衛隊員が任務全う
できる環境を」安倍首相

自衛隊の観閲式で、安倍総理大臣は訓示し、「すべての自衛隊員が誇りを持って任務を全うできる環境を整えることは、今を生きる政治家の責任だ」と述べ、憲法改正で自衛隊を明記することについて、改めて意欲を示しました。

自衛隊の観閲式は、埼玉県の陸上自衛隊朝霞訓練場で行われ、安倍総理大臣が、およそ4000人の自衛隊員を前に訓示しました。

この中で、安倍総理大臣は、「今や国民の9割が、敬意をもって自衛隊を認めている。自衛隊の存在は、かつては厳しい目で見られたときもあったが、ただひたすらにその職務を全うし、まさに、諸君自身の手で信頼を勝ち得た」と述べました。

そのうえで、「次は、政治がその役割をしっかり果たしていかなければならない。すべての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整えることは、今を生きる政治家の責任だ。私はその責任をしっかり果たしていく決意だ」と述べ、憲法改正で自衛隊を明記することについて、改めて意欲を示しました。

また安倍総理大臣は、12月に新たに策定する防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」について、「宇宙やサイバーといった新たな分野で競争優位を確立できなければ、この国を守り抜くことはできない。これまでの延長線上ではない、数十年先の未来の礎となる防衛力のあるべき姿を示す」と述べました。

このあと式では、ことし3月に島しょ部の防衛のため、上陸作戦を行う専門部隊として発足した、「水陸機動団」の隊員や、水陸両用車をはじめおよそ260両が行進したほか、ことし1月から配備が始まった航空自衛隊の最新鋭の戦闘機、F35Aの飛行も披露されました。

3月に発足 水陸機動団とは

「水陸機動団」は、島しょ部の防衛を目的に、海上からの上陸作戦を専門とする陸上自衛隊の部隊として、ことし3月、新たに発足しました。

中国が海洋進出を強める中で、南西諸島の防衛態勢を強化する一環として、5年前の平成25年に部隊を新しく作る方針が示され、アメリカ海兵隊との共同訓練などを通じてノウハウを蓄積してきました。

海上からの上陸時に使うのは、アメリカ軍が湾岸戦争やイラク戦争などに投入してきた「AAV7」という水陸両用車です。船のように浅瀬を進み、そのまま上陸できる車両で、1両の値段はおよそ7億4000万円。陸上自衛隊は合わせて52両を導入する計画です。

部隊が置かれているのは長崎県佐世保市の駐屯地で、陸上自衛隊は隊員数を現在のおよそ2100人から将来的には3000人規模に増やし、南西諸島防衛の中核に位置づけたいとしています。

南西諸島の防衛態勢を強化

防衛省は、南西諸島の防衛態勢の強化を目的に、水陸機動団以外にもこの地域での部隊の増強を進めています。

おととし3月には、日本の最も西にある沖縄県の与那国島に、付近の船舶を監視する陸上自衛隊の沿岸監視部隊を発足させました。また、来年3月以降、海上の艦艇を対象とする「地対艦ミサイル」の部隊を、鹿児島県の奄美大島や沖縄県の宮古島に配備する計画になっているほか、石垣島にも配備が検討されています。

地対艦ミサイルの部隊は、ことし7月、ハワイで、訓練用ミサイルを実際に発射するアメリカ軍との共同訓練を初めて行い、海洋進出を強める中国を念頭に日米の連携を強調しました。

一方、日本と中国の両政府間では、10年にわたる協議を経て、ことし5月、海上や空での偶発的な衝突を防ぐため、緊急時などに連絡を取り合う「海空連絡メカニズム」の運用開始が合意されました。

しかし、防衛当局の幹部どうしが電話などで直接やり取りする「ホットライン」は、まだ開設されておらず、実効性を高めていていくことが課題になっています。