日本放送協会 理事会議事録  (平成20年 6月24日開催分)
平成20年 7月11日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成20年 6月24日(火) 午前9時00分〜9時35分

<出   席   者>
 福地会長、金田専務理事、日向理事、溝口理事、八幡理事、
 永井理事、後藤理事、大西理事、関根理事、今井理事

 多賀谷監査委員、井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 報告事項
(1)監査結果報告
(2)考査報告
(3)関連団体事業活動審査委員会外部委員の変更について

議事経過
1 報告事項
(1)監査結果報告
(内部監査室)
 関東甲信越地方各放送局の監査結果の概要について報告します。監査は5月中旬から下旬にかけて実施しました。
 まず、長野放送局についてです。
 長野放送局では、監査の後、松本支局記者による原稿の盗用問題が発覚しました。再発防止に向けて、基本に立ち返った業務を確認する緊急のグループ会や管理職による全職員との個別面談を実施しています。
 放送サービスでは、“信州を知るテレビ”という意味から「知るしん。」と題する地域ニュース・情報番組を金曜夜8時台に1時間放送しています。「知るしん。」は、ざん新な演出によってツアーバスの格安競争の裏側など信州の今を伝え、視聴率の面でも高い支持を得ています。
 次に、新潟放送局についてです。
 中越沖地震の災害報道に全力を注ぎ、発災直後から迅速に対応しました。その後も被災地の復興への歩みを伝える番組を節目節目で放送しています。地上デジタル放送のマルチ編成を活用した地域向けの災害情報も6日間放送しました。また、49の避難所で簡易ラジオを2,000個配布して、被災者の方々に大変喜ばれました。
 甲府放送局では、夕方6時台の地域ニュース番組を女性キャスターが2人で担当し、生き生きとした話し言葉のニュース番組を目指しています。また、去年の大河ドラマ「風林火山」で各回の末尾に放送した「風林火山紀行」の内容を自局ホームページに掲載し続けており、1年間で3,600万ページビューの閲覧がありました。
 横浜放送局では、昨年度、イージス艦と漁船の衝突事故やタクシー運転手の殺害事件、通り魔による女性殺害事件など全国発信したニュースが多く、全国ニュースへの出稿が250本を超えました。また、NHKのインターネットによるサービスに先導的に取り組む「ネットトライアル局」に指定されており、自局ホームページに大学のキャンパス情報やFMの公開ライブの動画を掲載して好評を得ています。
 前橋放送局では、昨年度は数多くの選挙報道があり、激戦となった県知事選挙でも当確判定をいち早く行いました。9月の台風9号災害では、土砂崩れで孤立する地区が出るなど大きな被害があったことから、防災の課題を検証する企画ニュースを放送し、課題を指摘しました。また、世界遺産の暫定候補となった富岡製糸場や昨年単独の国立公園指定を受けた尾瀬国立公園について、番組を通じて全国に紹介しています。FM放送では、夕方6時台の音楽情報番組に経済コーナーを新設し、日銀の支店長にインタビューするなど情報性を強化しています。
 水戸放送局では、職員による株のインサイダー取引や無免許運転を受けて、倫理徹底に全力で取り組んでいます。部会やグループ会を計13回開き、延べ380人の職員が参加したほか、局長を中心に全職員に個別面談を行って、倫理意識の徹底に努めました。放送部職員が株取引を自粛する誓約書を提出する取り組みも局独自に行いました。放送では、昨年10月から夕方5時台の地域放送を廃止し、金曜夜8時台の番組に力を注いでいます。
 千葉放送局では、冷凍ギョーザに殺虫剤成分が混入していた事件やイージス艦と漁船の衝突事故など大きな事件の報道が相次ぎ、「ニュース7」や「ニュースウオッチ9」、「クローズアップ現代」などで詳しく伝えて、公共放送の使命を果たしました。また、放送の安定送出に努めて、この3年間放送事故を起こしていません。
 宇都宮放送局では、夕方6時台を中心に情報発信の強化に取り組み、「首都圏ネットワーク」の企画コーナーなどへの提案数が前年を大幅に上回りました。また、放送会館の公開を1年間に4回全局体制で実施しており、前年度から倍増となる年間1万4,000人の来館者がありました。
 さいたま放送局では、「ネットトライアル局」のひとつとしてホームページの充実に取り組み、ニュースの動画配信や、各市町村を取り上げた番組を一覧にした「埼玉わがまち放送マップ」などのサービスが好評を得ています。1日1万ページビューを超えることあります。
 コンプライアンス活動については、長野放送局、水戸放送局以外の各局でも、意識向上に向けた部内討議や研修会を重ねたり、局長と各職員との対話を実施したりして、積極的に取り組んでいます。
 適正経理の取り組みでは、昨年度指摘した処理手続きの不備について、ほぼ改善されていました。一部に不十分な点がありましたので、さらに改善を求めています。

(会 長)

 監査結果については、前年度に指摘した事項に対する改善の進捗やコンプライアンス活動の取り組み状況などについて、評価すべき点と不十分でさらに取り組みを求める点をきちんと記述し、役員がチェックしていることを明確にして、各局への改善指示を徹底してください。


(2)考査報告
(考査室)
 5月から6月中旬にかけて放送したニュースと番組について報告します。
 まず、6月14日(土)に発生した岩手・宮城内陸地震についてです。午前8時43分に緊急地震速報のスーパーが入り、8時46分に全放送波で番組が中断され臨時ニュースに切り替わりました。初動からすばやい対応がとられ、ヘリコプター中継が土砂崩れなどの被害の全容を把握するのに有効に機能するなど、情報を分厚く的確に伝えていました。
 次に、6月8日(日)に秋葉原の歩行者天国で起きた通り魔殺人についてです。第一報は午後1時のニュースで伝えられ、1時43分に現場からいち早く中継が入りました。携帯電話の掲示板に犯行予告を書き込むなどこの事件の特異な背景について、視聴者撮影の映像なども交えながら詳しく報道していました。
 6月13日(金)、北朝鮮が日本との公式協議で従来の姿勢を改め拉致問題を再調査すると伝えたのを受けて、日本側が経済制裁を一部解除する方針を明らかにしたことを報道しました。「ニュースウオッチ9」では、拉致被害者家族会の会見の模様を、「内容について必ずしも満足していない」という発言を含めて紹介するなど、被害者家族の反応もきちんと伝えていました。
 6月4日(水)、アメリカ大統領選挙の民主党候補者選びでオバマ氏が全米代議員の過半数を獲得し、5か月間に及ぶ激戦に決着がつきました。このニュースに関しては、歴史的な激戦となった指名争いの決着を迅速に伝えており、合わせてオバマ氏の勝因や今後の課題についての丁寧な解説がありました。
 続いて、いくつかの番組について報告します。
 日本の、これから スペシャル「どうする?わたしたちの環境問題」(6月7日放送)は、地球温暖化にどう取り組むべきか、市民の代表と識者が2時間45分にわたって徹底討論する番組でした。討論にはアメリカや中国からも中継参加があり、議論に厚みを加えていました。モニターからは、「長時間だったがよくまとまっており、非常に掘り下げた内容だった」など評価する声が多く寄せられました。
 NHKスペシャル「橋は大丈夫か〜しのびよる劣化」(6月9日放送)は、日本全国の橋のうち5,400本以上が緊急の補修を必要とするという驚くべき事実を伝え、行政の補助金の構造的な問題や、首都高速道路でトラックの通行量が多い個所に亀裂が頻発していることなどを報告して、衝撃的な内容でした。モニターの評価では、「たいへんよい」と「よい」が合わせて90%にのぼり、たいへん高く評価されました。
 名古屋放送局制作の土曜ドラマ「監査法人」は、企業の命運を握る監査法人を舞台にした経済ドラマです。第1回「会社、つぶせますか」(6月14日放送)は、企業と監査法人の攻防や仕組まれた倒産劇などをテンポのよい演出で描いていました。モニターからは、「『ハゲタカ』に匹敵する骨太のドラマだ」などの声がありました。
 ETV特集「アンジェイ・ワイダ〜祖国ポーランドを撮り続けた男」(6月15日放送)は、厳しい検閲の下で祖国ポーランドを映画に撮り続けてきたアンジェイ・ワイダ監督の活動について、本人の証言により構成した骨のあるドキュメンタリーでした。中でも、旧ソビエトによって2万人以上のポーランド将校が虐殺され、監督の父親も犠牲となった「カティンの森事件」の映画化の過程をつぶさに描いていました。この番組に対して7割近いモニターが「たいへんよい」と評価しました。
 新BSディベートスペシャル「アフリカの声にどうこたえる」(6月1日放送)では、第4回「アフリカ会議」の参加者とNGOのメンバーがアフリカ支援のあり方について熱論を闘わせていました。モニターからは「非常に内容の濃い討論だった」との声が寄せられました。
 3夜連続のハイビジョン特集「アルプス」のうち初回の「オーストリア 緑輝く氷河の谷」(6月10日放送)について、カメラが旅人の目となって山岳ガイドの案内でトレッキングコースを視聴者に満喫してもらう番組でした。番組の途中に「とっておきアルプス案内」として観光情報も盛り込み、長時間でも楽しく視聴できる内容でした。

(会 長)

 考査報告に際しては、視聴者の代表としてのモニターの意見とともに、考査室としての指摘事項や評価もさらに盛り込んでください。


(3)関連団体事業活動審査委員会外部委員の変更について
(総合企画室)
 関連団体事業活動審査委員会は、NHK関連団体の事業活動が適正に行われているかについて、第三者からの苦情申し立てを受けて審査する目的で、平成14年に設置されました。
 同委員会は副会長を委員長とし、NHKの役職員と、議論の公正性を確保するため公認会計士と弁護士の2名の外部委員とで委員会を構成しています。
 現在外部委員を務めている弁護士・公認会計士の上野正彦氏と公認会計士の鈴木茂夫氏が6月末で任期を満了し退任しますので、新たに公認会計士の金田英成氏、弁護士の山下丈氏の2名を委員として委嘱しました。
 新しい委員は7月1日に就任し、任期は2年間です。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成20年 7月 8日
                     会 長  福 地 茂 雄

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