日本放送協会 理事会議事録  (平成19年3月12日開催分)
平成19年3月30日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成19年3月12日(月) 午前9時00分〜10時50分

<出   席   者>
 橋本会長、永井副会長、原田理事、畠山理事、小林理事、金田理事、
 中川理事、小野理事、石村理事、西山理事

 古閑監事、坂野監事

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 橋本会長が開会を宣言し、議事に入った。


付議事項

1 審議事項
(1)19年度“約束”(案)について

(2)平成19年度 放送文化研究所「研究・調査・事業」基本計画


2 報告事項
(1)番組二次使用商品の「監修・チェック」「編集・制作」業務の取
   扱いに関するガイドライン

(2)日本放送協会共済会の平成19年度事業計画ならびに収支予算に
   ついて


議事経過

1 審議事項
(1)19年度“約束”(案)について
(“約束”事務局プロジェクト)
 平成19年度の“約束”について審議をお願いします。
 視聴者のみなさまに、NHKの事業運営全般にわたる“約束”をお示しし、外部の専門家が視聴者の視点に立って達成状況を評価するNHK“約束”評価の仕組みも19年度で3回目を迎えます。
 18年度の“約束”評価結果は、今年の5月末にとりまとめられる予定になっていますが、17年度の“約束”評価結果によると、「放送に対する視聴者からの満足度は向上しつつあるが、放送・通信融合時代に向け、NHKは積極的に視聴者からの期待に応えていくべき。組織や経営に対する信頼回復は道半ばであり、経営のさらなる効率性や透明性が求められる」と指摘されています。
 19年度は、こうした評価結果も踏まえ、社会に貢献するNHKをめざし、視聴者のみなさまにいただく受信料を効率的に使って、最大の効果を発揮できるよう総力をあげて取り組んでいきたいと思います。
 また“約束”の達成度を計る指標として、信頼されているか(放送・経営)、必要とされているか(役に立つ、親しまれる、接触の度合い)、社会に貢献しているか(質の高さ、影響力、先見性)、効率的・効果的か(コストに見合う成果)を組み合わせていきます。
 具体的な“約束”については、信頼される質の高い放送を通して、社会や文化の発展に尽くすこと、経営に対する信頼性を確立すること、受信料の公平負担の徹底と効率的な契約収納活動を行うこと、公共放送への理解をより深めていただくこと、NHKの先導性を発揮し、放送のデジタル化と高度化を推進すること、の5つを大きな柱として、事業運営の改善を図っていきたいと考えています。
 なお、了承が得られれば、経営委員会に諮りたいと思います。

(会 長)原案を了承し、経営委員会に諮りたいと思います。


(2)平成19年度 放送文化研究所「研究・調査・事業」基本計画
(放送文化研究所)
 平成19年度の放送文化研究所「研究・調査・事業」基本計画について審議をお願いします。
 19年度、放送文化研究所は、“文研だからできる” 研究・調査・事業に全力で取り組みます。
 時代と社会の状況を的確にとらえて、先見性に富んだ、信頼される質の高い研究・調査を進め、社会に貢献します。また、メディアの多様化、人々の意識の変化を踏まえて、デジタル時代の公共放送のあり方を追求し、視聴者にとってより良い放送番組の編成や番組開発に役立つ研究・調査に取り組みます。そして、研究・調査の成果を幅広く公表し、放送界および社会の発展に寄与する事業展開を多角的に行います。
 放送文化研究所は、メディアの転換期であるこの時代を、変革の時と捉え、「新たな公共放送像の確立」と「新たな放送文化の創造への貢献」に資する、機動的・効果的な研究・調査・事業を推進します。
 この基本方針のもと、4つの基本目標を掲げました。
 一つめは、「時代と社会の要請に的確にこたえる研究・調査」です。
 国内外の放送を取り巻くメディア環境の動向や、多様な価値観・ライフスタイルをもつ今日の視聴者意向などを迅速に把握し、放送の向上、発展に貢献する研究・調査を多角的に行います。また、子どもに対するメディアの影響や、日本人のメディア利用行動や情報意識の変化について、さらに研究・調査を進めます。
 二つめは、「放送と経営に資する提言機能の強化」です。
 今後のメディア状況を見通して、衛星放送の役割やサービスのあり方そして、財源や視聴者との関係など世界各国の公共放送が抱える諸課題について、経営に資する調査、分析を行います。また、視聴者層の拡大、教育テレビの充実・強化等に向けて、関連部局と連携しながら、研究・調査を進め、編成や番組開発に役立てます。
 三つめは、「研究・調査成果の多角的展開」です。
 研究・調査の成果を、刊行物や研究発表、シンポジウム、公開ホームページ、放送博物館等を通して社会に還元します。効果的な広報活動とともに、放送による積極的な公開、発表など、多様な回路で成果を展開し、放送界、社会に貢献します。
 四つめは、「効果的・効率的な研究・調査・事業の推進」です。
 放送を取り巻く環境の変化に対応するため、外部の研究者・研究機関との共同研究を進め、また放送現場への支援の充実を図るなど、機動的で効果的な研究・調査・事業を推進します。
 信頼される公共放送として、業務改革を推進し、効率的な業務運営を行いコンプライアンスの更なる徹底と情報公開に適切に対応する所内体制の強化をめざします。
 これらの基本目標を踏まえ、重要項目を掲げて、業務を推進するなかで、放送現場に役立つ調査研究、経営に資する研究に最も力を入れていきたいと思います。また、視聴者動向が非常に複雑になっていることを踏まえ、こうした動向をこれまでと異なる新しい尺度でとらえる方策も積極的に探っていきたいと思います。

(副会長)  さまざまな研究の成果を発表することも大切ですが、放送現場に対して、より直接的に役立つ研究も求められており、現場との連携を深めていくことも重要だと思います。
(放送文化研究所)

 現場に役立つという点では、「視聴者にとってより良い放送番組の編成や番組開発に役立つ研究・調査」を今年度の基本方針としています。具体的には、現在も、編成局と連携し、番組編成などに関するアンケートを実施するなどしていますが、これをさらに進めていくことに力を注ぎたいと思います。

(金田理事)  基本目標のなかに「時代と社会の要請に的確にこたえる研究・調査」があります。これについては、NHKの19年度の“約束”を意識しておいてほしいと思います。NHKは、19年度の“約束”で、視聴者のみなさまに対し、信頼されているか、必要とされているか、社会に貢献しているか、そして、効率的・効果的かの4点を指標として、しっかりPDCAサイクルを回していくことにしています。こうした面からも的確に調査、研究を実施してもらいたいと思います。
(中川理事)  放送法でも調査研究は、本来業務と定められていますので、その上に立った「“文研だからできる”研究・調査・事業」を行うことを基本方針としてほしいと思います。また、2011年以降の完全デジタル時代に向けて、放送のあり方も大きく変わっていくことになると思いますので、たとえば、放送・通信融合時代のコンテンツサービスの研究、あるいは国内外の公共放送の実態を踏まえて、今後、公共放送の経営形態や事業のあり方、視聴者との結びつきに関する研究などを多角的に実施していく必要があります。また、“放送文化”という概念そのものが多様な要素を含んでいると思います。調査、研究も既成概念にとらわれずに、調査領域なども含めて考えてほしいと思います。
(放送文化研究所)  「“文研だからできる”研究・調査・事業」については、放送現場から一歩距離を置くことによって、かえって放送が見えてくることがあると思いますので、そういう意味でもこの表現を使っています。また、中長期的な調査、研究に関しては、指摘いただいた点も十分踏まえて検討したいと思います。特に、公共放送のあり方については、これまでも各国別の専門家や担当者が研究、調査をしていますが、より力を入れていきたいと思います。
(会 長)  ラジオ放送を開始してから80年以上、また、テレビは50年以上経過しました。2011年に向け、メディア環境が変化しています。調査、研究のあり方については、これまでの研究成果を踏まえつつも新しい手法、分析なども開発していかなくてはならないと思います。19年度の基本計画については、原案どおり決定します。


2 報告事項

(1)番組二次使用商品の「監修・チェック」「編集・制作」業務の取扱い
   に関するガイドライン
(畠山理事)
 NHK番組の二次使用商品に関する「監修・チェック」「編集・制作」業務については、今年1月30日の理事会で中間報告をしています。
 今回は、そのときの理事会での意見なども踏まえ、これらの業務の取扱いをガイドラインとして取りまとめましたので報告します。
 「監修・チェック」業務は、番組に関して誤った情報やイメージを伝えないために実施するものです。この「監修・チェック」業務のうち、(1)番組全体を二次使用したビデオ・DVD・CD等の関連商品に関する「監修・チェック」業務と(2)番組の一部、もしくは素材等(ロゴ、キャラクター、楽曲等)を二次使用した番組関連商品の「監修・チェック」業務については、二次使用許諾に伴うNHKの業務(放送法第9条2項2号に定める附帯業務)として実施します。
 また、番組の二次使用による映像・音声商品の「編集・制作」業務については、原則として関連団体もしくは外部企業自身の責任で実施します。関連団体もしくは外部企業が外部プロダクション等にその業務を発注する場合も同様です。ただし、例外的に、関連団体もしくは外部企業がNHK職員の助力、ノウハウを必要とする場合には、その事由等を記した「外部協力申請書」を実施の3週間前までにNHKに提出していただき、審査の上、原則として放送法第9条3項2号に基づくNHKの受託業務として実施します。
 番組二次使用商品に関する業務における外部協力の取扱いについては、新たに設置する「外部協力業務審査委員会」が審査、判断を行います。この審査委員会は、コンプライアンス担当理事を委員長とし、事務局長をコンプライアンス室長が務めます。また、コンプライアンス室、総合企画室〔経営計画〕、総合企画室〔関連事業〕、編成局、労務・人事室、経理局で構成し、事務局はコンプライアンス室、総合企画室〔関連事業〕、編成局とします。そのほか、案件によって、各部局が必要に応じて参加することとします。これに合わせて、「外部協力業務審査委員会運営規程」を設けます。
 なお、このガイドラインは、平成19年4月1日以降、NHKが許諾する番組の二次使用商品について適用することとします。
 
(会 長)  チェックシステムに万全を期すというコンプライアンス の観点から、「編集・制作」業務の部分については、全面的に「外部協力業務審査委員会」が審査、判断することにします。


(2)日本放送協会共済会の平成19年度事業計画ならびに収支予算に
   ついて
(小野理事)
 平成19年度日本放送協会共済会の事業計画ならびに収支予算については、2月21日の評議員会において、提案どおり可決されたので報告します。
 食堂業務、販売業務等の一般会計は、収入・支出とも同額の43億9,300万円を計上して実施します。食堂業務については、原材料の仕入れ価格の改善を図るなど引き続き効率的な運営を進めています。
 また、転勤者用住宅の管理等の特別会計は収入・支出とも同額の59億1,200万円を計上して実施します。


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成19年3月26日
                     会 長  橋 本 元 一   

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