日本放送協会 理事会議事録  (平成21年 1月27日開催分)
平成21年 2月13日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成21年 1月27日(火) 午前9時00分〜9時20分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、金田専務理事、日向理事、溝口理事、
 八幡理事、永井理事、大西理事、関根理事、今井理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項
1 審議事項
(1)平成20年度第3四半期業務報告
(2)(株)日本国際放送の番組を送出する業務等の実施に係る同社との
   連名文書の一部字句修正について

2 報告事項
(1)考査報告
(2)放送番組審議会議事録(資料)

議事経過

1 審議事項
(1)平成20年度第3四半期業務報告
(総合企画室)
 放送法第22条の2第3項に定める会長の職務の執行状況の報告について、平成20年度第3四半期(10〜12月)分を取りまとめました。ついては、同項の規定により経営委員会に報告したいので、審議をお願いします。
 この報告は、NHKの「平成20年度 収支予算と事業計画」に記載した事業運営の重点事項等に沿ったもので、業務実施状況と予算執行状況、「目標」とした項目の達成状況、課題と今後について数値を使いながらとりまとめています。今期の報告では、前回以上に、すべての項目について、PDCA(Plan-Do-Check-Action)の状況を把握しやすいように努めました。
 はじめに、財務状況について説明します。
 まず、NHKの現在の財政状態を示す資産・負債等の状況についてです。20年12月末のNHKの総資産は8,450億円で、前年度決算額の7,853億円から597億円増加しています。これは、受信料前受金の増加により現金預金等が増加していることによるものです。負債は、20年12月末で2,961億円あり、前年度決算額の2,623億円から337億円増加しています。これについては、12月時点では期間が経過していない1月以降の受信料を損益計算上の収入として計上できないため、受信料前受金として貸借対照表の負債の部に計上していますが、12月は偶数月で受信料の口座入金が集中することから、それが476億円増加したことによるものです。純資産については、20年12月末現在5,489億円で前年度決算額の5,229億円から、259億円増加しています。
 以上の結果、企業活動が債務者への返済を要する負債以外の資金によってどの程度賄われているかを示す自己資本比率は、前年度末から1.6ポイント低下して、65.0%となっています。これは、12月に受信料前受金が一時的に大きく増加することに起因するもので、条件が同じである前年同月と比較すると、事業収支差金が黒字で純資産が増加していることを背景に0.8ポイント上昇しており、財務状態は引き続き健全な状態で堅調に推移しているものと考えます。
 次に、損益計算書の概要を説明します。
 経常事業収支差金は、受信料収入の増加などにより経常事業収入が増加しましたが、国内放送費の増加などにより経常事業支出が増加した結果、前年同月比で54億円減少した293億円となっています。経常収支差金は、財務費が増加したことにより、前年同月比で35億円減少した267億円となっています。事業収支差金は、特別収入の減少等により、前年同月比で59億円減の259億円となっています。
 事業収支についてです。
 12月末の事業収入の実績額は5,020億円です。受信料収入の増加や、関連団体からの配当収入により、全体では、計理率が76.4%となっており、予算額に対して順調に推移しています。一方、事業支出は、12月末実績は4,761億円、計理率は73.6%となっています。事業収支全体としては、事業収支差金が259億円の黒字となっており、事業収入同様、順調に推移しています。
 事業収入の要点を説明します。受信料収入の12月末実績額は4,811億円で、予算に対する計理率は75.8%です。前年同月と比べて進捗は遅れていますが、第3四半期の標準的な計理率75.0%を0.8ポイント上回っています。財務収入等は、制作系子会社を中心とした特別配当による配当収入の増により、12月末実績額は101億円、予算に対する計理率は160.7%で、前年同月と比べて13.5ポイントの増となっています。特別収入は、固定資産の売却件数が前年に比べて少なく、主な資産の売却益も小規模なことから、計理率が43.9%と低くなっています。
 事業支出の要点としては、国内放送費の12月末実績額が2,020億円、予算に対する計理率は72.8%で、前年同月と比べて0.1ポイントの増となっています。これは、19年度決算において、翌年度番組関係費の対象範囲を拡大したため、当年度分の支出が増加したことなどが影響しています。また、今年度の主な事項として、オリンピック北京大会やアメリカ大統領選挙、北海道洞爺湖サミットといった大型イベントに関連する経費や、岩手・宮城内陸地震、中国・四川大地震といった災害関連経費を計上しています。国際放送費の12月末実績額は69億円、予算に対する計理率は62.6%で、前年同月と比べて4.4ポイントの減となっています。これは、2月から英語ニュース「NEWSLINE」を24時間毎正時に放送することにしており、経費が年度末にかけて多く発生するため、12月末では計理率が低くなっているものです。契約収納費の12月末実績は443億円、予算に対する計理率は75.1%で、前年同月と比べて0.7ポイントの減となっています。これは、10月からの訪問集金の廃止等による地域スタッフの減に伴い、事務費が減少していることによります。
 事業収支差金は、12月末時点で259億円あり、予算額を157億円上回っています。
 続いて、受信料収入の12月末時点での状況です。20年度の受信料収入は、契約総数・衛星契約ともに増加していることから、4,811億円となっており、対前年比59億円の増収となっています。受信料収納額を期別で見ると、5期(12月〜1月)の初月である12月の受信料収納額は504億円で、年度初頭からの累計は、4,691億円となっています。受信料収入の年度末見込みとしては、予算額(6,350億円)は確保できる見通しですが、予算額にどれだけ増収を上積みできるかが今後の課題です。契約総数は、10月から障害者免除の適用範囲を拡大したことによる全額免除件数の増加により、前年度の実績を下回っているものの、訪問集金の廃止に伴う契約取次業務へのパワーシフトの効果により、年度累計で16.2万件の増加を確保しており、年間目標に対する達成率は64.8%となっています。衛星契約についても、障害者免除の適用範囲拡大などにより、前年度の実績を下回っているものの、年度累計で36.8万件の増加を確保しており、年間目標に対する達成率は81.8%となっています。
 ここからは、事業支出の区分ごとに、業務の執行状況と課題などについてポイントを絞って報告します。報告は、各項目の(主な実績)、(評価)、(課題・今後の取り組み)について説明していきます。
 まず、国内放送です。
 11月に個人視聴率などの調査を行った結果、総合テレビの週間接触者率は60.8%と前年(60.4%)からほとんど変わらず、各放送波合計の週間接触者率も72.1%と前年(72.2%)とほぼ同じでした。インターネットやDVD視聴など放送以外の媒体による接触も含めた全体リーチ(接触者率指標)は76.1%で、前年(75.6%)を若干上回りました。
 ジャンル別にみていきます。
 最初に、「幅広い世代に親しまれる多彩な番組」についてです。(主な実績)として、大河ドラマ「篤姫」が、12月14日(日)で全50回の放送を終了しました。平均視聴率は24.5%(以下、視聴率はビデオリサーチ社による世帯視聴率)、11月30日(日)には最高視聴率29.2%を記録し、幅広い視聴者層の支持を得ることができました。また、恒例の「第59回NHK紅白歌合戦」(12月31日(水))は、「歌の力、ひとの絆(きずな)」をテーマに放送し、第2部は42.1%と3年ぶりに視聴率40%を超えました。(評価)ですが、上半期に1位(13.6%)となったゴールデンタイムの平均視聴率は、年末年始を加えて平均12.6%となり、前年を1ポイント上回りました。第3四半期には、総合テレビの定時番組で今年度の最高視聴率が相次ぎました。「篤姫」が29.2%、ためしてガッテン「長引く痛みの正体解明 “慢性痛”最新治療術」(11月19日(水))が15.9%、その時歴史が動いた「大奥 華(はな)にも意地あり〜江戸城無血開城・天璋院篤姫〜」(10月22日(水))が11.6%、NHKスペシャル 病の起源「第5集 糖尿病〜想定外のぜいたく〜」(11月16日(日))が14.7%、東京★カワイイTV「スクールファッション旋風」(11月20日(木))が5.1%などでした。視聴者層の広がりが出てきているものと思われます。(課題)として、1月にスタートした大河ドラマ「天地人」は、第1回(1月4日(日))の視聴率が24.7%と好調な出足でしたが、今後、「篤姫」のように好調を持続していくことが重要だと考えています。また、木曜夜の「ドラマ8(エイト)」は第3シリーズ「キャットストリート」、第4シリーズ「七瀬ふたたび」を放送しましたが、第1シリーズの「バッテリー」ほどは、対象としている10代に届いていないようです。結果を分析し、今後の番組改定に生かしていきます。
 「信頼に応える迅速・的確な報道」については、(主な実績)として、金融危機や、ノーベル賞の日本人複数受賞(10月)、元厚生事務次官やその妻の殺傷事件(11月)、アメリカ大統領選挙(11月)など多くの人々の関心事を、ニュースでの速報や特集番組などで、より早く、より深く伝えました。(評価)としては、株価暴落など金融危機関連のニュースを伝えた10月10日(金)の「NHKニュース7」の世帯視聴率が18.1%、同日の「ニュースウオッチ9」が15.2%、元厚生事務次官やその妻の殺傷事件で、容疑者が警視庁に出頭してきた11月22日(土)の特設ニュースが深夜にもかかわらず10%を記録しました。視聴者の関心に応える迅速かつ的確な報道ができたと考えています。(今後の取り組み)としては、緊急報道への取り組みはもちろんですが、加えて報道局の「生活情報プロジェクト」を中心に、暮らしに密着したニュースを多角的に伝えていきます。
 「地球環境など公共放送キャンペーンの展開」ですが、(主な実績)については、地球温暖化防止に取り組む活動のひとつとして、年度後半期から教育テレビの週末の放送終了時刻の繰り上げと、毎日の放送休止時間帯のアナログ放送停波を実施しました。また、12月29日(月)には、教育テレビの放送時間を12時間50分短縮するなどして、温暖化防止をアピールしました。(評価)としては、放送終了時刻の繰上げと停波によって、使用電力量を1日あたり約3,000キロワットアワー節減できました。教育テレビの放送時間短縮には1,900件もの意見が寄せられ、賛成と反対の意見がおおむね同程度でした。(今後の取り組み)でも、活動を促進するよう努めていきます。なお、衛星ハイビジョンと衛星第2で放送の「街道てくてく旅」で使用している中継車「エコロジア号」は廃油を燃料としており、この先駆的、実験的取り組みが、(財)日本産業デザイン振興会の「2008年度グッドデザイン賞」を受賞しました。
 続いて、国際放送です。(主な実績)としては、今年2月の新しい国際放送のスタートに向けた準備に本格的に取り組みました。日本とアジアのニュースを充実させるためには、報道局、とりわけアジアセンターの協力が不可欠です。情報交換を密にし、ニュースの出稿やリポート制作をスムーズに進めるよう、10月から、国際放送局の記者6人を報道局アジアセンターの兼務とし、体制を整えました。また、国際放送局の記者の長期出張による、バンコク、北京からの中継リポートを試験的に開始しました。さらに、12月には国際放送の省エネ型新スタジオが完成しました。ヨーロッパなど、世界各地で地域衛星や衛星のチャンネルを借り上げる交渉にも力を注いでいます。(評価)ですが、新しい国際放送の準備は、おおむね予定したスケジュールどおりに進んでいます。世界の視聴可能世帯も、9月末は3,750万世帯だったものが、12月末では7,950万世帯と倍増しました。(今後の取り組み)については、現在、新スタジオの運用訓練を行っていますが、2月までに習熟を重ねるとともに、受信環境整備についても力を入れていく予定です。
 契約収納についてです。
 「訪問集金の廃止と、それによる効果的・効率的な契約収納体制の構築」については、(主な実績)として、訪問集金廃止後の新しい契約・収納体制への移行を円滑に行うことができました。(評価)ですが、訪問集金に費やしていたパワーを未契約対策や未収対策にシフトした結果、4期(10月〜11月)の契約総数取次は前年度比で13%増加しました。また、口座振替・クレジットカード払いの利用者は19年度末に比べて76万件増加し、前年度をはるかに上回る実績を確保しました。(今後の取り組み)については、これまで訪問集金でお支払いいただいていたお客様で、10月以降、継続振込払いを利用している方を中心に、確実に振り込んでいただくための説明に力を入れていきます。その後も支払っていただけない方がいる場合は、2月以降、訪問して支払いをお願いすることにしています。
 「多様な活動による未契約・未収対策の強化」については、(主な実績)として、民事手続きによる支払督促での支払申し立て総件数が、12月末までで286件となっています。(評価)として、286件のうち12月末までに214件が支払い、または支払意思を表明しています。(今後の取り組み)は、支払督促の実施地域をさらに拡大していくとともに、未契約者に対する民事手続きの準備を引き続き進めていきます。
 「より公平で合理的な受信料体系への改定」については、10月に障害者に対する受信料免除の適用範囲を拡大しました。視聴者への広報に努めた結果、12月末までに、全額免除と半額免除を合わせて15万件の申請がありました。この障害者免除拡大では、有料契約から全額免除となる件数が当初の想定の4万件を大きく超えて、12月末までに9.5万件まで増加したため、契約総数の増加が16.2万件にとどまりました。
 続いて、調査研究のうち、「放送と通信の連携サービスの開発」についてです。12月1日、インターネットを通じて過去の番組を有料で提供する新サービス「NHKオンデマンド」を開始しました。開始から1か月で、提供番組本数が、「特選ライブラリー」で1,340本、「見逃し番組」で540本に達し、登録数は1.6万人、購入数は1.1万件ありました。ハイビジョンレベルの画質は、利用者から高い評価を得ていますが、まだまだ認知度が低いため、これからもPRに積極的に取り組み、利用者拡大に努めたいと考えています。
 地上デジタル放送の普及促進についてです。第3四半期にデジタル中継局を207局設置し累計で371局と、今年度目標に対し84%の整備が完了しました。NHK共聴は、デジタル導入が477施設完了し累計で1,393局と、目標に対して87%の整備を完了しました。電波カバー率は約96%です。デジタル中継局、NHK共聴とも、ほぼ計画どおりに進捗しています。
 最後に、地域放送局の取り組みについて説明します。
 10月14日に「平成21〜23年度NHK経営計画」が決定しました。その経営方針4「地域を元気にするための拠点になります」の中で掲げた「“放送局のちから”を発揮して、個性を引き出す放送・サービスを展開します」の項目を受けて、第3四半期は、“放送局のちから”の具体化に向けた積極的な活動が、全国で活発に行われました。
 まず、“放送局のちから”の具体施策の策定に向けたプロジェクト活動が各放送局で次々に始まりました。秋田放送局では、「いつでも どこでも もっと身近にNHK秋田」推進プロジェクトを発足させ、「CS(視聴者満足)向上」や「3−Screens(テレビ・パソコン・携帯端末などさまざまなメディアを通じてNHKの情報・コンテンツを見られる環境整備)」、「環境経営」などをテーマに検討を行っています。福島放送局では、「ふくしまプロジェクト」を設置し、全職員一提案を合言葉に取り組んでいます。岐阜放送局は、「放送局のちから検討策定委員会」を発足させ具体的検討を始めましたが、検討内容を職員に周知する通信の発行も行っています。こうした動きは全国の放送局に広がっており、現在、部局目標の策定に職員が一丸となって取り組んでいるところです。
 地域社会に貢献する取り組みも着々と行い、成果を上げています。札幌放送局では、「交通事故防止キャンペーン」を展開。過去の交通死亡事故を検証・分析し、特集番組を制作したほか、キャンペーン番組を繰り返し放送しました。12月末の交通事故死亡者は前年比58人減の228人となり、事故防止の一助となったと思われます。盛岡放送局は、「岩手のチカラ応援宣言!」を旗印に活動を続けていますが、10月から応援ソングを2曲作り、「いわてみんなのうた」として放送を始めました。ひとつは「僕のタカラモノ」で、岩手山や北上川など岩手県の自然や風土をイメージし、もう1曲の「手と手」は人のぬくもりや優しさを表現しており、CD発売を望む声が相次いでいます。富山放送局では、うつ・自殺・介護などの問題に向き合う「ひとりじゃないキャンペーン」を継続実施していますが、10月には認知症のお年寄りが認知症のお年寄りを介護する実態を放送し、大きな反響を呼びました。徳島放送局では、「糖尿病予防キャンペーン」に取り組んでいます。徳島県は糖尿病による死亡率が14年連続で全国最悪となっていますが、改善に向けて、関連番組のほか世界糖尿病デーに合わせた会館ライトアップなどを通じてさまざまな啓蒙活動を行い、地元医師会からも高く評価されました。
 地域社会の国際化に対する貢献も活発に行っています。静岡放送局では、地域にブラジル人が多いことから、日系ブラジル人の就学問題を扱ったドキュメンタリーを放送した際、地域向けにポルトガル語のナレーションを付加し、反響を呼びました。今後も、日系ブラジル人社会の問題に継続的に取り組んでいく予定です。名古屋放送局では、日本人のブラジル移住100年を記念して中南米出身者の参加イベント「ラティーノ・ノドジマン」を実施、母国の家族へのメッセージもおりまぜて感動的なステージになりました。ブラジル人向けの新聞、雑誌、放送局などからの取材も相次ぎました。鳥取放送局は、韓国KBSチュンチョン(春川)放送総局と業務提携することになりました。これは、竹島問題で中断していた鳥取県と韓国のカンウォンド(江原道)の交流が今年再開されるのを機に、環日本海の経済や観光などの取材に力を入れていくためです。
 大河ドラマ「天地人」など、地元を舞台・題材とするドラマを通して地域放送局の存在感をアピールする取り組みもありました。また、独自の地域若者向け番組・イベントを通じた若年層との接触を高める取り組みや、会館内の蛍光灯のエコタイプ化によるCO2削減など環境経営の推進に取り組んだ放送局もあります。
 以上の報告内容が決定されれば、本日の第1087回経営委員会に報告事項として提出したいと思います。

(会 長)   原案どおり決定し、本日の経営委員会に報告します。

(2) (株)日本国際放送の番組を送出する業務等の実施に係る同社との連名文書の一部字句修正について

(国際放送局)
 1月13日の理事会で審議・決定した「(株)日本国際放送の番組を送出する業務と欧州地域衛星から委託して放送させる業務の実施について」は、その後、第1086回経営委員会(1月13日・14日開催)の議決を得て総務大臣に認可を申請し、1月21日に認可を得ました。
 認可申請の際、鞄本国際放送(JIB)との連名の文書「NHKの外国人向けテレビジョン国際放送と鞄本国際放送の番組を同一チャンネル内で編成する場合の考え方およびこれに伴う措置について」を別添資料として提出しましたが、その表現について文意を変えることなくより明確なものとするため、文書の字句を一部修正したいと思います。
 修正するのは、NHKの外国人向けテレビ国際放送と同じチャンネルで放送するJIBの独自番組の時間量について、「概ね1日最大3時間程度」と記述していた個所を、「概ね1日平均最大3時間程度」とするものです。
 本修正は表現の明確化であり、基本的内容の変更にはあたらないと判断しますので、理事会の決定が得られた後は、改めて認可申請は行わず、総務省には字句を修正した旨を連絡します。なお、JIBにおいても、本日までに同内容の修正を行うことにしています。

(会 長)   原案どおり決定します。

2 報告事項
(1)考査報告
(考査室) 
 12月下旬から1月にかけて放送したニュースと番組について報告します。
 まず、ニュースについてです。日本時間1月21日(水)の未明、アメリカのオバマ新大統領の就任式が行われました。この一連のニュースでは、国民一人ひとりに責任を呼びかけた就任演説のポイントや、経済の建て直し、イラク問題やアフガニスタンでのテロとの戦いなど新政権の課題、そして日米がどのような信頼関係を築いていくかなどを、記者の報告等できちんと整理して伝えていました。また、衛星第1では、就任式やパレードの模様を分厚く紹介したほか、事前にも特集企画をシリーズで放送し、それぞれの放送波の役割をしっかりと果たしていたと思います。
 12月20日(土)、平成21年度政府予算の財務省原案が内示され、24日(水)に閣議決定されました。記者が財務省前からリポートし、「財政再建路線から景気対策重視に大きくかじを切るものになった」と予算案のポイントを伝え、また、スタジオで、財政投融資特別会計の積立金、いわゆる“埋蔵金”の繰り入れについて「急場しのぎに過ぎず、具体的議論が必要」と指摘するなど、厳しい財政の中で景気対策を重視した苦しい予算編成だったことをわかりやすく解説していたのがよかったと思います。
 中東パレスチナ自治区のガザ地区で、イスラエル軍とイスラム原理主義組織ハマスが戦闘を続けていましたが、1月18日(日)・19日(月)に双方が相次いで“攻撃停止”を発表、21日(水)にイスラエルが部隊撤退を完了し、3週間にわたった戦火はひとまず収まりました。こうした動きの中で、NHKの取材班が日本のテレビ局としては最初にガザ地区に入り、いたるところで破壊された町の様子や、住民の嘆き、途方に暮れる姿などを、現地からいち早く伝えたことを評価します。
 12月28日(日)、午後6時の「ニュース」で、損害保険大手の三井住友海上グループホールディングス、あいおい損害保険、ニッセイ同和損害保険の3社が、早ければ平成21年秋にも経営統合する方向で最終調整していることを、NHKの独自取材により他に先駆けて報道していました。経営統合が実現すれば保険料収入で業界トップとなり、今後、生命保険会社や銀行なども巻き込んだ金融業界全体の再編にもつながる大きな動きであることも伝えるなど、背景の説明や影響についての解説も的確だったことは、高く評価できると思います。なお、ニュースの中で、3社が1月中の基本合意を目指していると伝えていたとおり、1月23日(金)に合意がまとまったことが公表されました。
 続いて、いくつかの番組について、報告します。
 1月4日(日)、今年の大河ドラマ「天地人」がスタートしました。第1回「五歳の家臣」について考査しました。今回の主人公はこれまであまり知られていなかった直江兼続(かねつぐ)ですが、その幼少時代である与六と、後に主君の上杉景勝となる喜平次の生い立ちや性格が丁寧に描かれていました。喜平次の父、長尾政景の死の真相がややあいまいなままでしたが、全体として、今後の展開が楽しみなスタートでした。子役の熱演が光っており、脇を固める俳優陣も魅力的で、好感が持てました。モニターからも「豪華な配役が魅力的。子役の演技も自然で良い。さすが大河ドラマだ」という声が寄せられました。
 1月1日(木)放送のNHKスペシャル「激論2009 世界はどこへ そして日本は」では、経済、外交、グローバル化をテーマに7人の論客が激論を闘わせていました。それぞれの論客が立場を鮮明にしての議論は論旨が明確で聞き応えがあり、日本経済と外交を考えるうえで示唆に富んでいて、年頭にふさわしい内容だったと思います。その中で、グローバル化については、テーマ設定がやや明確でなく、時間も不十分で議論があまり深まらなかった感もありました。モニターの声でも、「正月早々難しいと思ったが、だんだん興味が深まり身を乗り出して見た」など好評の一方で、「テーマが大きく視点も多方面。不完全燃焼の思いが残った」という意見もありました。
 大津放送局と大阪放送局が制作した、特集 ドキュメントにっぽんの現場「明るい遺影」(12月24日(水)放送)は、滋賀県のデイサービスセンターで行われてきたお年寄りの遺影の撮影会を紹介した心温まる番組でした。死を意識したお年寄りたちそれぞれの人生や夫婦愛が、しっかりとした構成で描き出されて感慨深く、遺影を撮影するカメラマンの方の温かい人柄や言葉が、お年寄りを和ませ笑顔を引き出していくシーンが印象に残りました。モニターから「母が自分も撮影してもらいたいと言い出し、希望をかなえたいと思った」という声も寄せられました。
 1月8日(木)に教育テレビで放送した、ETV50「青春集合!アラハタのすべて」では、「アラウンドはたち」、略して「アラハタ」と名付けた20歳前後の若者1,069人とインターネットで結んで、その意識を探る番組でした。随所で若者の本音をかいま見ることができ、楽しめる内容で、インターネットの活用がうまくいった番組の例として評価します。20〜40代の各世代から迎えたゲストも人選が的確で、番組に自然に溶け込んでおり、“アラハタ”世代と先輩世代とのやりとりや意見交換も納得できるものが多かったと思います。モニターからは、「人間関係ではキャラクター作りや人脈作りなど現実的なことがわかり、興味深い」「質問も若者を知るうえで的を射ていたし、ゲスト、司会者の発言も楽しめた」「本音を探ろうという意図は伝わったが、思ったより“軽い”内容で少し残念」などの声が寄せられました。
 衛星第1で1月2日(金)に放送した、未来への提言スペシャル「環境学者レスター・ブラウン 藤原紀香が聞く低炭素社会への道」についても考査しました。金融危機の今こそ「エコ・エコノミー」への転換のチャンスだと訴えるレスター・ブラウン氏の積極的な提言は、示唆に富んで興味深いものでした。各国の取り組みも丁寧に紹介されており、現状を知るうえで良かったと評価します。未来に期待を持たせる内容でしたが、環境問題の解決に向けた具体的な道筋や課題について、もう少し踏み込んで知りたいとも思いました。モニター報告では、「環境問題への取り組み方によって金融危機解決につながることを知った」「日本は遅れている。政府、企業、市民が努力し意識改革することが必要」などの声がありました。
 なお、今回報告した番組については、地域放送局制作の「特集 ドキュメントにっぽんの現場」を除いていずれも事前考査を実施し、指摘事項がなかったことを、あわせて報告します。 


(2)放送番組審議会議事録(資料)
(編成局) 
 編成局および国際放送局から、中央放送番組審議会、国際放送番組審議会、全国の地方放送番組審議会(関東甲信越、近畿、中部、中国、九州、東北、北海道、四国)の平成20年12月開催分の議事録についての報告。
(注1:放送番組審議会の内容)



以上で付議事項を終了した。
 注1:放送番組審議会の内容は、NHKホームページの「NHK経営情報」
    のなかに掲載しています。
上記のとおり確認した。
      平成21年 2月10日
                     会 長  福 地 茂 雄

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