2020年12月4日

鳥取県境港市長 伊達憲太郎さん

鳥取境港の“カニ市長”「カニ三昧ランチ」

2020年12月4日

前回に続く地方サラめし。
今回は人口3万3000人ほどの山陰の港町、鳥取県境港市です。
名物は、鮮やかな紅色が特徴の「ベニズワイガニ」です。その水揚げ量は全国の漁港でNO.1!
カニの⽔揚げが最盛期となる中、境港市役所を訪ねると、出迎えてくれたのは…

「こんにちは!」

え?カニ!?

いえいえ、この方、境港市長の伊達憲太郎さん(61)です。
境港市で生まれ育った伊達さんは市の職員のかたわら「境港ベニガニ有志の会」の一員としてベニズワイガニをPRする活動に取り組んできました。
定年退職後のことし7月の市長選挙で初当選しました。

「なかなか外で食べる機会も減っちゃったね…」

新型コロナウイルスの感染防止対策のため、大人数での昼の外食は自粛中。この日は市長室で、水産業のPRなどに取り組む担当課の職員と間隔を空けて静かなお昼ごはんが始まりました。

「これ、カニのPR活動に一緒に取り組む仲間が作ってくれたカニ料理なんだ」

この日のランチは、知り合いの料理人が、試作を兼ねて作ったというお弁当。
カニといえば定番はゆでガニ、鍋ですが、中をあけると…なんと洋風ではないですか。

カニのドリアや、バーニャカウダ、それにカニ味噌のクリームスープ、どれもおいしそう。
作った料理人によると「女性も食べやすいカニ料理」がコンセプトとのこと。

「境港のベニズワイガニは、みずみずしくて味が濃厚。安く手軽に手に入るから、いろんな料理が飲食店で出されているんだよね。きょうは取材が来るということで、料理人も張り切ったみたい。おいしいし、このドリアもなかなか食べたことがない新しい味だ」

「カニは食べるのが少し大変」というイメージがありますが、伊達さんは、カニの足から身を器用に取り出して食べています。

「カニは道具を使って食べるイメージがあるけど、こうやってカニのツメとかを使って、身を押し出すと上手に食べられる」

子どもの頃から、カニを食べてきた伊達さん。
この特産品をもっと広めるため、新たに取り組んだのがベニズワイガニを紹介する動画です。

カニの食べ方を、子どもにも伝わるように丁寧に解説しています。

「動画をつくるきっかけは新型コロナウイルス。これまでは子どもたちと一緒にテーブルを囲んで、カニの食べ方を教えてきた。だけど、それができなくなったから『何かできないかな』と思って動画をつくったんだ」

「カニって食べるのが難しいから『カニを食べるときはみんな黙る』って言うじゃない?食事する時は会話を減らすようにする、いまのご時世にぴったりの食べ物だと思っているんだ」

冗談かと思いきや、これが最近のカニの売り文句なんだそうです。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、鳥取県でも続いています。
境港市周辺の宿泊施設や飲食業へのカニの出荷は減少し、取引価格は軒並み下落。

市内でのベニズワイガニの取引価格は、ことし6月に1キロあたり204円と、去年の4分の1以下に落ち込み、関係者にとって厳しい年になっています。

「少しずつ回復してきているけど、元には戻っていない。感染対策と両立させながら、もっと地元の人や観光客にカニを味わってほしいんだよね。境港のベニズワイガニのおいしさを多くの人に知ってほしい。是非、遊びに来て、カニを食べて、そして買って帰ってほしいね」

境港からカニを全国の人たちに。
ベニズワイガニを愛してやまない“カニ市長”のランチ。

ごちそうさまでした!