日本放送協会 理事会議事録  (平成18年 9月 5日開催分)
平成18年 9月22日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成18年 9月 5日(火) 午前9時00分〜10時05分

<出   席   者>
 橋本会長、永井副会長、原田理事、畠山理事、小林理事、金田理事、
 中川理事、小野理事、衣奈理事、石村理事、西山理事

 古閑監事、坂野監事

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 橋本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1027回経営委員会付議事項について

(2)モバイル放送株式会社が実施する衛星デジタル放送のための放送
   番組を提供する業務の継続について

2 報告事項
(1)監査結果報告

(2)平成18年7月のCS(お客さま満足)向上活動報告

(3)「ジャワ島中部地震災害救援金」実施結果報告



議事経過

1 審議事項

(1)第1027回経営委員会付議事項について

(秘書室)
 9月12日(火)に開催される第1027回経営委員会付議事項につ
いて審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「モバイル放送株式会社が実施する衛星
デジタル放送のための放送番組を提供する業務の継続について」です。
また、報告事項としては「平成18年度後半期の国内放送番組の編成に
ついて」、「平成18年度後半期の国際放送番組の編成について」、「報道
局業務体制の再編成について」です。
 そのほか、会長報告などを予定しています。

(会 長) 原案どおり決定します。


(2)モバイル放送株式会社が実施する衛星デジタル放送のための放送
   番組を提供する業務の継続について

(総合企画室)
 モバイル放送株式会社が実施する衛星デジタル放送のための放送
 番組を提供する業務の継続について審議をお願いします。
 モバイル放送株式会社は、平成16年10月から2.6GHz帯という
新しい放送用周波数帯を用いて移動体向け衛星のデジタル有料放送サー
ビスを行っています。
 NHKは、モバイル放送株式会社の要請に応じて、放送法第9条2項
第6号の業務として、テレビジョン放送番組を有償で提供しています。
平成16年以来、総務省から1年ごとの認可を受けて番組提供をしてい
ますが、引き続き18年10月から19年9月まで提供したいと考えて
います。
 提供を行う理由については、災害時の情報伝達手段としても有効な移
動体向け衛星放送という新しい形態の放送の普及・発展に資するためで
す。
 提供する放送番組は、「おはよう日本」、「正午のニュース」、「ニ
ュース7」、「ニュースウオッチ9」等の主要ニュースと「鶴瓶の家族
に乾杯」、「ためしてガッテン」、「プロフェッショナル 仕事の流儀」、
一部の語学番組などの一般番組で1日平均8時間程度です。非常災害時
は、災害時の情報源として期待されているモバイル放送の特性に鑑みて、
要請に応じて、提供時間量にこだわらず、災害情報等の提供を積極的に
実施します。平成17年度は、非常災害等の緊急報道により放送時間の
延長を行った日が33日ありました。具体的には、地震、台風、大雪、
ロンドンのテロなどで放送延長の措置をしています。
 なお、この議案が了承されれば、経営委員会の議決を経たうえで、放
送法第9条8項の規定に基づき、総務大臣あてに認可申請を行います。

(会 長)  原案を了承し、経営委員会に諮ることとします。


2 報告事項

(1)監査結果報告

(監査室)
 東海・北陸の7放送局および九州の9放送局の監査結果の概要について
報告します。監査は6月、7月に実施しました。
 名古屋放送局は、18年度、金曜午後8時台に新設した「金とく」で、
中部7県の地域の課題を取り上げるリポートやスタジオバラエティー、
ドラマなど多様な番組を編成しています。
 午後6時10分からの「ほっとイブニング」は、引き続き、同時間帯
で最も高い視聴率を維持し、「安全・安心」を年間テーマに、毎週水曜日
にシリーズで放送しています。子供の登下校の安全確保や医師と看護師
の不足問題を考えるリポートなどに多くの反響がありました。
 緊急報道・災害報道については、たとえば、東海、東南海、南海の3
つの地震が連動して起きる可能性を想定し、東海地震と東南海地震のマ
ニュアルの全面的な見直しを進めています。また、災害時には、より広
域の応援体制が必要になるため、北陸3局と連携して動員計画を整備す
るなどしています。
 また、17年度後半から、「NHK新生プラン」を受けて、番組や公開
イベントと営業活動を連動させた「名古屋アクションプログラム(NA
P)」に取り組み、信頼回復活動と営業業績の確保に努めました。
 たとえば、17年10月には、小牧市で「ほっとイブニング」の公開放
送や「BS日本のうた」の公開録画、名古屋放送局制作のハイビジョン
ドラマ「父に奏でるメロディ」の試写会、中継車公開、アナウンサーの
講演などを1か月以上にわたって行い、地元のみなさんからも好評をい
ただきました。
 このほか、若者との接触を深める試みとして、地元大学生12人と定
期的なミーティングを8回実施、「NHKは良い仕事をしているのに、
PRが下手」「最初は文句の一つも言おうと参加したが、今ではNHKが
好きになった」などの意見をいただきました。
 金沢放送局では、18年度、夕方の地域情報番組を刷新して、より情
報性を高め一日の出来事を分かりやすく伝える「デジタル百万石」をス
タートさせています。4月には、“人口減少”をテーマに集落が消滅しか
ねない能登の現状や、定住促進を図る行政の取り組みを3回シリーズで
伝えました。この問題については、金曜夜8時に新設した「金とく」でも
放送し、好評でした。
 地上デジタル放送は18年7月1日に開始しましたが、データ放送で、
県が推進する子育て支援策を基にした“いしかわちゃいるど”や“デジ
タル百万石情報”など、視聴者に役立つ情報を提供しています。
 静岡放送局は、17年度、地上デジタル放送の開始を機に、記念番組
「富士山」を年間取材し、夕方6時台の地域放送番組「たっぷり静岡」
で毎月放送したほか、「ハイビジョン特集」や「プレミアム10」など
で全国発信しました。
 18年度、夕方5時30分から6時まで、全国で初めて定時でのマル
チ編成を行い、メインチャンネルは首都圏、サブチャンネルは東海・北
陸の地域情報番組を放送し、静岡の情報は両方に提供しており、東京、
名古屋のどちらでも、視聴者が自由に選ぶことができるようになってい
ます。この新しい試みを、番組スポットや「ふれあいミーティング」な
どを通してPRしています。
 緊急報道・災害報道については、たとえば、「たっぷり静岡」で、毎週
火曜日に“東海地震に備える”というコーナーを設け、ラジオ第1でも
「地震一口メモ」を1日3回放送して日常の備えを呼びかけています。
 福井放送局では、地上デジタル放送を今年の5月1日に開始しました
が、データ放送では、防災情報や自治体の情報に加えて、福井県は国内
で最も多く恐竜の化石が発掘されていることから、県立恐竜博物館の協
力で「恐竜のしっぽ」という独自コンテンツを開発し、クイズ形式で恐
竜について楽しく学べるよう工夫しており、好評です。
 また、日本海沿岸で大きな漁業被害を与えた「エチゼンクラゲ」を長
期取材し、17年秋、「NHKスペシャル」などで発生メカニズムに迫り
大きな反響を得ました。
 富山放送局は、17年度、地域の将来や課題を取り上げた特集番組と
して好評を得た「富山のこれから」を、18年度は、金曜午後8時から
の「金とく」で年間6本程度放送することにしています。
 また、18年度、これまでの視聴者会議に変えて、富山大学長や北陸
銀行頭取など県内の有識者6人による「放送懇談会」をスタートさせ、
ご意見などをうかがっています。「放送懇談会」は年3回開催します。
 津放送局は、17年度後半から、夕方の「ほっとイブニングみえ」の
放送開始時間を6時30分に固定し、番組の定着を図っています。また、
平成18年度、午後8時45分のニュース枠の、最後の5分間を県域放
送とし、「ほっとイブニングみえ」を見ることができないサラリーマン層
に県内のその日のニュースを伝えるとともに、視聴者から強い要望があ
った、隣接する関西圏を含めたきめ細かい気象情報を提供しています。
 全国発信としては、平成25年の第62回式年遷宮に向けて準備が始
まった伊勢神宮のさまざまな行事を紹介した「ハイビジョン特集 伊勢
神宮」などを放送しています。なお、8年間にわたる式年遷宮の行事は、
今後もハイビジョンで記録し、随時放送していく予定です。
 岐阜放送局も、津放送局と同様に、17年度後半期から午後6時台「ほ
っとイブニング」の県域枠を6時30分からと定時化し、18年度は午
後8時55分から5分間のニュースを新設するなど、県域放送の充実に
努めています。今年の7月5日に発覚した岐阜県庁の裏金問題について
は、取材班が集中的に取り組み、県域での放送のほか、全国発信なども
積極的に行っています。
 また、地上デジタル放送の視聴可能世帯は46万世帯で、カバー率は
68%です。電波が届かない山間部への対策として、“無線共聴システ
ム”の実証実験に取り組んでいます。
 続いて、コンプライアンス活動と適正経理の取り組みについて報告し
ます。
 名古屋放送局では、タクシー券の適正使用、マイカー使用と勤務の整
合性、番組委嘱料の処理など、各部が点検項目や対象者を設定し、経理
処理が適正に行われているか、証ひょう類を点検して、結果を月1回程
度、局会で報告し、問題点や課題を共有しています。福井放送局では、
金券類による謝礼を廃止するとともに印鑑の施錠等による適正管理に努
めるなど、管理の徹底を図っています。また、各放送局とも、公金意識
の徹底を図るなど適正経理についての研修等を行っています。
 証ひょう類の調査では、タクシー券の使用目的の記入不備などが見ら
れましたので、タクシー券の正確な記載の徹底を要望しています。出張
報告書で宿泊期間の記載が漏れている手書き領収書や出張報告書の提出
の遅延が見られましたので、改善を要望しています。
 続いて、九州地方の各放送局について報告します。
 まず、全体的に見ますと、平日夕方と金曜日の夜の地域放送を充実さ
せています。たとえば、金曜の午後7時30分から放送の「九州沖縄金
曜リポート」は、地域の課題に正面から向き合う情報番組で、17年度
は耐震強度偽装問題や在日米軍再編などを地域の視点で掘り下げて伝え
ています。また、金曜午後8時台の「九州沖縄スペシャル」は新しいス
タイルの娯楽番組の開発などに取り組み、視聴者の多様な関心に応えて
います。
 福岡放送局では、夕方の地域情報番組「情報ワイド 福岡いちばん星」
を、午後4時5分から7時まで放送し、公開スタジオや中継を活用し開
かれた番組づくりに努め、視聴者のみなさんからも好評です。
 また、17年度、福岡発地域ドラマの第4作「いつか逢(あ)う街」
を飯塚市を中心に地域の協力を得てハイビジョンでロケを実施し、
「450人もの地元エキストラが一体となった劇場シーンは圧巻だっ
た」など視聴者からは好意的な意見が多くありました。18年度も、地
域ドラマの5作目を制作する予定です。
 このほか、業務改革として、割引率の高いタクシー会社の利用などを
推進して、自動車料の大幅な節減につなげています。
 北九州放送局は、午後6時10分からの「ニュースシャトル北九州」
で、「新北九州空港」の開港や、北九州市を中心にした北部九州の自動車
生産台数が100万台を超えた地域活性化の動きなどを取り上げていま
す。
 また、17年度秋から北九州単域番組「北九州スペシャル」を随時放
送し、汚染から再生した「洞海湾」の環境浄化の取り組みなどを放送し
ています。いずれも地域番組から全国発信に向けて取り組んでいます。 
 熊本放送局は、18年度、夕方の地域情報番組「ひのくにYOU」を
20分短縮して午後5時30分からに改めました。この番組のなかで、
国の公式確認から50年を迎えた「水俣病問題」を毎週“水俣病証言録”
のコーナーで伝えるなど、地域の課題を掘り下げて検証しています。
 長崎放送局は、17年度は、午後6時台の「もってこい長崎」で被爆
60年に最も力を入れました。今年の4月から原爆の日の8月9日まで、
毎日原爆関連の企画を放送しました。
 また、17年8月の「NHKスペシャル 終戦60年企画 赤い背中
〜原爆を背負い続けた60年」は月間ギャラクシー賞、「ラジオ特集 原
子野に生きた子どもたち」は文化庁の芸術祭優秀賞を受賞しています。 
 このほか、長崎放送局は、地上デジタル放送を今年の12月1日に開
始することにしていますが、混信対策などが難しい有明海などのアナア
ナ変更対策に技術的な支援を行い、円滑な推進に大きく貢献しています。
 鹿児島放送局は、台風や集中豪雨の多い地域であることから、“防災”
と“減災”の視点を重視して情報発信しています。17年度にヘリコプ
ターが配備され、取材の機動力が飛躍的に向上しました。また、気象予
報士が臨機応変に対応できる体制を取っているほか、自局ホームページ
に気象庁のホームページをリンクさせて、台風の最新の進路予想図を伝
えるなど、きめ細かく対応しています。
 18年12月1日の地上デジタル放送開始にあわせ、新放送会館がオ
ープンします。市街地の中心部に近いという立地条件を最大限に生かし、
「地域に開かれた放送局」を目指しています。
 宮崎放送局は、地域情報番組「いっちゃがワイド」を18年度も午後
5時10分から7時まで放送しています。5時台のコーナー“ようこそ
金婚さん”では、夫から妻への感謝の思いを手紙形式で読み上げる
“50年目のラブレター”に、幅広い年齢層から「感動した」「涙がこぼ
れた」といった反響が寄せられています。
 また、17年9月の台風14号被害を教訓に、防災意識を高めるため
の検証番組を放送しました。台風の被害の多かった椎葉村で、17年
12月、「椎葉あったかふれあいデー」を開催し、落語や義経展などのイ
ベントが復旧に追われる村民に喜ばれました。「ゆく年くる年」でも椎葉
村から中継し、新しい年に期待を寄せる村民の姿を全国に紹介しました。 
 大分放送局は、18年度、夕方2時間の「オアシスTVおおいた」を
継続し、生活に密着した課題を積極的に取り上げています。このなかで、
17年度の連続テレビ小説「風のハルカ」で紹介した郷土料理の歴史や
作り方を地元の出演者が説明し、実演するコーナーも設けています。
 また、大分合同新聞社との共同企画は6年目を迎え、18年度は、大
分大学も参加して、防災をテーマにした「明日を守る」のシンポジウム
を年3回開催し、県域で放送することにしています。
 佐賀放送局は、夕方5時、6時台に放送している地域情報番組「とれた
て!さがん情報市」で、JR佐賀駅構内のロボットカメラを使った中継
“聞かせて!駅マイク”で県民にインタビューを行うなど“視聴者参加”
“地域密着”を積極的に実践しています。なかでも、17年度、午後6
時台の年間シリーズ「干潟を見つめて」(月1回)は有明海の自然をハイ
ビジョン映像で描いて視聴者から好評でした。18年度は、佐賀平野を
縦横に走るクリークを舞台に「さが 水の旅」をシリーズで放送していま
す。
 沖縄放送局では、17年度、ニュースの全国発信が“終戦60年”関
連企画などで、過去最高の461回となりました。17年6月に放送し
た「NHKスペシャル 沖縄 よみがえる戦場〜読谷村民2500人が
語る地上戦」は、「日本ジャーナリスト会議賞」などを受賞し、高い評
価を受けています。 
 また、昨年、沖縄戦を体験した視聴者から「体験者が描く沖縄戦」の
絵を募集し、500点余りの作品が集まり、夕方の地域情報番組の特設
コーナーで年間250回にわたって放送しました。「沖縄戦の絵」は、県
の平和祈念資料館で展覧会を2回開催し13,000人の入場者があり、
18年6月には画集を出版しました。
 今年3月には、新放送会館がオープンし、汎用スタジオを生かし、正午
前と夕方の地域情報番組を公開生放送にしています。また、部外者も利
用できるレストランや「NHKアーカイブス」のコーナーを設けるなど、
開かれた放送局の運営に努め、毎月1,000人以上が来館しています。
 最後に、コンプライアンス活動と適正経理の取り組みについて報告し
ます。
 いくつかの事例をあげますと、たとえば、福岡放送局では、総務と経
理の管理職が各部の班会に出席するなどして、公金使用の徹底をきめ細
かく進めています。長崎放送局では、放送部長が全員に1人平均30分
程度の面接を行い、NHKの経営理念、放送倫理、コンプライアンスの
徹底などについて意識の向上を図っています。宮崎放送局では、若手職
員を対象に“局長と語る会”を開き、コンプライアンス意識の高揚に努
めています。大分放送局では、局長、副局長、各ポスト長や現場のデス
クも参加する毎日の「大分局朝連絡会」などを通じて、費用対効果を考
えた経費支出の必要性など、公金意識の徹底を図っています。
 証ひょう類の調査では、出張報告書の提出の遅延などが見られました
ので、遅延の防止など改善を強く要望しています。

(会 長)  各放送局独自の適正経理の取り組みなど、役立つ方法は
      全国の放送局で導入するように監査室で指導してください。
(監査室)  監査結果報告については、理事会で報告した後、全国の
      担当者にそのエッセンスを伝えています。各放送局にコン 
      プライアンス活動と適正経理の取り組みをより強く伝えて
      いきたいと思います。
(金田理事) 監査室が指摘している細かい事項なども含めて、役員も
      積極的にコミットして、現場に対し指示をしていかなくて
      はいけないと思います。ただ、指摘事項がゼロになるよう
      指示をしつつも、相矛盾するような話ですが、不適正な事
      例が完全になくなるというのはなかなか難しいと思います。 
      そうした問題が出てくるのを怖がってしまうことはかえっ
      て良くないと思います。必要なのは問題を常に解決する仕
      組みを考えていくことだと思います。


(2)平成18年7月のCS(お客さま満足)向上活動報告

(視聴者サービス局)
平成18年7月のCS向上活動について報告します。
 7月は、ふれあいミーティングを全国で150回実施し、参加者は
2,839人でした。昨年同月と比べると、回数・参加人数とも少し減
少しています。
 次に、主なふれあいミーティングの実施事例を報告します。
 本部では、「謎のホームページ サラリーマンNEO」の番組をテーマ
にしたミーティングや「ぐ〜チョコランタン小劇場」の当選者に呼びか
けて実施するなどしています。また、地域放送局では、宇都宮放送局で、
「鎌田實 いのちの対話」のラジオの公開生放送にあわせて、町長、教
育長などの方々と実施するなどしています。
 視聴者コールセンターで受け付けた7月の視聴者意向の件数は
102,315件でした。
 次に、視聴者のみなさまの声などを生かして改善を行った件数は、7月
は本部で4件、地方で22件、合わせて26件でした。
 本部の改善実施事例を報告します。
 7月5日に放送された「W杯サッカー・準決勝イタリア対ドイツ戦」
が、北朝鮮ミサイル関連ニュースのために、延長戦を教育テレビにう回
して放送しました。大会屈指の好カードであり、早朝の放送だったので、
ビデオ録画して見ようとした視聴者のみなさんが多く、「一番良いとこ
ろが録れなかった」、「延長部分だけでもなんとか再放送してほしい」、と
いう要望が多く届きました。それに対して、すぐに再放送することを翌々
日の7日に公表し、7月13日午前1時35分から再放送しました。ま
た、民放が放送した準決勝「ポルトガル対フランス」戦、決勝「イタリ
ア対フランス」戦の再放送も総合テレビで実施し、視聴者から感謝の声
を多くいただきました。
 また、「データ放送」の気象情報を改善しました。これまで台風・大雨
情報については、「台風情報」もしくは「大雨情報」のいずれか一方しか
出せない仕組みでしたが、今年7月の台風3号の時など、視聴者のみな
さんから「沖縄では台風情報を」、「九州では大雨情報を」きめ細かく見
られるようにしてほしいとの要望を受けて、緊急に改修を行い、3日間
で完成させ放送しました。これにより、「台風情報+大雨情報」や「大雨
情報+台風広域」など台風と大雨の双方に対応したきめ細かい情報を出
すことが可能になりました。
 それから水難事故防止に関する事例です。
 水の事故に関するニュースで全国の死亡者数、不明者数の集計を伝え
ていますが、視聴者から、数を報道することもニュースとして大事だけ
れども、それよりも、海や川の危険性、あるいは事故防止の観点から伝
えることも大事だというメールを7月末にいただきました。7月末の週
末2日間で、水の事故による多くの死者・不明者が出たこともあり、週
末を前にした8月4日(金)「ニュース7」では、海の場合は離岸流(海
岸から海に向かって流れる急な流れ)、川の場合は川底の複雑な流れや深
みの危険性について特集して説明、その対処方法も紹介しながら注意を
呼びかけました。メールをいただいた方にはお礼のメールを返信してい
ます。
 それから、首都圏で実施している公開番組の抽選結果のご連絡ハガキ
に関してです。
 公開番組の応募者で、抽選でもれた方には、抽選結果の連絡という形
で落選のお知らせをしています。このハガキに展覧会などの割引券を印
刷することにしました。これを切り離して利用することで入場料を10
0円割引するサービスを7月の首都圏発送分で実施しました。現在、割
引券を印刷しているのは「世界の巨大恐竜博2006」で、9月からは
「NHK日曜美術館30年展」を予定しています。
 次に、地方での改善実施事例です。
 広島放送局では、7月23日、高校野球の県大会の中継のため、ET
Vアニメ「ぜんまいざむらい」のスペシャル版「大盛り!ぜんまいざむら
いざんまい」を休止としたところ、視聴者から「親子で楽しみにしてい
たのでガッカリ」との意見が、当日だけで18件寄せられました。これを
受けまして、急遽VTRを取り寄せ、7月25日、29日に広島県域で
放送しました。連絡のとれる視聴者のみなさんには放送のご案内をしま
した。
 続いて、各局の「満足度向上」の取り組みについて報告します。
 鹿児島放送局では、鹿児島県北部豪雨災害の対応をきめ細かく行いま
した。放送のほかに、鹿児島局災害ホームページでは、7月22日から
34時間で134回の更新を行い、76万件のヒット数がありました。
被災後の対応としても、夕方の地域情報番組のなかで、6回シリーズで
被災した自動車の取り扱い、住宅の復旧、農産物の被害対策など具体的
に役立つ情報をきめ細かく伝えました。また、防災の専門家を呼び、災
害の検証やさまざまな取り組みをまとめる番組も放送しました。
 7月に特に好評な意見が集中した番組は、NHKスペシャルの「ワー
キングプア〜働いても働いても豊かになれない〜」(7月23日放送)、
「恐竜VSほ乳類・1億5千万年の戦い」(7月16日、17日放送)、
「危機と闘う・テクノクライシス」(7月9日〜11日放送)、クローズ
アップ現代「“職場”を去る障害者〜自立支援法の波紋〜」(7月3日放
送)、生活ほっとモーニング「シリーズ医療難民(1)〜行き場のない患
者たち〜」(7月4日放送)、「新展開!むちうち治療」(7月12日放
送)、土曜ドラマ「人生はフルコース」(7月8日ほか放送)などとなっ
ています。特に「ワーキングプア〜働いても働いても豊かになれない〜」
については893件の反響があり、17年度〜18年度を通じNHKス
ペシャルで最多の反響をいただいています。
 一方、きびしい意見が集中した番組等は、ハイビジョン中継「世界遺
産フランス縦断の旅」などです。再放送希望も561件と7月で一番多
くあり、「楽しく見た」というご意見もいただいたのですが、昨年のイタ
リアの中継と比較して、「人よりももっと景色が見たい」、「話の内容に
深みがない」というような厳しい意見が寄せられました。

(会 長)  水難事故防止については、視聴者のみなさんが本当に必
      要とする情報にすばやく応えたという点でCS(お客さま
      満足)向上のための改善策がより深まったように思います。
      視聴者の目線を大切にし、改善すべき点は迅速に改善して
      ください。


(3)「ジャワ島中部地震災害救援金」実施結果報告

(視聴者サービス局)
 「ジャワ島中部地震災害救援金」の実施結果について報告します。
 ジャワ島中部地震は、今年の5月27日、インドネシアのジャワ島中
部で発生しました。マグニチュードは6.3、死者5,800人、負傷者
30,800人以上、家屋の倒壊・損壊は127,000棟、家を失った
方は117万人にのぼりました。
 NHKは、日本赤十字社、NHK厚生文化事業団との連携を密に5月
29日より救援金の募集を開始し、6月30日まで実施しました。
 ニュースやスポットなどで募集の呼びかけをし、あわせて日本赤十字
社の口座を紹介しました。また、全国のNHKでも救援金の受付を行い、
福祉キャンペーン「NHKハート・プロジェクト」の一環として積極的
に募金活動に取り組みました。
 全国から61,617件の支援が寄せられ、救援金は総額23億円
5,253万9,233円となり、海外災害たすけあいの実績としては、
「スマトラ島沖地震救援金」、「台湾大地震災害たすけあい」、「トルコ大
地震災害たすけあい」に次いで多い金額です。
 なお救援金は、日本赤十字社を通じて、これまでの救援活動のほか、
今後の復興支援に充てられます。救援金の募集結果については、救援金
の使途とあわせて「永井多惠子のあなたとNHK」(9月3日放送)で放
送しましたが、全国の放送局のハートプラザ等で掲出するほか、NHK
ホームページでも紹介します。


上記のとおり確認した。
      平成18年 9月19日
                     会 長  橋 本 元 一   

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