日本放送協会 理事会議事録  (平成20年 1月29日開催分)
平成20年 2月15日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成20年 1月29日(火) 午前9時00分〜10時15分

<出   席   者>
 福地会長、原田専務理事、小林理事、金田理事、西山理事、日向理事
 溝口理事、八幡理事

 古閑監事

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 議事に先立ち福地会長から、不祥事の連続により視聴者のみなさまか
ら失った信頼を回復するために、理事会が責任を果たし、コンプライア
ンスの組織風土を実現させたいとの発言があった。その後、会長が理事
会の開会を宣言し、議事に入った。

付議事項
1 審議事項
(1)「放送法の改正に伴う、内部統制関係議決事項素案」について

2 報告事項
(1)コンプライアンスの徹底に向けた「工程表」第3四半期報告
(2)19年度12月のCS(お客さま満足)向上活動報告
(3)放送番組審議会議事録
  

議事経過
1 審議事項
(1)「放送法の改正に伴う、内部統制関係議決事項素案」について
(総合企画室)
 「放送法の改正に伴う内部統制関係議決事項素案」について審議をお願いします。
 昨年末に放送法が改正され、今年の4月1日に施行される予定です。
 改正法では、NHKのガバナンスをより強くすることに関し、経営委員会、監査委員会(新設)、会長以下執行部、それぞれの役割と責任が明確化されました。経営委員会は、経営に関する基本的事項の議決と、役員の職務の執行の監督を行うことが明記されました。また、業務の執行が適正に行われているかを監査することについては、これまでの監事制度を廃止し、監査委員会を設けることになりました。
 また、内部統制に関する体制を整備するため、改正法では、次の2点が明記され経営委員会が議決すると定めています。
 1点目は「監査委員会の職務の執行のため必要なものとして総務省令で定める事項」で、次の4項目です。

1  監査委員会の職務を補助すべき職員に関する事項
2  前号の職員の会長、副会長及び理事からの独立性に関する事項
3  会長、副会長及び理事が監査委員会に報告をするための体制その他の監査委員会への報告に関する体制
4  その他監査委員会の監査が実効的に行われることを確保するための体制

 2点目は「協会の業務の適正を確保するために必要なものとして次に掲げる体制の整備」として、次の7項目です。

1  会長、副会長及び理事の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保する体制
2  会長、副会長及び理事の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
3  損失の危険の管理に関する体制
4  会長、副会長及び理事の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
5  職員の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
6  協会及びその子会社から成る集団における業務の適正を確保するための体制
7  経営委員会の事務局に関する体制

 1点目については、監査委員会を補佐するため事務局を設置すること(この監査委員会事務局は、監査委員会の指示により、自ら、あるいは関連部局と連携して監査の対象となる事項の調査等を行う)、会長、副会長及び理事、職員は監査委員会に報告を行うこと、監査委員会は監査にあたっては一定の手続きのもと内部監査組織を指揮することができることなどを項目ごとに議決します。
 2点目については、15では、役職員の服務準則、倫理・行動憲章などの制定や、リスク管理のための組織を設けることなどを議決します。2では、文書管理規程などを定めることを議決します。3では、会長がリスク管理の責任を負い「リスク管理規程」といったものを策定することなどを議決します。6では、子会社の運営に関する基準を策定すること、NHK職員を子会社(公益法人を除く)の非常勤監査役に就任させることなどを議決します。7では、経営委員会に事務局を設置することなどを議決します。

 以上の経営委員会が議決した内容を実行に移すためには、規程の新設、既存の規程の見直しや組織、職務権限事項の整備などを行う必要があります。今回はこの必要な措置についても、参考として経営委員会にお示ししたいと思います。
 この内容が了承されれば、本日開催される経営委員会に審議事項として提出したいと思います。なお、経営委員会および監査委員会にかかる事項については経営委員会固有の権限に係るものもありますが、それらを含めて取りまとめています。

(溝口理事)  「協会及びその子会社から成る集団における業務の適正を確保するための体制」のところで、「会長は、NHK職員を子会社(公益法人を除く)の非常勤監査役へ就任させる」と規定していますが、現在、NHKの役職員が公益法人の非常勤監事に就任しています。今後、公益法人の監事に就任しないということですか。
(総合企画室)  株式会社である子会社については必ず職員を非常勤監査役に就任させます。しかし、公益法人には必ず監事を就任させなければならないということではなく、就任させてもいいという考え方です。
(会 長)  公益法人として認定された組織に対して、NHKが業務監査をするということはいかがなものか、という判断はあると思います。これは経営委員会と意見とすり合わせて、どちらかに決めたほうがいいと思います。
原案を了承し、経営委員会に諮りたいと思います。

2 報告事項
(1)コンプライアンスの徹底に向けた「工程表」第3四半期報告
(コンプライアンス室)
 コンプライアンスの徹底に向けた「工程表」の第3四半期の報告をします。
 コンプライアンスの徹底に向けた「工程表」は、昨年の3月に経営委員会に提出したもので、具体的には、1役職員の意識改革に向けた取り組み、2真に実効性のあるコンプライアンス態勢の構築、3モニタリング態勢の強化について、四半期ごとにその進捗状況を経営委員会に報告することになっています。
 まず、1については、「役員と本部・地域放送局各職員との対話活動」を昨年4月から12月にかけて全国72部局で134回開催し、3,937名の職員が参加しました。この対話活動は通年の取り組みとして継続していきます。
 また、「職員意識調査(コンプライアンス・アンケート)の実施と施策への反映」として、19年度第2回アンケートを10月中旬から約1か月間実施しました。第1回アンケートで浮かび上がってきた課題、たとえば、“更なるコミュニケーションの活性化”などをテーマとした職場討議を10月に実施し、各職場のコンプライアンスの現状を自己点検することで組織風土の改善などを目指しました。
 「職種間、部門間の積極的な交流人事」については、今年度の社内公募の成果を踏まえ、来年度計画のプロジェクトを8月末に立ち上げ、交流人事に向けて検討を開始し、来年度は「ネットトライアル局」および「モニタリング態勢強化に向けた監査業務の高度化」などを公募することを12月に各部局に周知しました。
 また12月に、よりいっそう風通しの良い活力ある職場環境作りに向けて、職員が自らの職場環境を評価し、建設的に提案することを目的として「職場環境評価」調査を実施しました。第4四半期には、調査結果を分析し各部局へ打ち返します。
 また、各研修を通じてコンプライアンスの推進、公金意識の徹底など公共放送人としての高い倫理意識の醸成にも努めています。
 次に、2については、勤務、経費支給、タクシー利用の相関関係をチェックする「かんたん業務管理システム」の運用開始(平成20年4月予定)を視野に入れ、コンプライアンス月次点検との関係など運用にあたっての諸課題の解決に取り組んでいます。
 不祥事の再発防止の徹底を図るための「経理処理施策の見直し」については、12月1日から出張旅費を事後請求化し、「出張申請・命令書」を新設しました。また、キャッシュレス化の一環として10月1日から国内コーポレートカードの運用を開始し、また、臨時前渡金制度を11月末で廃止、12月1日より特定仮払金制度を導入しました。今後は、新しく導入した出張旅費の請求手続きやキャッシュレス化等の経理処理について職員に定着させるとともに、適正な運用の管理・指導に取り組みます。また、出張旅費ならびにキャッシュレス化に対するモニタリングを実施し、適正経理をいっそう推進します。
 3については、「モニタリング機能の整理」として、内部統制推進プロジェクトを6月に発足させ、内部統制構築に対応した新たな監査手法の試行を11月に制作局で実施しました。新たな監査手法構築の第二弾として2月に給与計算・支払いプロセスの監査を実施します。
 また、「モニタリング部門の体制強化、監査室の専門性の向上、不正発見機能の充実」としては、公認会計士2名を採用し、監査室と経理局財務部へ配属し、モニタリング体制の強化を図りました。
 外部監査法人との共同実地監査により、調査の視点や手法を学びました。10月には大阪放送局と釧路放送局で実施しました。
 19年度は本部2部局4案件、2地方局2案件について抜き打ち監査を実施しました。タクシー券の不適切な使用や備品管理の不備が見つかりました。
 関連団体についても、関連団体のコンプライアンス推進のアクションプランに基づき、諸施策を進めています。例えば、各団体の実態に応じたテーマを設定した勉強会を実施しています。
 なお、この内容は、本日開催される経営委員会で報告します。

(金田理事)  コンプライアンスの徹底には、各現場でしっかりチェック機能を果たすことが大切だと思います。その意味で、「かんたん業務システム」などの現場サポートシステムは非常に有効であり、よりよいシステムにしてほしいと思います。次回、「工程表」の第4四半期の進捗状況報告については、先日明らかになった職員による株のインサイダー取引問題や昨日分かった水戸放送局つくば報道室記者の無免許運転問題も踏まえ、コンプライアンスの取り組みに欠けていた点はなかったのかなどを織り込んで報告してほしいと思います。
(原田専務理事)  コンプライアンス徹底のために「工程表」に盛り込んだ施策は先ほどの報告にあったとおり、おおよそ進んでいると思いますが、今回の不祥事を改めて深く認識し、今後、さまざまな施策に取り組んでいかなくてはならないと思います。
(日向理事)  コンプライアンスについては、リスクの洗い出しを潜在的なものも含めて継続的に行ってきました。昨年12月には各現場でリスク項目の抽出もしています。こうした課題に積極的に取り組んでいくことが必要だと思います。
(会 長)  「工程表」は、PDCA(Plan,Do,Check,Action)サイクルをしっかり回すためのもので、四半期ごとの取り組みを総括し、次期にどういうアクションを起こすのかということが大切です。施策の進捗状況を数値でまとめることや項目ごとにうまくいっている点や十分でない点などを全局的に見ること、また、地域別に分析してみることも必要です。足りない部分はすぐにも強化していかなければなりません。また、「工程表」であらかじめ決めたことだけではなく、「工程表」に入っていなかったことは直ちに追加すべきです。不祥事の再発防止策や潜んでいるリスクへの予防措置もスピーディーに行わなければなりません。

(2)19年度12月のCS(お客さま満足)向上活動報告
(視聴者サービス局)
 19年12月のCS向上活動について報告します。
 まず、コールセンターで受け付けたご意見・お問い合わせは、90,741件でした。
 特に「NHK紅白歌合戦」(12月31日放送)への反響が大きく、番組の企画・演出に関する好評なご意見が多く寄せられました。
 12月に特に好評な意見が集中した番組は、NHKスペシャル「ワーキングプアV〜解決への道〜」(12月16日放送)、生活ほっとモーニング「また歩けた〜脳卒中早期リハビリ最前線〜」(12月5日放送)、「小さな店の大戦略」(12月18日放送)、ハイビジョン特集「瀬戸内寂聴 遺したい言葉」(再編集して総合で12月9日放送)、その時歴史が動いた「戦後引き揚げ 660万人故郷への道」(12月5日放送)、プレミアム10「夢みるすべての人たちへ ドリカムワンダーランド2007の真実」(12月7日放送)、ためしてガッテン「胃腸の悲鳴!胃もたれ大解剖」(12月19日放送)などでした。このうち、NHKスペシャル「ワーキングプアV〜解決への道」には、「すばらしい番組、これからもシリーズで放送してほしい」、「日本と他国のワーキングプアの比較ができた、社会の病巣にメスを入れ、具体的でリアルな放送内容が自分の心に迫った」などの好評な意見が寄せられました。また、生活ほっとモーニング「小さな店の大戦略」では、地域に密着し、独自の戦略で成功している個人商店を紹介しましたが、「店の場所・連絡先を教えてほしい」などの問合せが多数寄せられ、生活ほっとモーニングとしては今年度最多の反響が寄せられました。
 NHK職員によるインサイダー取引への抗議に関する速報です。職員によるインサイダー取引が1月17日に発覚してから、コールセンターでは1週間で1,546件のお電話をいただきました。「報道倫理の欠如。今までのレベルの不祥事ではない。NHKの本質が問われる重大事件だ」、「何度も不祥事を起こされては信用できない。職員の倫理観はどうなっているのか」などのお叱りの声が寄せられました。
 次に、ふれあいミーティングの実施状況です。12月は全国で136回開催し、参加者は3,599人でした。
 NHKでは昨年より、日本が世界に誇るアニメクリエーターと共同で1分アニメ「アニ*クリ15」を制作していますが、その第3シーズンのクリエイターを招いて日本工学院クリエイターズカレッジの学生のみなさんとトークセッションを行いました。その後、引き続いてふれあいミーティングを実施しました。
 名古屋放送局では、「NHK知っ得講座」に合わせて、ふれあいミーティングを実施しました。「NHK知っ得講座」は、職員や番組関係者が講師となって開催する参加者公募の公開講座で、12月15日に実施した第4回「ためしてガッテンはこうして作られる」には109人の方にご参加いただきました。
 静岡放送局では、若者との対話活動として「NHK静岡トークセッション」を昨年10月から実施しています。静岡県内にある15大学に声をかけたほか、ホームページでも参加者を公募し、これまで18回実施し、515人が参加しました。終了後のアンケートでは、「NHKの硬い印象とは異なり、和やかなムードで話してもらい親しみを感じた」など好意的な意見が多く寄せられています。
 続いて、視聴者のみなさまの声などを生かした改善の件数です。12月は、本部3件、各放送局86件、合計89件でした。主な改善実施事例を報告します。
 放送技術局、報道局、技術局では、「津波警報」および「東海地震の警戒宣言」発令時に、テレビ(総合、BS1、BS2、衛星ハイビジョン)の副音声およびラジオ第2で緊急英語放送を実施することになっています。近年、英語圏以外の在日外国人が増加し、災害発生などの緊急時には、多様な言語で情報を伝達する必要性が増したため、初動段階で外国語自動音声を生成する「緊急オーディオファイル装置」を昨年12月1日より改良しました。従来の英語に加え中国語、韓国・朝鮮語、ポルトガル語で自動音声による緊急警報放送を行い、その後、英語アナウンサーによる英語放送を実施するよう改善を行いました。
 最後に、全国54の放送局でそれぞれ地域や社会にきちんと貢献する活動「チャレンジ54」の取り組みについてです。
 和歌山放送局では、「動く!防災スタジアム」の取り組みを行っています。「東南海・南海地震」発生の可能性があるといわれている和歌山県で、子どもたちにもいざというときの防災知識を身につけてもらうため、荷台がそのまま「防災スタジアム」のセットになるトラックで県内各地を移動しています。クイズ形式で、楽しく防災知識を身に付けてもらうよう工夫するとともに、この取り組みの様子を収録し、番組としても放送しています。12月は広川町の小学校2校の子どもたちが防災クイズに挑戦しました。

(会 長)  耳に心地よい話もありますが、耳障りな声に耳をかたむけていく必要があります。私は、顧客満足というのは、顧客不満足をひとつずつ消していくことだと思います。お客様満足は常に進化していきます。新たに出てくる不満足を消すことの繰り返しだと思います。

(3)放送番組審議会議事録
(編成局)
 編成局および国際放送局から、中央放送番組審議会、国際放送番組審議会、全国の地方放送番組審議会(関東甲信越、近畿、中部、中国、九州、東北、北海道、四国)の平成19年12月開催分の議事録についての報告。
(注1:放送番組審議会の内容)

注1:放送番組審議会の内容は、NHKホームページの「NHK経営情報」のなかに掲載しています。

 

以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成20年 2月12日
                     会 長  福 地 茂 雄

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