日本放送協会 理事会議事録  (平成19年12月 5日開催分)
平成19年12月21日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成19年12月 5日(水) 午前9時00分〜10時00分

<出   席   者>
 橋本会長、永井副会長、原田専務理事、畠山理事、小林理事、
 石村理事、西山理事、日向理事、溝口理事、八幡理事

 古閑監事

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 橋本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項
1 審議事項
(1)第1057回経営委員会付議事項について
(2)平成20年度国内放送番組編集の基本計画について
(3)甲府新放送会館の移転整備・用地取得について
(4)中央放送番組審議会委員の委嘱について

2 報告事項
(1)地方放送番組審議会委員の委嘱について
(2)地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について
(3)関連団体の事業運営状況等について
  

議事経過
1 審議事項
(1)第1057回経営委員会付議事項について
(秘書室)
 12月13日(木)に開催される第1057回経営委員会付議事項について審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「中央放送番組審議会委員の委嘱について」と「甲府新放送会館の移転整備・用地取得について」、審議事項として「平成20年度国内放送番組編集の基本計画について」、「平成20年度予算編成要綱について」、そして「『放送受信契約の締結拒否者に対する民事訴訟の実施に関する基本方針(案)』について」、また、報告事項として「地方放送番組審議会委員の委嘱について」、「外部イベント等への協力について」、そして「地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について」です。

(会 長)  原案どおり決定します。


(2)平成20年度国内放送番組編集の基本計画について
(編成局)
 平成20年度国内放送番組編集の基本計画について審議をお願いします。
 まず、編集の基本方針についてです。
 平成20年度は、信頼される質の高い放送を通して社会や文化の発展に尽くし、視聴者の期待に応えます。
 この一年NHKは、新潟県中越沖地震などの災害・緊急報道や参議院議員通常選挙などの選挙報道にあたり、機動的な編成により的確な情報を迅速に伝えるとともに、社会に広く問題を提起した番組、現代社会を真正面から描いたドラマ、全国ネットワークを生かして地域の課題解決を視聴者とともに考える“地域応援キャンペーン”など“NHKだからできる放送”に力を注いできました。また、国内、海外のコンクールで多くの番組が受賞作品に選ばれるなど、視聴者のみなさんから高い評価をいただきました。
 その一方で、NHK放送文化研究所の放送評価調査によると、「信頼」「社会貢献」「独自性」という面ではNHKはどの世代からも高い評価を得ているものの、「親しみ」や「満足」という面では20代、30代の若い世代からの評価が低いという結果が出ています。こうした若い世代に向けた番組を強化することが大きな課題です。
 平成20年度国内放送番組の編集にあたっては、公共放送に対する視聴者のみなさんの期待に着実に応えていくとともに、次の3点を新たな基本方針の柱としたいと思います。

(1)

 各波それぞれの特徴を生かして、幅広い世代、特に次代を担う若い世代の共感を得る番組作りを進めます。また、働き方に悩むこの世代に仕事の喜びや生きがいを伝える取り組みを展開します。

(2)

 地域放送の充実とその全国発信の強化をさらに進め、全国ネットワークを活用して地域再生の力になります。

(3)

 通信など他メディアとの連携や、新たなテーマ、演出にも意欲的に挑戦することにより放送の新しい可能性を拓きます。

 この方針のもと、映像5波、音声3波の有機的な連動を図るとともに限られた経営資源を重点的に配分して、信頼されるニュースや多彩で質の高い番組のいっそうの充実を図ります。
 具体的には、9つの重点項目を掲げます。

1  幅広い世代に親しまれる番組
2  信頼に応える迅速・的確な報道
3  地域からの情報発信力の強化
4  地球環境など公共放送キャンペーンの展開
5  次の世代を担う青少年に向けた教育番組の充実
6  “ともに生きる社会”の実現をめざす番組の充実
7  “ラジオルネサンス”音声放送の大幅刷新
8  多様なメディアに向けたサービスの展開
9  オリンピック北京大会およびパラリンピック放送の実施

 1については、高齢者層、“団塊の世代”、働き盛りの世代、若い世代それぞれが身近で共感できるような多彩な番組を編成し、より幅広い世代に親しまれる公共放送をめざします。NHKに接触する人の割合は、年層が低くなるにしたがって少なくなっています。次代を担う若い世代にもNHKの支持を広げていくことは喫緊の課題です。今回の改定では、総合テレビ夜間編成の時間帯ごとの特徴や視聴対象等を明確にし、視聴好適時間には親子で楽しめる番組や働き盛りの世代がゆっくりと楽しめる番組を、深夜には若い世代に向けた双方向の番組などを編成します。教育テレビでは若い世代を対象にした実用・講座番組を、衛星放送では世界を舞台に活躍する若き挑戦者たちを紹介する番組を編成するなど、各波それぞれの特徴を生かした取り組みを進めます。また、働き方や生きがいに悩む若い世代に向けて、仕事の喜びや人生の奥深さを伝えるNHKならではの取り組みを進めます。さらに、イベントやインターネット、ワンセグをはじめとした携帯端末でのさまざまなサービスを強化し、これまであまりNHKに接することのなかった人たちに対する番組紹介にも工夫を凝らします。
 2については、正確な情報を迅速・的確に伝え、公共放送としての負託に応えます。朝の基幹ニュース「おはよう日本」は、一日のスタートにふさわしく日本と世界の情報を多角的に伝えるニュースとして刷新します。
 3については、総合テレビ金曜夜間の地域向け番組の充実など、各放送局でそれぞれの地域の特性や要望に応じた多様な放送サービスを推進します。また、総合テレビ、衛星放送、ラジオ第1放送などに地域からの全国発信枠を設けて“地域の今”を伝えるとともに、全国ネットワークを生かし、「地域発!どうする日本」などの番組で、課題の解決を日本全体の視野で考えていきます。また、地域向けワンセグデータ放送の送出開始に合わせて、新サービスの充実を図るため、地域局のデジタルサービス実施体制を強化します。
 4については、環境問題を地球的な規模と身近な暮らしの視点の両面から検証・考察し、解決策をさぐるキャンペーンを全国の放送局をあげて展開します。北極圏の今を描く大型番組やインターネットを使った世界規模の討論などを通して、この問題の解決に向けて何をすべきなのかなどを視聴者とともに考えます。さらに、衛星放送では、世界各地を訪ねて、今、地球環境に何が起こっているのかを伝える紀行番組を放送するなど、年間を通して継続的な取り組みを行います。
 5については、教育テレビが平成21年1月に放送開始50周年の節目を迎えますが、次の世代を担う子どもたちに向けた番組の充実や若い世代に向けた新しい趣味・実用番組の開発を行い、幼児から高齢者まで幅広い世代に親しまれる放送をめざします。また、英語講座を教育テレビとラジオ第2放送で連携して放送するほか、放送以外のさまざまなメディアも通じて提供し、視聴者の学習機会の拡大を図るなど講座番組の魅力を高めます。
 6については、「がん」「うつ」「認知症」など日本人が抱える心や健康の問題について、視聴者とともに継続して考える番組のいっそうの充実を図るとともに、健康や病気についての視聴者の疑問・質問に複数の専門家が答える番組を設けるなど、公共放送ならではの取り組みを強化します。また、字幕放送については、生番組を中心に字幕付与を拡大するなど長期的な取り組みを通して、障害者、高齢者に向けたサービスを拡充します。あわせて、手話や解説放送についても充実を図ります。
 7については、メディア環境が急激に変化する中で、音声放送の存在感をより際立たせるため、ラジオ第1放送は編成を大幅に刷新します。ニュースを強化して“安心ラジオ”として視聴者の信頼に応えるとともに、平日午前の“生活情報ゾーン”、午後の“ふるさとゾーン”など、時間帯ごとのゾーン・イメージを明確にして刷新・充実を図ります。また、幅広い世代が楽しめるラジオドラマや地域発番組、“双方向性”“機動性”などのラジオの特性を生かした番組など多彩な番組を編成します。
 2については、デジタル技術の発達により情報取得手段の多様化が進む中、NHKの放送済み番組をインターネットを通じて利用者に直接提供する「アーカイブス・オン・デマンド」を放送法の改正などの条件が整い次第開始できるように準備を進めます。また、若年層に対しては、ワンセグをはじめ、放送と連携した携帯端末向けサービスの充実を図り、携帯端末に親しむ世代がNHKに接する機会をふやします。
 9については、オリンピック北京大会の模様をそれぞれの波の特徴を生かし、全28競技の中継をめざすとともにデータ放送やインターネット関連情報を詳しく伝えます。また、北京2008パラリンピック大会については、関連番組を含めて競技の模様を伝えます。
 以上の重点項目の実施にあたっては、限られた経営資源の効率的・効果的な活用に努めます。また、人材育成に努めるとともに、国内外の優れた制作者のざん新な発想や手法を取り入れ、創造的で活力に満ちた取材・制作体制を構築します。
 なお、本日、了承されれば、第1057回経営委員会に提出するとともに、第534回中央放送番組審議会に諮問することとしたいと思います。

(会 長)

 3点の新たな基本方針の柱については、内容はいいと思いますが、これまでとどう違うのか明確にしておく必要があります。また、「映像5波、音声3波の有機的な連動を図る」とありましたが、各波の特徴を生かしながら連動するということが分かりにくいと思いますし、地上デジタル放送の特性の活用についても触れる必要があると思います。これらの点をさらに検討してもらいたいと思いますので、「平成20年度国内放送番組編集の基本計画について」は、再度、審議することにします。


(3)甲府新放送会館の移転整備・用地取得について
(経理局)
 甲府新放送会館の移転整備・用地取得について審議をお願いします。
 甲府新放送会館の移転整備については、甲府市からJR甲府駅北口シビックコア地区への移転要請を受け、地域文化の発展や地域の活性化などの観点から開かれた放送会館を目指して検討を行ってきました。
 移転用地は甲府市駅北口広場28街区の4,000平方メートルです。独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構から取得し、取得価額は4億6千万円を予定しています。
 今後、平成20年度に整備概要を取りまとめ、20〜21年度に基本設計、実施設計を行い、23年度に建物完成、運用開始を予定しています。新会館は地上3階程度、延床面積5,500平方メートル程度を想定しています。
 なお、この内容が了承されれば、第1057回経営委員会に諮ることとします。

(会 長)  原案を了承し、経営委員会に諮ることとします。


(4)中央放送番組審議会委員の委嘱について
(原田専務理事)
 中央放送番組審議会委員の委嘱について審議をお願いします。
 田島恵一氏(自治労全国一般評議会特別幹事)に平成20年1月1日付で新規委嘱したいと思います。
 なお、鈴木勝利氏(電機連合顧問)については、任期満了により平成19年12月31日付で退任されます。
 この内容が了承されれば、第1057回経営委員会に諮ります。

(会 長)  原案を了承し、経営委員会に諮ることとします。



2 報告事項
(1)地方放送番組審議会委員の委嘱について
(原田専務理事)
 地方放送番組審議会委員の委嘱について報告します。
 四国地方で、田村耕一氏((財)徳島経済研究所専務理事)、藤岡抱玉氏(愛媛女流書家連盟会長)を平成20年1月1日付で再委嘱します。


(2)地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について
(西山理事)
 地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について報告します。
 設置計画に基づいて建設を取り進めている地上デジタルテレビジョン中継放送局のうち、10月中旬から12月3日にかけて、北海道の定山渓、札幌藻岩下、簾舞、宮の沢、秋田県の本荘、岩手県の室根、山形県の朝日、山寺、関山、東沢、尾花沢、宮城県の気仙沼、白石、福島県の飯舘、滝根、白河、富岡、原町、長野県の佐久、山ノ内、白馬、新潟県の糸魚川、両津、高千、外海府、津南田中、津南上郷、糸魚川大野、村上、福井県の敦賀、小浜、岐阜県の下呂、郡上八幡、京都府の舞鶴、宮津、福知山、峰山、兵庫県の香住、城崎、広島県の西条、竹原、大柿、西城、因島、岡山県の備前、島根県の浜田、大田、仁摩、江津、山口県の萩、柳井、美祢、長門、愛媛県の大洲、内子、徳島県の鍛冶屋谷、長崎県の諫早、鹿児島県の大口、串木野、宮崎県の日向、沖縄県の今帰仁、久米島、佐敷の中継放送局を開局しました。
 これにより、全国の地上デジタルテレビジョン放送局の視聴可能世帯は約4,290万世帯、カバー率は約91%となりました。


(3)関連団体の事業運営状況等について
(総合企画室)
 関連団体運営基準第15条に基づき、平成19年度関連団体決算の見通しおよび関連団体との事前協議等の概要を報告します。
 まず、関連団体決算の見通しについてです。
 連結子会社等25社の売上高、関連公益法人7団体の事業収入は2,449億円を見込んでいますが,18年度に比べ62億円減収の見通しです。また、当期純利益は41億円で、18年度に比べて22億円減少し、減収減益となっています。
 売上の内訳は、NHKからの収入は1,207億円で、18年度に比べて68億円のプラス、NHK以外からの収入は1,241億円で131億円のマイナスとなっています。NHK以外からの収入が大幅に減っているのは、アナログ周波数変更対策工事が終了したことや世界バスケット選手権等の大型イベントの終了、韓国ドラマ関連商品の売上減などが原因です。
 最終損益は、収入の大幅減に加え、外部企業・自治体との取引における競争も激化しており、利益率は縮小し、減収の見通しです。
 各団体とも年度末に向け、売上の拡大に取り組むとともに経費削減の施策を推進していますが、6団体で赤字決算が見込まれます。
 関連団体からの副次収入は68億円、18年度と同規模になる見込みです。
 また、配当については、今後、各社の株主総会で決議される事項ですが、18年度に続いて該当団体の協力を得ながら特例的な大型配当を実施します。そのため、NHKの受取配当金は25億円を見込んでいます。
 各団体とも、年度末に向けて自主事業の強化、経費削減への取り組みを継続し、売上・利益・副次収入の増収に努め、業績の向上を図ることにしています。
 次に、関連団体との事前協議等の概要を報告します。
 関連団体運営基準のなかで、NHKと事前協議すべきものとして、定款・寄付行為の変更、出資案件、重要な人事などがありますが、平成19年4月1日から10月末まで、事前協議事項は68件でした。具体的には、来年4月に地域関連団体6社が統合し、NHKプラネットとして設立されますが、6社における株主変更や一部の団体での執行役員制度の導入などでした。
 続いて、監査法人による業務監査実施状況について報告します。
 関連団体が適正な業務運営を行っているかどうか、新日本監査法人に委嘱して、関連団体全34団体の業務監査を行っていますが、11月末現在、17団体で実施し、来年2月中の終了を予定しています。今年度は、18年度業務総点検結果を受けた取り組みについて、内部統制の整備状況について、情報セキュリティー対策の改善状況について、14年度以降に開始した新規事業の進捗状況についての4項目を点検しています。
 最後に、関連団体事業活動審査委員会の状況について報告します
 関連団体の個別具体的な事業活動に対し、直接の利害関係を持つ人からの意見・苦情等を受け付けるため、外部の公認会計士等で構成される関連団体事業活動審査委員会を設置しています。19年度上半期において、関連団体の事業活動の適正性に関して、外部からの意見・苦情等の受付実績はありませんでした。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成19年12月18日
                     会 長  橋 本 元 一

戻る

Copyright NHK (Japan Broadcasting Corporation) All rights reserved. 許可なく転載を禁じます。