日本放送協会 理事会議事録  (平成20年 6月 4日開催分)
平成20年 6月20日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成20年 6月 4日(水) 午前9時00分〜10時35分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、金田専務理事、日向理事、溝口理事、
 八幡理事、永井理事、後藤理事、大西理事、関根理事

 多賀谷監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1070回経営委員会付議事項について
(2)理事会運営規程の一部改正について
(3)役員報酬支給基準・役員退職金支給基準の改正について
(4)職務権限事項の改正(平成20年6月実施分)について
(5)平成19年度NHK連結決算について
(6)財団法人放送番組センターへの出捐について

2 報告事項
(1)平成19年度関連団体の決算概要
(2)平成19年度NHKと関連団体との取引の評価・公表について
(3)考査報告
(4)20年4月の視聴者満足(CS)向上活動報
(5)監査結果報告

議事経過
1 審議事項
(1)第1070回経営委員会付議事項について
(総合企画室)
 6月10日(火)に開催される第1070回経営委員会付議事項について審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「役員報酬支給基準・役員退職金支給基準の改正について」、「財団法人放送番組センターへの出捐について」、そして「中央放送番組審議会委員の委嘱について」です。審議事項は「次期経営計画について」です。また、報告事項として「平成19年度関連団体の決算概要」、「平成19年度NHK連結決算について」、そして「平成19年度NHKと関連団体との取引の評価・公表について」です。

(会 長)  原案どおり決定します。


(2)理事会運営規程の一部改正について
(総合企画室)
 理事会運営規程の一部改正について審議をお願いします。
 理事会の審議事項を定めた理事会運営規程別表のうち「4その他事項」に規定している「職員の倫理・行動に関する基本事項」について、リスクマネジメント委員会運営に関する規程の制定および関連する職務権限事項が整備されたことから、「リスクマネジメントに関する基本事項(経営委員会の議決を経なければならないものを除く。)」に改めたいと考えています。
 なお、改正規定は本年4月1日にさかのぼって適用することとしたいと思います。

(会 長)  原案どおり決定します。


(3)役員報酬支給基準・役員退職金支給基準の改正について
(秘書室)
 役員報酬支給基準・役員退職金支給基準の改正について審議をお願いします。
 「役員報酬支給基準」および「役員退職金支給基準」については、監事制度の廃止に伴い、本文中の「監事」の文言を削除するとともに、名称を「会長、副会長および理事の服務に関する準則」にあわせて、それぞれ「会長、副会長および理事の報酬支給基準」、「会長、副会長および理事の退職金支給基準」に変更したいと思います。改正年月日は、平成20年5月29日です。
 なお、この内容が決定されれば、第1070回経営委員会に議決事項として提出します。

 
(関根理事)

 「役員報酬支給基準」、「役員退職金支給基準」とも改正案の第2条に「この基準の適用において、理事と専務理事は異なる役職とする」とありますが分かりづらいと思います。専務理事の職責については定款に記載されていますので、この条文は不要だと思います。

(会 長)

 この条文を削除するなど修正のうえで、経営委員会に諮ることとします。


(4)職務権限事項の改正(平成20年6月実施分)について
(人事総務局)
 平成20年6月実施分の職務権限事項の改正についての審議をお願いします。
 職務権限事項は各々の組織・職位に割り当てる職務基準と権限を具体的に明示したものです。
 今回の職務権限事項の改正は、組織改正による項目に加え、4月に実施した会長権限の見直しに続き、上位職位者から下位職位者への権限の見直し等を実施します。改正件数は1,153件です。
 組織改正による改廃としては、アーカイブス・オンデマンド推進室の名称および職務基準の変更に伴う項目、営業局営業推進センターの業務体制の再編成に伴う項目、人事総務局総合事務センターの廃止に伴う項目などです。上位職位者から下位職位者への権限の見直しは291件です。
 なお、実施時期は平成20年6月16日です。

(会 長)  原案どおり決定します。


(5)平成19年度NHK連結決算について
(経理局)
 平成19年度NHK連結決算について審議をお願いします。
 19年度のNHK連結決算については、連結子会社22社、持分法適用関連会社3社が対象となります。
 NHKは連結決算の作成・公表を放送法上で義務付けられていませんが、経営の透明性を高めるために、平成14年度から自主的に実施しています。
 連結経営成績は、売上高に当たる経常事業収入が7,371億円で前年度を8千万円上回りました。一方、経常事業支出は7,050億円で放送受信料未収件数の減少に伴う未収受信料欠損償却費の減少や経費の削減により184億円減少しました。経常事業収支差金は321億円で前年度比185億円の増加、当期事業収支差金は394億円となり、前年度比133億円の増加で、増収増益の決算となっています。
 連結財政状態は、総資産が19年度末で8,938億円となり前年度末より318億円増加しました。一方、負債は2,940億円で短期借入金の減少等により64億円減少しました。純資産は19年度末で5,998億円となり前年度末より383億円増加しています。連結剰余金1,542億円は、当期事業収支差金の発生等により前年度比394億円の増加となりました。
 連結キャッシュ・フローでは、事業活動によるキャッシュ・フロー1,042億円の範囲内でNHKの地上デジタル関連投資などの投資活動881億円と短期借入金の返済などの財務活動102億円を行い、この結果、現金・預金および現金同等物の期末残高は1,631億円となり前年度と比べ62億円増加しています。
 なお、平成19年度NHK連結決算については、経営委員会報告後、NHKのホームページに掲載するなどして公表します。

(会 長)  原案どおり決定します。


(6)財団法人放送番組センターへの出捐について
(総合企画室)
 財団法人放送番組センターへの出捐について審議をお願いします。
 20年度は8,279万円を出捐したいと考えています。そのうち194万円を番組調達・供給事業の運用財産に、8,085万円を放送番組ライブラリー事業の運用財産に出捐します。
 放送番組センターは、NHKと民放の出捐によって昭和43年に設立され、地方民放局や独立UHF局等に良質な番組ソフトを調達・供給する一般事業を行ってきました。平成3年度以降は、NHKや民放等が出捐した基金の運用益により放送番組を収集・保管して公衆に視聴してもらう放送番組ライブラリー事業も実施しています。しかし、近年は一般事業へのニーズがとみに減少傾向にある一方、放送番組ライブラリー事業の運営も、低金利のため、基金運用益だけでは極めて困難になってきています。18年度に放送番組センターは、一般事業についてはその役割を終えたと判断し、段階的に縮小して20年度末に廃止することを決めました。
 一方、放送番組ライブラリー事業については、放送番組を文化遺産として保存する重要性に鑑み、基金運用益に加え、NHKおよび民放からの出捐によって事業を継続することにしています。一般事業が終了した後の21年度以降は、放送番組ライブラリー事業の事業規模の上限を3億6,500万円、そのうちNHKおよび民放からの出捐額の上限を2億3,100万円と想定しています。
 本日、この議案が了承されれば、第1070回経営委員会に対し、議決事項として提出し、決定されれば、放送法第9条第10項の規定に基づき、総務大臣に認可申請を行います。

(会 長) 原案を了承し、経営委員会に諮ることとします。


2 報告事項
(1)平成19年度関連団体の決算概要
(総合企画室)
 平成19年度関連団体の決算概要について報告します。
 19年度関連団体32団体の売上高・事業収入を単純合計した総額は、2,558億円で前年度比46億円の増収でした。このうち、NHKからの収入は、18年度業務移行の通年化や19年度の新たな業務移行に加え、中継局の整備などデジタル放送関連業務の受注増などにより、前年度を131億円上回る1,270億円でした。NHK以外からの収入は1,287億円で、アナログ周波数変更対策関連業務が終了したことや、世界バスケット選手権等大型イベントが終了したこと、Jリーグ放送権が他社へ移行したことなどにより、前年度を85億円下回る結果となりました。当期純利益・正味財産増減額は59億円で前年度に比べ4億円の減収となり、全体として増収減益となりました。
 NHKへの副次収入納付額は73億円で、テキスト出版は不振でしたが、“おしりかじり虫”などにより版権収入が増加したことなどにより、前年度に比べ4億円増えました。配当については、総額73億円を予定し、このうちNHKへの配当は53億円となっています。


(2)平成19年度NHKと関連団体との取引の評価・公表について
(経理局)
 平成19年度のNHKと関連団体との取引の評価・公表について報告します。
 関連団体運営基準第21条に基づき、平成19年度のNHKと関連団体との一定規模以上の取引(「工事または製造」については250万円、「財産の買い入れ」については160万円、「物件の借り入れ」については80万円、「その他の役務」については100万円、をそれぞれ超える金額)について、NHKの経理規程および業務委託基準に照らして、必要な要件を満たして行われたかどうか、特に随意契約の要件を満たしているかどうかを、NHK自ら全件を点検しました。また、全体の約9割を占める1件3,000万円を超える取引については、外部有識者で構成する「入札契約委員会」の点検・助言を得ています。その結果、基本的にはいずれも要件を満たしていると判断しました。取引の総件数は1,451件、取引総額は1,201億円でした。
 随意契約については、引き続き、見直しの余地がないかを点検し、やむを得ないものを除いて、順次可能なものから競争契約への移行に努めていきます。
 なお、この内容については、第1070回経営委員会に報告したうえで、NHKのホームページに掲載して公表します。


(3)考査報告
(考査室)
 20年4月中旬から5月に放送されたニュース・番組について、概要を報告します。
 まず、四川大地震についてです。5月12日(月)、中国内陸の四川省でマグニチュード8.0の大きな地震があり、これまでに6万7000人の死者が確認され670万人が避難生活を送っています。これについては、被害状況や住民の避難生活、緊急援助隊の活動などを連日、分厚く伝えています。
 ミャンマーのサイクロン被害に関して、5月23日(金)、ミャンマーの軍事政権はサイクロンの直撃から3週間たってようやく国際的な援助要員の受け入れに合意しました。軍事政権の主張とは裏腹に、被災者の現状を伝えた映像は説得力がありました。
 北京オリンピックの聖火リレーは、長野市の善光寺がチベットの人権問題などを理由にスタート地点を辞退し、国内でもコースを変更して4月26日(土)に行われました。NHKでは、4月17日(木)の「ニュース&スポーツ」で、善光寺が境内をリレーのスタート地点にしないよう長野市に求める方針を固めたと、特ダネとして伝えるなど、地元や各界の反応も含め幅広く紹介しました。
 5月26日(月)、長崎地裁は、去年4月に当時の伊藤長崎市長が市長選挙期間中に拳銃で撃たれ殺害された事件の被告の暴力団員に死刑判決を言い渡しました。このニュースに関しては、被害者が1人の事件で死刑判決が出た背景を丁寧に説明してほしかったと思います。
 次に、いくつかの番組について報告します。
 NHKスペシャル「言論を支配せよ〜“プーチン帝国”とメディア」(5月12日放送)は、豊富な地下資源を背景に急速な経済成長をするロシアで強まる政権による“メディア支配”の実態に迫りました。プーチン政権が3大テレビ局を巧みに支配していく過程がしっかりと描かれていました。一方で政権批判をするメディアの実態にも迫り、言論の自由が奪われることの危うさが伝わってくる力作でした。モニターからは、「NHKならではの取材。ロシアの本質がよく分かった」などの声が寄せられました。
 NHKスペシャル「中国・四川大地震」(5月24日放送)は、マグニチュード8.0の大地震で壊滅的な被害を受けた四川省の山間部の集落や都市の現状など被災地の課題を検証しました。大地震の発生から2週間、地震発生のメカニズムや震源地周辺の惨状や課題を伝えていました。また、中国政府が海外のメディアに被災地取材を認める一方で、災害の深刻さが政府批判につながらないようにしだいに慎重になっていく様子も描いていました。モニターからは、「中学校倒壊現場で必死にわが子を探す親の姿に胸が痛んだ」、「学校崩壊のCG解説を見て日本の校舎は安全か心配になった」などの声が寄せられました。
 「謎缶」(5月8日放送)は、開発番組で、“乾いた脳を潤す”がテーマで、脳を活性化するクイズ仕立ての6つのゲームに8人のゲストが参加しました。バレエやパントマイム、声楽などを使った出題方法がユニークで楽しい番組でした。さまざまな世代が気軽に楽しめるように出演者の人選や問題の難易度を工夫して、テレビの前に家族が集まるような番組に育ててほしいと思います。モニターからは、「五感に訴える問題が多く、子どもたちでも楽しめそう」などの声が寄せられました。
 「福祉ネットワーク 緊急点検 日本のセーフティーネット」は、介護や医療などのセーフティーネットを、財政学者で慶応義塾大学教授の金子勝さんがリポートするシリーズです。「シリーズ がん医療」(5月19日〜21日放送)は、日本人の死因の第1位である「がん」を取り上げ、患者や家族、現場の医師たちを取材して医療の実態や問題点を報告しました。国の医療費削減策の「包括払い」が病院の経営を圧迫して医療現場にひずみを作り、また在宅療養支援診療所も普及しない中で、新しい制度のために苦しんでいる患者の姿が金子さんの報告で伝えられました。“切れ目のない医療”のために早急な対策が必要だと感じられました。モニターからは、「がん患者に寄り添ってくれる主治医を育てる制度が必要と痛感した」などの声が寄せられました。
 BSドキュメンタリー「シリーズ アフリカ2008」は、5月28日から横浜で行われるアフリカ開発会議を前に“今”のアフリカを見つめるシリーズで、「ルワンダ 女性たちの国づくり」(5月24日放送)は、かつて民族間の大虐殺が起こったルワンダで国家の再建に取り組む女性たちの姿を追いました。ただ、民族間の和解がどう進められたかなどの基本的な情報をもう少し詳しく知りたいと思いました。モニターからは、「悲しみを乗り越えて国づくりに取り組む女性たちに感動した」などの声が寄せられました。
 にっぽん熱中クラブ「勝負は1/1000mm!〜静岡工業高校 工作部」(4月18日放送)は、お笑い芸人が全国の高校や大学のユニークな部活動を訪ね、そこで活動する若者の様子を伝える番組です。お笑いコンビが楽しい会話で、若者たちの素顔をよく引き出していました。モニターからは、「25分が短く感じられた。多くの若者に見てほしい番組だ」などの声が寄せられました。


(4)20年4月の視聴者満足(CS)向上活動報告
(視聴者サービス局)
 20年4月の視聴者満足(CS)向上活動について報告します。
 4月にいただいたご意見・お問い合わせは451,549件でした。
 今年の4月から、視聴者のみなさまの意向を幅広く収集し、分析する体制を整備し、これまでの放送コールセンターにいただいたご意見等のほかに、全国各放送局、本部各部局で受け付けた分も加えて集計しています。
 4月にスタートした新番組の教育テレビ「リトルチャロ カラダにしみこむ英会話」は、テレビ、ラジオ、ホームページ、テキスト等のさまざまなメディアを利用したクロスメディア企画の番組ですが、他の語学番組に比べて、反響が非常に多くなっています。特に30代の女性から意見が目立っており、放送を視聴できなかった場合でも、「インターネットで後日、ストリーミングできるのがとても嬉しい」などの好評意見が多く寄せられています。
 この4月、17年ぶりの大改定を行ったラジオ第1放送では、「ラジオビタミン」、「ふるさとラジオ」、「私も一言!夕方ニュース」に多くの反響が寄せられています。「ラジオビタミン」には「村上アナと神崎ゆう子さんの2人がとても爽やか。午前中の番組に相応しい」などの好評な意見が寄せられています。また、「私も一言!夕方ニュース」には「意見を言える機会を作ってくれて、とてもありがたい」などの好評意見が目立っています。
 大阪放送局制作の「あほやねん!すきやねん!」は、若者層への視聴者層の拡大を目指し、10代の恋愛・進路・家族などの悩みや疑問に応えていく番組で、夕方5時台に近畿ブロックで放送しています。この番組のホームページや携帯サイトには10代からの投稿数が増えている一方、「民放のまねをするな」などの厳しい意見も寄せられました。大阪局では、視聴者の声をしっかり受け止め、修正を重ねながら、質を高めていくことにしています。
 特に好評な意見が集中した番組は、NHKスペシャル「日光・月光菩薩 はじめての二人旅〜薬師寺1300年の祈り〜」(4月28日放送)、ためしてガッテン「医学で解明!顔若返り」(4月2日放送)、「見過ごすと命とり!?しびれ・体からのSOS」(4月9日放送)、その時 歴史が動いた「“古事記”誕生〜日本最古の史書の謎〜」(4月23日放送)、プロフェッショナル 仕事の流儀「茂木健一郎の脳活用法スペシャル」(4月29日放送)などでした。特に、ためしてガッテン「医学で解明!顔若返り」には、過去3年間で最も多い反響が寄せられ、再放送希望のほか、番組で紹介したマッサージ方法、医師等への問い合わせが集中しました。
 速報ですが、5月11日に放送したNHKスペシャル「セーフティーネット・クライシス〜日本の社会保障が危ない〜」には、「『ワーキングプア』に匹敵する良い番組」「役所が悪者のような扱い」「今回に限らずこの問題を追及してほしい」など、さまざまな意見が寄せられました。
 次に、ふれあいミーティングの実施状況です。
 4月は全国で125回実施し、2,526人が参加しました。そのうち、名古屋放送局では、日進市役所の若手職員のみなさんに新番組「めざせ!会社の星」を視聴してもらい、番組をテーマに意見交換を行いました。この様子は収録して地域放送でも紹介する予定です。
 続いて、視聴者のみなさまの声などを生かした改善の件数です。4月の改善件数は本部6件、各放送局で91件の合計97件でした。
 視聴者満足の向上を目指した取り組みとして、松山放送局では、子どもたちに見学者コースをもっと楽しんでもらうため、低軌道衛星撮影システムを紹介するコーナーを新たに設けました。これは人工衛星などを小型天体望遠鏡やハイビジョンカメラなどを使って自動追尾撮影をするシステムです。松山局では、このシステムで国際宇宙ステーションの撮影に成功していますが、コーナーではこの時の貴重な映像を上映しているほか、地球や国際宇宙ステーションの模型やシステムの解説パネルを展示し、とても好評です。また、山形放送局では、山形出身のアナウンサーとゲストが、視聴者からのお便りを紹介しながら全て山形弁で語る番組「今夜はなまらナイト」を19年度、4回放送し、多くの反響が寄せられました。20年度は「なまらナイト」の公式サイトをオープンしたほか、4月26日には、米沢市でラジオの公開生放送を実施し、500人を超えるファンのみなさまに楽しんでいただきました。
 最後に、全国54の放送局でそれぞれ地域や社会にきちんと貢献する活動「チャレンジ54」の取り組みについてです。宮崎放送局では、図書館と共同で地域に貢献するキャンペーン「図書館に行こう!」に取り組んでいます。20年度は、図書館主催の朗読会やイベント等に積極的に参加することにしており、4月には、県立図書館がホームページで公開している「朗読」動画の制作にアナウンサー、キャスターが協力しました。5月には、県立図書館との合同イベント「緑陰コンサート」を実施し、アナウンサーが詩と絵本の朗読を行いました。参加者からは、「聴き応えのある朗読を堪能できた」など好評の声が寄せられました。こうした活動はお昼前の地域放送番組で放送しています。


(5)監査結果報告
(内部監査室)
 ライツ・アーカイブスセンター、デザインセンター、放送文化研究所、考査室、総合リスク管理室、秘書室、総合企画室の各部局(構造改革事務局、〔経営計画〕、〔関連事業〕、〔情報システム〕)の監査結果の概要を報告します。監査は、4月上旬から4月下旬にかけて実施しました。
 ライツ・アーカイブスセンターでは、放送と通信の融合など新しいメディア状況に対応するため、NHKが保有する番組などのコンテンツの効率的で機能的な保存や多角的な活用・公開に取り組むとともに、そうした活用などに資する迅速、一元的な権利処理ルールの確立などに努めています。今年の12月に開始予定のNHKオンデマンドのサービスに向けて、権利関係の条件整備や配信番組の選定などを進めています。また、番組などのコンテンツをファイルで保存し、テープレス化を図る「デジタル・アーカイブス」構想は平成23年度からの導入開始を目指し検討を本格化させています。
 デザインセンターでは、限られたスタジオスペースを最大限活用する工夫を進め、20年度、「ニュースウオッチ9」のセットの全面的な改修にあたって、ニュースセンターの二つのフロアを一体運用し、奥行きを生かした斬新な空間表現のデザイン設計を行いました。音響デザインについては、藤沢周平原作の「木曜時代劇 風の果て」や「連続テレビ小説 どんど晴れ」などドラマ等における音づくりがたいへん好評でした。また、環境経営の取り組みとして、これまで焼却処分としていた美術セットの廃木材を合板として再生するリサイクルを今年の1月から開始しました。
 放送文化研究所では、従来の「全国個人視聴率調査」に加え、19年度、新たに「全国接触者率調査」や「放送評価調査」などを行い、経営や番組改定の基礎的資料として利用されました。また、全国放送や地域放送の夕方のニュース、情報番組の視聴傾向を分析し、改善に向けた提言も行いました。4月の統一地方選挙や7月の参議院選挙では世論調査を実施し、有権者の意識を的確に把握し、当確判定や開票速報に重要な役割を果しました。放送博物館の19年度入館者数は、133,501人となり、昭和31年の開館以来最多を記録しました。
 考査室では、「新放送ガイドライン2008」について、インサイダー取り引きについて新たに記述するなどの改訂作業を進めました。また、モニター報告を郵送からメール方式への移行を進め、制作現場へのフィードバックを迅速化しています。
 総合リスク管理室は、NHKおよび関連団体のリスクマネジメントとコンプライアンスを一体的に推進していくための実務を担う組織として、従来のコンプライアンス室と内部統制推進プロジェクトを統合し、今年の4月に設置されました。19年度、コンプライアンスについては、「コンプライアンス推進のアクションプラン」や「工程表」を策定し、諸施策を実行しました。
 秘書室は、役員個室の廃止を受け、スペースの有効活用等に努めているほか、役員フロアのセキュリティーの強化などを図っています。
 構造改革事務局では、支局長専任制度廃止や地域放送局体制の見直しを図るなど、組織のあり方について積極的に検討しています。
 〔経営計画〕では、改正放送法への対応のため定款等の規程や体制の整備を図りました。また、次期経営計画の策定に向けて引き続き取り組んでいます。また、地上デジタル放送の推進のため、アナログ放送の円滑な終了に向けてさまざまな検討を行っています。
 〔関連事業〕では、今年4月、制作系の地域子会社6社を1社に、また、技術系子会社2社を1社にそれぞれ統合しました。また、放送法改正を受け、映像国際放送を行う新会社を発足させました。また、19年度、関連団体によるNHKへの配当は過去最大となりました。
 〔情報システム〕では、編成・制作・放送技術などに関わる放送系情システムのデジタル化への対応を図るため、23年度の全面移行に向けて、抜本的な見直しに着手しました。また、パソコン健康管理システムを導入し、情報セキュリティー対策を強化しました。
 コンプライアンス活動・適正経理の取り組みについては、危機管理や職員倫理等の講習会を行うなどしています。
 証ひょう類の調査では、出張報告書の記入不備などがありましたので、適正処理に努めるよう改善を求めています。また、各局に前回要望した事項については、改善されていました。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成20年 6月17日
                     会 長  福 地 茂 雄

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