日本放送協会 理事会議事録 (平成20年 2月12日開催分)
平成20年 2月29日(金)公表
<会 議 の 名 称> 理 事 会 <会 議 日 時> 平成20年 2月12日(火) 午前9時00分〜9時40分 <出 席 者> 福地会長、今井副会長、原田専務理事、小林理事、金田理事、 西山理事、日向理事、溝口理事、八幡理事 古閑監事 <場 所> 放送センター 役員会議室 <議 事> 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。 付議事項 1 審議事項 (1)第1062回経営委員会付議事項の追加について (2)放送局一斉再免許関連の制度整備に関する意見募集への対応に ついて (3)平成20年度放送番組補完インターネット利用計画について 2 報告事項 (1)「平成20年度収支予算、事業計画及び資金計画」に付する総務 大臣の意見及び「平成18年度業務報告書」に付する総務大臣の 意見について
議事経過 (会 長) 原案どおり決定します。 |
(2)放送局一斉再免許関連の制度整備に関する意見募集への対応に (1)電波法施行規則の一部改正 通常5年の免許期間を平成23年7月24日までに短縮可能とする。 再免許に際して新規事業者の公募を行うこととする。 衛星系放送局の免許に関し、公示する期間内に申請することを要しない無線局の範囲を拡大する。 (2)放送普及基本計画の一部変更 地上放送について、地上アナログテレビの終了のための所要の措置を講ずる。 ○ 地上デジタルテレビについて、平成22年12月までにアナログテレビと同等の地域においてその放送が受信できるようにする。 ○ 全面移行を促すため、デジタル技術の特性を生かした放送をできる限り多く行う(高精細度テレビジョン放送を中心とすること、アナログテレビが終了するまで自ら行うアナログテレビの大部分の放送番組を含めて放送すること、の2項目を削除)。 ○ 地上アナログテレビは、地上デジタルテレビを行う事業者が行う。 ○ 地上アナログテレビは、平成23年7月24日までに終了する。 衛星放送について、BSアナログテレビの終了期日を地上アナログテレビと同日の平成23年7月24日までとする。 (3)放送用周波数使用計画の一部変更 上記(2)のの変更に伴う規定の整備等のための変更 (4)放送法施行規則の一部改正 地上アナログテレビから地上デジタルテレビへの移行に伴う放送区分の改正等 (5)無線局免許手続規則の一部改正 申請書の添付書類に関し、地上テレビを行う放送局の放送番組表及び供給を受ける放送番組の時間帯の記載についての改正 (6)電波法関係審査基準の一部改正 地上系放送局の再免許に係る比較審査基準の追加のための改正(NHKは対象外) (7)地上デジタルテレビジョン放送局の免許及び再免許方針の一部改正 地上デジタルテレビの免許及び再免許を行うにあたり、比較審査基準の導入及び免許の条件・期限、要望等の方針を行政の指針として規定 ○ 地上テレビは平成23年7月24日までにデジタル放送に全面移行する。 ○ 免許主体は地上アナログテレビの免許人または平成20年10月31日に有効期限が切れる同一放送対象地域のアナログテレビの免許申請をしている者。 ○ サイマル放送の比率、ハイビジョンの比率を削除。 ○ デジタル技術の特性を生かした放送を実施すること。特にピュアハイビジョンまたはマルチ編成をできるだけ多く編成すること。 ○ アナログテレビと同等の区域において、平成22年12月までにデジタルテレビの受信を可能とするための中継局等の整備計画(中継局ロードマップ記載のすべての中継局の整備計画。共聴施設、ケーブルテレビ等他の代替手段も活用する場合はその整備計画)を有していること。 ○ これらの中継局等をすべて整備しても、なお、受信困難地域が残る場合は、引き続き、中継局の整備等によりデジタル放送を受信できるように努めること。 ○ 地理的要因によるデジタル混信が発生した場合は、混信状況調査及び必要な対策を行うよう努めること。 ○ 53から62チャンネルまでの周波数を使用する中継局については、平成24年1月24日までにチャンネル変更許可の手続きを完了すること。 (8)地上アナログテレビジョン放送局の免許及び再免許方針の制定 地上アナログテレビの免許及び再免許を行うにあたり、その方針を行政の指針として規定 ○ 免許主体は地上アナログテレビの免許人または平成20年10月31日に有効期限が切れる同一放送対象地域の地上デジタルテレビの免許申請をしている者。 ○ マスメディア集中排除原則の適用除外とする。 ○ アナログテレビへの終了スーパーの挿入等、アナログテレビ終了に向けた視聴者周知についての計画を免許期間中に策定する計画を有していること。 ○ 有効期限は平成23年7月24日までとする。 これらの整備案を検討した結果、今回の一斉再免許関連の制度整備は、平成23年の地上・BSテレビのデジタル放送への移行に関わる内容を多く含むものであることから、今後の移行計画に大きく影響する事項に関して、以下のとおり、意見を提出することとしたいと思います。 今回の省令改正案等については、特に異議はありません。なお、人々の生活に最も身近なメディアとして定着しているテレビジョン放送のデジタル化は、一人一人の視聴者に無用の混乱をもたらすことのないよう円滑に進めることが何より重要であり、アナログ放送の終了期限が近づくにつれて、よりきめ細かい施策が必要になるとともに、国の果たす役割が引き続き重要であると考えます。こうした視点から、今回の省令改正案等の運用にあたっては、以下の点についての配慮を要望します。 1 地上アナログテレビジョン放送の終了期日の明記について アナログ放送の終了に際しては、視聴者に無用の混乱をもたらす ことのないよう、視聴実態調査や視聴者へのきめ細かい周知・指導等を通じて、デジタル放送への円滑な移行に配慮を要望します。 2 平成22年12月までに地上デジタルテレビジョン放送を地上アナログテレビジョン放送と同等地域で受信可能とする整備計画を有することとする変更について 中継局等の整備計画のうち、中継局の設置については放送事業者が計画的に実施しますが、共聴施設・ケーブルテレビ等他の代替手段を活用する場合については、放送事業者以外の要因も大きいことから、円滑な移行を促進するためには国や自治体等の役割が重要であり、配慮を要望します。 3 地理的な要因などで、デジタル放送が良好に受信できない混信妨害が発生した場合、調査や必要な対策に努めることとする変更について デジタル混信は、周波数の逼迫等によりやむを得ず生じるものであり、社会的な混乱を避けるため、国の支援対象として、補完中継局等のインフラ整備に加え、個別受信等への対策にも取り組むことを要望します。また、デジタル移行により発生した混信については、従来のように後発局がすべて混信対策の責任を負うのではなく、当該混信の発生に関係する地域において、国及び放送事業者が共同で対策を行う形が望ましいと考えます。 4 53から62チャンネルまでの周波数を使用するデジタル中継局について、平成24年1月24日までにチャンネル変更許可の手続きを完了することについて いわゆる周波数のリパックについては、予期できない混信の発生によって急遽移行先のチャンネルの変更が必要となる場合が発生したり、審査期間が長くなる等の可能性も考えられるため、平成24年1月24日の手続き完了期限については「原則」とした上で柔軟な運用を要望します。 5 BSアナログテレビジョン放送の終了期日を地上アナログテレビジョン放送と同日の平成23年7月24日とすることについて NHKはこれまで、BSアナログテレビジョン放送の終了時期に関しては、視聴者の理解が得られやすい、3波共用受信機の普及で、BSデジタルテレビジョン放送も各家庭に急速に普及している、国、放送事業者、メーカー、関係団体等が一体となった周知・広報が可能となる、との理由から、地上アナログテレビジョン放送の終了と同時期が望ましいと主張してきており、その考え方は今も変わっていません。 BSアナログテレビジョン放送の視聴者のデジタル移行の徹底 BSアナログテレビジョン放送の終了は、その時点でBSアナログテレビジョン放送の視聴者がBSデジタルテレビジョン放送も視聴可能な環境になっていることが必要不可欠な条件であると考えます。従って、BSアナログテレビジョン放送の終了に際して、アナログ放送のみを受信している視聴者が残ることのないよう、国においても十分な施策を講じるよう要望します。 アナログテレビジョン放送の総合的な終了措置 難視聴解消の観点から、地上アナログテレビジョン放送を継続している間は、BSアナログテレビジョン放送を終了することは困難と考えています。また、視聴者の理解を得るためにも、地上アナログテレビジョン放送の終了に合わせてBSアナログ放送を終了することが適当です。今回の変更案も、こうした事情を踏まえた上でBSアナログテレビジョン放送の終了期限日が明文化されたものと理解しています。したがって、BSアナログテレビジョン放送の終了と地上アナログテレビジョン放送の終了が確実に同時になるよう、BSアナログテレビジョン放送終了後の空き周波数を利用する委託放送事業者の認定など、BSアナログテレビジョン放送の終了に関連する各種の手続き等に関しては、地上アナログ放送とBSアナログ放送の終了の総合的な日程を確立した上で進めるよう要望します。 BSアナログテレビジョン放送の終了に関する検討体制の構築 BSアナログテレビジョン放送をあと3年あまりの間で終了することは、国をはじめ関係者が一体となって取り組む必要がある大事業です。このため、BSアナログテレビジョン放送の終了に関する検討体制を、国を中心に早急に構築するよう要望します。また、検討にあたっては、地上アナログテレビジョン放送の終了と一体となった検討を行うことが必要と考えます。 同時再送信メディアのデジタル化の徹底 アナログ放送の終了のためには、家庭のテレビ受信機だけでなく、共聴施設、ケーブルテレビなどの施設が、アナログ受信からデジタル受信に変更されていることが必要となります。したがって、これらの施設のデジタル化が確実に行われるよう、国としてもきめ細かい施策を講じるよう要望します。 なお、今後のスケジュールは、3月12日に電波監理審議会の答申、5月1日から7月31日にかけて免許申請の受け付け、10月下旬の再免許(または予備免許)交付の予定となっています。 (会 長) 原案どおり決定します。 |
(3)平成20年度放送番組補完インターネット利用計画について
|
2 報告事項 「日本放送協会(以下「協会」という。)の受信料収入及び受信契約総数は共に回復傾向にあるものの、なお不祥事発覚前の水準を下回る状況にあり、また、受信料の不払又は未契約世帯等の割合も依然として全体の約3割近くに上る等、いまだ国民・視聴者からの信頼回復の途上にある中で、本年1月、新たに、職員による取材情報を悪用したインサイダー取引が発覚したことは、報道機関としての信頼性を揺るがす重大な問題であり、誠に遺憾である。 記 1 経営改革の推進 公共放送としての役割や社会的使命を改めて認識し、国民・視聴者から信頼される体制を確立するため、収支予算等に盛り込んだ内部統制機能の整備やコンプライアンスの徹底、CS(お客様満足)向上活動の推進等の各種施策を確実に実施するとともに、改正放送法を踏まえ、実効性あるガバナンスの実現に組織一体となって全力で取り組むこと。 2 受信料の公平負担の徹底 不祥事を理由とする受信料の支払拒否・保留件数や受信契約総数は回復傾向にあるものの、依然として受信料を支払うべき者の約3割近くが不払又は未契約となっている現状にかんがみ、受信料制度について国民・視聴者の理解が深まるよう、その意義や仕組み、改革に向けた協会の具体的取組について、保有するあらゆる媒体を通じた告知等を徹底すること。あわせて、未収対策業務の強化や民事手続きによる支払督促の活用等の各種施策を推進し、受信料の公平負担の徹底に向けて全力で取り組むこと。 3 受信料体系の見直し 平成20年度から新たに実施ずる「事業所割引の導入」、「家族割引の拡大」、「訪問集金の廃止」、「障害者に対する受信料免除の適用範囲拡大」について、協会の財政に与える影響や受信料の公平負担の徹底に資する効果を定期的に検証し、その結果を公表すること。 4 業務の合理化 協会を取り巻く厳しい財政状況を踏まえ、契約収納活動の強化等、収支予算等に盛り込んだ各種施策を確実に実施するとともに、業務全般について抜本的な見直しを進め、効果が上がると見込まれるあらゆる措置を検討し、業務の合理化・効率化を徹底すること。 5 子会社等の合理化等 協会が任意に保有する子会社等について、更なる整理・統合計画について速やかに検討を進め、協会と一体となった人員削減や統廃合等の経営改革を行うことにより、その合理化・効率化を推進すること。 6 情報公開の推進 受信料を主な財源とする公共放送として、国民・視聴者に対する説明責任を全うする観点から、協会にあっては、独立行政法人に準じて役職員の給与等の支給状況の公表に努める等、協会の経営・業務等に関する情報公開を一層積極的に進めること。 7 地上デジタルテレビジョン放送の普及促進 地上デジタルテレビジョン放送については、平成23年のデジタル放送への全面移行のために欠くことのできない中継局の整備や共同受信施設のデジタル放送対応等にできる限り前倒しをして取り組むとともに、デジタル放送の特長を活かした放送サービスの充実を図り、放送番組やスポット等様々な手段による国民・視聴者に対するきめ細かな周知・広報や受信者からの相談等に積極的に取り組む等、地上デジタルテレビジョン放送のあまねく普及促進に努めること。また、携帯端末向けサービス(ワンセグ)の独立利用の実施やデジタルラジオの実用化試験放送を通じ、放送のデジタル化を先導すること。 8 放送番組の充実 放送番組の編集に当たっては、国民・視聴者の視点に立ち、その期待に応え、公共放送に対する多様な要望を満たすとともに、我が国の文化の向上に寄与するよう最大の努力を払うこと。 9 国際放送の充実 我が国の対外情報発信力を強化するため、所要の制度改正を行ったところであり、協会においては、当該制度改正の趣旨を踏まえ、必要な体制を整備し、我が国の文化・産業等の発信を通じて我が国の対外イメージの向上等に資する外国人向けテレビ国際放送を実施すること。その際、民間企業と十分に連携しながら、その活力やノウハウを導入するとともに、多様な収入源が確保できるよう検討すること。また、より多くの視聴者を確保するため、国、地域の実情に応じた配信体制を整備するとともに、インターネット等も活用すること。 10 番組アーカイブの活用 協会の保有する放送番組等については、受信料を負担する国民・視聴者にとっての貴重な資産であることにかんがみ.その積極的な利活用を図ること。特に、改正放送法により協会の新たな業務として追加された番組アーカイブのブロードバンドによる提供について、実施に向けた取組を着実に進めるとともに、当該業務が民間事業者との公正な競争の下で行われるよう、適切な環境整備に努めること。」 また、「日本放送協会平成18年度業務報告書」に付する総務大臣の意見は、次のとおりです。 「日本放送協会(以下「協会」という。)の平成18年度の業務報告書によれば、協会が同年度の事業計画等に基づき実施した業務については、コンプライアンスの徹底、受信料の公平負担の確保、子会社を含めた経営の合理化など、所期の成果を十分に収めたとは言えない点があり、将来に向けて改善されるべきである。一方、豊かで質の高い放送番組の充実、災害・緊急報道体制の強化、地上デジタル放送の推進等に関する取組については、おおむね所期の成果を収めたものと認める。 記 1 コンプライアンスの徹底 一連の不祥事を踏まえ、協会においては、再発防止に取り組んできたところであるが、平成18年4月に新たな不正出張事案が発覚したことを受け、緊急業務調査や全部局業務調査を実施し、その結果を踏まえ、出張経費の事務処理の見直しや抜き打ち監査等、再発防止のための改善策を実施した。 2 受信料の公平負担の確保 一連の不祥事により受信料収入が大幅に減少したことを受け、受信料収入の回復と公平負担の徹底を図るため、全部門の職員による支払い再開を求める活動や民事手続による支払督促の申立を行うとともに、視聴者の利便性向上やより公平で合理的な受信料体系の実現を図る観点から、クレジットカード継続払や家族割引の導入を行った。 3 業務の合理化等 「平成18年度〜20年度 NHK経営計画」の初年度として、組織の統廃合に伴う業務の見直しや管理部門の見直し等業務の集約・再編成を実施するとともに、人件費の削減に努めた。 4 子会社等 子会社における役員の退任慰労金制度を廃止し、業績評価による報酬制度を導入するとともに、一部子会社による特例配当を実施した。 5 情報公開 新たに理事会議事録、役員の報酬支給基準、職員給与支給基準を公開した他、番組制作費に関し、主な番組の1本あたりの制作費予算の最低額と最高額や、代表的な番組の1本あたりの制作費の予算を新たに公開した。また、子会社等との取引について、1件三千万円を超える取引の評価等をホームページで公表した。 6 デジタル放送の実施とその普及に向けた取組 平成18年12月に全国の都道府県庁所在地において、地上デジタルテレビジョン放送の受信が可能となったほか、平成19年3月をもってアナログ周波数変更対策の一環である放送局側の送信周波数の変更対策を終了した。また、平成18年4月、携帯端末向けサービス「ワンセグ」を開始した。 7 放送番組の充実 大型企画番組の編成や福祉・教育番組の充実など、視聴者の要望に応える番組の充実に取り組むとともに、地域放送について、全国への発信を推進する等、その充実・強化に努めた。協会においては、公共放送として今後とも国民・視聴者の期待に応え、その信頼を高めるため、国民・視聴者の意見・要望の適切な反映に努めるとともに、放送法の趣旨を十分踏まえ、国民・視聴者の視点に立って放送番組の充実に取り組む必要がある。 8 国際放送の充実 テレビジョン国際放送については、外国人に対する放送サービスを強化するため、英語による情報発信の充実を図った。また、ラジオ国際放送については、報道番組及びインフォメーション番組の充実を図った。 9 災害対策 地震及び台風等の発生に際し、随時地域向けのニュースを放送したほか、常時文字情報を挿入することにより、きめ細かな情報提供を実施した。 10 字幕放送等 総合放送において字幕付与可能な放送時間に占める字幕放送時間の割合が100%を達成し、「字幕放送普及行政の指針」で定められた目標を前倒しで実現する等、字幕放送の計画的な拡充に努めており、協会は今後とも字幕放送等の充実に取り組むことが期待される。 11 番組アーカイブの活用 NHKアーカイブスに保存している番組について、全国の放送局等に設置した番組公開ライブラリー等により公開するとともに、保存番組リストをホームページで公開した。
以上です。 |
以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
平成20年 2月26日
会 長 福 地 茂 雄