日本放送協会 理事会議事録  (平成21年 3月17日開催分)
平成21年 4月 3日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成21年 3月17日(火) 午前9時00分〜9時50分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、金田専務理事、日向理事、溝口理事、
 八幡理事、永井理事、後藤理事、大西理事、関根理事、今井理事

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項
1 審議事項
(1)第1091回経営委員会付議事項について
(2)「視聴者視点によるNHK評価委員会」の設置および委員の委嘱
   について
(3)「IT統制委員会」の設置について
(4)職務権限事項の改正について(平成21年4月実施分)
(5)平成20年度決算について
(6)国際放送番組審議会委員の委嘱について

2 報告事項
(1)地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について
(2)平成21年度部外解説委員の委嘱について

議事経過

1 審議事項
(1)第1091回経営委員会付議事項について
(総合企画室)
 3月24日に開催される第1091回経営委員会付議事項について審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「国際放送番組審議会委員の委嘱について」、報告事項として「『視聴者視点によるNHK評価委員会』の設置および委員の委嘱について」、「NOD業務の現状とサービス内容の充実について」、「『平成21年度国際放送等実施要請(通知)』への回答について」、「平成20年度決算について」、そして「地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について」です。

(会 長)  原案どおり決定します。


(2)「視聴者視点によるNHK評価委員会」の設置および委員の委嘱に
   ついて
(総合企画室)
 「視聴者視点によるNHK評価委員会」の設置および委員の委嘱について、審議をお願いします。
 平成17年度に設置した「NHK“約束”評価委員会」については、「平成20年度NHK“約束”評価報告書」の公表後に廃止し、役割の一部を引き継ぐ形で、平成21年度から「視聴者視点によるNHK評価委員会」を設置し、委員を委嘱することとしたいと考えています。
 経営の透明性を図り、視聴者の意向を事業運営に反映させていく仕組み、視聴者の視点に立って、客観的にNHKを評価してもらう仕組みを継続させるため、会長の諮問機関として設置します。
 この委員会では、NHKの事業運営が視聴者の期待に応えているか、NHKはその役割を果たしているか等について、NHKから独立して公正かつ客観的に、アウトカムを重視して評価します。アウトカムの指標は、信頼性、必要性、社会貢献、効率性・効果性で、年度ごとに評価報告書を会長に提出するとともに、視聴者に公表します。また、NHKの現状分析にとどまらず、「NHK“約束”評価委員会」で行ってきた公共放送の価値分析のノウハウを踏まえた上で、メディア環境、時代の変化を見据えながら、公共メディアとしてのNHKの価値向上のための提言をしてもらいます。
 委員は、谷藤悦史氏(早稲田大学政治経済学術院教授)、江上節子氏(JR東日本顧問、早稲田大学大学院客員教授)、山内弘隆氏(一橋大学大学院商学研究科教授)に委嘱したいと思います。
 委員会は、平成21年4月1日に設置し、中期経営計画の対象期間である平成23年度までは継続します。その後、必要があれば見直します。

(会 長)  原案どおり決定します。


(3)「IT統制委員会」の設置について
(総合リスク管理室)
 IT統制の責任体制の明確化、決定事項の迅速・確実な遂行を実現するための意思決定機関として「IT統制委員会」の設置が昨年12月のリスクマネジメント委員会で決定しました。ついては、IT統制委員会の機能と権限についての考え方を整備した「IT統制委員会規程」を制定することとしたいと思います。審議をお願いします。
 まず、IT統制委員会の役割について説明します。IT統制委員会では、ITに関わる重要戦略、体制整備、改善活動、リスク管理などを組織横断的に掌握し、推進します。そして、NHKグループを一元的な体制のもとに、ITの効率的運用のために必要な全体最適化とITの信頼性向上のために必要な説明責任を果たします。
 この規程におけるITの定義は、通信・情報機器によって構成される業務用のシステム、情報ネットワーク設備・機器、ハードウエア、およびこれらに用いられるソフトウエアの総称とし、NHKの放送の制作・送出に係る設備・映像機器等は含みません。
 また、IT統制委員会の設置にあたり、ITに関わる重要事項に関係部局が組織横断的に関われるよう、既存の職務権限事項を見直すとともに、あわせて実質的な議論を行うために、各部局には、IT統制委員会へ報告を行う職務基準や、ITリスクマネジメントに取り組む職務基準を追加します。具体的には、IT統制を管理する部局(総合リスク管理室、総合企画室〔関連事業〕、総合企画室〔情報システム〕)には、ITリスクマネジメント活動との連携や、関連団体におけるリスクマネジメントの項目に、ITリスクマネジメントを含むことを明確化するための職務基準や権限を追加したいと思います。また、現場部局には、IT統制委員会への各種報告の実施やIT統制委員会の方針に基づくリスクマネジメントの実施などの職務基準を追加し、制作局と報道局には、「システムに関する基本計画の作成」の職務基準を追加し、「基本計画案の決定」は部局長権限として、「基本計画の決定」は理事会決定権限として追加します。
 続いて、IT統制委員会規程のポイントについて説明します。
 IT統制委員会のメンバーは、委員長をIT統制を担当する理事、副委員長を内部統制を担当する理事とし、委員は委員長が指名する部局長および関連団体の役員、オブザーバーは内部監査を所管する部局の長とします。本委員会の事務局は総合企画室〔情報システム〕とし、委員会の下に各部局の実務者で構成する実務者部会を設けます。
 IT統制委員会の職務基準は、「IT中長期構想に関するもの」、「IT推進体制に関するもの」、「IT開発・構築・調達・保守・運用・管理に関するもの」、「IT人材育成に関するもの」、「IT改善活動に関するもの」、「ITに係るリスクマネジメントに関するもの」、「IT関連規程に関するもの」とします。IT統制委員会の取り扱う対象範囲は、リスクマネジメント規程に基づき協会および関連団体のIT・外部ITサービスを対象とします。
 以上の内容で、IT統制委員会規程を制定し、平成21年4月1日付で施行したいと思います。
 これに伴い、現行の「情報システム委員会」は廃止します。

(日向理事)

 この規程におけるITの定義の中で、NHKの放送の制作・送出に係る設備・映像機器等は含まないとしていますが、放送番組のスケジュール管理から保存管理のほか番組制作・送出用のスタジオや設備機材の割り当てを行い、番組送出情報を提供する番組技術システム(TOPICS)はこの規程の対象に含まれないのですか。

(総合リスク管理室)

 規程の対象に含まない設備とは、映像や音声など、放送の制作・送出を直接扱う設備を指していますので、情報ネットワークシステムに接続して使用するTOPICSについては、リスクマネジメント等の視点からITの範疇に入れています。

(日向理事)

 この表現では誤解を生む可能性があると思います。

(総合リスク管理室)

 わかりました。誤解を生まないように、改訂版を作りたいと思います。

(日向理事)

 ITに関わる重要戦略には予算に関することも含むと思いますが、21年度予算はすでに決定しています。その点はどのようになっていますか。

(総合リスク管理室)

 22年度予算・重点項目関連の議論は9月頃に予定しているので、予算は22年度からとなりますが、21年度中も、必要なリスクマネジメントに関わる予算については、この委員会で議論していきたいと考えています。
 先ほど、日向理事から指摘のあった表現の訂正は、後日報告とさせていただき、その他は了承いただきたいと思います。

(会 長)

 表現の修正部分は次回理事会に報告することとし、その他は原案どおり決定します。


(4)職務権限事項の改正について(平成21年4月実施分)
(人事総務局)
 平成21年4月実施分の職務権限事項の改正について、審議をお願いします。
 職務権限事項は各々の組織・職位に割り当てる職務基準と権限を具体的に明示したものです。
 今回の職務権限事項の改正は、4月の組織改正に関する項目に加え、監査関連規程の制定およびIT統制体制の整備に伴う見直しなどについてです。
 4月の組織改正に関する改廃については、視聴者サービス局業務体制の再編成に伴い、放送局業務支援関係、インターネット会員サービス関係および視聴者満足(CS)関係の業務などの権限を整備します。
 内部監査関連規程の制定に伴う項目については、4月からの施行に合わせて、内部監査室、本部各部局、地域拠点局、放送局において権限の改廃を行います。IT統制体制の整備に伴う項目については、IT統制委員会の設置に伴い、総合企画室〔情報システム〕を中心に、関係部局のITリスクマネジメントの権限を整備します。また、「視聴者視点によるNHK評価委員会」の設置に伴い、権限を新設します。
 その他、各部局の既存業務の変更等に合わせた、権限事項の改廃を実施します。
 概要は以上です。
 本日、決定されれば、4月1日付で施行します。

(会 長)  原案どおり決定します。


(5)平成20年度決算について
(経理局)
 平成20年度の決算については、20年4月1日に施行された改正放送法の規定等を反映し、取り進めることとしたいと思いますので、審議をお願いします。
 まず、平成20年度財務諸表の見直しについて説明します。放送法改正により、企業会計原則への準拠が条文に明記されたことに伴い、監査法人や学識経験者等で構成される経理制度検討委員会の了承を経て、次のとおり財務諸表を見直すこととしたいと思います。これにより、一般企業並みの情報提供となり、より一層の経営の透明性の確保が図られます。
1監査法人からの要請等による会計方針の見直し等
 まず、受信料会計方針の変更について説明します。受信料については、当年度、受信料未収金に係る長期未収の認定基準を見直したことにあわせて、売上債権の確実性を確保する観点から、より収納の確実性の高いものについて収入に計上します。これにより、経常事業収入および経常事業支出がそれぞれ同額減少しますが、経常事業収支差金への影響はありません。
 次に、リース取引の処理方法の変更です。所有権移転外ファイナンス・リース取引のうち一定規模の取引については、従来の賃貸借処理から売買処理に変更します。また、退職給付会計に関する注記を充実させます。
2放送法施行規則の規定による変更
 まず、作成する財務諸表として、従来の「財産目録」、「貸借対照表」、「損益計算書」に、「資本等変動計算書」と「キャッシュ・フロー計算書」の二種類の決算書類を追加します。次に、「番組アーカイブス業務勘定」を、従来の「一般勘定」、「受託業務等勘定」に追加し、三勘定について貸借対照表等を作成します。このほか、勘定科目に「番組勘定」、「役員退任引当金」、「国際催事放送権料引当金」を新設し、貸借対照表における「資本の部」を「純資産の部」に表示を変更します。
 また、一般企業の注記にならい、協会と関連当事者との取引等についての注記を充実させることとします。
 決算の日程についてですが、放送法改正により、財務諸表の総務大臣への提出期限が、当該事業年度経過後、従来の2か月以内から3か月以内に変更になりました。これを受け、決算の日程は次のとおりにしたいと思います。4月28日の理事会に収支決算の速報を報告し、同日、経営委員会にも報告します。その後、6月23日の理事会での了承を経て、同日の経営委員会に諮り、議決が得られたら速やかに総務大臣に提出します。なお、放送法の第40条の2に定める財務諸表についての監査委員会や会計監査人の監査の日程等については、会社法に準じて行うこととしたいと思います。
 経理規程および連結決算規程の改正について説明します。まず、経理規程の改正は、放送法改正に伴い、経理規程第60条(6)に「資本等変動計算書」、「キャッシュ・フロー計算書」を追加します。連結決算規程の改正は、連結決算書を会社法に準拠させ、連結決算規程第4条(4)に「連結注記表」を追加するとともに、「連結キャッシュ・フロー計算書」を削除します。ただし、連結キャッシュ・フロー計算書については、視聴者への情報提供の観点から、参考情報として公表する旨を第6条に追加します。

(金田専務理事)

 受信料会計方針の見直しにより、損益計算書上は、受信料と未収受信料欠損償却費の両方が同額減少するということですね。

(経理局)

 そうです。収納が難しい長期の未収受信料を受信料収入に計上することは、収入の過大計上ではないかとする意見もあり、慎重に検討した結果、見直すことにしました。

(会 長)

 原案どおり決定します。


(6)国際放送番組審議会委員の委嘱について
(副会長)
 国際放送番組審議会委員の委嘱について審議をお願いします。
 北村俊昭氏(東京海上日動火災保険(株)顧問・早稲田大学大学院アジア太平洋研究科客員教授)に、平成21年4月1日付で新規委嘱したいと思います。なお、竹田保孝氏((社)共同通信社顧問)は、本人の申し出により2月28日付で退任されました。また、渡辺修氏(石油資源開発(株)代表取締役社長)は、任期満了により3月31日付で退任されます。

(会 長)  原案を了承し、経営委員会に諮ることとします。


2 報告事項
(1)地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について
(日向理事)
 地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について報告します。
 東北地方で宮城光信氏(東北大学名誉教授)に、四国地方で黒田俊一氏(愛媛新聞社編集局長)に平成21年4月1日付で、東北地方で佐藤瀏氏(岩手大学工学部教授)に5月1日付で新規委嘱します。また、九州地方で竹本慶三氏(させぼ四ケ町商店街協同組合理事長)に、四国地方で眞鍋省三氏(四国電力(株)常務取締役)に4月1日付で再委嘱します。
 北海道地方の島本幸一氏(島本鉄工(株)代表取締役社長)については、本人の申し出により任期途中の2月28日付で退任されました。


(2)平成21年度部外解説委員の委嘱について
(今井理事)
 平成21年度部外解説委員の委嘱について報告します。
 平成21年度部外解説委員として、五十嵐公利氏(外交・政治評論家)に4月1日から平成22年3月31日までの期間、再委嘱します。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成21年 3月31日
                     会 長  福 地 茂 雄

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