2018年9月28日

前参議院副議長

平和を願う輿石さんの「あの時」のメシ

2018年9月28日

「おう、入れ」
思わず背筋が伸びる低い声。扉の奥にいるのは…

前参議院副議長の輿石東(こしいし・あずま)さん(82)です。

小学校の教員を経て、国会議員となり、旧民主党の幹事長などを歴任しました。
おととし政界を引退したあとも、東京都内に事務所を構え、子どもの教育や貧困の問題に取り組んでいます。

この日の昼食は、ご飯に、みそ汁、漬け物、なすの煮浸し。
それと、見慣れないものが2品。

イナゴと蜂の子のつくだ煮です。
戦争を経験した輿石さん、当時を思い出し、時々、食べているそうです。
「小学校2年生の時に戦争が終わってな。当時は食糧難だった上に、地元の山梨県は内陸で魚が手に入らなかった。そこで貴重な栄養源だったのが、カルシウムやタンパク質をとれるイナゴや蜂の子だ。朝早く起きて自分で捕まえてきたもんだ」

食事の前には、手をあわせて。
「はしとらば あめつちみよの おんめぐみ…」

戦時中、感謝の気持ちを忘れず食べるようにと教えられたことば。今でも覚えているそうです。

輿石さんは、イナゴを箸でつまんで、ぱくり。

蜂の子は、お皿から口にかき込みました。

お味のほうは。
「イナゴの姿は嫌かもしれないが、食べてみるとカリカリしてうまいぞ。せっかくだから、お前も食べてみろ」

ちょっと見た目に戸惑いますが、確かに、おいしいです。
ご飯にも合いますね。

当時の食事が、健康の秘けつにもなっているそうです。
「国会にいた頃は、階段の上ったり降りたりが速くて、マスコミもSPも付いていけないくらいだと言われてた。いま80歳を過ぎたけれども、『何でそんなに健康なんですか?』ってよく言われる。幼少期に貧しいなりに知恵を出して、それなりに食べてきたから、しっかりした体が作られているんだな」

今の政治家に伝えたいことを聞いてみると。
「平和な時代は、黙って得られたものじゃないってことな。そして、みんなが笑える社会を作っていくのが政治の原点だから、与野党を問わず、もっと広く社会や世界を見てもらいたいな。俺自身は、政治家ではない立場で、これからも格差や貧困を世の中から取り除く取り組みをライフワークとしてやっていくから」

平和な時代が続くよう願って食べる思い出の食事。
忘れられない味ですね。

ごちそうさまでした!