Jアラート 与野党から指摘「検証を」「おおかみ少年に」

4月13日の北朝鮮の弾道ミサイルの発射をめぐり、政府は北海道周辺を対象にJアラートを出しましたが、その後、訂正情報を発表しました。与野党からは、国民に混乱が生じたとして検証や改善の必要性を指摘する声があり、政府は今後、対応を求められることになりそうです。

13日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射をめぐっては、政府は当初、北海道周辺に落下するおそれがあるとして、Jアラート=全国瞬時警報システムを出し、住民に避難などを呼びかけましたが、その後、訂正情報を発表しました。

この経緯について政府関係者は、「ミサイルは探知後にレーダーから消失したものの、限られた情報の中、システム上で北海道周辺に落下する航跡が生成されたため、国民の安全を最優先して発出を判断した。その後、落下の可能性がないことが確認され、改めて情報を提供した」と説明しています。

Jアラート なぜ発出?

今回のJアラート。発出の経緯について松野官房長官は記者会見で説明しました。

松野官房長官は記者会見で「探知の直後、北海道周辺に落下する可能性のあるものはレーダーから消失していたが、限られた探知の情報の中で、国民の安全を最優先する観点からJアラートを発出した。その後、当該ミサイルについて、わが国への飛来が確認されず、わが国領域への落下の可能性がなくなったことが確認された」と述べました。

また「Jアラート=全国瞬時警報システムの情報を訂正したということではない。Jアラートを発出したが、状況を分析した結果、わが国領土に着弾する可能性がないということで改めて情報提供をしたところだ」と述べました。

その上で「結果的に、わが国領域への落下の可能性はなくなったことが確認されたが、Jアラートの役割にかんがみれば、発出判断そのものは適切であったと考えている」と述べました。

一方で弾道ミサイルの発射をめぐって、政府は、発射から30分以上たった午前7時55分に、北海道周辺を対象にJアラート=全国瞬時警報システムで情報を発信しました。

午後の記者会見で、Jアラートの発信までに30分以上かかった経緯について「刻々と状況が変化する中で、可能なかぎり速やかに国民に対する情報提供を行ったところだ」と強調。そして、ミサイルは探知後にレーダーから消失したものの、その時点で得られていた情報で、システム上、北海道周辺に落下する航跡を示していたことから、国民の安全を最優先してJアラートの発出を判断したと重ねて説明しました。

さらに、レーダーによる探知能力について「わが国周辺での軍事活動が活発化する中、すきのない情報収集体制を構築することが不可欠だ。弾道ミサイルなどの探知・追尾能力や迎撃能力を抜本的に強化する」と述べました。

岸田首相 “判断適切”と強調

大阪市で開かれた万博会場の起工式に出席していた岸田総理大臣は「国民の安全を最優先する観点から発出し、その後、ミサイルがわが国領域に落下する可能性がなくなったことが確認されたので改めて情報提供を行った。Jアラートの役割を考えれば今回の判断は適切だったと考えている」と強調しました。

与野党から“検証を”

一連の情報発信などについて、与野党からは国民に混乱が生じたとして検証や改善の必要性を指摘する声があり、政府は今後、対応を求められることになりそうです。

自民党の安全保障調査会長を務める小野寺 元防衛大臣は党の会合で「今回のミサイルは状況を正確に把握する必要がある。もしレーダーから消失していなければ、わが国領土に本当に落ちるような弾道の軌跡があったかどうかも含めてしっかり検証してほしい」と述べました。

立憲民主党の安住国会対策委員長は、党の会合で、Jアラートを発出した政府の対応について「念には念を押すのは大事なことかもしれないが、確実性がなくなると、おおかみ少年となったり信頼性をなくしたりするのは世の常ではないか。ネット時代の発信は人々の日々の暮らしに大きな影響を与えるので、Jアラートの運用や正確性を野党としてしっかり検証していきたい」と述べました。