II 業務総点検活動
   業務総点検活動で、海外総支局、地域放送局を含む100の部局から報告された点検項目は約6,400件でした。(8月報告)そのうち、経理処理の不正を未然に防止するためにいっそうの改善を行ったほうがよいという項目は約900件です。この900件について、業務実施細部に関わるものも含め、改善策を順次講じていきます。
     
  <業務総点検活動による主な適正化施策>
   ■ 監査室に機動的監査を担当する専任チームを設置。(8月20日設置)
   ■ 請求者本人に代わって放送料支払いの請求を行う「代理請求」の廃止。(9月14日実施)
   ■ 「放送作家等審査委員会」を置き、放送作家等の起用について事前審査制度を導入。(10月1日設置)
   ■ 外部監査法人による海外総支局の経理処理についての審査の実施。(10月から毎月実施)
   ■ 番組制作部局に経理審査を担当する管理職を新たに配置。(11月1日実施)
   ■ 所定の報告書による出張報告の一層の徹底。(11月1日実施)
     
     
III 「NHK業務点検・経理適正化委員会」
   NHKの今後の業務運営にあたっては、仕事の進め方や経理処理等をより適正なものにするとともに、不祥事の再発を防止することが欠かせません。NHKが取り組むさまざまな施策について、部外の専門家のご意見ご教示をいただくため、平成16年8月18日(水)に、会長の諮問機関として、「NHK業務点検・経理適正化委員会」(弁護士・公認会計士4名で構成)を設置しました。
 これまでに3回開催し、報告書「芸能番組制作費不正支出問題等に関する調査と適正化の取り組みについて」(9月7日公表)や「NHK倫理・行動憲章」「行動指針」(9月30日公表)に提言をいただいたり、不正経理の再発防止策や業務総点検活動の内容について助言をいただくなどしてきました。
 それらの貴重なご意見を適正化のその後の取り組みに積極的に反映させ、コンプライアンス活動を推進しています。
     
     
IV COSOフレームワークを参考にした内部統制システムの導入
   NHKでは、コンプライアンスをより実効性のあるものとするため、管理体制の抜本的な改革に取り組みます。
 特に、業務の流れそのものに不正を生み出す危険性はないのかという視点に基づき、金銭の流れと管理体制のあり方を徹底的に検証して内部管理体制・リスク管理体制を整備します。
 具体的な手法として、現在、国内外において最も有効性が高いといわれている米国基準の「COSOフレームワーク」(※)という内部統制のルールの考え方を参考にし、監査法人の協力を得ながら検証していきます。
 例えば、番組制作という業務の中で、業務の流れとこれに伴う全ての金銭の流れについて詳細に調査・分析します。その中で不正が行なわれるリスクをあらゆる段階で洗い出して分析し、リスクを防止するための仕組み・手続きを整備します。こうした徹底的な検証を通して、内部管理体制の抜本的な改革につなげていきます。
 現在、番組制作などの業務を中心に検証を進めていますが、今後、監査法人からの検証結果と改善提案を受け、NHK内部で検討のうえ、「NHK業務点検・経理適正化委員会」の諮問を経て実行に移す予定です。
     
  (※)「COSOフレームワーク」とは
   1980年代に粉飾決算が多発したアメリカにおいて、こうした流れに対処するため1985年にアメリカ公認会計士協会等を母体に「トレッドウェイ委員会組織委員会」(“Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commission”略称“COSO”)が設立された。委員長J.C.Treadway,Jr.の名前を付してトレッドウェイ委員会と呼ばれている。同委員会が不正な財務報告の原因となる要因を分析し、有効な内部統制システムのフレームワークとして構築したものが、「COSOフレームワーク」。公表されて以来各国の企業で取り入れられている。日本でも今年10月の経営統合になる「三菱UFJ」が「COSO」のルールを取り入れることを表明している。


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