日本放送協会 理事会議事録  (平成21年 4月21日開催分)
平成21年 5月15日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成21年 4月21日(火) 午前9時00分〜10時20分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、金田専務理事、日向理事、溝口理事、
 八幡理事、後藤理事、大西理事、関根理事、今井理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項
1 報告事項
(1)第1093回経営委員会付議事項について
(2)「平成23年以降のBSデジタル放送についての考え方」について
(3)創作用素材の電気通信回線を通じた一般への提供等の業務の実施に
   ついて
(4)職務権限事項の改正について(平成21年度管理職異動期実施分)
(5)視聴者対応報告(平成21年3月)について

2 報告事項
(1)21年3月の視聴者満足(CS)向上活動報告
(2)監査結果報告
(3)平成20年度契約・収納活動結果報告

議事経過

1 報告事項
(1)第1093回経営委員会付議事項について
(総合企画室)
 4月28日に開催される第1093回経営委員会付議事項について審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「創作用素材の電気通信回線を通じた一般への提供等の業務の実施について」です。また、報告事項は、「平成20年度第4四半期業務報告」、「平成20年度契約・収納活動結果」、「平成20年度決算の速報」、および「視聴者対応報告(平成21年3月)について」です。その他の事項は、「放送受信契約の締結拒否者に対する対応状況について」です。

(会 長)   原案どおり決定します。


(2)「平成23年以降のBSデジタル放送についての考え方」について
(総合企画室) 
 平成23年 (2011年)以降の新たなBSデジタル放送について、NHKは、「平成21〜23年度 NHK経営計画」の中で、ハイビジョン2波への再編を検討する旨の方針を示したうえで、20年11月4日の理事会で、その方針をさらに具体化した「平成23年以降のBSデジタル放送についてのNHKの考え方」(以下、「NHKの考え方」)を決定しました。
 その後、地上アナログ放送のデジタル化に向けた難視聴解消施策として、いわゆるBSデジタル放送による衛星セーフティネットの実施が正式に決まり、その具体的な内容も随時明らかになるなど、BS放送をめぐる状況がさらに進展してきました。こうした動きに対応して、「NHKの考え方」の、アナログ衛星放送による地上放送の難視聴解消放送のあり方に関する部分を修正したいと思います。
 具体的には、「地上放送の難視聴解消の役割については、当面、平成22年3月に開始される予定の衛星セーフティネット(BSデジタル放送により実施予定)によることとしますが、アナログ衛星放送の難視聴解消放送の終了時期については、衛星セーフティネットへの移行状況を踏まえて、22年中に判断がなされることが望ましいと考えます。」としている部分を、「地上アナログ放送の難視聴解消については、当面、BSデジタル放送により実施される衛星セーフティネットによることとし、アナログ難視聴世帯の衛星セーフティネットへの移行が円滑に図られるよう、NHKとしても適切に取り組んでいく考えです。」と改めたいと考えます。
 なお、この修正が決定したうえは、総務省における放送普及基本計画の検討に資する観点から、同省に提供する予定にしています。

(会 長)   原案どおり決定します。


(3) 創作用素材の電気通信回線を通じた一般への提供等の業務の実施について
(放送総局)
 NHKが保有する放送番組の編集用素材は国民共有の財産です。これを広く社会に還元し利用してもらえば、多くの方々の映像制作に向けた創造性や著作権意識の向上を図ることができ、それが放送の進歩・発達につながるという点で有意義だと考えます。
 このため、放送番組の編集用素材等の映像・音声を、皆さまに広く利用していただくためにインターネットを通じて提供することなどを、NHKの業務として行いたいと思います。この業務は、NHKが行うことができる業務の一つに「放送及びその受信の進歩発達に特に必要な業務を行うこと」を掲げた放送法第9条第2項第8号に基づき、同条第10項の規定により総務大臣の認可を得て、実施することになります。そこで、経営委員会に諮りその議決を得たうえで、認可を申請したいと思います。審議をお願いします。
 実施する業務の概要は次のとおりです。
 NHKが放送した放送番組や番組の編集に使用した映像資料の一部や、この業務のために新たに収集・制作した映像資料(以下、「創作用素材」)を、インターネット上のウェブサイトで広く皆さまに提供し、別に定める利用規約等の下で非営利目的に限って利用できるようにします。
 また、利用者がこの創作用素材を用いて制作した作品を、このウェブサイトで募集します。応募された作品は、同サイトで皆さまに閲覧してもらうとともに、その一部は新たな作品の制作にも利用してもらいます。あわせて、映像・音声が簡単に編集できるソフトウェアをこのサイトで利用できるようにし、作品制作用に提供したいと思います。
 外部の事業者から、創作用素材をインターネットで一般に提供したいという要請があった場合は、この取り組みの効果を高めるため、別に基準を定めたうえで要請に応じたいと思います。
 以上の内容が了承されれば、4月28日に開催される第1093回経営委員会に議決事項として提出します。

(会 長)  原案どおり了承し、経営委員会に諮ることにします。


(4)職務権限事項の改正について(平成21年度管理職異動期実施分)
(人事総務局) 
 平成21年度管理職異動期実施分の職務権限事項の改正について、審議をお願いします。
 今回は、組織改正や既存業務の見直しに伴う権限事項の改正です。
 組織改正に関しては、放送総局について、編成局衛星放送センター、大型企画開発センターの設置などに伴う番組制作体制に関する項目、放送技術局メディア技術センターへの改組などに伴う通信関連技術体制に関する項目、および国際放送局の国際放送管理体制の見直しに関する項目などを改正します。また、総合企画室について、「視聴者視点によるNHK評価委員会」関連の項目を、“約束”活動事務局から経営計画に移行します。
 また、既存業務の見直しなどに関しては、放送受信料の契約・収納業務について、委託業務の一部終了に伴い、営業局および地域拠点局共通の権限事項から削除するほか、既存業務の追記や項目整理、軽微な字句修正などを実施します。

(会 長)   原案どおり決定します。


(5)視聴者対応報告(平成21年3月)について
(視聴者サービス局) 
 放送法第12条に定める視聴者対応の状況について、平成21年3月分を以下のとおり取りまとめました。ついては、放送法第22条の2第3項の規定に基づき、経営委員会に報告したいので、審議をお願いします。
 3月にNHKに寄せられたご意見・お問い合わせは39万6,098件でした。このうち苦情や要望等を含めた意見は7万2,249件で、その91%は受け付けた一次窓口で対応を完了しました。残り9%は、該当部局に転送・回付し二次対応しました。問い合わせは28万8,165件で、一次窓口や該当部局で速やかに対応しました。
 3月の特徴的な対応事項について報告します。
 日本の、これから 放送記念日特集「テレビの、これから」を、3月21日に放送しました。NHKと民放の番組制作担当者や経営者、ジャーナリストが視聴者とともに一堂に会して、これからのテレビ放送について議論しましたが、それに対して724件の反響が寄せられました。これは、20年度に放送した「日本の、これから」の放送中に寄せられた反響の中で最多の件数です。そのうち269件は、「インターネットは個人で楽しむもの、テレビは家族みんなで楽しむもの」「民放とNHKはスタンスが違う。NHKはNHKらしく番組を作ってほしい」など、テレビやNHKについて視聴者の持論が寄せられたものでした。
 20年度後期に放送した連続テレビ小説「だんだん」には、半年間で8,018件の反響が寄せられました。同年度前期に放送した「瞳」の6,013件より2,000件ほど多くなっています。番組開始当初は、毎回放送の末尾で紹介した双子の写真についての問い合わせが、終盤では、主人公たちが劇中で歌った「いのちの歌」への好評意見が、多く寄せられました。また、番組中の主人公の祖母がすい臓がんで治療を受けるシーンに対して、家族にがん患者がいる視聴者などから「必要以上に詳細な病状の描写はいかがなものか」などの意見が90件近く寄せられました。これに対して「番組では、医師や看護師たちの支えによって患者本人が病気と立ち向かい、最終的には打ち勝つという展開になっており、病気と闘っている方々に生きる希望を持ってもらいたいという思いで制作している」と説明し、理解を求めました。
 3月の放送番組に寄せられた反響総数は13万6,477件で、このうち意見は4万6,870件、問い合わせは8万9,607件でした。
 3月15日に放送した「総理にきく」へは、着帽したまま総理にインタビューした出演者への意見や番組への感想など、421件の反響が寄せられました。これは、昨年の同番組の5倍、同じく一昨年の3倍の反響件数です。
 また、3月18日に放送した、その時 歴史が動いた「最終回スペシャル」に対し、番組の終了を惜しむ声など350件の反響が、3月1日放送のETV特集「ひとりと一匹たち 多摩川 河川敷の物語」に対し、好評意見を中心に357件の反響が寄せられました。
 反響が多かったニュースとしては、民主党の小沢一郎代表の公設秘書が政治資金規正法違反容疑で3月3日に逮捕され同24日に起訴された問題に対し、合わせて2,500件近くの意見が寄せられました。
 テロップなどの誤記や原稿などの誤読については、視聴者からの指摘をもとに確認した結果、56件の表記のミスや読み間違いなどがありました。いただいた指摘については、番組担当者に連絡し放送の中で訂正するように努めるとともに、再発防止に向けて放送関係の部局に周知し、現場に注意を喚起しました。
 視聴者の意見や要望を受けて対応した事例を紹介します。
 「番組の映像などがインターネットの動画投稿サイトなどに掲載されている。NHKはどう対応しているのか」という意見が寄せられました。これに対しては、番組から複製した動画や静止画を無断でホームページやブログ等に掲載するのは、NHKや番組関係者の著作権や著作隣接権、プライバシー等を侵害するもので、NHKでは、プロバイダー等と連携して不正利用者に削除を求めるなど対応していることを説明しました。
 ラジオ第1の「ラジオビタミン」で、視聴者から寄せられた料理レシピを紹介する「私の愛情レシピ」や暮らしに役立つ情報を届ける「暮らしスパイス」のコーナーに対し、「肝心な情報を聴き逃してしまうことが多い。内容をぜひホームページ上に公開して、いつでも確認できるようにしてほしい」という要望が寄せられました。これに対し、この2つのコーナーについては、新年度から番組ホームページ上で、放送後2週間はいつでも番組を聴けるようにして、要望に応えました。
 3月22日の「天地人」に対し、「出演者紹介で、この回に出演していない俳優の名前が表示された。きちんとチェックすべきだ」という指摘がありました。確認したところ誤って表示していたので、再放送では名前をはずして放送しました。
 次に、受信料関係の対応について、業務改善に向けた取り組みを紹介します。営業部門では、営業事務処理のミスや遅れを原因とする苦情が多く寄せられることから、これを減少させることを目的の一つとして、営業現場で実際に発生した事例をもとに「業務のチェックポイント」(職員用)を作成し、3月末に全営業職員に配付しました。6月、12月に定期的に行うこととしている地域スタッフ用の「業務点検チェックシート」と併せて活用し、業務改善につなげて苦情等の減少を図っていきます。
 経営全般に対する意見や要望は、1,016件ありました。
 国会での、平成21年度のNHK予算の審議について、衆議院総務委員会の審議の模様を3月25日夜から26日早朝にかけてと26日の夜に、参議院総務委員会の審議の模様を30日夜から31日早朝にかけて、それぞれ中継録画で放送したところ、意見や感想が185件寄せられました。その内容は、通常番組が変更になったことへの苦情や、昼間に放送すべきだという要望、予算審議を放送するNHKの姿勢を評価する意見など、さまざまな声がありました。
 平成20年度を通じて、全国の視聴者からいただいた意見・問い合わせは、460万8,825件に上りました。このうち放送や受信料などについての問い合わせが71%、放送や経営などに対する意見や要望が20%でした。内容別の内訳では、受信料関係が51%、放送関係が34%、受信相談5%、経営・技術関係1%となっています。なお、放送法の改正に伴い昨年度までと集計の対象を変更し、番組の中で募集した意見や受信料手続きの届出などは除いています。

(金田専務理事)

 視聴者からの意見・問い合わせの年度を通じた件数について、20年度から集計の仕方を変えたということですが、19年度と同じ方法で集計すると、増減はどうなりますか。

(視聴者サービス局)  19年度と同じ方法による20年度の正確な数字は出していませんが、コールセンターで受け付けた放送についての意見・要望・問い合わせで比較する限り、20年度の件数は、前年度とほぼ変わりません。
(会 長)    2月分の報告の際にも指摘しましたが、テロップの誤表記や原稿の誤読が相変わらず多く発生しています。放送のプロフェッショナルとして恥ずかしいことですので、対策を強化すべきだと思います。誤記誤読の事実を報告するだけでなく、PDCAサイクルを回していくことが大事ですから、効果的な対応策を考えてください。
(日向理事)  前回の指摘を受けて、放送現場に改めて指示を出しています。テロップについてはチェックする要員を配置していますが、1週間でも膨大な時間量を放送しています。そのすべてを完璧にするのは相当に困難な課題ですが、常に努力していかなければならないと思います。
(金田専務理事)

 昨年度からの傾向はどうなっていますか。誤表記・誤読の件数は増えていますか、減っていますか。

(視聴者サービス局)

 毎回50件程度であまり変化はありません。

(副会長) 

 今回の視聴者対応報告を取りまとめた際には、具体的な誤記誤読の事例の掲載件数を増やして、いっそう注意を喚起するようにしました。

(会 長)  原案どおり決定し、次回の経営委員会に報告します。

2 報告事項
(1)21年3月の視聴者満足(CS)向上活動報告
(視聴者サービス局) 
 21年3月の視聴者満足(CS)向上活動について報告します。
 「平成21〜23年度 NHK経営計画」に基づき、全国53の放送局が「地域を元気にするための拠点」として地域に根ざした独自の取り組みを掲げた“放送局のちから”が具体的にスタートしました。各地の放送局では、自局のホームページに“放送局のちから”を掲載するなどして、地域の人々にアピールしています。そこで、今回の報告から、各放送局のさまざまな取り組みを紹介し、情報の共有を図ります。
 最初は、佐賀放送局の取り組みです。佐賀放送局は、「インターネット、ワンセグなど放送と通信の融合を図り、地域サービスの向上を目指します」ということを掲げています。その具体的な取り組みとして、"エリア限定ワンセグメントサービス(エリアワンセグ)"に挑戦しています。エリアワンセグは、ごく限られた特定のエリアに独自コンテンツをワンセグで提供するサービスですが、使用する電波の強さにより実験局免許が必要な場合と、微弱電波を利用することで免許が不要な場合があります。佐賀放送局で実施したのは、放送会館内に設置したアンテナの周辺半径1m程度で受信可能な、免許を必要としない微弱な電波を利用したサービスで、来館者がキャスター体験した映像をワンセグで送信、ワンセグ機能がついた携帯電話で視聴・録画してもらうというものです。126組が体験し、「録画できて最高」などの声が寄せられて好評です。このサービスは、福岡放送局や仙台放送局にも展開しています。また、半径50〜100m程度が受信エリアとなる地上デジタル実験局を、免許を得て開設し、3月20日・21日に実施した春の会館公開に合わせて、FM公開番組の様子を通常のハイビジョン受信機向けとワンセグ向けにそれぞれ配信しました。その映像は放送会館内の103インチの大型ハイビジョンモニターで受信し、美しい映像を来館者にアピールして好評でした。佐賀放送局では、21年度はコンテンツの強化を図り、さらなる展開を検討しています。
 福井放送局では、21年度にテレビ放送開始50年を迎えるのに向けて、昨年10月に「50周年プロジェクト」を発足させました。プロジェクトは、身近で親しみやすいNHKを表現するキャラクターの制作を企画し、県内でデザインを専門に学ぶ大学生およそ30人と一緒に“ふくいぬ”というキャラクターを作りました。制作に参加した学生たちからは、「苦労もしたけど楽しかった」「“ふくいぬ”が愛されるよう仲間にPRします」などの感想が寄せられました。福井放送局では、この“ふくいぬ”を、“放送局のちから”を伝える「NHK福井宣言」のイメージキャラクターに起用するとともに、視聴者から“ふくいぬ”の名前を募集しており、4月10日時点で約150点の応募が届いています。
 長崎放送局では、「見つめます 長崎の課題 考えます 解決への道筋」を掲げました。長崎の課題解決に向き合う施策のひとつとなるのが、地元で生まれ育った高校生とともに地域の課題を考えるラジオの地域ディスカッション番組「しゃべラジながさき」です。19年度からこれまで6回放送してきましたが、参加した高校生から「ふだん同世代と話すことが少ない社会性の高いテーマに挑戦したい」という提案があり、最近は「食の安全と地産地消」や「雇用問題」などを取り上げています。21年度も、長崎の観光や歴史などについて考えていく予定です。参加者からは、「番組を通じて仲間が増えた。これを機会にもっと話をしていろんな問題に取り組んでみたい」という声が、また、リスナーからは、「大人と子どものカルチャーギャップが進む中、若者の本音がわかる」という好評意見が寄せられています。
 高知放送局では、ホームページや番組で募集した視聴者からの投稿写真によって郷土の魅力を伝えるミニ番組「土佐の一枚」を19年度から放送しています。20年度には320枚の応募があり、月〜金曜日の毎日1枚を紹介して、「高知に住む人が“ここに住んでいてよかった”と幸せな気持ちになる番組です」などの好評意見をいただいています。今年3月には、高知放送局のテレビ放送開始50年を記念して、応募写真をもとに「土佐の一枚展」を開催、1,000人を超える入場があり、地元視聴者との交流を深めました。この活動を、“放送局のちから”に掲げる「地域とともに発掘し、発信します。『土佐の魅力、可能性、そして元気』を」に向けた取り組みとして、21年度も継続していきます。
 続いて、視聴者満足の向上をめざした取り組みをいくつか紹介します。
 今年11月から放送予定のスペシャルドラマ「坂の上の雲」の制作を手がける放送総局「坂の上の雲」プロジェクトでは、北は福島から南は熊本まで全国18都府県でロケを実施する中、多くの視聴者にロケに参加していただこうと、地元の商工会や大学などを通じてエキストラ参加者を募りました。出演した視聴者は過去最大規模の1,134人に上っています。エキストラ参加者からは「撮影の裏側の苦労がわかった」「緊張の連続だったが、すごい経験ができた」などの声が寄せられています。また、熊本放送局では、熊本大学でのロケを通じて大学との関係を強化するとともに、エキストラ参加者へのインタビューを地域ニュース番組で放送するなど、ドラマ収録を通じて地域の人々との交流を深めています。
 報道局では、「NHKニュース おはよう日本」の番組ホームページを開設しました。これまでは、番組内のコーナーである「まちかど情報室」のみをホームページに展開していましたが、そこにアクセスする層は30〜40代の女性が多いことに着目し、視聴者層の拡大と利便性の向上に向けて、番組全体のホームページを立ち上げました。レギュラー出演者による“リレーブログ”を毎日更新しているほか、番組で紹介する“マイビデオ”の募集や放送映像をアップするなど、視聴者が親しみを持てる内容で、一体感を高めています。この結果、「まちかど情報室」サイトへのアクセスは1日平均2万件でしたが、番組サイトへは1日平均3万件となり、アクセス数が増加してニュース番組系のホームページでトップとなりました。リレーブログへの反応も、「キャスターが身近に感じる」「放送の裏側が見える」などと好評です。
 また、ラジオセンターでは、ラジオ第1の「ラジオビタミン」のホームページで、視聴者から寄せられた料理レシピを紹介する「私の愛情レシピ」や暮らしに役立つ情報を届ける「暮らしスパイス」のコーナー内容をいつでも聴くことができるサービスを、新年度から開始しました。リスナーからは「ホームページがとても便利になった」「わが家の毎日のメニューに加えたい」など、好評意見が寄せられています。
 平成20年度の視聴者満足(CS)向上活動をまとめました。
 「ふれあいミーティング」は、全国で1,900回開催し、のべ4万3,822人が参加しました。番組や地域の課題などのテーマに応じて制作者の講演やVTR上映、スタジオ収録の見学などと組み合わせて実施する「企画型ふれあいミーティング」については、参加者の満足度が高いことから、前年から倍増の270回開催という目標を掲げて取り組んだ結果、279回開催しました。「企画型ふれあいミーティング」参加者へのアンケートでは、「NHKに対する好感度が高まった」と答えた方が74.3%、「NHKに対する理解度が深まった」と答えた方が74.6%でした。「ふれあいミーティング」を最も多く開催した放送局は宮崎放送局で127回、本部の部局ではラジオセンターが最多で78回でした。
 「ふれあいミーティング」の実施事例としては、全国各地を訪ねて中継する、ラジオ第1の「ここはふるさと旅するラジオ」に合わせて、全国各地で中継見学者とミーティングを実施してきました。平成20年度は全国で54回開催、参加者は1,086人に上りました。また、3月15日には、菖蒲久喜ラジオ放送所が身近にある埼玉県菖蒲町で、ラジオをテーマに親子でのFMラジオ工作体験などと組み合わせたミーティングを実施しました。
 視聴者からの意見や要望などをもとに実施した業務等の改善については、全国の改善件数が1,196件となり、目標の1,000件を超えました。数多く実施した放送局としては、福岡放送局(129件)、広島放送局(111件)が100件を超えています。視聴者から寄せられた声に迅速に対応した改善が増え、CS向上活動が日常業務に定着したと考えます。
 最後に、平成21年度の放送番組への反響の速報を2件報告します。
 まず、4月6日から放送を開始したワンセグ独自放送「NHKワンセグ2」についてです。6日に放送を始めた直後に、反響が一気に増加しましたが、現在では落ち着いた状況です。6日以降13日までに集中して寄せられた146件の反響の内訳は、独自番組の放送のため以前視聴していた番組が見られないことに対する意見や問い合わせが多くありました。また、「ワンセグには受信料の付加料金がかかるのか」という問い合わせもありました。
 次に、21年度前期の連続テレビ小説「つばさ」についてです。番組がスタートしてから2週間で725件の反響件数がありました。特に2週目に入ってから家族で口論するシーンなどが目立ったためか、「朝から騒いでいて雰囲気が壊れてしまうのが残念」「ドタバタ劇に嫌悪感を抱く」などの厳しい意見が寄せられています。一方で、インターネット上で展開されている番組批評や視聴者の意見に目を向けると、主役の多部未華子さんの雰囲気・演技や、喜劇的で明るいドラマ内容を評価する声が多いようです。このように意見が分かれることはこれまで余り例がなく、今後が注目されます。

(会 長)

 各放送局が、“放送局のちから”の具体的な活動を始めていますが、役員も外部の方々と接する機会をとらえて、今日報告を受けたような内容をできるだけ具体的に紹介するように努めましょう。NHKの各放送局が、地域を元気にするためにがんばって取り組んでいるということを、地域の人々に伝えていきたいと思います。
 それから、この報告に直接関係はありませんが、今年度から放送している新番組の評判がいいようです。部外の会合で新番組を高く評価する声を聞くことがよくあります。NHKらしさを打ち出していることが、評価されているのではないでしょうか。

(八幡理事)

 「ふれあいミーティング」の実施状況は、営業の契約・収納活動の実績と関連性があるのでしょうか。

(視聴者サービス局)

 視聴者活動が盛んということは、放送局全体の活動が活発ということになりますので、視聴者活動の実績と営業の業績には相関関係があるとは思いますが、それを定量的に分析する手法はありません。

(大西理事)  「ふれあいミーティング」を全国で最も多く開催した宮崎局を訪ねましたが、ことさらに構えたりせず、地元のさまざまなグループ、それも少人数の方々に気軽に放送を見学に来てもらい、番組内で見学者として紹介した後で、意見や感想を聞いていました。そうした活動を全局が一体となって展開しており、成果が上がっています。今後も取り組みを継続するよう、励ましてきました。
(会 長)  各放送局が実施した「ふれあいミーティング」などの状況を地域放送番組やホームページなどで紹介していくことで、参加者以外の人々にもNHKへの理解を広げることが大事だと思います。

(2)監査結果報告
(内部監査室) 
 放送総局の解説委員室とラジオセンターに対する監査結果の概要について報告します。監査は3月上旬から中旬にかけて実施しました。
 まず、解説委員室についてです。よりタイムリーでわかりやすい解説を目標に、日常の解説番組の充実・強化に努めています。北海道・洞爺湖サミットや年金記録問題など視聴者の関心が高いテーマに重点的に取り組むとともに、突発的に発生した事件・事故や災害、政治・経済の急激な動きについても積極的かつタイムリーに取り上げました。また、放送中にFAXやメールで視聴者の意見を受け付ける双方向解説番組を年7本放送するなど本格展開するとともに、放送で解説した内容をブログ形式でホームページに掲載し、視聴者との結びつきの強化に取り組んでいます。
 続いて、ラジオセンターについてです。20年度は、「ラジオルネサンス」のキャッチフレーズのもと、ラジオ第1の番組を大幅に改定しました。17年ぶりの大改定で、改定率は50%近くに上ります。番組の定着と聴取者の拡大に努めて接触者率が前年度より上昇し、ここ数年の低落傾向に歯止めをかけました。また、パソコンや携帯から視聴者の声を取り入れる番組作りで双方向化を進め、ホームページへのアクセス数も、前年度から大幅に増加しています。デジタルラジオ(実用化試験放送中)は、高画質ラジオ、マルチチャンネル活用サービス、データ放送などのサービスのほか、昨年7月から動画サービスを開始しました。
 コンプライアンス活動について、解説委員室では、外部での講演やイベントへの協力等を通じた視聴者とのふれあいを、放送人としての規範意識や公金意識の向上につなげています。ラジオセンターでは、番組で音源を無許可で使用してしまったことを受けて、所管する全番組について独自に業務の再点検を行いました。
 適正経理の取り組みでは、昨年度に指摘した処理手続きの不備が改善またはほぼ改善されていましたが、1項目については改善が不十分であったことから、当該部局に21年度の改善事項として改めて改善を指示しました。なお、新たな改善指示事項はありませんでした。
 また、それぞれが所管する番組について業務プロセス監査を実施しましたが、いずれも業務の管理状況は適正と判断しました。


(3)平成20年度契約・収納活動結果報告
(営業局) 
 平成20年度の契約・収納活動の結果について報告します。
 まず、放送受信契約の総数増加状況についてですが、20年度は、昨年10月の訪問集金廃止に伴い、委託契約収納員の業務を契約の取次業務にシフトしたことや、ホテル等の事業所に対する割引制度を2月から導入したことに伴う事業所契約の見直しなどにより、年間の契約総数取次数が前年度の106%に増加しました。しかし、一方で、障害者に対する放送受信料の免除の適用範囲を10月から拡大したことで、有料契約から全額免除への変更が12.2万件あり、有料の契約総数の増加は、年度累計で21.9万件(年間当初計画の87.6%)にとどまりました。ただし、全額免除への変更の多数発生を受けて計画を下方修正した、19万件という目標は達成しました。
 衛星契約の増加についても、同様に、委託契約収納員の衛星契約取次業務へのパワーシフトや、事業所契約の見直し、ケーブル事業者や電器店等との連携強化などにより、年間の契約取次数が前年度比で109%と増えました。10月からの障害者免除の適用範囲拡大により、衛星有料契約から全額免除への変更が3.8万件発生しましたが、衛星契約の増加は、年度累計で52.8万件(同117%)となり、3年連続で計画を達成しました。衛星契約増加が50万件を超えたのは、平成13年度以来7年ぶりのことです。
 当年度収納額については、訪問集金廃止に伴い継続振込払いに変更となったお客様の払込時期の遅れや、障害者免除の適用範囲拡大、事業所割引の導入、家族割引の拡大など、さまざまな減収要素がありましたが、収納額が年度累計で6,333億円(前年度6,271億円)となり、前年度に比べて62億円の増収となりました。 
 前年度受信料の回収額実績は44.7億円となり、予定額41.1億円を3.6億円上回りました。また、18年度以前の受信料の回収額実績は19.5億円でした。
 20年度末の支払い拒否・保留数については、48.9万件となり、最も多かった時期から79.1万件減少しました。
 また、口座・クレジットカード継続払いの増加は、年間計画100万件に対し、年度累計で89.1万件にとどまりました。

以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成21年 5月12日
                     会 長  福 地 茂 雄

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