友問題 ごみ埋蔵量
「根拠が不十分」野党

森友学園への国有地売却をめぐり、参議院予算委員会が求めていた学園側の資料が提出されたことを受けて、理事懇談会が開かれ、野党側からは、示された資料などでは、国土交通省側が推計した深さまでごみが埋まっているという根拠として不十分だといった指摘が相次ぎました。

森友学園への国有地売却をめぐり、参議院予算委員会が求めていた学園側の資料が提出されたことを受け、11日に理事懇談会が開かれ、国土交通省から説明を受けました。

この中で、野党側からは、8億円余りの値引きの根拠となった、ごみの撤去費用に関連し、国土交通省側が、深さ3.8メートルまでごみがあると推計したことについて、「今回示された資料やこれまでの説明では、国土交通省側が推計した深さまで埋まっているという根拠として、不十分だ」といった指摘が相次ぎました。

これに対し、国土交通省の担当者は「現地調査などから、総合的に類推される」などと従来の説明をするにとどまりました。

野党側のヒアリング ごみの深さで指摘相次ぐ

森友学園への国有地売却をめぐり、立憲民主党など野党側のヒアリングが行われ、出席した議員からは、「国有地の値引きは3.8メートルの深さまでごみが埋まっていることを積算した結果であり、事実でなければ値引きの根拠が崩れる」とか、「業者が撮影した調査の写真は不鮮明で深さがわからない」といった指摘が相次ぎました。

これに対し、国土交通省の担当者は「3.8メートルという深さは、限られた時間の中で当時の使いうる資料に基づいて積み上げ、推計した」などと説明するにとどまりました。

官房長官「国会などで説明してきたこと」

菅官房長官は午後の記者会見で、記者団が「ごみが埋まっている深さは、これまでの国土交通省の説明で間違いないという認識でいいか」と質問したのに対し、「森友学園に売却した国有地の地下埋設物の見積もりについては、国会などで説明してきたことだと思っている」と述べました。

”新たなごみ”めぐる経緯

地下3メートルより深い場所から見つかったという“新たなごみ”は実際に存在していたのか。

森友学園に国有地が売却される前の平成27年、学園側は地下3メートルまでのごみを撤去する土壌改良工事を行いました。

しかし、おととし3月、学園側が「地下3メートルより深い場所から新たなごみが見つかった」などとして国有地の買い取りを打診します。

この“新たなごみ”の撤去費用について、近畿財務局は国土交通省大阪航空局に見積もりを依頼し、航空局は、校舎などを建設する場所は深さ3.8メートル、くいを打つ場所は深さ9.9メートルまでごみがあると推計しました。

そして、財務局は、撤去費用などとして8億円余り値引きして学園側に売却しました。

新たに見つかったとするごみについて、国土交通省などは、現場を試掘した工事業者が撮影した写真などを根拠としていましたが、国会では「写真は不鮮明で、この写真でなぜ値引きができるのか」などと野党側が批判し、さらに資料を提出するよう求めていました。

また、おととし3月下旬から4月にかけて財務局の職員が「(3メートルより)下にあるごみは国が知らなかった事実なので、『そこはきっちりやる必要があるでしょ』というストーリーはイメージできているんです」と発言し、それに対し、工事業者が「3メートルより下からは語弊があります。3メートルより下から出てきたかどうかはわからないですと伝えている」などと発言する音声記録の存在も明らかになっています。

会計検査院は去年11月、「3.8メートルの深さまでごみがあるなどと推定した国土交通省の値引き額の算定方法に十分な根拠を確認できない」などとする検査結果をまとめましたが、財務省の決裁文書が改ざんされていたことを受けて再検査を進め、国会に報告することにしています。

値引き根拠の資料めぐり対立

8億円余りの値引きの根拠となった深さ3.8メートルまでの“新たなごみ”。国会などに提出された資料をめぐって、国土交通省と野党側の議論は対立しています。

国土交通省は去年8月、深さ3.8メートルまでごみがあると推計したことについて、現場を試掘した工事業者が作成した写真付きの報告書を野党側に証拠として提出しました。

提出された写真や資料には、試掘現場をメジャーで測定している様子や、「深さ3m」と記載されたホワイトボードが写っているほか、「深さGLー4000(ミリ)」という記載もあります。

また、11日に提出された資料には、「H(高さ)3500(ミリ)」と書かれた試掘現場のホワイトボードの写真とともに、「3.5m以深もゴミ・ガラ混じりの粘土だった」などと記載されています。

ただ、写真からは、実際にどの深さまでごみが存在していたのかを正確にうかがい知ることはできません。

11日に行われた野党側のヒアリングで、国土交通省は、ホワイトボードの「深さ3m」という記載について、工事業者から「経験の浅い従業員が誤って書いたものだ」という回答を受けたとしたうえで、「3.8メートルという深さは、限られた時間の中で、当時の使いうる資料に基づいて積み上げ推計した」と説明しました。

一方、野党側からは「業者が撮影した調査の写真は不鮮明で、深さがわからない」といった指摘が相次ぎました。