や映像・音声素材の提供のほか、外国人向け委託協会国際放送業務の実施に関するあっせんや情報の提供などとします。
 協力を求める基準については、提供される放送番組または素材が、日本の文化、産業その他の事情を紹介することにより、諸外国の日本に対する理解を深めるとともに、国際間の文化および経済交流を促進し、もって国際親善および人類の福祉に貢献することが期待されるものであること、提供を受けることが業務の実施に特に資すること、必要な権利(第三者の権利を含む)の処理が可能なことの、いずれにも該当することとします。また、業務実施に関するあっせんや情報提供を受ける場合の基準は、協力を得ることが業務の実施に特に資することとします。
 協力を求める方法については、協力の種類、その具体的内容、該当する基準、利用条件、対価の支払いの有無、その他必要な事項を記載した文書により行うこととします。協力の求めが応じられた場合は、NHKと相手方の一般放送事業者との間で、協力に関する契約を、原則として文書により締結します。また、相手方が支払いを求めない場合を除いて、NHKは、協力に伴い発生する経費および適切な対価を支払います。
 以上の基準および方法の実施細則は、別に定めることとします。
 この基準および方法の制定にあたっては、放送法第10条第2項の規定に基づき、7月10日の第551回国際放送番組審議会に諮問します。同条第3項では、国際放送番組審議会は、この基準および方法について諮問を受けた場合には、一般放送事業者の意見を聴かなければならないと規定されています。
 審議会の可とする答申が得られれば、7月14日の第1098回経営委員会に議決事項として提出し、議決が得られたうえは、総務大臣への届出を行った後、平成21年9月1日から施行します。
 なお、NHKが協力を求める具体例として、地域の民放局が制作し、日本民間放送連盟の賞などを受賞したドキュメンタリー番組の提供を受け、NHKが英語化して、外国人向けテレビ国際放送で特集編成することを、現在検討しています。

(金田専務理事)

 地域民放局制作のドキュメンタリー番組の編成を検討しているというのは最初の一例であって、提供を求めるのにジャンルや制作局は問われないのですね。

(国際放送局)

 そういうことです。まずは権利処理など条件の整いやすいところから始めていこうと考えています。
 なお、参考としてNHKの地域放送局についても、大阪放送局制作の「ルソンの壺」など、地域放送番組を英語化して外国人向けに放送しています。最近は外国人向けニュースの中で地域発のリポートも増えており、24時間毎正時に放送している「NEWSLINE」では、地域放送局の記者やアナウンサー、カメラマンなどによるリポートを4月以降16本放送しました。今後もNHK地域放送局の参加を増やしていきたいと思います。

(八幡理事)

 改正放送法の施行は去年の4月でしたが、この基準および方法の策定が今になったのは、何か事情があったのですか。

(国際放送局)

 改正放送法では、外国人向け国際放送番組を制作・放送する子会社を設立することなど、国際放送に関連して従来なかった新しい制度がいくつか定められましたので、それにひとつずつ対応してきて、本件が最後になったものです。

(会 長)

 原案どおり了承します。7月10日の国際放送番組審議会に諮問し、可とする答申が得られれば、14日の経営委員会に諮ることとします。


(3)地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について
(永井理事)
 地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について審議をお願いします。
 設置に向けての諸条件が整った、21道府県の99地区(注1)に、地上デジタルテレビジョン中継放送局(総合・教育98地区、総合のみ1地区)を設置したいと考えます。
 整備に要する経費はおよそ28.5億円を見込んでいますが、既設のアナログ施設の活用や民放との共同建設などを通じて、コストの削減に努めます。
 この計画が了承されれば、7月14日開催の第1098回経営委員会に議決事項として提出します。

(会 長)

 中継放送局の整備は、計画どおりに順調に進んでいるということですね。
 原案どおり了承し、次回の経営委員会に諮ることとします。

注1:地上デジタルテレビジョン中継放送局を設置する地区
 〈北海道〉えりも、庶野、〈山形〉戸沢、〈茨城〉八郷、〈千葉〉白浜、丸山、鴨川、勝浦総野、富山、〈神奈川〉釜利谷、湯ノ沢、〈静岡〉中川根徳山、白糸、〈愛知〉知多内海、常滑、犬山南、〈滋賀〉高月高野、マキノ海津(総合のみ)、〈京都〉京都大原、舞鶴寿、宇治志津川、京都八瀬、〈兵庫〉川西湯山台、佐用、相生若狭野、揖保川ひばりケ丘、赤穂高雄、明石朝霧、南淡、篠山福井、篠山浜谷、神戸明泉寺、豊岡戸牧、豊岡栄、神戸高座、川西一ノ鳥居、西宮青葉台、西宮名塩、宝塚玉瀬、村岡高津、〈奈良〉都祁、五条丹原、生駒あすか野、〈和歌山〉海南木津、野上緑ケ丘、橋本柱本、美浜三尾、白浜庄川、御坊富安、海南小野田、下津大崎、粉河秋葉下、上富田生馬、〈岡山〉矢掛南、虫明、久米南神目、赤坂石相、〈広島〉呉小坪、八本松、〈愛媛〉松野、〈高知〉東洋甲浦、下川口、沖ノ島母島、沖ノ島弘瀬、大豊大田口、安田、〈長崎〉長崎西山、長崎北、佐世保大野、佐世保日野、佐世保赤崎、早岐、〈熊本〉水上、本渡、本渡北、〈大分〉佐賀関、湯平、直入、西庄内、海添、竹田会々、五馬、日出生、東稙田、野津市、〈鹿児島〉笠利、宇検北、宇検南、天城、与路、面縄、山、住用北、田皆、住用南、大和北、大和南、〈沖縄〉伊是名東、伊是名西


2 報告事項
(1)地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について
(永井理事)
 地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について報告します。
 設置計画に基づいて建設を取り進めてきた地上デジタルテレビジョン中継放送局のうち、今年の4月1日から6月30日の期間に、69局(総合・教育68局、総合のみ1局 注2)が開局しました。
 その結果、今年6月末までに全国累計で854局の中継放送局が開局し、視聴可能世帯は約4,807万世帯、カバー率は約97%となりました。
 建設にあたっては、既設のアナログ施設の活用や民放との共同建設などを通じて、コストの削減に努めました。今後も、経費削減を図りながら、中継放送局の建設・整備を進めていきます。
 なお、本件は、7月14日開催の第1098回経営委員会に報告事項として提出します。

注2:今回開局した地上デジタルテレビジョン中継放送局
 〈宮城〉石巻、〈茨城〉岩瀬、〈岐阜〉多治見、土岐、瑞浪、〈静岡〉河津、川根、藤枝葉梨、中伊豆、清沢、芝川内房、水窪、〈三重〉南勢、〈兵庫〉宝塚(総合のみ)、〈岡山〉備前瀬戸、賀陽、真備、中国勝山、有漢、東井原、長船、〈広島〉呉広、竹原北、尾道美ノ郷、新市常金丸、三原幸崎、瀬野、〈山口〉むつみ、仁保、由宇、〈徳島〉一宇、大歩危、井川井内谷、〈愛媛〉城辺深浦、西海、〈高知〉矢井賀、大野見、東津野、土佐葉山、〈福岡〉呼野、寺内、黒木谷、〈佐賀〉肥前大和、〈長崎〉外海、長与、畝刈、雲仙、吉井、佐々、相浦、世知原、長崎滑石、江迎鹿町、〈熊本〉芦北、立田山、湯浦、〈大分〉竹田、竹中、西屋敷、〈宮崎〉日之影、〈鹿児島〉内之浦、坊津南、田代、大口北、横川古城、〈沖縄〉川平、祖納、与那国、内道


(2)地上デジタル放送への「移行円滑化助成業務」に係る実施要綱の
   一部修正について
(永井理事) 
 NHKでは、2011年7月24日までにアナログテレビ放送を円滑に終了させるため、NHKと地元の視聴者が共同で設置・運用する共同受信施設(NHK共聴)やNHKの中継局によりアナログ放送を受信している視聴者が、全員ケーブルテレビ等の代替手段に移行してデジタル放送を視聴することにより、NHK共聴のデジタル化改修やNHKのデジタル置局が不要になる場合に、この移行を円滑に行うため、必要な経費の一部を助成する業務を、昨年11月に総務大臣の認可を受けて実施しています。この業務について、さらに移行を円滑に進める観点から、自治体に対して一括助成を行うことができる場合を拡大することとして、実施要綱を一部修正しましたので報告します。
 これまでの実施要綱では、自治体に一括助成を行う要件を、自治体が自らケーブルテレビを新設して、それにNHK共聴の組合員やNHKの中継局の受信世帯が全戸加入する場合に限っていました。しかし、いくつかの自治体から、既設の自治体ケーブルテレビや第三セクターのケーブルテレビ等への全戸加入を自治体の責任で行う場合にも、助成先を自治体とするよう要望が出されています。
 自治体の責任において、NHK共聴組合やNHKの中継局の受信世帯の同意を得てケーブルテレビ等への全戸加入が実現する場合は、デジタル化改修やデジタル置局が不要となることとなり、本業務の目的が実質的に達成されると考えられます。そこで、公的補助を受けて整備され安定的かつ継続的な運営が担保されるケーブルテレビ等への全戸加入が自治体の責任において実現される場合についても、自治体への一括助成を行うことができるよう、実施要綱を修正することとしました。
 なお、本業務の実施要綱の基本的事項を変更する場合は、あらためて総務大臣の認可が必要となりますが、今回の一部修正については、NHKの裁量で実施できる範囲であることを、総務省との間で確認済です。

(大西理事)

 今回の措置で助成の対象となる自治体は、全国にどれくらいありますか。

(永井理事)

 現段階で対象となる自治体の数はわかりませんが、現在、石川県の自治体や岐阜県の複数の自治体などにこれを適用して、一括助成を行うことを考えています。

(副会長)

 自治体が自らケーブルテレビを整備するかどうかの判断が遅れているため、NHKの中継局の建設計画が遅れる懸念が出ている地域もあると聞きました。自治体によるケーブルテレビ整備の決定を促す効果もあるでしょうか。

(永井理事)

 自治体がケーブルテレビを新設する場合については、従来の実施要綱でも助成できました。今回新たに、第3セクター等によるケーブルテレビの場合も一括助成することになります。いずれにしても、2011年7月24日までに地上デジタル放送へ完全移行するためには整備を早く進めないといけないので、ケーブルテレビの新設を検討している自治体には、できるだけ早く判断してもらえるよう働きかけているところです。

(大西理事)

 第3セクター等によるケーブルテレビには、農村MPISと呼ばれる公設の有線放送も含めて考えていますか。

(永井理事)

 それも含めて考えています。

(会 長)

 現在の予算の枠内で実施できますね。

(永井理事)

 当然、予算の枠内で実施できると考えています。


(3)関連団体役員体制について
(総合企画室)
 平成21年7月1日現在の関連団体の役員体制の概要について報告します。
 関連団体の株主総会等において、役員が選任されました。7月1日現在の常勤役員数は127人で、昨年度の同時期より1人増え、非常勤役員数は175人で、昨年度より18人増えています。ただし、常勤役員のうち12人、非常勤役員のうち25人は、改正放送法の施行に伴い、(株)日本国際放送を設立したことや、3社が新たに関連会社化されたことなどにより増えたものです。一方で関連団体の再編・統合も実施しましたので、団体の数は29団体と、昨年と変わっていません。
 常勤役員の内訳では、元NHK役職員が103人で昨年度より4人減り、NHK関係者の構成比率は、昨年度から3.8ポイント下がって、81.1%になりました。NHK出身の常勤役員については、平成19年度から21年度にかけての3か年で40人減らしましたが、先に述べた改正放送法施行に伴い新たに7人が加わり、純減は33人となりました。また、今年度、NHKから関連団体に転籍してすぐに役員に就任したのは1人で、役員制度改革が定着してきていると考えます。一方、関連団体独自採用者の役員は、昨年度より1人増えて14人となり、構成比率は昨年度から0.7ポイント上がって11.0%になっています。
 また、5つの団体で社長が交代しました。具体的には、子会社である(株)NHKエデュケーショナル、(株)NHKメディアテクノロジー、(株)NHKビジネスクリエイト、NHK営業サービス(株)と関連会社のJapan Satellite TV(Europe)Ltd.の各社で、それぞれ同社役員からの内部昇格、または他社からの移籍による就任です。
 なお、関連団体等の社長の交代については、7月14日の経営委員会に報告します。

(4)2009年6月全国個人視聴率調査の結果について
(放送文化研究所)
 6月の全国個人視聴率調査の結果について報告します。
 調査は6月8日(月)から14日(日)までの1週間、全国7歳以上の3,600人を対象に、配付回収法による24時間時刻目盛り日記式(個人単位)で実施し、有効数は2,545人、有効率は70.7%でした。有効率が7割を超えたのは5年ぶりです。前年は、調査期間中に「岩手・宮城内陸地震」の発生がありましたが、今回の調査期間には、大きな事件・事故・災害等は特にありませんでした。
 まず、テレビ視聴の概況について説明します。
 週平均での1日のテレビ視聴時間は、NHKと民放を合わせて3時間43分、そのうちNHKが57分でした。前年の調査から大きな変化はありません。年層別に見ると、70歳以上の男性が1日6時間テレビを視聴しているのに対し、20代男性は1時間44分、同女性は2時間23分と視聴時間がたいへん短くなっています。
 次に、総合テレビの視聴率を時間帯別に見ていきます。
 朝の各時間帯について10年前からの視聴率の推移を見ると、5〜7時台は大きな変化がありませんが、8時台は今回6.0%と、前年の7.2%から下がっており、10年間では3%近く低下しています。その理由として、現在放送している連続テレビ小説「つばさ」の総合テレビ本放送の視聴率が9.3%と、連続テレビ小説としては初めて10%を切ったことも理由のひとつに挙げられると思います。
 夜の各時間帯では、19時台は「NHKニュース7」と「クローズアップ現代」が健闘しています。20時台・21時台はこの数年大きな変化がありません。22時台は、2006年に編成を大きく改定してニュースから番組に変更しましたが、それ以降3%前後で推移しています。
 各放送波の週間接触者率の推移を見ると、総合テレビは、「連続テレビ小説」の影響もあって、一昨年についで6割を下回りました。また、衛星第2がやや減り、衛星ハイビジョンがやや増えるなどした結果、放送8波合計の接触者率は、71.4%(前年74.0%)となっています。総合テレビの週間接触者率について、どの年代で下がっているかを見ると、男性では20代、女性は40代の接触者率が落ちています。
 総合テレビでよく見られている番組は、大河ドラマ「天地人」、「NHKニュース7」、「NHK歌謡コンサート」、「鶴瓶の家族に乾杯」などでした。「天地人」の視聴率を年層別に見ると、60代男女の視聴率が、昨年非常に好調だった「篤姫」より下がっていますが、一昨年の「風林火山」とは変化がなく、「天地人」も健闘していると思います。
 総合テレビ平日22時台で、今後の可能性が感じられる番組を紹介します。水曜日に放送している「歴史秘話ヒストリア」では、今回調査した6月10日に「親父(おやじ)いいかげんにしてくれよ!〜信長に振り回された家族たち」という内容を放送しましたが、昨年調査した「その時 歴史が動いた」と比べて、30代男性の視聴率が1%から5%に、同女性の視聴率が0%から2%に上がっています。以前の番組とは異なる視聴者層をつかんでいると見られます。
 最後に、教育テレビ・衛星放送・ラジオの概要を簡単に説明します。
 教育テレビは、午前7時台前半の子ども向け時間帯の視聴率が前年・前々年より高くなるなど、一連の番組改定が順調に効果を上げています。衛星放送では、「連続テレビ小説」の放送時間の変更もあり、衛星ハイビジョンが漸増し、衛星第2が漸減しています。よく見られている番組は、衛星第1では「プロ野球」のほかワールドカップサッカーの予選や自然ものの番組、衛星第2では連続テレビ小説「つばさ」、「BS日本のうた」などでした。ラジオ第1でよく聞かれた番組は、これまでずっと朝の時間帯の番組が上位を占めていましたが、今回、夜間の番組としては18年ぶりに、日曜夜の「渋マガZ・夜はぷちぷちケータイ短歌」が9位に入りました。


(5)2009年6月全国接触者率調査の結果について
(放送文化研究所)
 2009年6月全国接触者率調査の結果について報告します。
 この調査は、「平成21〜23年度 NHK経営計画」で経営目標の1つの数値としているNHKへの接触者率について、“3−Screens”の観点から調べるものです。録画再生やインターネット、DVDやビデオなど、番組関連出版物を除く放送以外の媒体による接触も含めたメディアへの接触状況を測ります。2007年11月から開始して4回目となる今回の調査は、6月8日(月)から14日(日)までの1週間、1日単位で5分以上視聴・利用があったかどうかを記入する方法で実施し、有効数は2,602人、有効率は72.3%でした。
 調査結果の概要について報告します。
 NHK全体リーチ(放送、放送以外を問わず、NHKに接した人の割合)は76.1%でした。NHKの放送外リーチは18.1%、同じく放送リーチは74.9%でした。この数値は4回の調査でほとんど変わっていません。4人に1人は、NHKに対し1日5分も接触していないという状況です。なお、放送外のみのリーチは1.2%でした。
 放送外リーチの内容を見ると、録画再生が11.1%と最も多くなっています。注目すべき点は、インターネットのポータルサイトにNHKが提供したサイトへのリーチが2.4%、動画共有サイトを通じたリーチが1.2%と、それぞれ一定の利用が得られていることです。こうしたサイトは若い世代に活用されており、今後の伸びに期待したいと思います。
 ワンセグ機器の所有者は全体の36.7%にまで増えました。それに合わせて、ワンセグのリーチも2.8%と、前年同期の調査に比べ統計的に高くなっています。
 NHK全体リーチを年層別に見ると、70歳以上は96%のリーチがありますが、40代のリーチは70%、30代は61%となっています。若い世代へのアプローチが課題と言いますが、30〜40代の接触を増やすことも大事だと言えます。
 また、放送外のみのリーチは、13〜19歳で4%、20代で3%、40代で2%あります。この点に注目して、これらの層にどう働きかけていくかもポイントになると思います。


(6)2009年6月放送評価調査の結果について
(放送文化研究所)
 2009年6月放送評価調査の結果について報告します。
 放送評価調査は、NHKの放送に対する視聴者の評価を把握するためのもので、2007年から年4回実施しています。今回は、6月12日(金)から14日(日)までの3日間、電話法(RDD追跡法)により、全国の20歳以上の男女2,243人を対象に実施し、1,338人(59.7%)から回答を得ました。
 調査項目は、全体評価としては「信頼(NHKの放送を信頼しているか)」、「満足(NHKの放送に満足しているか)」、「親しみ(NHKの放送に親しみを感じているか)」、「独自性(NHKの放送は民放にはない特色があると思うか)」、「社会貢献(NHKの放送は社会の役に立っていると思うか)」の5項目です。また、側面別評価として「正確・公平(事実を正しく、公平に伝えている)」、「生命・財産を守る(災害、大事件、大事故のニュースをいち早く伝えている)」、「娯楽性(楽しんだり、リラックスしたりする番組を放送している)」、「知識・教養(知識や考えを深める番組を放送している)」、「実用性(仕事や生活に役立つ番組を放送している)」、「地域への貢献(地域に役立つ番組を放送している)」、「文化の継承・発展(伝統文化の継承や、新しい文化の発展に役立つ番組を放送している)」、「福祉(お年寄りや障害のある人々のための番組を放送している)」、「教育(子どもや青少年のためになる番組を放送している)」、「国際理解(国際理解に役立つ番組を放送している)」の10項目を掲げています。計15項目それぞれについて1点から5点で回答してもらい、4点以上の肯定的評価があった回答の率を出しています。
 調査結果について説明します。
 全体評価では、「信頼」の評価が高く、「親しみ」が低いのはこれまでと変わっていません。しかし、「社会貢献」が58%、「独自性」が54%と、2つの項目で前年4回の平均より数値が下がっています。さらに側面別評価では、「娯楽性」と「国際理解」を除く8つの項目で、前年4回の平均より低下しました。
 全体評価を年層別に見ると、若い世代の数値が低く、高年齢層で高いのはこれまでと変わりませんが、40代で「満足」と「社会貢献」、50代で「独自性」、70歳以上で「社会貢献」の各項目が数値を下げています。側面別評価の年層別では、70歳以上で7項目、50代で4項目の数値が下がったほか、40代、60代にも低下した項目があります。
 評価項目は相互に関連があり、ある項目が低く、または高くなると、それに合わせて別の項目も低く、または高くなる傾向があります。今回の結果にもこうした傾向が見られました。また、これまでの結果から、視聴頻度が低いと、各項目の評価も低くなる傾向があることがわかっています。今回は、視聴頻度がこれまでの調査で最も低く、これが評価を下げた一因とも考えられます。1回の調査だけを見るのではなく、年度を通して観察することが必要だと考えます。
 最後に、本日報告した3つの調査の結果のまとめについて述べます。
 視聴率は、「連続テレビ小説」など一部の番組を除き堅調です。ただし、NHKへの接触状況は低くなっています。接触者率を伸ばすために、20・30・40代の、週に一度もNHKを見ない層へのアプローチを強める必要があると考えます。NHKをほとんど見ない層に対しては、NHKの放送で番組をいくらPRしても、それが届きません。こうした層にNHKのメッセージをどう伝えればよいのかが課題です。


(7)放送番組審議会議事録(資料)
(編成局)
 編成局から、中央放送番組審議会および全国の地方放送番組審議会(関東甲信越、近畿、中部、中国、九州、東北、北海道、四国)の平成21年5月開催分の議事録についての報告(注3)。


注3:

放送番組審議会の内容は、NHKホームページの「NHK経営情報」の中に掲載しています。


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成21年 7月21日
                     会 長  福 地 茂 雄

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