放送制度等に関するNHK意見 NHK information
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「アナログ方式による高精細度テレビジョン放送の今後について」に関する意見
 
 NHKは、「アナログ方式による高精細度テレビジョン放送の今後について」に関する郵政省の意見募集に対し、平成10年11月5日、以下の意見を提出しました
 
 
1 現在の実用化試験放送局の免許の有効期限(平成12年7月22日まで)以降における放送について
(1)現在のアナログ方式による高精細度テレビジョン放送について協会としての継続する意思の有無
回答)・継続する意思がある。
理由)
・テレビジョン放送の高画質化・ワイド化に対しては視聴者の強い期待があり、現在、ハイビジョン受信機の累計出荷台数は約70万台、M−Nコンバーター内蔵のワイドテレビを含むハイビジョン放送受信可能な受信機の累計出荷台数は約160万台にのぼっている。こうした受信機の普及は今後さらに増加し、平成12年(2000年)に予定されているBSデジタル放送開始時点での、ハイビジョン放送受信可能な受信機の累計出荷台数は200万台を大きく超えているものと予想される。
・NHKは、これまでもハイビジョン放送の普及に先導的役割を担い、現在では毎週83時間(全放送時間119時間の約70%)の放送を実施しているが、現在の免許期限以降も、こうした視聴者の期待に応え、これまでと同等以上のサービスを継続していくことが必要であると考えている。
・なお、後述するように、NHKはBS−4後発機を利用してデジタルハイビジョン放送を実施し、デジタル技術の特性を生かした高品質で高度な放送サービスを先導的に提供していきたいと考えているが、デジタル放送への移行期においても、アナログハイビジョン放送を継続することはNHKの責務であると考えている。

(2)継続する場合、
 ア 実用化試験放送の継続、本放送化のどちらを希望するか
回答)・本放送化を希望する。
理由)
・実用化試験局は実用に移す目的で開設する試験局である。したがって、実用化試験放送は本放送化を前提とする試験放送と理解している。アナログハイビジョン放送は、平成6年に実用化試験放送を開始してからすでに4年が経過しており、今年7月の再免許でさらに2年間実用化試験放送のまま継続することとなったが、実態的には、番組制作ノウハウの蓄積、取材・制作から送出にいたるまでの各種機器の開発状況など、ソフト面 ・ハード面のいずれをとっても一定の開発段階を終え、本放送化の準備はできていると考えている。
・また、平成8年4月、BS−4後発機のあり方について電波監理審議会に諮問が行われた際、郵政省としてハイビジョン実用化試験放送の本放送化への条件整備についても検討することが明らかにされた。これを受けてNHKも民放、メーカー、流通 業界等と協力してハイビジョン放送の充実、普及促進に一層努力してきたところである。
・なお、アナログハイビジョン放送は、デジタル放送への移行に伴い将来は終了することになるが、デジタル放送への移行には一定の期間を要すること、またアナログハイビジョン受信機はアダプターを付けることにより簡便にデジタルハイビジョン放送に対応でき、デジタル放送への円滑な移行につながるものであることから、デジタル放送への移行とアナログハイビジョン放送の本放送化とは矛盾しないと考えている。

 イ 現在のような時分割方式での複数主体による放送を希望するか 回答)・どちらでもよい。 理由) ・アナログハイビジョン放送については、これまで1チャンネルという限られたチャンネルを活用してNHKを含む複数主体が放送を実施し、ハイビジョン放送の受信の普及に努めてきた。デジタル放送への移行期にあっても、受信者のデジタル放送への移行が十分に進展するまでの間は、これまで普及を担ってきた複数主体が放送を継続することによってアナログハイビジョン放送のサービスの継続性を確保し、その受信者の期待に応えることが望ましいと考える。 ・しかし、複数主体による放送が行われない場合においても、NHKは単独で放送を実施し、受信者に対する責任を果 たしていく考えである。

 ウ BS−4後発機においてデジタル方式による同一の放送(サイマル放送)を行う意思の有無 回答)・アナログハイビジョン放送とデジタルハイビジョン放送の関係については3の回答参照。

 エ 現在までに得られた具体的な成果の内容及び継続することにより今後期待される具体的な成果 の内容 回答) 1.現在までに得られた具体的な成果の内容
・世界で初めて高画質・ワイド画面のハイビジョン放送を実施したことにより、それまでにない全く新しい放送文化を実現するとともに、将来のテレビが目指す一つの方向を世界に示した。さらに、例えばアメリカの地上波テレビジョン放送のデジタル化にあたっては高精細度放送が行われる方向で準備が進められているなど、ハイビジョン放送によって蓄積されてきたノウハウは世界的に新たな放送文化の創造に貢献している。
・平成6年度に1日平均10時間の放送でスタートしたハイビジョン実用化試験放送は、番組制作能力の向上とともに着実に放送時間を拡大し、現在は1日17時間(うちNHKは11時間)の放送を実施している。
・放送内容については、阪神淡路大震災の場合のような災害報道から、国内外の自然・紀行番組、コンサート中継をはじめとする音楽番組、アトランタオリンピック、長野オリンピック、ワールドカップサッカーのようなスポーツイベントに至るまで、高画質・ワイド画面 のハイビジョンの特性を生かした放送は視聴者の好評を博してきたほか、今後、スペースシャトルからの映像も放送する予定である。
・設備・機材面においては、VTR一体型カメラの開発・実用化や中継車の整備などが進展し、現行標準テレビジョン放送とほとんど変わらない、機動的な取材、番組制作が可能となってきた。
・受信機の面においても、ハイビジョンの高画質を生かすことを目的とする、従来とは全く異なる薄型で大画面 のテレビジョン受信機の開発・実用化に大きな役割を果たしてきた。
・ハイビジョン受信機の普及は、アダプターにより簡便にデジタルハイビジョン放送に移行できる基盤を形成した。
・こうした普及の進展、ソフト面・ハード面の発展のすべてが、今後、デジタルハイビジョン放送を推進していく基盤となっている。

 
 
2.今後期待される具体的な成果の内容
平成12年に予定されているBSデジタル放送開始時点で200万件を大きく超えていると予想されるハイビジョン放送受信者がデジタル放送の受信に移行していくまでの間、その期待に応えること。

(3)継続しない場合(略)
2 BS−4先発機におけるアナログ方式による高精細度テレビジョン放送の終了時期として協会が適切と考える時期
回答)・アナログハイビジョン放送の受信者のデジタル放送への移行が十分進展した段階。
理由)
・BSデジタル放送全体の具体的なサービス内容や普及見通しが不透明な現段階で、アナログハイビジョン放送の終了時期を具体的に示すことはできない。
・終了時期については、アナログハイビジョン放送の受信者のデジタル放送への移行の進展状況を勘案しながら検討していくことになる。

3 協会におけるデジタル方式による高精細度テレビジョン放送の実施希望(アナログ方式による放送との関係を含む。)
回答)
・デジタルハイビジョン放送の実施を希望する。
・アナログハイビジョン放送においては、デジタルハイビジョン放送と基本的に同内容の放送を行う。
理由)
・NHKはこれまで、BS放送のあり方として、ハイビジョン放送による高画質な放送を提供することを希求してきた。
・NHKとしては、BS−4後発機の時代において、これまで蓄積してきたハイビジョン放送のノウハウを最大限に活用し、高画質・ワイド画面 でより高度なデジタルハイビジョン放送を実施することにより、デジタル放送の普及・発展に先導的役割を果 たし、他の委託放送事業者とともに新しい放送文化を創造していくためのチャンネルを確保したいと考えている。
・NHKは、このデジタルハイビジョンチャンネルをNHKのBS放送2チャンネルをデジタルハイビジョン放送に発展させていくためのチャンネルと捉えており、デジタルハイビジョン放送の普及が十分に進展した段階では、デジタル標準テレビによるチャンネルを整理し、デジタルハイビジョン放送を2チャンネルとしていく考えである。
・その場合、アナログハイビジョン放送の受信者に対して迷惑をかけず、デジタル放送への円滑な移行を図るため、デジタルハイビジョン放送と基本的に同内容の放送を実施することにより、これまでと同等以上のサービスを継続していくことがNHKの責務であると考えている。

4 BSにおいて行う協会の放送(委託放送業務を含む。)全体の時系列での実施希望
回答)
【BSデジタル放送開始時点】
・アナログ放送では、標準テレビジョン放送2チャンネルおよびハイビジョン放送を実施。
・デジタル放送では、アナログ放送と同内容の放送による標準テレビジョン放送2チャンネル、高画質・ワイド画面 でデジタル放送の特性を生かしたより高度な放送を行うハイビジョン放送1チャンネルおよびデータ放送を実施。
【BSデジタル放送の普及およびアナログ放送からデジタル放送への移行が十分に進んだ段階】
・アナログ放送は終了。
・デジタル放送では、ハイビジョン放送2チャンネルが実施可能な伝送容量によるハイビジョン中心のテレビジョン放送、およびこれに加えてデータ放送を実施。
理由)3の理由参照。

5 その他意見・要望等
・NHKはデジタルハイビジョン放送においても先導的役割を果たすべきであると考えており、BSデジタル放送においてNHKが実施するデジタルハイビジョン放送の位 置づけが早急に明確化されるよう要望する。
・BS−4後発機を利用してNHKが行うデジタルハイビジョン放送については、その魅力を十分に発揮できる伝送容量 が確保されるよう要望する。

 
 
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