旧統一教会 救済新法 自民 政府案修正し今国会への提出目指す

旧統一教会の被害者救済を図る新たな法案について、与野党の幹事長らが会談し、自民党は、当初の政府案を修正し、献金の勧誘を行う法人側に対し、個人が適切な判断を行うことを困難な状況にしないよう配慮を求める規定を盛り込み、今の国会への提出を目指す方針を示しました。

旧統一教会の被害者救済に向けて悪質な献金を規制する新たな法案をめぐっては、政府が先週、与野党に法案の概要を示しましたが、野党側は、不十分だとして修正を求めています。

11月24日夕方、国会内で、与野党6党の幹事長と書記局長が会談し、自民党の茂木幹事長は「マインドコントロールの話が議論になってきたが、個人の心がどういう状況に置かれているか認定するのは困難で、禁止行為とするのは難しい。法人側の配慮規定を盛り込みたい」と述べ、政府案を修正したうえで、今の国会への提出を目指す方針を示しました。

具体的には、悪質な献金の規制を強化するため、献金の勧誘を行う法人側に対し、
▽個人が適切な判断を行うことを困難な状況にしないこと、
▽献金によって個人や家族の生活が困難になるようにしないことへの配慮を求める規定を新たに盛り込むとしています。
そのうえで「霊感などの知識により、個人の不安をあおったり、現在の不安に乗じたりして献金が必要不可欠だと告げることを禁じる」としている政府案の規定については、「必要不可欠」ということばを使わなくても、その趣旨にあたる勧誘であれば、禁止の要件に該当するという解釈を示しました。

このほか、法人が行う献金の勧誘行為として、借金や家の売却に加え、田畑や町工場など「生活の維持に欠くことのできない事業用資産」の売却などによる資金調達の要求も禁じるとしています。

また、規制の対象としている「法人」には、法人の役職員なども含まれるという解釈を示したほか、3年後に法律を見直す規定を盛り込むとしています。

自民党の茂木幹事長は記者会見で「きょうの議論も踏まえ、政府には早期に法案の閣議決定と、国会への提出を求めたい。各党には、まだ残っている疑問点やさらに明確にしたい点を国会で質問してもらい、政府にもしっかりと答えてほしい」と述べ、今後の野党側との議論は、国会の場で行う意向を示しました。

公明 石井幹事長「今できる最大限の取り組みでは」

公明党の石井幹事長は、記者団に対し「政府が頑張っていろんなアイデアを出して法案をつくっていて、点数をつけるのは難しいが単位は取れるのではないか。マインドコントロールという心の状態を定義し、認定することは極めて難しいが、『配慮規定』を盛り込むことで、献金を取り戻すことが可能な道を開いたのは今できる最大限の取り組みではないか。早期成立を目指していきたい」と述べました。

立民 岡田幹事長「説明を聞くかぎりでは40点」

立憲民主党の岡田幹事長は、記者団に対し「マインドコントロールに陥って進んで寄付をするようなケースが救済の対象に含まれなければ新しい法律をつくる意味がほとんどないと、繰り返し申し上げた。マインドコントロール下におかれた契約の部分を中心に、与党にも野党にもさらなる努力が求められる。説明を聞くかぎりでは40点で、100点が難しいのは分かるが、60点を取れる法案でないと意味がなく、努力を続けていきたい」と述べました。

維新 藤田幹事長「最後まで100点に近づける努力を」

日本維新の会の藤田幹事長は、記者会見で「マインドコントロールという特殊な環境下に置かれた被害が出ないようにするため、いかに実効性を担保できるところまで踏み込めるかがポイントだ。実際に法案を見てみないと判断できないが、新法ができあがったあとに多くの人を救えないというのはあってはならず、最後まで100点に近づける努力をしていきたい」と述べました。

共産 小池書記局長「説明は納得のいくものではなかった」

共産党の小池書記局長は、記者団に対し「旧統一教会による献金は、いわゆるマインドコントロールのもとで献金が必要不可欠だと告げずに困惑もさせていないというのが実態であり、そこを解決しなければ全く機能しないのではないか。きょうの説明は納得のいくものではなかったので、どういう形で条文化されるのか見極めたい」と述べました。

国民 榛葉幹事長「十分合格点に値するのでは」

国民民主党の榛葉幹事長は、記者団に対し「野党のさまざまな疑念や被害者弁護団の意見も参考にしてもらい、だいぶ現実的な法案に近づいており、十分、合格点に値するのではないか。野党の中でも理解が深まっている感じがした。しっかり議論して決めていきたい」と述べました。