2018年4月24日

外務省 国連制裁室長 青山健郎さん

元総理通訳のハンバーグステーキ

2018年4月24日

東京・霞が関、いわゆる官庁街の地下にある洋食屋。
静かで落ち着いた感じのお店でランチをとっているのは、外務省職員の青山健郎さん(53)です。スペイン語のスペシャリストの青山さん、外務省でも選ばれし者しかなれない総理大臣の通訳を5年にわたって務めました。

「普段は、外務省の隣の国土交通省や農林水産省の食堂で慌ただしく食べますが、頭の整理をしたい時やちょっと高めのランチで気分転換したい時にここに来ます」

そんな青山さんが選んだのは、看板メニューのハンバーグステーキセット、1350円。弾力のある手作りハンバーグに特製ソースがたっぷりかかり、ポテトやにんじんが添えられています。

半熟の目玉焼きの黄身をつぶして、ハンバーグにつけて食べるのが青山流です。

青山さんは90年代半ばから、橋本、小渕、森、小泉と4人の総理大臣の通訳を務めました。強烈に印象に残っているのが、1996年、南米ペルーで起きた日本大使公邸人質事件です。左翼ゲリラの武装グループが72人を人質にとり、およそ4か月にわたって立てこもり、日本でも連日生中継されました。
事件の解決に向けて、当時の橋本総理大臣とペルーのフジモリ大統領との間では、電話を含め頻繁に会談が行われました。青山さんが、総理通訳に抜擢されておよそ半年後のことだったそうです。

どんな話し合いでしたか。今なら少しは話せますか?
「20年以上経った今も、会談の内容は話せません。人質を無事に救出するための両首脳の真剣なやり取りでしたが、緊張というよりは夢中で通訳をしていました」

今月新設された国連制裁室の室長に着任した青山さん。北朝鮮情勢がめまぐるしく動く中、国連安保理決議で決められた制裁措置の履行のため、関係省庁と連携し、各国に働きかける重責を担います。
その重責を果たすため、ハンバーグの力を借りる日々はしばらく続きそうです。

ごちそうさまでした!