秋葉復興大臣 事実上の更迭か 杉田水脈総務政務官も辞表提出

秋葉復興相 岸田首相に辞表提出 事実上の更迭か

政治資金をめぐる問題などが明らかになっている秋葉復興大臣は、来年の通常国会の審議に影響が及ぶのは避けたいとして、岸田総理大臣に辞表を提出しました。事実上の更迭とみられます。

秋葉大臣は、12月27日午後1時前から総理大臣官邸で岸田総理大臣と面会しました。

このあと秋葉大臣は記者団に対し、みずからの政治資金をめぐる問題などについて「先の臨時国会でさまざまな指摘を数多くいただき、謙虚に受け止めていかなければならないと思っている一方、私自身に関することは違法性は何ひとつなかった」と述べました。

その一方で「いよいよ年末になって来年の通常国会を控え、来年度予算案の審議や法案審議を停滞させてはならないことを第一に考え、重い決断だが、岸田総理大臣に辞表を提出し、受理して頂いた」と述べました。

また「中途半端な結果になったことは残念だが、4か月あまりの間に着実に復興を前進させてきた。まだまだ途上にあるという認識で、被災地に良くなってきたと実感してもらえるようにしていきたい」と述べました。

秋葉大臣は、衆議院比例代表・東北ブロック選出の当選7回で60歳。

ことし8月の内閣改造で初めて入閣しました。

岸田内閣の閣僚の辞任は、10月以降、これで4人目となり、野党側は、来年の通常国会で岸田総理大臣の任命責任を追及する方針で、一段と厳しい政権運営を迫られることになりそうです。

被災地でもある地元の有権者は

秋葉復興大臣が27日、岸田総理大臣に辞表を提出し、受理されたことについて、東日本大震災の被災地でもある地元の有権者に聞きました。

仙台市若林区に住む70代の女性は「地元の国会議員が復興大臣ということで期待は大きかったが、いろいろな疑惑が出て辞任となり、がっかりした。本人には、疑惑の説明責任をしっかりと果たしてほしい」と話していました。

また、70代の男性は「長続きすればいいなと思っていたが、任期中に何をしていたのかよくわからなかった。地域のためにやるという姿勢があまり感じられなかったので、もっと真面目に一生懸命やる人が大臣になるべきだと思う」と話していました。

杉田水脈 総務政務官が辞表提出 「信念貫きたいが総合的判断」

性犯罪をめぐる発言や性的マイノリティーの人たちをめぐる差別的な表現が批判を受けた杉田水脈総務政務官は「内閣の一員として迷惑をかけたくない」として、政務官の辞表を松本総務大臣に提出しました。

杉田水脈総務政務官は、過去に月刊誌の論文で「LGBTの人たちは『生産性』がない」と記したほか、みずからのブログに国連の会議に参加した時のことについて「チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場」などと掲載し、先の国会で「配慮を欠いた表現だった」と謝罪し撤回しました。

さらに、杉田政務官の、性犯罪や女性差別、それに待機児童をめぐる発言などに対しても批判が相次ぎ、野党側は通常国会でも追及する姿勢を見せていました。

こうした中、杉田政務官は「内閣の一員として迷惑をかけたくない」として、政務官の辞表を松本総務大臣に提出しました。

松本大臣は記者団に対し「与党の一員であり、政治家であるということを総合的に判断しての決断であり重く受け止め受理した」と述べました。

杉田氏は、衆議院比例代表中国ブロック選出の55歳。

平成24年の衆議院選挙に当時の日本維新の会から立候補し、比例代表近畿ブロックで初当選しました。

その後、次世代の党を経て自民党に入り、比例代表中国ブロックで当選を重ね、現在3期目です。

ことし8月の内閣改造で総務政務官に就任していました。

政府は、杉田氏の後任の総務政務官に、自民党の長谷川淳二 衆議院議員をあてる人事を内定しました。

杉田政務官「総合的に判断して辞表を提出」

辞表を提出した、杉田水脈・総務政務官は記者団に対し「先の国会で私の過去の発言などに厳しい指摘があり、一部は取り消したが、真意がなかなか理解されないのではないかということもあった。信念を貫きたいと思う一方、内閣の一員として迷惑をかけるわけにはいかないという思いもあり、総合的に判断して年末の節目に辞表を提出した」と述べました。

その上で「発言を聞いて応援してくれる支援者もたくさんいる。私を支援してくれる方々がいっぱいいるので、その方々の代弁者として、しっかり政治家として頑張っていきたい」と述べました。

秋葉氏後任に渡辺博道・元復興大臣

秋葉復興大臣の後任に起用が固まった自民党の渡辺博道・元復興大臣は、午後1時半すぎに総理大臣官邸に入り、岸田総理大臣と会談しました。

渡辺氏は、このあと記者団の取材に応じ、岸田総理大臣から、復興大臣への起用を伝えられたことを明らかにしました。

その上で「岸田総理大臣からは『経験をいかして、しっかり対応してもらいたい』と伝えられた。私自身、3年前に大臣の経験がある。被災地との信頼関係が大変重要だと思っているので、信頼される大臣でありたい」と述べました。

その上で「さらには大臣時代に常に言っていたが、福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なしという思いでしっかり取り組んでいきたい」と述べました。

渡辺氏は、衆議院千葉6区選出の当選8回で72歳。

自民党茂木派に所属しています。

平成30年の第4次安倍改造内閣で復興大臣として初入閣し、原発事故の風評被害の払拭などに取り組みました。

渡辺氏は、このあと皇居での認証式などを経て、正式に大臣に就任する運びです。

岸田首相「職務を果たす能力判断し人事行った」

岸田総理大臣は記者団に対し「行政の管理や統計などに関する職務を果たす能力があるかを判断して人事を行った。内閣の一員になる前や他党にいたときの発言は政治家の責任でしっかりと説明責任を果たすとともに、内閣の一員となった以上は政府方針に従って職務を行ってもらう旨、申し上げてきた」と強調しました。

そのうえで「先ほど杉田政務官からは『もとより差別意識はなく、説明を尽くしたが、結果として国会審議に迷惑をかけることになった過去の言動について問題があると判断したものは撤回することとした。自らの信念に基づき撤回できないものもあるが、行政に迷惑をかけることはできないため、辞任したい』という意向が示された」と述べました。