2019年9月17日

総務省 自治大学校長 佐々木浩さん

地方行政の担い手育む食堂ランチ

2019年9月17日

永田町からおよそ40キロ離れた東京・立川市にある総務省の自治大学校。

その中に、大きな窓に囲まれた、明るい円形の食堂があります。

そこでランチの出来上がりを待っているのは、ことし7月に校長に就任した佐々木浩さんです。

ひとしきり悩んでいたようですが、注文したのは冷やしきつねたぬきそば、490円。
天かすに油揚げ、それにわかめの乗ったおそばです。

この自治大学校、何と敷地の広さは約5万平方メートル。全国各地の地方公務員が集う、日本唯一の研修機関なんです。

敷地が広いだけに、佐々木さんの昼食はほとんど、校内で唯一のこの食堂とのこと。

昭和60年に当時の自治省に入省した佐々木さん。沖縄県庁への出向や、鹿児島県の副知事を務めた経験もあり、地方行政にも長年携わってきました。

佐々木さん、自治大学校の意義って何ですか。
「一番は、地方公務員のみなさんのレベルを上げること。それによって、より質の高い住民サービスを提供していきたいですね」

研修生は全国から集まってくるため、学校は全寮制。研修中は泊まり込みで24時間いっしょに過ごします。研修コースの中には4か月にも及ぶものもあります。

取材に訪れた日は、女性公務員向けの研修が行われていました。

本題の「冷やしきつねたぬきそば」に戻りましょう。
「カロリーが最も少ないという確信のもとに注文しています」とのこと。

佐々木さん、カロリー以上に気を配っているのが部下とのコミュニケーション。日頃から職場の部下たちとテーブルを囲んで、ランチをしながらの会話を楽しんでいます。

部下たちの中には自治大学校の職員だけでなく、研修の一環として自治大学校で業務にあたっている地方公務員もいるんだそうです。佐々木さんのまわりでランチを食べる10人ほどの中で、地方公務員の人に手を挙げてもらうと。およそ半分が地方公務員のみなさんでした。

長崎県から研修に来ている五通元気さんに佐々木さんの印象を聞いてみました。

「僕たちのようなかなり年下の者にも気さくに話をしてくれます。長崎県庁だったら知事や副知事と毎日ランチしているようなものですよね。とても考えられないです」

この食堂では、全国各地から来た研修生が地元の特産物を持ち寄って懇親会を開いたり、卒業式にあわせてパーティーも行われたりするそうです。寝食をともにするからこそ深まる絆。佐々木さんは、それこそが座学の研修で学ぶこと以上に大切なんだと話してくれました。

「24時間いっしょにいれば当然、お互いに親しくなります。こうして得られた仲間やネットワークこそが貴重な財産です。研修を受けた地方公務員のみなさんが、自治大学校に来てよかったと思えるように頑張っていきたいと思います」

昭和28年設立の自治大学校をこれまでに巣立ったのは6万人余りに上り、全国の現場で活躍しています。地元の役所を訪れた時には、「この人はもしかしたら卒業生かな?」などと想像を巡らせてみようかなと思います。

ごちそうさまでした!