放送制度等に関するNHK意見 NHK information
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「個人情報保護の法制化」に関する意見
 
 NHKは、「個人情報保護の法制化」に関する政府の高度情報通 信社会推進本部・個人情報保護検討部会によるヒアリングに対し、平成11年10月6日、以下の意見を提出しました。
 
 
1.公共放送の役割と財源についての基本的考え方
○報道の自由は、憲法第21条の表現の自由に由来し、取材の自由と一体不可分。
 報道機関は、この報道の自由、取材の自由を通して、国民の知る権利に応えることを最大の使命としている。

○報道の自由、取材の自由と、プライバシーの権利は、一方が他方に絶対的に優越する関係にはない。
 取材・制作現場では、知る権利に応える使命と人格権・プライバシーの保護という二つの価値の狭間で、事実の正確な把握と報道に努めている。

OECD8原則に則って考えた場合、取材や制作にさまざまな規制が加わってくる恐れが生じる。
 収集の制限の徹底は、周辺取材や裏付け取材などが困難となり、事実の正確な報道という基本的な要請に応えられなくなる懸念が生ずる。
 公開の原則と個人参加の原則は、情報提供者との信頼関係を損なう恐れや、取材源秘匿との問題、取材制作過程への不当な干渉・介入への懸念が生ずる。
 こうした原則を法制化してマスメディアに適用することは、マスメディアの表現の自由、しかも表現内容そのものへの法的規制を承認することにつながりかねない。マスメディアに対する個人情報保護の法的義務化は、慎重のうえにも慎重であるべきである。

○仮に個人情報の包括的保護法を制定し、ジャーナリズム目的を適用除外とする方法を取った場合でも、「ジャーナリズム目的」に該当するか否かの判断を誰が行うのかという大きな問題が残される。
 公権力による判断に委ねる事態は、表現の自由、そしてそのことからもたらされる多様な情報の自由な流通 という公共の利益にとって致命的な影響が出かねない。

○報道の自由、取材の自由と個人情報保護との調和・均衡は、国民とマスメディア自身によって自律的に実現されることが望ましい。
 両者の価値が衝突した場合の比較衡量は、あくまで個々の事案に即して判断すべきである。

○NHKとしては、放送に対する視聴者・国民の信頼を得るため、何者にも侵されない自主的・自律的な姿勢を堅持して、取材・制作過程を適正に保つことに努めたい。
 
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