日本放送協会 理事会議事録  (平成19年4月24日開催分)
平成19年5月18日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成19年4月24日(火) 午前9時00分〜9時50分

<出   席   者>
 橋本会長、永井副会長、原田理事、畠山理事、小林理事、金田理事、
 中川理事、小野理事、衣奈理事、石村理事、西山理事

 古閑監事、坂野監事

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 橋本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項
1 報告事項
(1)監査結果報告
(2)平成18年度末本部資金監査について
(3)平成18年度「コンプライアンス推進のアクションプラン」の
   実施結果報告
(4)19年3月のCS(お客さま満足)向上活動報告
(5)平成18年度営業活動結果
(6)平成18年度決算の速報値

議事経過
1 報告事項
(1)監査結果報告
(監査室)
 本部のデザインセンター、広報局の監査結果の概要について報告します。監査は3月上旬から中旬にかけて実施しました。
 まず、デザインセンターについてです。
 18年度の組織改正で、番組制作局(映像デザイン)と放送技術局(音響デザイン)を統合し、放送総局にデザインセンターが発足しました。「不祥事の再発防止」と「放送とCS(お客さま満足)活動の向上につながる専門性の発揮」を最重点に業務を推進しています。「不祥事の再発防止」については、17年5月と16年10月に、職員が自ら制作したコンピューターグラフィックスやテーマ音楽を外部に依頼したように装う不正がありましたが、これに対処するため業務チェックを複数で行う方式に改めるなどに取り組み、業務のいっそうの透明化を図っています。「放送とCS(お客さま満足)活動の向上につながる専門性の発揮」については、たとえば、今年1月、スタジオパークにオープンした「デザインランド」が挙げられます。これはデザインセンターの提案によるもので、3次元合成技術による立体的なバーチャル空間体験ゾーン、映像に合わせて効果音を選ぶ“あなたも音響デザイナー”ゾーンなどが子どもたちの人気を集めています。
 また、NHKニュースのブランドイメージを高めることを目指して、「ニュースデザインプロジェクト」を立ち上げ、報道局と密接に連携し、19年度、「おはよう日本」では、朝の時間帯にふさわしい、さわやかさと奥行きのあるオフィス空間をイメージしたスタジオセットを制作しました。「ニュース7」では、キャスターの若さを意識したテーマ音楽とテンポの良いタイトル映像の選定などに取り組みました。
 全国の放送局が制作した番組で、特に優れた映像と音響デザインの担当者を放送総局長が表彰する「デザイン特賞」を18年度に新設しました。デザイン業務の重要性を改めて評価することで、人材の育成とともに、デザイナー全体のモラルの向上につなげることにしています。
 続いて、広報局についてです。
 NHKの考え方や公共放送の必要性を積極的に視聴者のみなさんにPRするため、「新広報戦略プロジェクト」を設置しました。このプロジェクトのもとで、各部局と連携し、「受信料家族割引」の広報を全国紙のテレビ欄へ掲載するなど、効果的な広報な取り組みを行っています。
 新しい番組広報にも積極的に取り組んでいます。視聴者のみなさんが番組情報を入手する方法として、インターネットが急速に増えていることを踏まえて、1日600万人がアクセスする日本最大のポータルサイトなど、20近いポータルサイトに、大河ドラマ「風林火山」や連続テレビ小説「どんど晴れ」などの番組情報や写真を無料で提供しています。こうしたサイトを経由したNHKホームページへのアクセスがたいへん多くなっています。また、地方紙やタウン誌などへの番組情報の提供を強化するために、16年度からNHKが発行するIDとパスワードがあれば、番組情報を自由に閲覧、ダウンロードできるシステム「EPRon」を運用しています。常時300番組の番組情報や写真が保存され、18年度は、「関西」「中部」など地方名からも検索できるようシステムを改善し、利便性を高めた結果、利用が大幅に増えました。
 また、視聴者のみなさんの再放送の希望に素早く応えるため、今年の1月から、衛星第2で、「あなたのアンコール サタデー」(土曜午後1:30)」と「あなたのアンコール サンデー」(日曜午前10:00)を新たに編成しました。視聴者のみなさんからは「ハイビジョンでしか見られないと思っていたが、衛星第2で見られてうれしい」などの反響が寄せられています。
 最後に、コンプライアンス活動・適正経理の取り組みについてです。
 デザインセンターでは、独自に「経費総点検活動」を実施するなど、 適正経理の推進に取り組んでいます。
 広報局では、経理マニュアルや視聴者総局総務担当連絡会で配付される経理関係の資料を、班会などで周知徹底しています。
 証ひょう類の調査では、出張報告書の提出遅延などの不備がありましたので、適正処理に努めるよう改善を求めています。


(2)平成18年度末本部資金監査について
(監査室)
 平成18年度末の本部資金監査について報告します。
 4月に、18年度末における本部の現金、銀行等の預貯金および有価証券について監査をした結果、その在高が相違ないことを確認しました。
 また、株式会社放送衛星システム等27団体への出資金についても監査し、その在高が相違ないことを確認しました。


(3)平成18年度「コンプライアンス推進のアクションプラン」の
   実施結果報告
(畠山理事)
 平成18年度「コンプライアンス推進のアクションプラン」については、主な施策として、(1)推進体制の強化、(2)内部統制の確立、(3)職員研修の充実、(4)不正再発防止策の構築を掲げました。今回は、その実施結果の概要を報告します。
 (1)については、組織改正により、コンプライアンス室を設置し、事業運営に関わるリスク管理業務を担当する業務実施グループを設置するとともに、従来別個に配置していた危機管理および法務担当者を一元化したコンプライアンス・リーダーを配置しました。また、コンプライアンス・リーダーを中心に、eラーニングにより、基礎研修のほか、「NHKの組織力向上のために」、「公益通報者保護法」、「知っておきたいメンタルヘルス」の3講座を実施しました。さらに、18年度も10月にコンプライアンス推進強化月間を設け、全職場研修を実施し、「NHK倫理・行動憲章」、「行動指針」の再確認などを行いました。  
 (2)については、19年度からの内部統制機能の強化に向けて、基本計画を策定するとともに、内部統制機能の周知、理解促進を図るためのeラーニングをコンプライアンス・リーダーと各部局のポスト長を対象に実施しました。また、関連団体についても、NHKグループ全体として不正防止、適正化施策の強化を図るため、各団体に「コンプライアンス推進のアクションプラン」の策定を要請しました。これに基づき、各団体は計画的にコンプライアンスを推進しました。
 (3)については、各階層を対象にコンプライアンス推進や公金意識の徹底に関する研修の強化を図りました。関連団体についても、コンプ ライアンスの徹底に向けた研修等を強化しました。このほか、eラーニングによる研修も実施しました。
 (4)については、経理局の審査体制を再編成するなど適正経理推進体制の強化を図りました。また、外部監査法人による海外総支局の経理処理についての審査・調査を実施するとともに、外部監査法人と連携した内部監査の強化についても従来と同様に取り組んだほか、抜き打ち監査を新たに行うなど内部監査の実効性向上施策も実施しました。
 このほか、アクションプランに基づくコンプライアンス推進施策以外にも、緊急業務調査や全部局業務調査の調査結果を踏まえた改善施策も実施しています。また、職員のコンプライアンス意識や施策の浸透状況の実態を把握し、今後のコンプライアンス推進活動に生かすため、職員意識調査(コンプライアンス・アンケート)を2回実施しました。
 こうした実施結果を踏まえ、19年度も引き続き、コンプライアンス活動の推進を図っていきます。

(会 長)  関連団体も含め各部局とも、改めてコンプライアンスの
       徹底を図るようにしてください。

(4)19年3月のCS(お客さま満足)向上活動報告
(視聴者サービス局)
 19年3月のCS向上活動について報告します。
 まず、コールセンターで受け付けたご意見・お問い合わせは、約104,700件で、18年度累計では約1,255,600件でした。このうち、電話でいただいた件数は17年度に比べて3%増加し、また、メールによるものは20%と大幅に増加しました。
 3月に特に好評な意見が集中した番組は、NHKスペシャル「介護の人材が逃げていく」(3月11日放送)、「ラストメッセージ 第4集夢 果てしなく 冒険家・植村直己」(3月18日放送)、「“学校”って何ですか?」(3月21日放送)、ハイビジョン特集「ターシャからの贈り物〜魔法の時間のつくり方〜」(3月10日再放送)、「皇居・吹上御苑の四季」(3月15日放送)、プレミアム10「おいしさを待ち続けて〜料理家 辰己芳子の四季〜」(3月5日再放送)、「小椋佳・63歳のメッセージ」(3月12日放送)、ためしてガッテン「最先端!ここまで解明 健康診断」(3月7日放送)、「うまさ超アップ!砂糖 究極の活用術」、生活ほっとモーニング「放射線治療最前線」(3月20日放送)などでした。
 次に、ふれあいミーティングの実施状況です。
 3月は全国で190回開催し、参加者は4,410人でした。18年度累計では1,973回開催し、参加者は48,484人になりました。
 編成局と福島放送局では、NPO医療ネットワーク支援センターと協力して、BSデータ放送の医療情報をテーマとしたふれあいミーティングを実施しました。病院の看護師さんなど35名の方が参加し、「身近な医療情報やタイムリーな薬事情報なども取り上げてほしい」といったデータ放送に関する意見、要望を多数いただきました。
 続いて、視聴者のみなさまの声などを生かした改善の件数ですが、3月は、本部3件、各局73件、合計76件でした。18年度の累計では、合計709件で、17年度に比べ24%の増加となりました。
 主な改善実施事例を報告します。
 長野放送局では、18年度から、よりきめ細かく長野県内40か所の気象情報を伝えていますが、県内東部に位置する東御市(とうみし)から、「ポイント予報の最低気温、最高気温が地元住民の感覚とかけ離れている」という指摘をいただきました。原因を調べたところ、東御市にある気象庁の気温予報ポイントが標高958メートルの地点にあり、市の中心部から約400メートルも高い位置にあることがわかりました。これを受けて、NHKでは地元の気象協会に働きかけ、4月に予報ポイントを市の中心部に変更していただきました。
 福岡放送局、編成局、放送技術局では、17年3月の福岡西方沖地震の際、医療機関情報が不足し、一つの病院に負傷者が集中したことから、大規模災害時の医療機関情報をデータ放送で提供したいと考え、福岡県や医師会に協力を求めました。その結果、県が災害対策本部を立ち上げるような大規模災害が発生し、医師会・メディカルセンターから医療機関情報の提供が可能となった場合、即座にデータ放送を使ってその情報を県内にお知らせできるようになりました。放送内容は、医療機関名(住所と電話番号含む)、診療可否の情報、診療可能な受診科名などで、内容に変更があった場合も、自動的に更新されることになっています。
 次に、各放送局の「満足度向上」への取り組み事例について報告します。
 福井放送局では、福井県池田町を舞台とした「新日本紀行ふたたび 能舞の里に生きる」の番組上映イベントを3月12日に実施し、公募により、116名のみなさまにご参加いただきました。イベントは番組のナレーションを担当した徳田アナウンサーが司会を務め、ハイビジョンによる番組上映のほか、番組テーマ曲のミニコンサートや能舞の披露などもありました。このイベントに対するアンケートの結果、たいへん多くの方に満足したとのご回答をいただくことができました。
 最後に、全国54の放送局でそれぞれ地域や社会にきちんと貢献する活動「チャレンジ54」の取り組みについてです。
 宇都宮放送局では、地域安全パートロール活動に取り組んでいます。栃木県内では、旧今市市女児殺害事件が未だに解決されていないこともあり、地域防犯が大きな課題となっています。宇都宮放送局では、栃木県警と協力して、営業活動等の車両に「地域安全パートロール中」と記したステッカーを貼り、地域の安全に貢献することにしています。活動を担うのは、営業地域スタッフが中心で、法令や社会規範の順守とともに、犯罪や事故等を目撃した場合の早期通報や被害者や避難者の一時保護を行っていきます。

(5)平成18年度営業活動結果
(営業局)
 平成18年度営業活動結果について報告します。
 まず、放送受信契約の総数は、年度当初に判明した不祥事により、厳しい状況でのスタートとなりましたが、下半期以降業績が回復し、年間累計では0.3万件の増加となりました。また、衛星契約については、年間累計37.4万件の増加となりました。
 次に、支払い拒否・保留数は、新たに支払い拒否や保留する方は減少し、年間累計では8.8万件でした。一方、支払い再開する方は増加し、年間累計で37.2万件となりました。これにより、18年度末の支払い拒否・保留数は86.7万件となり、17年度に比べて、33.1万件の減少となりました。また、口座振替利用の中止件数については、ほぼ16年度に発覚した不祥事以前の水準に戻りました。
 当年度の受信料収納額は、17年度に比べて、100億円を超える増収となる見込みです。


(6)平成18年度決算の速報値
(経理局)
 平成18年度決算の速報値について報告します。
 18年度決算については、現在精査中であり、今回は速報値ですので、数値が変動することがありますのでご了承ください。
 事業収入は、前年度と比べて、90億円程度増収となる見込みです。受信料収入については、前年度より100億円を超える増収となる見込みです。一方、事業支出は、前年度に比べ、物件費が放送サービスの充実等により増加したものの、人件費や減価償却費等が減少したため、100億円程度減少する見込みです。


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成19年 5月15日
                     会 長  橋 本 元 一   

戻る

Copyright NHK (Japan Broadcasting Corporation) All rights reserved. 許可なく転載を禁じます。