2021年1月12日

沖縄県議会議長 赤嶺昇さん

沖縄の議長さん、小腹が減ったら「私流」トースト

2021年1月12日

今回のサラめしは再び地方発!沖縄からお送りします。

那覇市の繁華街、国際通り。その近くに建つ、なんだか重厚な感じがするこのビル、沖縄県議会の議会棟です。許可をもらって中に入ってみました。

じゅうたんが敷かれていて、少し厳かな感じ。廊下を歩いていくと。クンクン、何やら香ばしい香りがします。香りの元をたどっていくと「おきなわ」と書かれたのぼりが。

部屋に入ると、男性が座っていました。沖縄県議会の議長を務める赤嶺昇さんです。
ここは県議会の会派の一つ「おきなわ」の部屋。それにしても、なぜそこからいい香りが?

なんと、部屋の片隅にはオーブントースターが。香ばしい香りの正体は温めたパンでした。

「小腹が空くといつもパンを食べています。ストックもありますよ」と赤嶺議長。
温めたパンにお気に入りの高級なバターを塗ります。

「うん。やっぱりおいしい」
パンになにかこだわりがあるんですか?
「いえ。実はパンはなんでも好きなんです。自分で買った普通の食パンだけでなく、いろいろな人からもいただくので、なんでも食べています」

そんな赤嶺さんが議長に就任したのは去年6月。
所属する会派「おきなわ」は玉城知事を支える県政与党の1つですが、3人の小所帯です。その会派から議長が選ばれたのは、関係者には衝撃的な展開でした。

というのも、多くの人が、県政与党のなかでも22人が推す社民党系の議員が、議長に選出されるものだと思っていたからなんです。

ところが野党の自民が赤嶺さんを議長に推したことで流れが一変。
48人の県議会議員のうち、自民会派の19人と公明の2人に「おきなわ」の3人、そして「無所属の会」の2人が赤嶺さんに投票。その結果、26票対22票で、赤嶺さんが議長に選出されたのです。

県政野党である自民が主導したシナリオ。それでも会派「おきなわ」は、県政与党であるという位置づけは変えていません。赤嶺議長はどのような姿勢で県政と向き合っているのでしょうか。

「議長になってからいっそう、すべては県民のためにという意識が強まった。知事を支えるのではなく、県民を支える」

知事選挙が来年に迫っていますが、どう対応するのですか、と尋ねると、
「支えてもらう知事ではなくて、県民のために一生懸命働く知事が望ましい」
と、ちょっと意味深な回答でした。

かつては玉城知事に近く、3年前の知事選挙では陣営の中枢で選挙戦に取り組んだ赤嶺さん。
ただその後、政策を巡って玉城知事との距離は少し開いたと言います。

さて、パンの話に戻りますが、赤嶺さん、バター以外にも部屋にはこだわりのオリーブオイルを常備しているそうです。パンをオリーブオイルにつけて食べれば、また別の味を楽しめるとのこと。

パンはお客さんにも出しているそうです。
「冷凍して保存しておけるので、急なお客さんにも対応できます。県外のお客さんに出すと『沖縄では客にパンを出す風習があるんですね』と言われます。そういう風習があるわけではなく、私流のおもてなしです」

その「私流」、沖縄県政の政局にも影響するのでしょうか。議会にはパンの香りだけでなく、新たな空気感も漂ってきたようです。今後の動向から目が離せません。

ごちそうさまでした!