日本放送協会 理事会議事録  (平成19年10月30日開催分)
平成19年11月16日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成19年10月30日(火) 午前 9時00分〜 9時30分

<出   席   者>
 永井副会長、原田専務理事、畠山理事、小林理事、金田理事、
 中川理事、石村理事、西山理事、日向理事、溝口理事、

 古閑監事

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 永井副会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項
1 報告事項
(1)考査報告
(2)19年9月のCS向上活動報告
(3)放送番組審議会議事録(資料)

議事経過
1 報告事項
(1)考査報告
(考査室)
 19年9月中旬から10月中旬に放送されたニュース・番組について、概要を報告します。
 まず、防衛省の守屋前事務次官が在職中に商社から接待を受けていたニュースについてです。  
 防衛省の守屋武昌前事務次官が在職中に防衛商社の役員からゴルフや飲食の接待を受けるなど不適切な関係を続けていたことが10月19日明らかになりました。「おはよう日本」6時台では、守屋前次官が輸送機のエンジンなどを航空自衛隊に納入している中堅商社の山田洋行の当時の役員と、平成13年からおととしにかけてたびたびゴルフをしていたことが分かったと伝えました。23日の「正午ニュース」では、石破防衛大臣が、守屋氏が防衛省の事情聴取に対し、去年秋まで元役員とゴルフや飲食をともにしていたことを認めたことを明らかにし、守屋氏に対し退職金の自主的な返納を求める考えを示したと伝えました。前次官の接待の状況を事前に映像を含めてしっかりと独自取材して伝えていたと思います。
 次に、“自殺サイト”を利用した嘱託殺人のニュースについてです。
 自分が開設した携帯電話の“自殺サイト”に書き込みをしてきた女性の依頼で、依頼した女性本人を殺害したとして、10月10日、33歳の男が嘱託殺人の疑いで逮捕されました。午後6時の「ニュース」では、千葉県市原市の電気工、齋藤一成容疑者が今年4月、川崎市の女性から依頼を受け、睡眠導入剤を使って眠らせたうえ顔に袋をかぶせて窒息死させたとして、嘱託殺人の疑いで逮捕されたと伝えました。「ニュース7」では、女性は齋藤容疑者が開設した携帯電話の自殺サイトに書き込みをした後、齋藤容疑者の口座に20万円を振り込んでいたと紹介しました。翌日の「ニュース7」では、齋藤容疑者は「薬を使えば楽に死ねる」などとメールを送り、この女性以外に少なくとも6人に睡眠導入剤を売りさばき、このうち1人が自殺していたこと、家族が処方された睡眠導入剤を犯行に使ったこと、を伝えました。自殺サイトは常に100以上存在し、警察庁の委託を受けた民間団体が監視しているものの、プロバイダーなどに依頼して削除できたのは、1年間に44件にとどまっているなど、自殺サイトの現状や規制の難しさを専門家の話などを交えて詳しく伝えていたと思います。
 韓国と北朝鮮の7年ぶりの南北首脳会談が10月2日から行われ、朝鮮戦争の正式な終結を宣言できるよう協力することなどを柱にした共同宣言を発表しました。10月2日の「正午ニュース」では、韓国のノ・ムヒョン大統領が軍事境界線を越えて陸路でピョンヤンに到着し、予告なしに現れた北朝鮮のキム・ジョンイル総書記の出迎えを受けたのを中継で伝えました。4日の「ニュース7」では、両首脳が共同宣言に署名し、北朝鮮の核問題の解決のため6か国協議での合意が順調に履行されるよう努力すること、朝鮮戦争の関係国であるアメリカや中国に呼びかけて首脳会談を朝鮮半島地域で行って戦争の正式な終結を宣言できるよう協力していくことで合意したと伝えました。「ニュースウオッチ9」では、ソウルから中継で記者が「韓国内では平和への努力を評価する声がある一方で、平和体制への移行は核問題が解決してからにすべきだという声も聞かれた。最大野党のハンナラ党は核問題や拉致被害者の問題が本格的に取り上げられなかったのは非常に残念だとしている」と報告しました。韓国の代表取材の映像しか使用できませんでしたが、北朝鮮ペースで進む首脳会談の雰囲気を上手く伝えていたと思います。
 次に、いくつかの番組について報告します。
 まず、19年度後期連続テレビ小説「ちりとてちん」(大阪放送局制作)についてです。藤本有紀のオリジナル脚本で、 落語家を目指して奮闘するヒロインの半生を描いています。10月1日スタートの第1週「笑う門には福井来る」では、地味で目立たない、一生懸命だが“主役”になれない少女をユーモラスに描いていて、従来のヒロインにはない新鮮味があったと思います。貫地谷しほりが演じる明るくてちょっとおかしな娘、喜代美と和久井映見が演じる母が印象的で、まわりの個性的な家族も存在感があり、大いに楽しむことができました。モニターのみなさんからは、「肩の凝らない内容で登場人物の設定など分かりやすく、身近に感じられた。涙と笑いを誘う喜代美と母親の会話から親子のきずなが十分伝わった」、「明るくこっけいな和久井映見さんの好演も心地よかった。」などの声が寄せられました。
 10月には「食料」関連の番組を集中して放送しました。中でも、NHKスペシャル「ライスショック あなたの主食は誰が作る」第1回「世界がコシヒカリを作り始めた」(10月14日放送)は、 日本人の“食”を誰が担うべきか、主食である米を通して考えるシリーズで、日本を代表する高級米コシヒカリが今や世界中で生産されている現状を追い、急激なグローバル化の中で岐路に立つ日本農業に迫った番組だと思います。モニターのみなさんからは、「日本の食料自給率が39%にまで落ち込んでいることに驚いた」、「完全自由化をすると国産のコメがなくなってしまう様な気がして心配」などの声が寄せられました。
 日本の、これから「どうしますか?わたしたちの主食」(10月20日放送)は、日本の「主食」をこれからどうしていくべきか、参加者がそれぞれの立場で討論を繰り広げました。しかし、大規模化や農家支援を巡っての議論が深まらなかったので、ゲストの人選や論点を絞り込み、議論を掘り下げてほしいと思いました。モニターのみなさんからは、「年配の農業者が心の底から放つ言葉には重みがあり、同業者として共感した」、「もう少し課題の解決策の討論にも時間を割いてほしかった」などの声が寄せられました。
 10月から始まった新番組「びっくり法律旅行社」(隔週金曜 GTV 後11:00〜11:29)は、海外で役立つ現地の法律やマナーを学ぶクイズ・バラエティー番組です。第1回はニューヨークを取り上げました。ニューヨークでは、「ふたの開いたアルコール飲料を持ち歩くと罰金25ドル」、「自転車を街路樹に鎖で結んで止めると1000ドル以下の罰金」になることが紹介されました。法律やマナーからその国の文化や考え方が良く分かりましたが、意外性も欲しかったように感じました。モニターのみなさんからは、「日本ではマナー程度のことがニューヨークでは法律になっていることに驚いた」、「文化や考え方の違いを法律という側面から知ることができて興味深かった」などの声が寄せられました。
 ハイビジョン特集「数学者はキノコ狩りの夢を見る〜ポアンカレ予想・100年の格闘」(10月1日 BShi 後8:00〜9:50)は、多くの数学者が挑戦し続けた世紀の難問「ポアンカレ予想」に取りつかれた数学者たちの100年にわたる格闘の物語を追った番組です。数学の世界の物語を映像化しようとした意欲的な試みだと思います。CGを駆使した映像や個性的な天才たちのエピソードを交え、数学が理解できたわけではないのに、数学者たちの格闘の世界をかいま見たような不思議な充実感を覚える番組だと思いました。モニターのみなさんからは、「数学の難しいテーマが数学者の苦悩や人間味も含めて分かりやすく描かれていた」、「まるで失そう事件のような構成にぞくぞくして見た」などの声が寄せられました。
 プレミアム10「生中継 秋のブルゴーニュ フランス小さな村の物語」(10月5日 BShi・GTV 後10:00〜10:59)は収穫の秋を迎えたフランスのブルゴーニュ地方のシャトーヌフ・アン・オーソワからの生中継とVTR構成でフランスの小さな村の魅力を紹介しました。フランスの小さな村で人々が村の個性や伝統を生かして暮らす様子は伝わって来ましたが、以前放送した「小さな村の物語」の再構成のVTRを多用していたのが気になりました。もう少し村人たちとのかかわりの中で季節感を出すなど生中継らしい工夫が欲しかったと思います。モニターのみなさんからは、「秋の風情を堪能できた」、「美しい古い町並みを維持するためには、それなりの努力と伝統を守っていこうという高い住民意識が必要だと感じられた」などの声が寄せられました。
 「絶対!ふるさと主義」は各県のお国自慢を地元のCATV局と協力して生放送で伝える番組です。今回の「家康が愛した静岡〜駿府城入場から400年」(10月14日 BS2 後1:00〜3:00 静岡放送局制作)は、徳川家康にゆかりの深い静岡県から、家康にまつわる逸話や土地の魅力を紹介しました。アナウンサーをはじめ、出演者がそれぞれの持ち味を発揮して番組が進行し、最後まで楽しめる内容だったと思います。モニターのみなさんからは、「数々のエピソードや伝説にクイズを交え、歴史を楽しく学ぶことができた」、「再現ドラマ風にして説明も分かりやすく、楽しめる番組だった」などの声が寄せられました。

(2)19年9月のCS向上活動報告
 19年9月のCS向上活動について報告します。
 まず、コールセンターで受け付けたご意見・お問い合わせは、94,436件でした。
 今回は、みんなのうた「おしりかじり虫」と「緊急地震速報」への反響が多く寄せられました。みんなのうた「おしりかじり虫」については放送が始まった6月から問い合わせが増えはじめましたが、8〜9月になって各メディアに取り上げられたことで、一段と問い合わせが増加しました。特に30代女性から多くの反響が寄せられています。また、「緊急地震速報」については速報を開始した10月1日を中心に、「緊急警報放送とは異なり、速報はテレビの電源が入っていなければ確認できないことをもっとはっきりと説明すべきだ」等の意見が寄せられました。この声を受け、ホームページや広報番組「三つのたまご」等で説明を行いました。
 9月に特に好評な意見が集中した番組は、NHKスペシャル「ビューティー☆ウォーズ」(9月24日放送)、ためしてガッテン「脳若返り!究極役立ち計算術」(9月26日放送)、「発見!おいしい美術館 味わい術」(9月12日放送)、生活ほっとモーニング 「華齢にいま輝く〜平均70歳のファッションショー」(9月19日放送)、「クイズdeなっとく! 白内障から目を守れ!予防と治療の新知識」(9月10日放送)、「この人にトキメキっ!特別対談 日野原重明・三國連太郎」(9月14日放送)、その時歴史が動いた「日中国交正常化」(9月26日放送)、NHK歌謡コンサート「わが原点のヒット曲集」(9月25日放送)、クローズアップ現代「“キレる大人”出現の謎」(9月3日放送)などでした。このうち、NHKスペシャル「ビューティー☆ウォーズ」には、30〜50代の女性を中心に好評意見が多数寄せられました。また、9月26日には「その時歴史が動いた」が放送300回を迎えましたが、その当日に放送した「日中国交正常化」には、番組変更による問い合わせを除き、今年度最高の反響が寄せられました。
 次に、ふれあいミーティングの実施状況です。9月は全国で209回開催し、参加者は4,119人でした。
 和歌山放送局では、和歌山大学の学生らが空店舗を活用して立ち上げたオープンカフェで「番組上映会」を実施し、「アユ躍る清流の四季〜和歌山・古座川」や「伝説誘(いざな)う妖怪の里〜那智勝浦町」など地域の番組をご覧いただいた後で、ふれあいミーティングを開催しました。2日間で65名の方に参加いただきました。
 また高松放送局では、香川大学医学部の学生のみなさんに参加を呼びかけ、四国スペシャル「島で生きる〜離島医療の課題と未来」をご覧いただいた後に制作者を交えて意見交換を行いました。
 続いて、視聴者のみなさまの声などを生かした改善の件数です。9月は、本部16件、各放送局92件、合計108件でした。
 主な改善実施事例を報告します。
 「地上デジタル放送の時刻表示が小さく見づらい」、「アナログ総合で表示される天気マークスーパーをデジタル総合でも表示してほしい」という視聴者のみなさんからの声をうけて、10月1日から地上デジタル放送の時計スーパーを「ロダン文字」に変更して見やすくするとともに、アナログ総合放送で朝5時〜8時13分までサービスしている天気マークスーパーを地上デジタル放送でも開始しました。
 また、今秋の日本女子オープンゴルフ選手権、日本オープンゴルフ選手権の中継では、50m級のクレーンに防振雲台を取り付けてカメラを搭載し、今までにない高いポジションからの安定したビューティーショットと、ホール全体を見渡せる斬新な映像表現に取り組みました。
 松江放送局では、大災害時、島根県内に住む外国人に向けて、携帯電話のメールで災害情報を提供するため、財団法人 しまね国際センターと協力して、松江放送局のホームページに掲載する災害情報を、英語・中国語・タガログ語に翻訳して、同センターが情報提供している県内の外国人に無料配信していくことにしました。
 最後に、全国54の放送局でそれぞれ地域や社会にきちんと貢献する活動「チャレンジ54」の取り組みについてです。
 松山放送局では、9月2日(日)に八幡浜市の市民スポーツパークで行われた愛媛県総合防災訓練に「NHKの災害報道展」を出展しました。パネルや体験型の機器展示により、NHKの災害報道や放送技術について広く紹介するとともに、10月1日から放送がはじまった「緊急地震速報」については、隣接する気象台ブースと連携して効果的にPRを行いました。
 また、10月8日(月)には19年度上半期の「チャレンジ54」の取り組みを紹介する特別番組「ここから未来をつくろう〜地域応援キャンペーン」を放送し、各放送局のキャンペーンを担当する記者やディレクターが出演してこの取り組みを紹介しました。

(3)放送番組審議会議事録(資料)
(編成局)
 編成局および国際放送局から、中央放送番組審議会、国際放送番組審議会、全国の地方放送番組審議会(関東甲信越、近畿、中部、中国、九州、東北、北海道、四国)の平成19年9月開催分の議事録についての報告。
(注1:放送番組審議会の内容)

注1:放送番組審議会の内容は、NHKホームページの「NHK経営情報」のなかに掲載しています。


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成19年11月13日
                     会 長  橋 本 元 一

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