2019年12月27日

外務省 警備隊長 西野富昭さん

外務省名物! 元気な警備隊長メシ

2019年12月27日

「おはようございます!」

朝9時の外務省正門。

通勤する職員一人ひとりに、ひときわ大きな声で丁寧なあいさつをするのは、外務省の警備を担当して9年、警備隊長の西野富昭さん(57)です。

冷えた朝の空気に響くさわやかなあいさつ。
西野さんが率いる外務省の警備隊は、霞が関界わいでイチバンだと評判で、警備会社内で社長表彰されたこともあるんだとか。

私も外務省担当記者になって以来、西野さんのあいさつから元気をもらってきました。

そんな西野さん、自宅を出るのは、この時期まだ暗い早朝5時すぎ。

7時前には出勤し、7時半、隊員たちを集めての号令が始まります。

1日の車両の出入り予定や、警戒が必要な不審者の情報などを共有し、最後に敬礼!

ここでも西野さんの声は大きい!

その秘密は役者を目指した青春時代にありました。
高校卒業後、すぐに俳優養成所に入り、劇団で10年以上、舞台俳優を中心に活動。

その時の厳しい発声練習が今に生きているそうです。

朝が早い西野さんはランチも早め。
11時前のお昼のひとときにお邪魔しました。

この日のランチは、コンビニのアジフライ弁当、税込み498円。

健康を意識して、お茶のほかに野菜ジュースも。

「昼はもっぱらコンビニなどで買うんですが、夜もラーメンとかレトルト食品とか牛丼をローテーションしてるもんですから、おかずの弁当が恋しかったりするんですよね」

そう語る西野さん。さみしい夕食にはワケがありました。

おととし11月、最愛の妻が他界。

突然の死を受け止めきれず、西野さんも体調を崩してしまいました。

周囲の環境にうまく適応できなくなる「適応障害」という病で、半年近く、外務省の警備を離れざるを得なくなりました。

療養中に、西野さんのもとに届いたのは、外務省の職員たちからのメッセージ。
「西野さんの明るいあいさつと笑顔に元気をもらっていました」
「早く戻ってきてください」

その温かい励ましが復帰を大きく後押ししてくれました。

「会社も隊員たちもすごく支えてくれましたし、大好きな警備の仕事まで失いたくなかったんです。僕のあいさつで元気をもらってるって言ってくださる職員さんがいてくれるんですが、本当は僕が、元気をもらってるんです」

「警備という仕事は、賃金が高いわけではないかもしれないが、自分たちの値打ちを上げるのは自分たちしかいない。誰も助けてくれない。自分が選んだ仕事はちゃんとやる。プロフェッショナルな集団でありたいと心がけている。まだまだ道半ばなんですがね」

そんな西野さん、夜はさすがに疲れて、⼣飯は簡単に済ませがち。
だからこそ、おかずがしっかりついたお弁当をランチでは食べたくなる。

「タルタルが好きで、エビフライとかにも最高ですよね。よく妻が手料理をふるまってくれまして、カレーや洋食が思い出の味。パスタは麺から手作りしてくれたりもしましたね」

しみじみと語る西野さんが選んだコンビニのアジフライ弁当には、亡き妻との思い出がほんのりとにじみ出ていました。

大きな声のあいさつで周囲を力づける西野隊長の元気の源。

ごちそうさまでした!