日本放送協会 理事会議事録 (平成20年12月16日開催分)
平成21年 1月 9日(金)公表
<会 議 の 名 称> 理 事 会 <会 議 日 時> 平成20年12月16日(火) 午前9時00分〜9時55分 <出 席 者> 福地会長、今井副会長、金田専務理事、日向理事、溝口理事、 八幡理事、永井理事、大西理事、関根理事 多賀谷監査委員 <場 所> 放送センター 役員会議室 <議 事> 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。 付議事項 1 審議事項 (1)第1085回経営委員会付議事項について (2)甲府放送会館移転整備について (3)関連団体運営基準の一部改正について (4)関連団体事業活動審査委員会規程の一部改正について 2 報告事項 (1)関連団体コンプライアンス通報制度規程の改正について (2)監査結果報告 (3)財政の現況(平成20年11月末)
議事経過
1 審議事項 (会 長) 原案どおり決定します。 |
(2)甲府放送会館移転整備について (経理局) 甲府放送会館については、甲府市から甲府駅北口地区への移転要請を受け、移転整備の準備を進めてきました。平成19年12月に、整備方針および用地取得の経営決定を受け、平成20年1月に用地を取得しました。その後、具体検討に着手し、地上デジタル放送時代への対応、視聴者サービス、環境への対応、さらなるコスト削減などの整備概要がまとまったため、基本設計に着手することとしたいと思います。 整備概要の基本コンセプトは次の4点です。
会館の規模は、コスト削減を念頭に、スタジオの機能の見直しや床面積の圧縮を図ることで、標準的な放送局の広さが5,500m²のところを、5,140m²に圧縮しました。また、放送設備については、仕様の標準化や機能の見直しを行うほか、既存の設備を転用することで、さらにコスト削減を見込んでいます。 今後のスケジュールは、平成21年1月以降、設計者の選定を公募のプロポーザルで行い、平成22年8月に着工、平成23年12月に建物を完成させて、平成24年5月の運用開始を目指します。 本議案が決定されましたら、第1085回経営委員会に対し、報告事項として提出します。
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関連団体運営基準は、NHK関連団体の、それにふさわしい事業運営のあり方を明らかにし、関連団体の事業目的、事業範囲、NHKによる指導監督などについて定めている基準です。 平成20年4月に改正放送法、同施行令、施行規則が施行されたこと等に伴い、同運営基準を一部改正したいので、審議をお願いします。 改正のポイントは4点あります。 1点目は、関連団体の定義に関する規定の改正です。法令改正により「子会社」「関連会社」の定義が変更されたので、これを規定に反映させました。これにより、新たに3社が関連会社に加わりました。 2点目は、関連団体の業務範囲に関する規定の改正です。NHKがインターネットで既放送番組等を提供できるように放送法が改正されたことに伴い、今年11月に総務省の「日本放送協会の子会社等の業務範囲等に関するガイドライン」が変更され、関連団体も同様の事業ができることになりました。ただし、(株)日本国際放送は、拠って立つ放送法上の条項が異なり、今回変更されたガイドラインの対象にはならないので、そのことも運営基準に記述しました。 3点目は、報告徴収・調査に関する規定の整備です。監査委員、会計監査人の報告徴収・調査について改正法令の規定を反映させ、規定を新設しました。また、NHKの内部監査室による報告徴収・調査についてはNHKによる指導監督と位置づけ、規定を新設しました。なお、NHKが従来から行ってきた監査法人による関連団体の“業務監査”は、“業務運営状況調査”に改めました。 4点目は、リスクマネジメント・コンプライアンスに関する規定の整備です。リスクマネジメントについては、今年4月のNHKの関連規程制定を受けて、これを関連団体が遵守するものとする規定を新設しました。コンプライアンスについては、各関連団体が内部通報制度に関する内部規程を整備すべきことを規定に追加しました。 本議案が決定されれば、第1085回経営委員会に対し、報告事項として提出します。
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関連団体事業活動審査委員会は、関連団体が民業を圧迫していないかを審査する委員会で、今回、「関連団体運営基準」の一部改正に伴い、「関連団体事業活動審査委員会規程」を一部改正します。 改正の内容は、関連団体の定義を記述している部分で、現行は、放送法施行規則の条文番号を書くことで「関連団体」を定義していますが、改正案では、「関連団体運営基準に定める関連団体」と、表現を簡略化させたいと思います。 (会 長) 原案どおり決定します。 |
2 報告事項 |
(2)監査結果報告 (内部監査室) 九州地方各放送局の監査結果の概要について報告します。実地監査は10月下旬に実施しました。 まず、福岡放送局についてです。金曜夜8時台を毎週地域放送として、「トンコツTV」「テツタビ」「九州沖縄スペシャル」など、紀行番組やドキュメンタリーなど多彩なジャンル・演出の番組を編成し、新たな視聴者層の獲得に力を入れています。また、NHKスペシャル「解かれた封印」や、関連団体のNHKプラネット九州支社が提案した「埋もれた地下兵器庫」などのドキュメンタリーや、「博多どんたく」「博多祇園山笠」生中継など、大型特集番組にも積極的に展開しました。イベント面では、7月から8月にかけて、九州国立博物館で「島津の国宝と篤姫の時代」展を開催しました。番組出演者のトークショーなど関連イベントによるPR効果もあり、入館者は目標の2倍以上の15万人を超えました。 次に、北九州放送局についてです。生活苦から餓死者が相次いだ北九州の生活保護行政について、平成19年10月に「クローズアップ現代」で現状と問題点を詳しく伝え、11月には「九州沖縄スペシャル」で市長を交えた討論を放送し、視聴者から大きな反響を呼びました。また、平成20年8月に新会館へ移転して5年となり、移転以来入館者は26万人を超えました。今年度は、ハートプラザのギャラリーのリニューアルを精力的に進め、「キャラクタージオラマ」の設置や、プラザ全体を森にイメージした装飾などで親しみやすい空間に一新し、さらに視聴者との結びつきを強化しました。 熊本放送局では、環境問題を平成20年度の重点テーマに据え、毎週1回、夕方6時台の地域情報番組「クマロク!」で環境企画を放送し、温暖化の中での周辺海域の変化などを取り上げています。金曜夜の地域番組「くまもとの“風”」でも毎月1本程度、環境問題をテーマにした企画番組を放送しています。大学を対象にした企画を積極的に進めており、熊本大学文学部のメディア論の講義に講師として職員を派遣したり、大学対抗でミニ番組の出来栄えを競う「大学対抗映像コンテスト」を実施するなど、若者との接触の拡大を目指しています。また、開局80年記念イベントとして、10月スーパーハイビジョンを熊本市内の会場で公開し、3日間におよぶ来場者は、約6,000人にのぼりました。 長崎放送局では、夕方6時台の「ニュース長崎EYE610」で、被爆の記憶を後世に伝える“原爆100人の証言”を放送し、大きな反響を呼んでいます。ホームページでの展開も試み、過去の平和・原爆の記録を掲載して伝え続けていきます。また、佐世保市で起きた散弾銃乱射事件や長崎空港での小型機墜落事故、ノーベル化学賞を受賞した長崎大学卒業の下村脩さんのインタビューなど、重大なニュースに迅速な対応をしました。秋の会館公開をJR長崎駅前の「かもめ広場」と連動して実施し、9,000人が来場しました。たいへん好評で、来場者からの要望が多かったため、20年度は4月にも会館公開を実施しました。 鹿児島放送局では、大河ドラマ「篤姫」のスタートにあわせて、夕方6時台のニュース「情報WAVEかごしま」に“もっと篤姫”企画を新設し、1月には「篤姫いよいよ始まりました!スペシャル」を放送するなど、データ放送、公開ホームページを含め「篤姫」関連番組を多彩に展開しました。また、現会館に移転して1年11か月で、来館者が10万人を突破しました。1階エントランスロビーを活用して、放送体験スタジオの設置や「篤姫」関連の展示を行うなど、CS向上活動を強化しています。放送面では、金曜夜8時台に「かごしま大作戦」を新設し、月に1回の放送で、リポーターが県内各地を回り、人々の暮らしを紹介しています。地域密着番組として好評で、最高視聴率は15.6%にのぼっています。 宮崎放送局では、夕方5時台からの地域向け放送番組を放送しています。これは、全国で大阪放送局と宮崎放送局だけの取り組みです。これに続く夕方6時台の情報番組や朝、昼前の情報番組の枠をあわせると、平日は毎日2時間半を独自に放送しています。また、夕方の地域情報番組で放送している地元産品の料理レシピを紹介する「みやざきを食べよう」コーナーがたいへん好評で、番組情報を掲載しているホームページでもこのコーナーが人気を呼び、アクセス数は月平均30万ページビューにのぼっています。 大分放送局では、「教員採用汚職事件」の6月の発覚から事件の拡大につれて、九州各局・本部からの応援で取材態勢を強化し、7月に「クローズアップ現代」と九州ブロック向けの「九州沖縄インサイド」で放送し、9月の採用取り消し処分1週間後に再び「クローズアップ現代」で放送しました。「クローズアップ現代」の2本は、視聴率が13%を超えて高い評価を得ました。大分国体では、9月の競泳の中継から始まり、開会式と7つの競技を応援者など130人の陣容で東京伝送の収録と生放送で制作しました。また、6月に、公開ホームページ、携帯電話サイト、携帯読み上げサイトを一元的に編集できる「CMS版携帯サイト」を全国で2局目に開設し、毎月1万1,000件を超えるアクセス数があり、たいへん好評です。 佐賀放送局では、金曜夜8時の「さがんスペシャル」で、5月に開催した公開シンポジウム「地球環境フォーラム」の模様を、7月には音楽ライブと環境イベントの番組「三瀬プラネットジャム」を時間枠を拡大して放送しました。地元住民との交流や環境活動の一環として、「河川清掃」のボランティア活動を年に2回実施し、佐賀放送局周辺の自治会と協力して、転入者を中心に毎回15人前後が参加しています。また佐賀大学では「NHKメディア講座」を実施し、職員も講座を担当するなど、若い世代との交流を積極的に行っています。技術の面では、地上デジタル放送のスキル向上に努め、設備の障害予防対策を的確に行い、運用や技術情報をホームページ等で共有し、活用しています。また、5年間人為放送事故が無く、全国放送安定推進会議の放送安定特賞を受賞しました。 沖縄放送局では、「沖縄全戦没者追悼式」を6月に全国放送しました。追悼式の全国向け中継放送は、地元の視聴者はもちろんのこと、全国からも大きな反響を呼びました。平成19年8月の那覇空港での「チャイナエアライン機炎上事故」では、全局態勢で対応し、迅速で的確な緊急報道を行い、放送総局長特賞を受賞しました。また、地域番組の認知度を高め、新しい視聴者層を獲得するために、コミュニティーFM放送局での番組紹介や、路線バスの車体に番組タイトルを表示したラッピングバスの活用などの広報展開を進めています。 コンプライアンス活動については、朝ミーティングで他局で発生した事例を紹介し、周知徹底を図ったり、「風通しのよい職場」をモットーに、情報の共有化に努めるなど、各局とも独自のアイデアにより積極的に取り組んでいます。 適正経理の取り組みでは、昨年度に指摘した処理手続きの不備について、ほぼ改善されていました。不十分だった点は引き続き取り組みを指示するとともに、今回、課題が見られた放送局には改めて改善を指示しました。 なお、福岡と大分の2局について、業務プロセス監査を実施しました。その結果、ニュース、番組制作、技術、営業、事業の業務プロセスの管理状況は、いずれも適正と判断しました。 監査後の課題の共有について、内部監査室では、地域拠点局および各放送局には実地監査の結果を受けた指示事項の改善状況を、一覧表にして各放送局長宛に送っています。各放送局の課題を共有しながら改善する取り組みを行っています。
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(3)財政の現況(平成20年11月末) |
以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
平成21年 1月 6日
会 長 福 地 茂 雄