日本放送協会 理事会議事録  (平成18年11月28日開催分)
平成18年12月15日(金)公表
<会 議 の 名 称>

 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成18年11月28日(火) 午前9時00分〜9時50分

<出   席   者>
 橋本会長、永井副会長、原田理事、畠山理事、小林理事、金田理事、
 中川理事、小野理事、衣奈理事、石村理事、西山理事

 古閑監事、坂野監事

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 橋本会長が開会を宣言し、議事に入った。


付議事項

1 審議事項
(1)平成19年度予算編成について〜平成19年度 予算編成方針(案)〜
2 報告事項 (1)監査結果報告 (2)地方放送番組審議会委員の委嘱について
(3)特別展「レオナルド・ダ・ヴィンチ−天才の実像」の実施について
(4)平成18年10月のCS(お客さま満足)向上活動報告 (5)放送番組審議会議事録(資料) 議事経過 1 審議事項

(1)平成19年度予算編成について〜平成19年度 予算編成方針(案)〜
(衣奈理事)
 平成19年度予算編成にあたり、平成19年度予算編成方針について審議をお願いします。
 基本的な考え方は次のとおりです。
 平成19年度はNHKの「3か年経営計画」の2年目として、計画の達成を確実なものとし、次の事業運営につなげるための基盤を整備していく重要な年度です。
 メディアを取り巻く状況は、地上デジタル放送が全国の県庁所在地で視聴可能となるなど、本格的なデジタル時代を迎えており、視聴者のみなさまに必要とされる情報を分け隔てなく提供するというNHKの役割はいっそう重要となります。
 NHKは、この時代にふさわしい公共放送をめざして、自ら積極的に改革を推し進めるとともにコンプライアンスの徹底とガバナンスの強化を図り、視聴者のみなさまの信頼を回復しなければなりません。
 事業運営の基本となる放送サービスにおいては、放送の自主自律を堅持し、緊急報道や質の高い番組など“NHKだからできる”放送をさらに追求し、社会に役立つ公共放送としての取り組みを強めます。
 それと同時に、放送サービスが高度化するなか、デジタル技術を活用した新たなサービスの開発や新たな放送文化の創造に向けた放送技術の研究・開発、国際放送による世界へ向けた情報発信の強化に積極的に取り組みます。
 あわせて、NHKの主たる財源である受信料収入の回復のために営業活動をいっそう強化するとともに、より公平で合理的な受信料体系の確立に向けた改革を行います。
 また、18年度に引き続き、徹底した業務改革とスリム化の推進に取り組み、効果的・効率的な業務運営を行います。
 この方針をもとに定めた事業運営の重点事項に、(1)“NHKだからできる”放送をさらに追求、(2)コンプライアンスの徹底、ガバナンスの強化、(3)受信料収入の確保と公平負担の徹底、(4)視聴者のみなさまとの結びつきの強化、(5)国際放送による海外への情報発信の強化、(6)新たな放送サービスの開発や放送の発展に向けた調査研究の推進、(7)徹底した業務改革とスリム化の継続、の7項目を掲げ、視聴者のみなさまの信頼回復を確固たるものとし、全力を上げ“新生NHK”を確立したいと考えています。
 なお、この内容が了承されれば、本日開催の経営委員会で審議されることになります。
 また、19年度予算については、今後、来月12月、翌年1月にさらに詳細に検討し、経営委員会の議決を経たうえで、最終的に予算書を総務大臣に提出する予定です。
(金田理事)  (2)のコンプライアンスの徹底、ガバナンスの強化の項目のなかには、「“約束”評価委員会」による評価の事業 運営への反映も含まれています。今のNHK改革を進めていくためには、コンプライアンスの徹底とガバナンスの強化の両輪がうまく機能する必要があり、そのことを「“約束”評価委員会」で総括するものなのですが、それらすべてにおいて研修の強化が極めて重要であり、そのことを明示するようにしてほしいと思います。
(会 長)  19年度の予算編成のなかの、(2)のコンプライアンスの徹底、ガバナンスの強化、それらすべてに研修の強化が重要であることがわかるように表現してください。そのほかは、原案を了承し、経営委員会に諮りたいと思います。


2 報告事項

(1)監査結果報告
(監査室)
 本部のラジオセンターと制作局の監査結果の概要について報告します。監査は10月を中心に実施しました。
 ラジオセンターでは、ラジオ第1の週間接触者率の漸減傾向に歯止めをかけるため、18年度は、特に若い世代を引き付ける番組編成に力を入れています。たとえば、土曜の午前中に編成していた「きらり!10代」は、18年度から、より聴取者の多い日曜午後8時10分〜9時55分に移設しました。このなかで、“悩み相談コーナー”を新設し、いじめや不登校、進学など10代が抱えるさまざまな悩みを聴取者と考えながら進行する双方向番組としました。携帯電話も含め、この番組のホームページに寄せられる1回あたりのアクセス件数は、当初の3,000件程度から1万件を超えるまでになっており、若い世代の聴取者が増えてきています。
 これに伴って、放送時間帯の変更が難しかった長寿番組の移設に踏み切り、日曜午後9時台に放送していた「日曜名作座」と「民謡をたずねて」を、それぞれ、日曜午後11時10分と土曜午前11時5分からの放送に改めました。
 また、19年度の新番組として、従来からNHKの聴取者が多い50・60代のさらなる定着をめざし、土曜の午前9時5分〜10時55分に「どよう 元気塾(仮)」を企画しています。定年を前に自ら起業するなど、新しい人生を歩み始めた人の体験談や聴取者の参考になる情報、暮らしに潤いを与える趣味や旅の話題など多様なテーマを取り上げることにしています。
 「こんにちは!80ちゃんです」は、17年度、全国47都道府県を巡回し、2万人近くが中継会場に集まりました。放送に合わせて「ふれあいミーティング」を82回実施し、1,617人が参加しました。18年度上半期も、来場者は9,000人に達しており、37回開催した「ふれあいミーティング」には、633人が参加しました。
 「鎌田實 いのちの対話」(年4回)は、「わくわくラジオ」の“ときめきインタビュー”への出演がきっかけとなって3年前に放送が始まりました。長野県で長く地域医療に関わり、地域や高齢者の問題に発言を続けてきた鎌田医師が、まっすぐに“いのちの大切さや人のやさしさ”をゲストと語る内容が共感を呼び、祝日の午前中2時間半の公開生放送に、毎回、全国各地の会場は満員となっています。番組の内容をまとめた本も出版されており、18年2月には2冊目の「いのちとユーモア〜鎌田實と11人の対話」が出版されました。
 次に、制作局についてです。
 18年6月の組織改正により、番組制作局と衛星放送局の番組開発と制作機能を統合再編成し、新たに制作局としてスタートしました。衛星放送・第1・第2の3つの制作センターを置き、衛星・教育・総合のそれぞれのメディアの特性にふさわしい番組を制作しています。
 また、組織改正を機に、制作局長の下に新たに「委託管理グループ」を置き、業務委託の拡大を進めています。「委託管理グループ」は、定時番組のうち全面委託で制作パターンが安定している100番組、およそ8,200本の番組の委託元となり、9人のCPが関連団体に対し“提案”“予算管理”“制作管理”の各段階で綿密な打ち合わせ、チェック、品質管理を実施しています。業務委託については、今回の組織改正によって編成局にも「ソフト開発センター」が新設され、外部プロダクションへの直接発注方式による番組制作委託や、新年度番組の提案募集などが行われています。「委託管理グループ」と「ソフト開発センター」の役割分担や連携のあり方、さらには、これまで委託番組の窓口業務を行ってきた衛星放送番組のCP業務のあり方など、今後整理が必要となる課題も多くあります。
 18年度は接触者率向上を目指し、さまざまな年代の視聴者層をターゲットに番組制作に取り組んでいます。番組改定は、17年10月、18年1月、4月と3段階で行い、4月改定では、総合テレビの夜10時以降を大幅に刷新して、新たな視聴者層の獲得を図りました。月曜日は、90分の番組「プレミアム10」を新設し、ドキュメンタリー・中継・科学・音楽など多彩な内容で放送しています。9月の「渥美清の肖像〜知られざる役者人生」は、「今までのイメージとは違う役者の姿を知った」と幅広い視聴者に好評でした。火曜日は、「クイズ日本の顔」、「プライスの謎」、「謎のホームページ サラリーマンNEO」と、新設の30分番組が3本並ぶ編成でスタートしました。「サラリーマンNEO」は、会社員の本音をリアルなコントで描く新しいタイプの笑いの番組で、従来のNHKの殻を破った番組として、新聞や雑誌でも取り上げら、若い世代を中心に新しい視聴者層を呼び込むきっかけになりました。大河ドラマ「功名が辻」や連続テレビ小説「純情きらり」、「芋たこなんきん」は、幅広い視聴者層に共感を呼んでいます。
 教育テレビでは、キャンペーン性と視聴者との双方向性に重点を置き、18年1月から女性の“うつ”を継続して取り上げ、7月には総合「プレミアム10」に続き、その夜の「ラジオ深夜便」でも同じテーマで特集し、ラジオスタジオにカメラを入れて教育テレビでも同時放送しました。一連の番組には2,500件を超える反響があり、週末の「ETVワイド ともにいきる」で総集編を放送しました。モニター報告では「取り組みを中途半端に終わらせない姿勢に好感が持てた」という声が寄せられました。
 衛星ハイビジョンでは、視聴者の投票で選んだ50の名山を紹介する「日本の名峰」(1〜12月)や、「ハイビジョン中継 世界遺産フランス縦断の旅」(7月)を放送しました。また、モーツァルト生誕250年にあわせて、名曲を1日1曲ずつ紹介する「毎日モーツァルト」(月〜金)を1年かけて放送しています。
 最後に、コンプライアンス活動・適正経理の取り組みについて報告します。
 ラジオセンターでは、経理担当の管理職がすべての伝票をチェックし、伝票の不備は、起票者に口頭やメモでマニュアルを説明して指導、理解を徹底させるなどしています。
 制作局では、制作現場向けに経理処理のポイントをまとめた独自のマニュアルを作成し、全員に配付しています。そのほか、経理伝票は、経理局・審査センターに回送する前に制作経理グループですべて照査するなど、審査機能を強化し、適正経理を推進するなどしています。
 証ひょう類の調査では、タクシー券に必要事項が記入されていないケースや出張報告書の提出遅延などがありましたので、適正に処理するよう改善要望をしています。


(2)地方放送番組審議会委員の委嘱について
(原田理事)
 地方放送番組審議会委員の委嘱について報告します。
 四国地方で野田文子氏((株)内子フレッシュパーク“からり”取締役)を平成18年12月1日付で新規委嘱します。また、北海道地方で、同日付で江尻司氏(北海道新聞論説主幹)に再委嘱します。
 なお、四国地方の佐々木護氏(愛媛県漁業協同組合連合会会長)は任期満了により18年11月30日付で退任されます。


(3)特別展「レオナルド・ダ・ヴィンチ−天才の実像」の実施について
(視聴者サービス局)
 特別展「レオナルド・ダ・ヴィンチ−天才の実像」を来年3月20日から6月17日まで、東京国立博物館で実施します。(月曜は休館、ただし4月30日は開館)
 「万能の天才」と称されるレオナルド・ダ・ヴィンチは、わずか十数点のみが本物の絵画と言われています。この展覧会では、ダ・ヴィンチ作品のなかで、イタリア・ウフィツィ美術館収蔵で門外不出とされてきた初期の名作「受胎告知」を中心に、ダ・ヴィンチが自らの考えを記したメモや資料、またこれらの資料をもとに再現した模型合計450点、解説映像(合計114分)などで構成し、ダ・ヴィンチの美と知を総合的かつ立体的に紹介します。
 なお、この展覧会の模様は、「新日曜美術館」などで放送する予定です。

(4)平成18年10月のCS(お客さま満足)向上活動報告
(視聴者サービス局)
 10月のCS向上活動について報告します。
 まず、コールセンターの受付データ状況は、115,061件でした。
 放送関係のお問い合わせのほかに、富山放送局の元局長の不祥事への厳しい意見や民事手続きによる受信料の支払督促の実施についてのご意見などが多くありました。
 また、10月にいただいた再放送希望は11,950件で、特に「ハイビジョン特集」や「ためしてガッテン」、「NHKスペシャル」などへのリクエストが多くありました。ハイビジョン特集のなかでも、「関口知宏が行く ヨーロッパ鉄道の旅」(10月16日、17日放送)への再放送希望が目立ちました。
 再放送希望の事由について、先月と同様に調査をしていますが、たとえば、ためしてガッテン「超スッキリ!うわさの脱力健康法」(10月25日放送)では、「番組を見逃したので」、「内容が良いので」という理由が多くありました。また、BSハイビジョン「20世紀の名住宅物語」では、一般の視聴者が見やすい「他の波で」再放送を希望する声が多く寄せられました。
 次に、特に好評な意見が集中した番組は、NHKスペシャル「プラネットアース」(10月1、8、15日放送)、「赤ちゃん 成長の不思議な道のり」(10月22日放送)、プレミアム10「この世界に 僕たちが生きてること」(10月16日放送)、「今日までそして明日から〜吉田拓郎・35000人の同窓会」(10月23日放送)、生活ほっとモーニング「辰巳芳子・いのちのスープ」(10月3日放送)、クローズアップ現代「岐路に立つ同和行政」(10月16日放送)、「介護の人材が逃げていく〜誰が老後を支えるか〜」(10月19日放送)、ためしてガッテン「知らなかった!きな粉 劇的活用術」(10月11日放送)、「甘さ6倍!栗・感動の新調理術」(10月18日放送)などとなっています。
 次に、ふれあいミーティングの実施状況について報告します。
 10月は、全国で214回開催し、参加者は3,673人でした。全国の放送局のなかでも、大分放送局と宮崎放送局は開催回数がたいへん多いのですが、両放送局ともNHKを見学に来られる団体などとふれあいミーティングを実施するなど、地元の方々との交流を深めているのが特徴です。また、本部の実施事例では、ライツ・アーカイブスセンターが「制作者と一緒に番組を見る会」にあわせてふれあいミーティングを実施しました。これは、1991年に放送したNHKスペシャル「マサヨばあちゃんの天地〜早池峰のふもとに生きて〜」を埼玉県川口市にあるNHKアーカイブスの150インチスクリーンで上映した後、元NHKディレクターの澄川嘉彦氏の講演と参加者による質疑応答を行いました。イベントの実施にあたって、事前に地元町会の回覧版やタウン誌などを通じて広報し、37名に参加していただきました。参加者からは、「たいへん満足した」などの評価をいただき、たいへん好評でした。
 続いて、視聴者のみなさまの声などを生かして改善を行った件数は、本部7件、各放送局68件、合計75件でした。
 おもな改善事例を報告します。
 NHKスペシャル「プラネットアース」の第5〜7集を10月1、8、15日にそれぞれ放送しました。第1〜4集は、5月7日から10日に4夜連続で放送しましたが、放送開始時間が、第1集を除いて、午後10時からで、視聴者のみなさまから「平日午後10時では放送時間が遅い」、「子どもが見られない」という声が多くありました。そうした声などを番組編成に反映させて、第5〜7集では、日曜午後9時から3週連続の放送に改めました。
 また、昨年秋、プロ野球パ・リーグのプレーオフ中継をしなかったことに対して、「中継してほしかった」、「なぜ中継しないのか」などのご意見を多数いただいていました。昨年は、厳しい財政状況のなか、放送に向けてさまざまな条件を考慮し検討しましたが、残念ながらテレビの放送は見送りました。これを踏まえ、今年は、パ・リーグのプレーオフ、第1ステージの「西武」対「ソフトバンク」(10月7日放送)の1試合と第2ステージの「日本ハム」対「ソフトバンク」(10月11、12日放送)の2試合をそれぞれ衛星第1で放送しました。
 また、セ・リーグの優勝がかかった「巨人」対「中日」の試合については、民放が地上波・衛星波ともに放送予定がなかったことから、急きょ、放送権を確保し、衛星第1で放送しました。名古屋放送局では、名古屋放送センタービルの管理会社と開館時間の延長を交渉し、1階広場の大画面テレビでパブリックビューイングも行いました。放送後、プロ野球ファンなどから、多くの反響と感謝の声をいただきました。
 最後に、各放送局の「満足度向上」への取り組み事例について報告します。
 NHKでは、全国規模の世論調査を行い、さまざまな視聴者意向の集約に努め、業務に反映させていますが、大津放送局独自に、地域放送をさらに充実させていくため、世論調査を行いました。この取り組みは、「これからの大津局」をテーマに大津局職員全員にアンケートを実施したところ、「地域放送サービスの充実に向け、特定有識者の声に限らず、広く地域の視聴者のニーズをつかんで的確に放送に反映していくべき」という意見が多かったことから、滋賀県の視聴者1,000人を対象として、夕方の地域情報番組「おうみ発610」の認知度などについて電話世論調査を行いました。この調査結果を踏まえ、視聴者の声を十分精査したうえで放送に反映させ、CS向上活動を進めるため、現在、アクションプランを作成しているところです。


(5)放送番組審議会議事録(資料)
 編成局および国際放送局から、中央放送番組審議会、国際放送番組審議会、全国の地方放送番組審議会(関東甲信越、近畿、中部、中国、九州、東北、北海道、四国)の平成18年10月開催分の議事録についての報告。
(注1:放送番組審議会の内容)

以上で付議事項を終了した。
注1: 放送番組審議会の内容は、NHKホームページの「NHK経営情報」のなかに掲載しています。
上記のとおり確認した。
      平成18年12月11日
                     会 長  橋 本 元 一   
※ 報告事項(3)の「特別展『レオナルド・ダ・ヴィンチ−天才の実像』
  の実施について」の内容の一部修正について

 平成19年1月22日(月)、この展覧会に出品されるレオナルド・ダ・ヴィンチ作「受胎告知」の出品履歴について、イタリア大使館より修正発表がなされました。同大使館によると、これまで、「受胎告知」は「1867年にウフィツィ美術館に収められて以来、初めて館外に出品される」と発表していました。しかし、今回、日本出品にともなう作品調査によって、第2次世界大戦以前の騒然とした時期、パリ(1935年)とミラノ(1939年)に出品されていたことが確認されたということです。
 NHKでは、この作品について、議事録のなかで「イタリア・ウフィツィ美術館収蔵で門外不出とされてきた初期の名作『受胎告知』」と記載していますが、上記のとおり、過去に他の展覧会に出品された事実が確認されましたので、この記載を修正させていただきます。
                         

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