【詳しく】通常国会召集 防衛費増額「反撃能力」各党の主張は

1月23日は第211通常国会の召集日。
この国会で政府・与党は、物価高騰への対応や防衛力の強化などに向けて、新年度予算案の早期成立を目指す方針です。
これに対し野党側は、防衛費増額に伴う政府の増税方針などを追及する構えで、冒頭から激しい論戦が展開される見通しです。

召集日の1月23日は、天皇陛下をお迎えして開会式が行われたあと、衆参両院の本会議で、岸田総理大臣による施政方針演説など政府4演説が行われます。

施政方針演説で岸田総理大臣は、子ども・子育て政策を最重要政策に位置づけ、次元の異なる少子化対策を実現することや、5年間で43兆円の防衛予算の確保を通じ、防衛力の抜本的な強化を進める方針を示すことにしています。

政府・与党は、新型コロナや物価高騰対策に備えるための費用などを盛り込んだ新年度予算案の年度内成立を図るとともに、脱炭素社会の実現に向けて原発の運転期間を実質的に延長し、最大限活用することなどを盛り込んだ法案などの成立を目指す考えです。

これに対し、野党側は、岸田政権は国会での議論を行わずに重要な政策を次々に決めていると批判を強めていて、防衛費増額に伴う増税の方針や原発の活用を含む今後のエネルギー政策などを追及する構えです。

また、2022年の臨時国会で岸田内閣の閣僚が相次いで辞任したことを受けて、政治とカネの問題や、旧統一教会と政治との関係などをただしていく方針です。

通常国会の会期は、6月21日までの150日間で、4月に統一地方選挙を控える中、通常国会は冒頭から与野党の激しい論戦が展開される見通しです。

通常国会の焦点① どうなる防衛費増額

防衛力の抜本的な強化に向けて、政府・与党は、新年度から5年間の防衛力整備の水準をこれまでの計画の1点6倍にあたる43兆円程度とするとしていて、2027年度には、防衛費と関連する経費をあわせてGDPの2%に達する11兆円の予算措置を講じる方針です。

これに対し、野党側は、▼日本維新の会が、GDPの2%の基準まで引き上げることは不可欠で、国際的な責務だとしています。

▼立憲民主党は、必要な予算を積み上げた結果として一定の増額はありえるとする一方、政府が示している43兆円程度は、数字ありきで合理性に欠けると批判しています。

▼国民民主党は、必要な防衛費は増額すべきとする一方、予算額ありきではなく、10年程度の期限を区切って徐々に増額すべきとしています。

一方、▼共産党は、大軍拡につながるとして、防衛費増額に反対しています。

▼れいわ新選組も、経済対策に最優先で取り組むべきだとして、防衛費増額には反対しています。

通常国会の焦点② 防衛費増額の財源は

防衛費増額の財源について、政府・与党は去年の年末、4分の3は歳出改革などで確保した上で、残る4分の1は、法人税、所得税、たばこ税の3つの税目で増税を行って賄うとする方針を決定しました。

ただ、自民党内には、増税への反対論も根強く、先週から、党内の特命委員会で、増税以外の財源の上積みを探る議論が始まりました。

これに対し、野党5党は、防衛費増額に伴う政府の増税方針は、国会の審議を経ずに決定されたもので容認できないと反発していて、安易な増税には反対することで一致しています。

通常国会の焦点③ 「反撃能力」の議論は

政府・与党は、迎撃によるいまのミサイル防衛だけで敵の弾道ミサイル攻撃などに対応することは難しくなっているとして、発射基地などをたたく「反撃能力」の保有を打ち出しています。

これに対し、野党側は▼日本維新の会が、侵略を受けた場合に敵対国を直接攻撃する能力を保有することは、一定の条件のもとで認められるのが当然だとして、保有すべきとしています。

▼国民民主党は、安全保障環境が厳しさを増す中、アメリカに依存してきた打撃力が十分に期待できる状況ではないとして、保持するとしています。

▼立憲民主党は、憲法に基づく専守防衛と適合するものにかぎり、反撃能力を保有することは否定していませんが、政府が示す「反撃能力」は、日本への攻撃着手の判断が現実的に困難で「先制攻撃」となるリスクが大きいなどとして、賛同していません。

▼共産党と、▼れいわ新選組は、専守防衛の変更につながるものだとして、反対しています。